「テストの点数が上位何%に入るか、スプレッドシートでサクッと計算できないかな?」。こんな場面に遭遇したことはありませんか?
平均からどれくらい離れているかをもとに確率を求めたい場面は、成績分析や品質管理で意外と出てきます。そこで使えるのがGAUSS関数です。標準正規分布の「平均からの確率(面積)」を一発で返してくれます。
この記事ではGAUSS関数の基本的な使い方から、テスト成績の分析やNORMSDIST関数との違いまで解説します。
GAUSS関数とは?標準正規分布の累積確率を求める関数
GAUSS関数(読み方: ガウス関数)は、標準正規分布において平均(0)からz値までの確率を求める関数です。「GAUSS」は数学者カール・フリードリヒ・ガウスの名前に由来しています。標準正規分布とは、あの釣り鐘型のグラフ(ベルカーブ)のことですね。
もう少しかみ砕くと、「釣り鐘の中央(平均)から、指定した位置までの面積」を返します。この面積がそのまま確率になるのがポイントです。
- GAUSS(0) = 0(中央ぴったりなので面積なし)
- GAUSS(1) ≒ 0.3413(平均から1σの間に約34%のデータ)
- GAUSS(2) ≒ 0.4772(平均から2σの間に約48%のデータ)
GAUSS関数にできることをまとめると、次のとおりです。
- 平均から任意のz値までの確率を計算する
- 両側確率(±zの範囲に入る確率)を求める
- STANDARDIZE関数と組み合わせて実データの確率を求める
NOTE
GAUSS関数はGoogleスプレッドシートの全バージョンで使えます。ExcelではExcel 2013以降で対応しています。
GAUSS関数の書き方(構文と引数)
基本構文
=GAUSS(z)
カッコの中に、標準正規分布のz値を指定します。z値とは「平均からの標準偏差の数」のことです。
引数の説明
| 引数 | 必須/任意 | 説明 |
|---|---|---|
| z | 必須 | 標準正規分布における平均からの標準偏差の数(z値) |
引数は1つだけで、とてもシンプルです。正の数を指定すると正の値、負の数を指定すると負の値を返します。これを「反対称性」といいます。GAUSS(-z) = -GAUSS(z) という関係が成り立ちます。
数値以外の値(文字列など)を指定すると、#VALUE! エラーになります。
TIP
z値の求め方がわからない場合は、STANDARDIZE関数の使い方を先に確認しておくとスムーズです。
GAUSS関数の基本的な使い方
実際にGAUSS関数を使ってみましょう。A列にz値を入力し、B列で確率を求めます。
A2からA8に次の値が入っているとします。
| A列(z値) | B列(GAUSS(z)) | 意味 | |
|---|---|---|---|
| 2行目 | -3 | -0.4987 | 平均より左側に49.87% |
| 3行目 | -2 | -0.4772 | 平均より左側に47.72% |
| 4行目 | -1 | -0.3413 | 平均より左側に34.13% |
| 5行目 | 0 | 0 | 平均ぴったり(面積なし) |
| 6行目 | 1 | 0.3413 | 平均から右に34.13% |
| 7行目 | 2 | 0.4772 | 平均から右に47.72% |
| 8行目 | 3 | 0.4987 | 平均から右に49.87% |
B2セルに次の数式を入力します。
=GAUSS(A2)
B2をB8までコピーすると、各z値に対する確率が一覧できます。z = 0 のとき 0 になり、z が大きくなるほど 0.5 に近づいていくのがわかりますね。
両側確率を求める
「平均 ± 2σ の範囲にデータの何%が入るか」のように、両側の確率を求めたいときは GAUSS(z) * 2 を使います。
=GAUSS(A2)*2
これは品質管理でよく使う「3σルール」の確認に便利です。
| 範囲 | 数式 | 結果 | 意味 |
|---|---|---|---|
| ±1σ | =GAUSS(1)*2 | 68.27% | データの約7割 |
