「担当者名から売上金額を1件だけ引っ張りたい」「部署と商品の組み合わせで単価を取得したい」。こんな場面、VLOOKUPで頑張ろうとして苦戦していませんか。
VLOOKUPは左端列でしか検索できないので、条件が複雑になると数式がどんどん長くなりますよね。しかも複数条件で1つの値を取り出すとなると、INDEX+MATCHの組み合わせなど上級テクニックが必要になります。
そんなときに使えるのがDGET関数です。条件を別のセル範囲に書いておくだけで、一致するレコードから指定した列の値を1つ返してくれます。この記事では、DGET関数の基本から複数条件の書き方、VLOOKUPとの使い分け、よくあるエラーの対処法までまとめて紹介します。
スプレッドシートのDGET関数とは?
DGET関数(読み方: ディー ゲット)は、データベース形式の表から条件に合うレコードを探し、指定した列の値を1つ返す関数です。
名前は「Database GET(データベースから取得)」の略です。DSUM(条件付き合計)やDCOUNT(条件付き個数)と同じ「データベース関数」の仲間になります。
DGET関数の特徴をまとめると、次のとおりです。
- 条件をセル範囲(条件範囲)で指定するスタイル
- 条件に一致するレコードが1件だけのとき、指定した列の値を返す
- 一致するレコードが2件以上あると #NUM! エラー になる
- 複数条件(AND条件)にも対応
- 見出し付きのリスト形式のデータが前提
NOTE
DGET関数はGoogleスプレッドシートの全バージョンで使えます。Excelにも同じ関数があるので、ファイルのやり取りでも安心です。
DGET関数の書き方(構文と引数)
基本構文
=DGET(データベース, フィールド, 条件)
引数は3つです。すべて必須で、省略はできません。
引数の説明
| 引数 | 必須/任意 | 説明 |
|---|---|---|
| データベース | 必須 | 見出し行を含むデータ範囲(例: A1:D100) |
| フィールド | 必須 | 値を取得する列の見出し名(文字列)または列番号(数値) |
| 条件 | 必須 | 条件を記述したセル範囲(見出し行+条件行) |
それぞれ詳しく見ていきましょう。
データベース(第1引数)
データベースには、見出し行を含めたデータ範囲を指定します。先頭行に列の見出し(「部署」「担当者」「金額」など)が入っている必要があります。
フィールド(第2引数)
取得したい値がある列を指定します。指定方法は2つあります。
- 文字列で指定:
"金額"のように、見出しと同じ文字列をダブルクォーテーションで囲む - 数値で指定: データベースの左端列を1として、列の位置を数値で指定する(3列目なら
3)
文字列で指定するほうが、何の列かわかりやすいのでおすすめです。
条件(第3引数)
条件範囲には、見出し行と条件行の2行以上のセル範囲を指定します。データベース関数に共通する書き方です。
条件範囲の作り方は次のセクションで詳しく説明しますね。
TIP
フィールドに列番号を使う場合、データベース範囲の左端が1です。シートのA列が1とは限らないので注意してください。
DGET関数の基本的な使い方
サンプルデータ
次のような売上データを使って説明します。
| A | B | C | D | |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 部署 | 担当者 | 商品 | 金額 |
| 2 | 営業部 | 田中 | ノートPC | 150000 |
| 3 | 総務部 | 鈴木 | プリンター | 35000 |
| 4 | 営業部 | 佐藤 | モニター | 48000 |
| 5 | 経理部 | 高橋 | ノートPC | 150000 |
| 6 | 営業部 | 田中 | キーボード | 8000 |
| 7 | 総務部 | 伊藤 | モニター | 48000 |
条件範囲の設定方法
DGET関数の条件は、別のセル範囲に書きます。条件範囲の作り方は他のデータベース関数と共通です。
- 1行目に見出しを書く — データベースの見出しと完全に同じ文字列を使う
- 2行目に条件値を書く — 一致させたい値を入力する
たとえば「鈴木」さんの金額を取得したい場合、シートの空いているエリア(たとえばF1:F2)に次のように書きます。
| F | |
|---|---|
| 1 | 担当者 |
| 2 | 鈴木 |
数式はこうなります。
=DGET(A1:D7, "金額", F1:F2)
結果は 35000 です。担当者が「鈴木」のレコードは1件だけなので、その金額が返されます。
TIP
条件範囲の見出しは、データベースの見出しと1文字でも違うと正しく動きません。コピー&ペーストで作ると確実ですよ。
比較演算子を使った条件
条件値には比較演算子も使えます。
| 条件値の書き方 | 意味 |
|---|---|
鈴木 | 「鈴木」と完全一致 |
>=50000 | 50,000以上 |
<100000 | 100,000未満 |
<>営業部 | 「営業部」以外 |
ただしDGET関数は条件に合うレコードが1件だけのときに値を返します。比較演算子を使って複数件ヒットすると #NUM! エラーになるので、条件は絞り込みが十分かどうか確認しましょう。
DGET関数の実践的な使い方・応用例
複数条件(AND条件)で値を取得する
「営業部」かつ「担当者が田中」の商品名を取得したい、というケースです。
AND条件は、条件範囲の同じ行に複数の見出し・条件値を横に並べて書きます。
| F | G | |
|---|---|---|
| 1 | 部署 | 担当者 |
| 2 | 営業部 | 田中 |
しかし、このサンプルデータでは営業部の田中さんは2件(ノートPCとキーボード)あるため、このまま実行すると #NUM! エラーになります。
条件をもう1つ追加して、一意に絞り込みましょう。
| F | G | H | |
|---|---|---|---|
| 1 | 部署 | 担当者 | 商品 |
