「さっきまで自分で編集していたExcelのブックが、急に開けなくなった」。ロックの表示を見ると、なぜか自分の名前が書かれている。そんな経験はありませんか。
ほかに誰も開いていないはずなのに、保存もできず読み取り専用でしか開けない。何度も開き直すうちに、作業した内容まで消えそうで焦りますよね。
このロックには、きちんとした原因があります。前回のExcelが正しく終了していない、別のPCで開いたままになっている、といったものです。この記事では保存場所別に原因を切り分け、作業内容を守る退避から順に解除の手順をまとめました。
対応バージョン: この記事はWindowsのデスクトップ版Excelを主な対象にしています。共同編集と自動保存は、Microsoft 365 版のExcelの機能です。Excel 2016・2019・2021 LTSC などの永続版は、共同編集に対応していません。そのためOneDrive上のブックでも、永続版で開く人がいるとロックの原因になります。Mac版は手順や画面の名称が異なる部分があります。
解除の前に|Excelの作業内容を守る退避チェックリスト
ロックの解除には、Excelの強制終了やファイルの削除が含まれます。順番を間違えると、まだ保存していない作業内容を失うおそれがあるのが怖いところ。まずはコピーを確保してから、原因探しに進みましょう。
まずコピーを別名で保存する
Microsoftのサポート情報でも、急ぐ場合は「名前を付けて保存」でコピーを作る方法が案内されています。コピー側で作業を続け、ロックが解けたあとで元のブックに変更を反映させる流れです。
- 読み取り専用で開いたブック、または開いたままのブックで「ファイル」タブを開く
- 「名前を付けて保存」を選ぶ
- 保存先に、デスクトップなど自分のPC内のフォルダーを指定する
- ファイル名の末尾に「_退避」などを付けて保存する
元のブックと同じ場所・同じ名前で保存しようとしないでください。名前と保存先の両方を変えておけば、どれが退避コピーかすぐに見分けられます。
未保存の内容が残っているか確認する
このあと紹介する「タスクの終了」は、Excelを強制的に終わらせる操作です。保存していない変更があれば、それも一緒に消えてしまいます。解除に進む前に、次の3点を確かめておきましょう。
- タスクバーにExcelのウィンドウが残っていないか(残っていれば、それぞれ保存してから閉じる)
- 別のPC(会社のPCとノートPCなど)で、同じブックを開いたままにしていないか
- 退避コピーを開き、最新の内容が入っているか
退避コピーさえあれば、このあとの操作でつまずいても作業内容は手元に残ります。気持ちを落ち着けて、原因の切り分けに進んでください。
3分で当たりを付ける|保存場所 × 症状の切り分け表
ロックの原因は、ブックの保存場所によって候補が変わります。下の表で、自分の保存場所と症状が交わるマスを探してみてください。
| 保存場所 | 自分の名前でロック・「使用中」 | 読み取り専用でしか開けない |
|---|---|---|
| PCローカル | Excel.exe の残り/~$ファイルの残り | 読み取り専用の推奨・ファイル属性・保護ビュー |
| 共有フォルダ・NAS | 別のPCで開いたまま/~$ファイルの残り/名前の表示違い | 他の人が使用中/ファイル属性・アクセス権 |
| OneDrive・SharePoint | 別の端末で開いたまま/同期の一時停止/共同編集に非対応の版 | 同期・共同編集の問題/最終版 |
PCローカルの場合
自分のPC内のフォルダーにあるブックを、ほかの人が開くことはまずありません。自分の名前でロックされるなら、疑うのは自分のPCで動いているExcelそのものです。
確認する順番は、Excel.exe の残り、~$ファイルの残りの2段階。それでも読み取り専用になるなら、ファイル側の設定を疑いましょう。
共有フォルダ・NAS の場合
社内の共有フォルダやNASは、Excelの共同編集の対象外の保存場所です。同時に編集できるのは1人だけで、2人目以降にはロックの表示が出ます。
自分の名前が出るときは、別のPCで開いたままのケースと、~$ファイルが残ったケースが候補です。表示された名前そのものが誤っている場合もあります。