| ±2σ | =GAUSS(2)*2 | 95.45% | データの約95% |
| ±3σ | =GAUSS(3)*2 | 99.73% | ほぼ全データ |
実務で使えるGAUSS関数の活用例
テストの成績が上位何%かを調べる
「ある社員のテスト結果が、全体の上位何%に入るか」を求めてみましょう。テストの平均点が60点、標準偏差が10点とします。対象の社員は75点でした。
まず、75点をz値に変換する必要があります。ここでSTANDARDIZE関数を使います。
平均点はB1セル(60)、標準偏差はB2セル(10)、対象の点数はB3セル(75)に入っているとします。
ステップ1: z値を確認する
=STANDARDIZE(B3,B1,B2)
結果は 1.5 です。平均から標準偏差1.5個分、上に離れています。
ステップ2: 平均から75点までの確率を求める
GAUSS関数とSTANDARDIZE関数を組み合わせます。1つの数式にまとめると次のとおりです。
=GAUSS(STANDARDIZE(B3,B1,B2))
結果は約 0.4332 です。平均から75点までの間に、全体の約43.32%のデータがあります。
ステップ3: 上位何%かを計算する
75点以上の割合を求めるには、0.5からGAUSS関数の結果を引きます。標準正規分布の右半分(50%)から、平均から75点までの面積(43.32%)を引いた残りが答えです。
=0.5-GAUSS(STANDARDIZE(B3,B1,B2))
結果は約 0.0668、つまり上位約6.68%です。この社員はかなり上位の成績だとわかりますね。
TIP
NORMSDIST関数との違いと使い分け
GAUSS関数とよく似た関数にNORMSDIST関数があります。どちらも標準正規分布を扱いますが、「どこからどこまでの確率を返すか」が違います。
| 比較項目 | GAUSS(z) | NORMSDIST(z) |
|---|---|---|
| 返す確率の範囲 | 平均(0)からzまで | -∞からzまで |
| z=0のとき | 0 | 0.5 |
| z=2のとき | 0.4772 | 0.9772 |
| 負のzの扱い | 負の値を返す | 正の値を返す |
| 変換式 | GAUSS(z) = NORMSDIST(z) – 0.5 | NORMSDIST(z) = GAUSS(z) + 0.5 |
使い分けのポイントは次のとおりです。
- 平均を中心にした範囲の確率 → GAUSS関数が直感的
- ある値以下になる確率 → NORMSDIST関数
- 両側の確率 → GAUSS関数が便利(GAUSS(z)*2 だけで求まる)
どちらを使っても結果は変換できます。数式の意味が読みやすいほうを選べば大丈夫です。
また、PHI関数との混同にも注意しましょう。PHI関数は「曲線の高さ(確率密度)」を返す関数です。確率(面積)を返すGAUSS関数とは役割がまったく違います。
| 関数 | 返す値 | 使いどころ |
|---|---|---|
| GAUSS | 面積(確率) | 「平均からzσの範囲に何%のデータがある?」 |
| PHI | 曲線の高さ(密度) | 「正規分布のグラフを描きたい」 |
| NORMSDIST | 累積確率(-∞からz) | 「z以下になる確率は?」 |
まとめ
GAUSS関数は、標準正規分布の平均からz値までの確率を求める関数です。
- 構文は
=GAUSS(z)で引数は1つだけ - 平均からの確率(面積)を返すので、そのまま確率として使える
- 両側確率は
=GAUSS(z)*2で求まる(3σルールの確認に便利) - STANDARDIZE関数と組み合わせれば、実データの確率分析もできる
- NORMSDIST関数との関係は
GAUSS(z) = NORMSDIST(z) - 0.5
テストの成績分析や品質管理で「データが平均からどれくらいの範囲に収まるか」を調べたいとき、ぜひ活用してみてください。
統計系の関数をもっと知りたい方は、PHI関数やSTANDARDIZE関数の記事もチェックしてみてください。AVERAGE関数やSTDEV関数の記事もあわせてどうぞ。
