Googleスプレッドシートの GT関数 は、=GT(A1, B1) と書くと =A1>B1 と同じ結果を返す関数です。A1 が B1 より大きいときだけ TRUE、同じ値や小さいときは FALSE になります。
名前の似た「GPT関数」とは別の関数なので、AI 連携を探している方はご注意ください。GT は英語の Greater Than(より大きい)の頭文字です。
他人のシートで =GT(B2, C2) を見かけて、「何をしている数式?」と手が止まったことはありませんか。> で書けるのに関数がある理由も、気になるところでしょう。
意味があいまいなまま書き換えると、「より大きい」と「以上」を取り違えがちです。目標ちょうどの人が達成扱いから外れる、といった判定のずれにつながります。
この記事では、GT関数の構文と結果表、> 演算子との使い分けを順に整理します。IF・FILTER・ARRAYFORMULA と組み合わせる数式も、コピペで試せる形で載せました。
スプレッドシートのGT関数とは?構文と基本の使い方
結論:=GT(A1,B1) は A1>B1 と同じ
GT の働きは、Google の公式ヘルプにはっきり書かれています。1つ目の引数が2つ目より「真に大きい」場合は TRUE、そうでなければ FALSE。あわせて「> 演算子と同じ」とも明記されています。
つまり GT は、>(より大きい/超える)を関数の形で書いたもの。読み方は「ジーティー」です。
定義が「真に大きい」なので、同じ値どうしでは TRUE になりません。5 と 5 を比べれば FALSE。ここが「以上」を判定する GTE関数との一番の違いです。
構文と引数(値1, 値2)
書き方はとてもシンプルで、引数は2つだけです。
=GT(値1, 値2)
| 引数 | 必須 | 内容 |
|---|---|---|
| 値1 | 必須 | 値2 より大きいかどうかを調べる値 |
| 値2 | 必須 | 比べる相手となる2つ目の値 |
戻り値は TRUE か FALSE の論理値です。そのため、IF関数の条件などにそのまま渡せます。
GT・>・GTE を3つのケースで比べた結果表
同じ2つの値を、GT・>・GTE で比べた結果を並べてみましょう。
| 比べる値 | =GT(値1,値2) | =値1>値2 | =GTE(値1,値2) |
|---|---|---|---|
| 8 と 5(大きい) | TRUE | TRUE | TRUE |
| 5 と 5(同じ) | FALSE | FALSE | TRUE |
| 3 と 5(小さい) | FALSE | FALSE | FALSE |
GT と > は、3つのケースとも同じ結果です。違いが出るのは、同じ値のときの GTE だけ。「超えたら TRUE」なら GT、「達したら TRUE」なら GTE と覚えると迷いません。
使用例(売上と目標/数値の直接入力/日付)
まずは売上と目標を比べる例です。D2 に =GT(B2, C2) と入れ、D6 までコピーします。
| 行 | A: 担当者 | B: 売上(万円) | C: 目標(万円) | D: =GT(B, C) |
|---|---|---|---|---|
| 2 | 山田 | 120 | 100 | TRUE |
| 3 | 佐藤 | 95 | 100 | FALSE |
| 4 | 鈴木 | 100 | 100 | FALSE |
| 5 | 田中 | 130 | 110 | TRUE |
| 6 | 高橋 | 80 | 90 | FALSE |
鈴木さんは目標ちょうどなので、判定は FALSE。「目標達成」を「目標以上」と考えるなら、GT ではなく GTE のほうが合っています。
セル参照ではなく、数値を直接入れても使えます。マイナスどうしでも、数の大小どおりに判定されますよ。
=GT(10, 5) → TRUE
=GT(3, 7) → FALSE
=GT(100, 100) → FALSE(同じ値)
=GT(-5, -10) → TRUE(-5 のほうが大きい)
日付どうしを比べたいときは、DATE関数で日付を作って渡します。
=GT(DATE(2026,5,1), DATE(2026,4,30)) → TRUE
DATE関数は、日付をシリアル値という数値で返します。そのため数値の比較と同じ考え方で、後の日付ほど大きいと判定されるわけです。
GT関数と > 演算子の違い・使い分け