同僚が開いている可能性もあるので、ファイルを消す前にひと声かけるのが安全。他の人が開いていて保存できないときの短い対処は、Excelが重い・フリーズする・保存できない原因と対処法にまとめています。
OneDrive・SharePoint の場合
Microsoft 365 版のExcelなら、OneDriveやSharePoint Online上のブックは共同編集ができます。本来なら複数人で同時に開いても、ロックされない保存場所です。
それでも自分の名前でロックされるなら、共同編集がうまく成立していないサインといえるでしょう。別の端末・同期の状態・Excelの版を順に確かめてください。
「〇〇によってロックされています」「使用中」と出るときの原因と解除
Excelはブックを開くと、同じフォルダーに「所有者ファイル」と呼ばれる小さなファイルを作ります。ロックの表示に出る名前は、このファイルに書かれたユーザー情報を参照したものです。
ロックされたブックを開くと、英語版では「File in Use」というダイアログが出ます。日本語版では「ファイルは使用中です」「〇〇によって編集のためにロックされています」のように表示されることがあります。
英語版の選択肢は「Read-Only」と「Notify」の2つ。Notifyは、読み取り専用で開いて、使用が終わったら通知を受け取る選択肢です。日本語版のボタン名は、画面に表示されたものを確認してください。
原因の候補は次の4つ。上から順に確かめると、手間の少ないものから片付きます。
Excel.exe がバックグラウンドに残っている
ウィンドウを閉じても、Excelのプロセス(動作中のプログラム)が裏で残ることがあります。そのExcelが同じブックを開いたままだと、自分の名前でロックされてしまうのです。
Microsoftのコミュニティでも、原因の一つに挙げられているパターンです。次の手順で終了させましょう。
- 開いているExcelのブックを、すべて保存して閉じる
- キーボードで Ctrl + Shift + Esc を押し、タスクマネージャーを開く
- 「詳細」の一覧で「EXCEL.EXE」、または「プロセス」の一覧で「Microsoft Excel」を探す
- 見つかったら選択して「タスクの終了」を押す
- 一覧からExcelが消えたのを確かめて、ブックを開き直す
タスクマネージャーの画面構成は、Windowsのバージョンによって少し異なります。見つけにくいときは、PCの再起動で残ったExcelをまとめて終了させるのも一つの手。
所有者ファイル(~$ファイル)が残っている
所有者ファイルの名前は、元のファイル名の先頭を「~$」に置き換えた形です。たとえば Document.xlsx なら「~$cument.xlsx」となり、元のブックと同じフォルダーに作られます。
本来はブックを閉じるときに消えるファイルですが、Excelが正常に終了しないと残ることがあります。その結果、誰も開いていないのにロックの表示に自分の名前が出るわけです。
所有者ファイルは隠しファイルになっていることがあり、そのままでは見えません。Windows 11なら、エクスプローラーの「表示」→「表示」→「隠しアイテム」で表示できます。
それでも見えなかった、という報告も。その場合は、フォルダーオプションの設定も確認してください。「保護されたオペレーティング システム ファイルを表示しない」のチェックを外すと、見えることがあります。
見つけた~$ファイルを削除すると、ロックが解けることがあります。ただし、現行のMicrosoftサポート記事で案内されている手順ではありません。行うときは、次の3つの条件をすべて満たしてからにしてください。
- Excelを完全に閉じている(タスクマネージャーにExcelが残っていない)
- 削除するのは、開けないブックと同じフォルダーにある、そのブックの~$ファイルだけ
- 共有フォルダ・NASでは、ほかの人がそのブックを開いていないと確かめた
条件を満たしたら、次の順に進めます。
- 開けないブックが入っているフォルダーを、エクスプローラーで開く
- 隠しファイルを表示する設定にする
- ブック名に対応する「~$」で始まるファイルを探す
- そのファイルだけを削除する
- ブックを開き直し、ロックが消えたか確かめる
ほかのブックやWord文書の~$ファイルが並んでいても、触らないでください。作業が終わったら隠しファイルの表示を元に戻しておくと、誤操作を防げます。