| 2 | 営業部 | 田中 | キーボード |
=DGET(A1:D7, "金額", F1:H2)
結果は 8000 です。3つの条件すべてに一致するレコードが1件に絞り込まれたので、正しく値が返ります。
DGET関数は「結果が1件に絞り込まれること」が大前提です。条件を組み合わせてレコードを一意に特定するのがポイントですよ。
条件に合うレコードが複数あるときの対処
DGET関数で #NUM! エラーが出たら、条件に一致するレコードが2件以上あるということです。対処方法は3つあります。
- 条件を追加して絞り込む -- 上の例のように、AND条件で列を増やしてレコードを1件にする
- 集計で代用する -- 合計が欲しければDSUM関数、平均ならDAVERAGE関数、個数ならDCOUNT関数を使う
- FILTER関数で全件取得する -- 該当レコードをすべて表示したい場合はFILTER関数が適しています
用途に合わせて使い分けてみてください。
条件範囲を切り替えて検索対象を変える
DGET関数の強みは、条件をセルに書いているため、セルの値を書き換えるだけで取得結果が即座に変わる点です。
たとえば条件範囲のF2セルを「鈴木」から「高橋」に変えるだけで、DGET関数の結果が自動的に切り替わります。数式を修正する必要はありません。
ドロップダウンリスト(データの入力規則)と組み合わせれば、担当者を選ぶだけで対応する金額が表示される検索フォームのような仕組みが作れますよ。
DGET関数とVLOOKUP関数の使い分け
スプレッドシートで「条件に合う値を取得する」なら、VLOOKUP関数も定番です。どちらを選ぶか迷う方が多いので、違いを整理します。
| 比較項目 | DGET関数 | VLOOKUP関数 |
|---|---|---|
| 条件の指定方法 | セル範囲(条件範囲) | 数式の引数に検索値を直接書く |
| 検索できる列 | どの列でも条件にできる | 左端列でしか検索できない |
| 複数条件 | 条件範囲に列を追加するだけ | 作業列やINDEX+MATCHが必要 |
| 結果が複数件のとき | #NUM! エラー(1件のみ対応) | 最初に見つかった値を返す |
| 近似一致 | 非対応 | 第4引数で切り替え可能 |
| 条件の切り替えやすさ | セルを書き換えるだけ | 数式を編集する必要あり |
使い分けのポイント:
- 「名前で検索して値を1つ取得」のシンプルな用途 → VLOOKUP関数のほうが手軽
- 検索列が左端にない、または複数条件で絞り込みたい → DGET関数が便利
- 条件を頻繁に切り替えたい → DGET関数がおすすめ(セルを変えるだけで結果が変わる)
- 該当が複数件あっても最初の1件を取得したい → VLOOKUP関数を使う
実務では、マスターテーブルからの単純な検索にはVLOOKUP関数、複数条件でピンポイントに値を取り出す場面にはDGET関数、と使い分けるとスムーズです。
よくあるエラーと対処法
DGET関数で「思った結果にならない」ケースをまとめました。
| 症状 | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| #NUM! エラー | 条件に一致するレコードが2件以上ある | 条件を追加して1件に絞り込む。集計が目的ならDSUM/DAVERAGEを使う |
| #VALUE! エラー | 条件に一致するレコードが1件もない | 条件値のスペルミスや全角・半角の違いを確認する |
| #VALUE! エラー | フィールドに存在しない列名を指定している | データベースの見出しと同じ文字列を使う |
| 結果が0や空白 | 該当レコードのセルが空白 | データの入力漏れがないか確認する |
| 想定と違う値が返る | 条件範囲に空白行が含まれている | 条件範囲を必要な行だけに絞る(空白行は「すべて一致」扱い) |
| 条件が部分一致になる | 条件値にワイルドカード * が含まれている | 完全一致にしたい場合は ="=鈴木" のように先頭に = を付ける |
TIP
DGET関数で最も多いトラブルは #NUM! エラーです。「条件に一致するレコードが何件あるか」をDCOUNT関数で事前に確認すると、原因の切り分けがスムーズですよ。
Excelとの違い
DGET関数はExcelとGoogleスプレッドシートで基本的に同じ動作です。
| 項目 | Excel | Googleスプレッドシート |
|---|---|---|
| 構文 | =DGET(database, field, criteria) | =DGET(データベース, フィールド, 条件) |
| 動作 | 条件に合う値を1つ返す | 条件に合う値を1つ返す |
| 条件範囲の仕様 | 見出し行+条件行 | 見出し行+条件行 |
| 複数一致時のエラー | #NUM! | #NUM! |
| 該当なし時のエラー | #VALUE! | #VALUE! |
引数名の表記は日本語と英語で異なりますが、機能は同じです。ExcelでのDGET関数の使い方はDGET関数で条件に一致するレコードを1つ抽出するでも紹介しています。
まとめ
DGET関数は、データベース形式の表から条件に合うレコードの値を1つ取得する関数です。
ポイントを整理します。
- 構文は
=DGET(データベース, フィールド, 条件)で、引数は3つ - 条件は数式内ではなくセル範囲(条件範囲)に書くのが特徴
- 条件に一致するレコードが1件のときだけ値を返す(2件以上は #NUM! エラー)
- 複数条件は条件範囲に列を追加してAND条件で絞り込む
- VLOOKUPは左端列限定だが、DGETはどの列でも条件にできる
- 単純な検索にはVLOOKUP、複数条件でピンポイント取得にはDGETがおすすめ
- #NUM! エラーが出たらDCOUNT関数で該当件数を確認してみる
まずは簡単な表で =DGET(A1:D7, "金額", F1:F2) から試してみてください。