結果が同じなら、どちらを使えばいいのか迷いますよね。結論として、手で入力するなら > で十分です。GT が役立つのは、数式を「読む」「組み立てる」場面になります。
比較表(書く長さ・読みやすさ・Excel との関係)
| 観点 | > 演算子 | GT関数 |
|---|---|---|
| 返す結果 | TRUE / FALSE | TRUE / FALSE(> と同じ) |
| 同じ値のとき | FALSE | FALSE |
| 書く長さ | 短い(=A1>B1) | やや長い(=GT(A1,B1)) |
| 見た目 | 記号で比べる | 関数名で「比較」と分かる |
| Excel | 使える | 使えない(> を使う) |
| 使われる頻度 | こちらが一般的 | 見かける機会は少なめ |
普段の入力なら、> で困る場面はまずありません。Excel とやり取りするファイルも、記号で書いておくほうが無難です。
Apps Script で数式を組み立てる場面では GT が読みやすい
Apps Script などで、数式を文字列として組み立てることがあります。このとき記号の > は、文字列の連結に埋もれて見落としやすいのが難点です。
const a = 'B2';
const b = 'C2';
// 演算子で組み立てる
const f1 = '=' + a + '>' + b; // → =B2>C2
// GT関数で組み立てる
const f2 = '=GT(' + a + ',' + b + ')'; // → =GT(B2,C2)
できあがる数式は、どちらも「B2 が C2 より大きいか」を調べるもの。関数の形ならカッコとカンマで区切られるので、何と何を比べているかを追いやすくなります。
また、比較を関数名で書けるため、数式の中で1つの部品として扱いやすい点も利点です。IF(GT(…), …) のように入れ子にしても、どこが条件かが一目で分かります。
同じ値を含めたいときは GTE
「80点以上で合格」のように、境目の値も含めたいときは GTE関数を使います。GT のままだと、ちょうど80点の人が不合格になってしまうので要注意です。
=GTE(B2, 80) → B2 が 80 のときも TRUE
GTE の詳しい使い方は、スプレッドシートのGTE関数の使い方をご覧ください。
IF・FILTER・ARRAYFORMULA と組み合わせる
GT の戻り値は TRUE / FALSE なので、条件を受け取る関数と組み合わせやすいのが特長です。ここでは先ほどの売上表(A2:C6)を使い、コピペで試せる3つの例を紹介します。
IF関数の条件に入れる
TRUE / FALSE のままでは読みにくいとき、IF関数でラベルに置き換えます。
=IF(GT(B2, C2), "達成", "未達成")
D2 に入れて D6 までコピーすると、山田さんと田中さんが「達成」になります。残る佐藤さん・鈴木さん・高橋さんは「未達成」。
=IF(B2>C2, "達成", "未達成") と書いた場合と同じ結果になります。IF関数の基本はスプレッドシートのIF関数の使い方にまとめています。
FILTER関数の条件にする
売上が100万円を超える行だけを抜き出したいなら、FILTER関数の条件に GT を入れます。
=FILTER(A2:C6, GT(B2:B6, 100))
FILTER の条件の中なら、GT に範囲をそのまま渡しても全行が判定されます。ARRAYFORMULA で包む必要はありません。
この表なら、山田さん(120)と田中さん(130)の2行が返ります。鈴木さんの100は「超える」に当たらないので、対象外です。
演算子で書くなら =FILTER(A2:C6, B2:B6>100) です。FILTER の条件は記号で書く例が多いため、チームで使うシートでは書き方をそろえておくと読みやすくなります。詳しくはスプレッドシートのFILTER関数の使い方をどうぞ。
ARRAYFORMULA で複数行を一括比較
1行ずつコピーせず、1つのセルで全行を比べたいときは ARRAYFORMULA と組み合わせます。
=ARRAYFORMULA(GT(B2:B6, C2:C6))
D2 に入れると、D2:D6 に TRUE・FALSE・FALSE・TRUE・FALSE が並びます。ARRAYFORMULA を付けずに =GT(B2:B6, C2:C6) と書くと、1つのセルに1つの結果しか返らないので注意してください。演算子で書く場合は =ARRAYFORMULA(B2:B6>C2:C6) になります。ARRAYFORMULA の仕組みはスプレッドシートのARRAYFORMULA関数の使い方で確認できます。
