スプレッドシートのMEDIAN関数の使い方|中央値
「平均を出したのに、なんだか実感と合わない」。そんな経験はありませんか?
たとえば5人の給与データに1人だけ極端に高い人がいると、平均はグッと引き上げられます。多くの人の実態からかけ離れた数字になってしまいますよね。
そんなときに使うのがMEDIAN関数です。データの真ん中の値(中央値)を返してくれるので、外れ値に振り回されません。
この記事では基本の書き方から実務での活用パターンまで紹介します。
MEDIAN関数とは?
MEDIAN関数(読み方: メジアン関数)は、指定した数値の中央値を求める関数です。「Median」は英語で「中央の」という意味があります。
中央値とは、データを小さい順に並べたとき、ちょうど真ん中にくる値のことです。AVERAGE関数が返す平均値と並んで、データの代表値としてよく使われます。
MEDIAN関数にできることをまとめると、次のとおりです。
- 指定したセル範囲の数値の中央値を求める
- 複数の離れた範囲をまとめて中央値にする
- 空白セルや文字列は自動的にスキップする
- 外れ値の影響を受けにくい代表値を出す
NOTE
MEDIAN関数はGoogleスプレッドシートの全バージョンで使えます。Excelとの互換性も完全です。
MEDIAN関数の書き方(構文と引数)
基本構文
=MEDIAN(値1, [値2, ...])
カッコの中に、中央値を求めたい数値やセル範囲を指定します。
引数の説明
| 引数 | 必須/任意 | 説明 |
|---|---|---|
| 値1 | 必須 | 中央値を求めたい最初の数値、セル参照、またはセル範囲 |
| 値2, … | 任意 | 追加で中央値に含めたい数値やセル範囲(最大30個まで) |
引数が2つ以上ある場合は、カンマ( , )で区切ります。
引数に指定できるものは3種類あります。
- 数値を直接入力:
=MEDIAN(10, 20, 30)→ 結果は20 - セル参照:
=MEDIAN(A1, B1, C1)→ 各セルの値の中央値 - セル範囲:
=MEDIAN(A1:A10)→ A1からA10の中央値
MEDIAN関数の基本的な使い方
ここからは実際にMEDIAN関数を使ってみましょう。
データが奇数個の場合
5人のテスト結果がB2からB6に入っているとします。点数は「60, 70, 75, 80, 95」です。
=MEDIAN(B2:B6)
データは5個(奇数)です。小さい順に並べたときの3番目の値「75」が返されます。
データが偶数個の場合
6人のテスト結果がB2からB7に入っているとします。点数は「60, 70, 75, 80, 85, 95」です。
=MEDIAN(B2:B7)
データは6個(偶数)です。真ん中の2つ「75」と「80」の平均「77.5」が返されます。
偶数データの中央値
データが偶数個のとき、MEDIAN関数は中央の2つの値の平均を返します。「ちょうど真ん中がない」ときは、2つの値を足して2で割る仕組みです。
複数の範囲をまとめて中央値を求める
離れた範囲を1つにまとめることもできます。
=MEDIAN(B2:B10, D2:D10)
カンマで区切るだけで、離れた範囲も一度に計算してくれます。
実務でのMEDIAN関数活用パターン
基本がわかったところで、実務でよく出てくるパターンを見ていきましょう。
パターン1: 給与データの代表値を求める
給与データには極端に高い値が混ざりがちです。B2からB10に9人分の月給が入っているとします。
| 社員 | 月給(万円) |
|---|---|
| A | 25 |
| B | 28 |
| C | 30 |
| D | 30 |
| E | 32 |
| F | 33 |
| G | 35 |
| H | 38 |
| I | 120 |
=AVERAGE(B2:B10)
平均値は41.2万円です。120万の人に引っ張られていますね。
=MEDIAN(B2:B10)
中央値は32万円です。大多数の社員の実態に近い値が出ています。
パターン2: 平均値と中央値を並べて偏りを見る
平均と中央値を並べると、データの偏りが一目でわかります。
=AVERAGE(B2:B20)
=MEDIAN(B2:B20)
2つの値が近ければデータは均一です。大きく離れていれば、外れ値が含まれている可能性があります。レポートで両方を並べると説得力が増しますよ。
パターン3: 不動産価格の相場を把握する
不動産価格も外れ値が出やすいデータです。物件一覧の価格がB列に入っているとします。
=MEDIAN(B2:B50)
一部の高額物件に引っ張られない相場感がわかります。「平均価格」と「中央値価格」の両方を出すと、エリアの価格帯をより正確に伝えられます。
パターン4: ROUND関数で小数点を丸める
偶数データの中央値は小数が出ることがあります。ROUND関数で丸めましょう。
=ROUND(MEDIAN(B2:B10), 0)
中央値を整数に四捨五入します。報告書でスッキリ表示したいときに便利です。
パターン5: IFERROR関数でエラーを防ぐ
データがまだ入っていない段階でMEDIAN関数を入れておくと、#NUM!エラーが出ます。
=IFERROR(MEDIAN(B2:B10), "-")
データがないうちは「-」を表示します。データが入ったら自動で中央値に切り替わります。
MEDIAN関数とAVERAGE関数の違い
MEDIAN関数とAVERAGE関数はどちらもデータの「代表値」を求める関数です。ただし計算方法が異なります。
計算方法の違い
| 項目 | MEDIAN関数(中央値) | AVERAGE関数(平均値) |
|---|---|---|
| 計算方法 | データを並べたときの真ん中の値 | 全データの合計 / 個数 |