別のPC・別のセッションで開いたままになっている
Microsoftの日本語サポートページでは、ロックの原因に自分自身のケースも挙がっています。別のデバイスで開いている場合と、前回のセッションが終わっていない場合です。
たとえば会社のPCで開いたまま、ノートPCから同じブックを開こうとしたときが該当します。リモート接続先のPCで開きっぱなしにしているケースも同じでしょう。
対処は、すべての端末で該当のブックを閉じ、少し時間をおいてから開き直すこと。手元にないPCで開いているなら、そのPCで閉じるまでは退避コピーで作業を続けましょう。
表示される名前が違う・古い(Office のコピーのパーソナライズ)
ロックの表示に出る名前は、Excelに登録されたユーザー名に由来するとされています。場所は「ファイル」→「オプション」→「全般」の「Office のコピーのパーソナライズ」です。
つまり表示が自分の名前でも、本当に自分が開いているとは限りません。共用PCを自分の名前で設定した場合などは、別の人が開いていても自分の名前が出る可能性があります。
また共有フォルダでは、残った所有者ファイルが原因で、次に開いた人に誤った名前が表示されることもあります。サーバーの再起動などで接続が切れたときに起こる現象です。
「自分の名前だから自分の操作が原因」と決めつけず、同じユーザー名を使っているPCがないか確かめてください。名前が古い場合は、上記の画面でユーザー名を書き換えておくと、次から見分けやすくなります。
OneDrive・SharePoint で自分の名前のロックが出るとき
共同編集が成立していれば、OneDriveやSharePoint Online上のブックは複数の端末で同時に開けます。それでもロックが出るなら、同期か共同編集の条件のどこかが崩れているのかもしれません。
同期の状態を確認する
Microsoftのサポートページでは、OneDrive同期アプリの状態もロックの原因に挙げています。Windowsの同期アプリが古い場合や、一時停止している場合です。
同期が止まっていると、自動保存した変更がほかの人や別の端末に反映されないこともあります。次の手順で状態を確かめましょう。
- タスクバー右端の通知領域にある、OneDriveのアイコン(雲のマーク)をクリックする
- 同期が一時停止中と表示されていれば、再開する
- 同期アプリの更新が案内されていれば、最新版にする
- 同期が終わってから、ブックを開き直す
アイコンや画面の表示は、OneDriveのバージョンによって異なることがあります。
共同編集・自動保存と別端末の影響
共同編集と自動保存は、Microsoft 365 版のExcelにサインインしていることが前提です。次の条件を一つでも外れると、共同編集にならずロックが起きることがあります。
| 確認項目 | 共同編集できる条件 |
|---|---|
| Excelの版 | 全員がMicrosoft 365 版(Windows・Mac)。Excel 2016・2019・2021 LTSC などは非対応 |
| 保存場所 | OneDrive・OneDrive for Business・SharePoint Online(オンプレミスのSharePointは非対応) |
| ファイル形式 | .xlsx・.xlsm・.xlsb(Strict Open XML 形式は非対応) |
| ブックの設定 | 共有ブック機能・パスワード・アクセス制限・「ファイルを開くときにデータを更新する」がオフ |
Microsoftは、非対応の版で開く人がいることをロックの最も一般的な原因に挙げています。見落としやすいのは、自宅や別のPCにだけ永続版のExcelが入っているケース。そのPCで開いたままだと、自分の名前でロックされることがあります。
.xls 形式は共同編集の対象形式に挙がっていないため、「名前を付けて保存」で .xlsx などに変換しておきましょう。特定のアドインが共同編集を妨げることもあるので、問題がありそうなアドインはオフにして試してください。
どの版で開けばよいか迷ったときは、ブラウザーで開くExcel(Web版)を使う方法もMicrosoftが案内しています。
読み取り専用でしか開けないときの切り分け