達成した人数を数えたいなら、D列の TRUE を COUNTIF で数えましょう。
=COUNTIF(D2:D6, TRUE) → 2(山田・田中)
=COUNTIF(B2:B6, ">100") → 2(売上が100を超える人数)
COUNTIF では条件を ">100" のように文字列で渡すのがポイントです。書き方の詳細はスプレッドシートのCOUNTIF関数の使い方を参考にしてください。
比較演算子関数シリーズ早見表(GT/GTE/LT/LTE/EQ/NE)
GT には、同じ形をした仲間が5つあります。公式ヘルプでは「演算子」の分類に入っていて、どれも2つの値を比べて TRUE / FALSE を返す関数です。この記事では便宜上、まとめて「比較系の演算子関数」と呼びます。
| 関数 | 対応する記号 | TRUE になる条件 | 名前の由来 |
|---|---|---|---|
| GT | > | 値1 が値2 より大きい | Greater Than |
| GTE | >= | 値1 が値2 以上 | Greater Than or Equal |
| LT | < | 値1 が値2 より小さい | Less Than |
| LTE | <= | 値1 が値2 以下 | Less Than or Equal |
| EQ | = | 値1 と値2 が等しい | Equal |
| NE | <> | 値1 と値2 が等しくない | Not Equal |
覚え方は頭文字で十分です。G は「大きい」、L は「小さい」、GTE・LTE の末尾の E は「等しいも含む」と押さえておきましょう。
この中で姉妹記事があるのは GTE です。「以上」の判定はGTE関数の記事で詳しく扱っています。
なお、「下限と上限のあいだにあるか」を調べたいなら、ISBETWEEN という別系統の関数もあります。こちらは値・最小・最大と、境目を含むかどうかを指定する5つの引数で使う関数です。
よくある質問とまとめ
Excel に GT 関数はある?
Excel の関数一覧に GT関数はありません。Excel で「より大きい」を判定するときは、=A1>B1 のように > 演算子を使います。
Excel とスプレッドシートを行き来するファイルなら、最初から記号で書いておくのが安全です。Excel 側の比較演算子はExcelの比較演算子の使い方で一覧にしています。
文字列が混ざるとどうなる?
GT に文字列を渡しても、#VALUE! などのエラーにはなりません。> と同じ規則で比べた結果が返ります。スプレッドシートで試すと、=GT("b","a") は TRUE でした。
注意したいのは、文字列と数値を比べたときです。=GT("abc", 5) は TRUE になり、文字列のほうが大きいと判定されました(="abc">5 も同じく TRUE)。
そのため「100円」のような単位付きの値や、文字列として入った数字が混ざると、エラーが出ないまま想定外の TRUE になります。結果がおかしいと感じたら、まず比べている値の中身を疑ってください。
数値かどうかは ISNUMBER関数で確かめられます。
=ISNUMBER(B2) → 数値なら TRUE、文字列なら FALSE
文字列どうしを比べる必要があるなら、=A1>B1 の結果と並べてみるのが確実です。意図どおりの判定になっているかを確かめてから使いましょう。
まとめ
スプレッドシートのGT関数のポイントを振り返ります。
=GT(値1, 値2)は=値1>値2と同じで、TRUE / FALSE を返す- 値1 が値2 より大きい(超える)ときだけ TRUE。同じ値は FALSE
- 同じ値も含めたいなら GTE関数を使う
- 手入力なら
>で十分。GT は数式を組み立てる場面や、関数名で意図を見せたいときに向く - IF・FILTER・ARRAYFORMULA の条件にもそのまま入れられる
- Excel では GT関数は使えないので、
>を使う
無理に > を GT に置き換える必要はありません。他人のシートで GT を見かけたら「> のことだな」と読み替えれば大丈夫です。境目の値を含めるかどうかだけは、GT と GTE で取り違えないよう気をつけましょう。