| 外れ値の影響 | 受けにくい | 大きく影響する |
| 向いている場面 | 偏りのあるデータ | 偏りが少ないデータ |
具体例で比べてみよう
5人の月収データ「25万, 28万, 30万, 32万, 120万」で比較します。
=AVERAGE(B2:B6)
平均値は47万円です。120万の影響で大きく引き上げられています。
=MEDIAN(B2:B6)
中央値は30万円です。大多数の実態に近い数値が出ていますよね。
どちらを使うか迷ったら
外れ値があるならMEDIAN関数、ないならAVERAGE関数が適しています。「平均年収」より「年収中央値」のほうが実態に近いと言われるのも、この仕組みのためです。
よくあるエラーと対処法
MEDIAN関数で困ったら、以下のパターンを確認してみてください。
| 症状 | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| #NUM!エラー | 範囲にデータが1つもない | 参照範囲にデータが入っているか確認する |
| #VALUE!エラー | 文字列を直接引数に入力した | セル範囲で指定する(範囲内の文字列は自動スキップ) |
| 中央値が予想と違う | データが偶数個で2つの平均になっている | データ個数を確認。偶数なら中央2値の平均が返る |
| 文字列が無視される | セル範囲内の文字列は計算対象外 | 文字列として格納された数値はVALUE関数で変換する |
| 日付が巨大な数値になる | 日付がシリアル値として計算された | 日付セルは範囲から除外する |
#NUM!エラーの対処
もっとも多いのは#NUM!エラーです。範囲内に数値が1つもない状態で発生します。
=IFERROR(MEDIAN(B2:B10), "データなし")
IFERROR関数で囲めば、エラーの代わりに任意のメッセージを表示できます。
文字列として格納された数値に注意
セルの値が左寄せで表示されている場合、数字に見えても文字列の可能性があります。MEDIAN関数は文字列を無視するため、結果がおかしくなります。
対処法はセルの表示形式を「数値」に変更することです。VALUE関数で変換する方法もあります。
似た関数との違い・使い分け
MEDIAN関数に関連する統計関数を整理します。
| 関数 | 動作 | 使いどころ | ||
|---|---|---|---|---|
| MEDIAN | 中央値 | 外れ値に影響されない代表値 | ||
| [[2026-03-18-spreadsheet-average-function | AVERAGE]] | 算術平均 | 全データの平均を出す | |
| MODE | 最頻値 | もっとも多く出現する値を知りたい | ||
| [[2026-03-18-spreadsheet-max-function | MAX]] / [[2026-03-18-spreadsheet-min-function | MIN]] | 最大値 / 最小値 | 範囲の最大・最小を知りたい |
| [[2026-03-18-spreadsheet-large-function | LARGE]] / [[2026-03-18-spreadsheet-small-function | SMALL]] | N番目に大きい/小さい値 | 特定の順位の値を取り出したい |
MODE関数(最頻値)との違い
MODE関数はデータの中で最も多く出現する値を返します。アンケートの回答分布やサイズの出現頻度を調べるときに使います。
MEDIAN関数は出現頻度に関係なく「順番の真ん中」を返す点が異なります。
たとえば「10, 20, 20, 30, 100」の場合はこうなります。
=MODE(B2:B6)→ 20(最も多い値)=MEDIAN(B2:B6)→ 20(真ん中の値)
この例ではたまたま同じですが、データによって結果は変わります。「どの値が多いか」を知りたいならMODE、「真ん中はいくつか」を知りたいならMEDIANです。
AVERAGE関数(平均値)との違い
AVERAGE関数は全データの合計を個数で割った平均を返します。MEDIAN関数はデータの並び順の真ん中の値を返します。
外れ値に引っ張られない代表値が欲しいなら、MEDIAN関数を選びましょう。レポートでは両方を並べると、データの偏りが一目でわかります。
Excelとの違い
MEDIAN関数はExcelとGoogleスプレッドシートでほぼ同じ動作です。
| 項目 | Excel | Googleスプレッドシート |
|---|---|---|
| 構文 | =MEDIAN(数値1, …) | =MEDIAN(値1, …) |
| 動作 | 中央値を返す | 中央値を返す |
| 引数上限 | 最大255個 | 最大30個 |
| 空白セル | スキップ | スキップ |
| 文字列セル | スキップ | スキップ |
引数の上限数が異なりますが、セル範囲を使えば問題ありません。Excelと同じ感覚で使えます。
まとめ
MEDIAN関数は、データの中央値を求める関数です。
ポイントを整理します。
- 構文は
=MEDIAN(値1, [値2, ...])で中央値を返す - データが奇数個なら真ん中の値、偶数個なら中央2値の平均
- 空白セルや文字列は自動でスキップされる
- 外れ値の影響を受けにくいのがAVERAGE関数との最大の違い
- 給与・不動産価格など偏りのあるデータに特に有効
- ROUND関数と組み合わせれば小数を丸められる
まずは =MEDIAN(範囲) でデータの中央値を確認するところから試してみてください。AVERAGE関数の結果と並べてみると、データの偏りが見えてきますよ。