タイトルバーに「読み取り専用」と出て編集できないとき、原因はロック由来と設定由来の2系統に分かれます。どちらかで対処がまったく違うため、まず開いたときの様子を思い出してみてください。
ロック由来の読み取り専用
開くときに「使用中」やロックのダイアログが出て、読み取り専用を選んだ場合はロック由来です。前の節の Excel.exe・~$ファイル・別端末の順で原因を確かめましょう。
相手が閉じるのを待つ間は、退避コピーで作業を進めておくと安心です。なお共有ブック機能を使っているブックでは、同時に保存しようとしてロックの表示が出ることも。その場合は少し待ってから保存し直してください。
読み取り専用の推奨・ファイル属性・保護ビューが原因の場合
ダイアログが出ないのに読み取り専用になるなら、ファイル側の設定を疑います。開いたときの手がかりから原因を絞り込んでください。
| 開いたときの手がかり | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 「読み取り専用で開くか」を確認するメッセージが出る | 読み取り専用の推奨 | 編集できるほうを選んで開く |
| 確認は出ないのに、タイトルバーに「読み取り専用」と出る | ファイル属性・フォルダーのアクセス権 | エクスプローラーで右クリック →「プロパティ」で「読み取り専用」のチェックを外す。共有フォルダの権限は管理者に相談 |
| 画面上部に「最終版」の案内が出る | 最終版に設定されている | メッセージバーから編集を始められる場合がある |
| 画面上部に「保護ビュー」の黄色いバーが出る | インターネットやメール添付から入手したファイル | 「編集を有効にする」を押す |
「読み取り専用を推奨」は、ブックの作成者が保存時に付ける設定です。Windows版では、「名前を付けて保存」画面の「ツール」から開く「全般オプション」で確認できます(版によって表記が異なる場合があります)。
最終版は、Microsoftの共同編集のトラブルシューティングでも、共同編集できない原因の一つに挙がっている設定です。
保護ビューは安全のための機能で、ロックとは別物です。毎回表示されて困るときの設定は、Excelの保護ビューが毎回表示されて編集できない問題の解決法を参考にしてください。
まとめ|再発防止とよくある質問
Excelが自分の名前でロックされたら、慌てずに次の順番で進めるのが近道です。
- 「名前を付けて保存」で退避コピーを作る
- タスクマネージャーで、残ったExcel.exeを終了する
- 条件を確かめて、該当ブックの~$ファイルを削除する
- ほかの端末で開いたままのブックを閉じ、少し待って開き直す
- OneDrive・SharePointなら、同期とExcelの版を確かめる
ロックが解けても読み取り専用のままなら、ファイル側の設定を見直しましょう。
再発を防ぐ習慣
- PCをシャットダウンする前に、Excelのブックをすべて保存して閉じる
- 別の端末に移るときは、元の端末でブックを閉じてから移動する
- OneDriveの同期を、一時停止したままにしない
- チームで共有するブックは、全員がMicrosoft 365 版で開けるOneDrive・SharePointに置く
共有フォルダからの移行や、誰がどこまで編集できるかの決め方は、ExcelとGoogleスプレッドシートのファイル共有・保護を使いこなす設計ガイドで詳しく解説しています。
FAQ
Q. ~$ファイルを削除しても、ブック本体は大丈夫?
所有者ファイルは、ロックの表示に使うユーザー情報が書かれた小さなファイルで、ブック本体とは別物です。削除は、本文で紹介した3つの条件を満たしたうえで行ってください。
Q. 待っていれば自動で解除されますか?
別の端末で開いていたなら、その端末で閉じたあと、少し時間をおけば開けることがあります。一方、異常終了で~$ファイルが残った場合は、待つだけでは解消しないこともあります。しばらく待っても変わらなければ、Excel.exeと~$ファイルを確かめてください。
Q. MacのExcelでも同じ手順ですか?
共同編集の条件(Microsoft 365 版にサインインした最新のExcel)は、Macも同じです。ただし読み取り専用の設定やプロセスの終了など、手順や画面の名称がWindowsと異なる部分があります。Mac版を使っている場合は、画面の表示に合わせて読み替えてください。
