スプレッドシートで「円周率 x 数値」の平方根を計算したいとき、どうしていますか?
=SQRT(PI()*n) と書けばできますが、式が長くなって読みにくいですよね。
そんなときに使うのがSQRTPI関数です。引数を1つ指定するだけで、π(円周率)を掛けた値の平方根を一発で返してくれます。
この記事では基本の書き方から、正規分布での活用例、SQRT関数・PI関数との違いまで紹介します。
SQRTPI関数とは?
SQRTPI関数(読み方: スクエアルートパイ関数)は、指定した数値にπ(円周率)を掛けた値の平方根を返す関数です。
名前は英語の「Square Root of Pi times n(πnの平方根)」の略からきています。
たとえば =SQRTPI(1) と書くと「√π」、つまり「1.7725…」が返ります。3.14159… の平方根ですね。
SQRTPI関数にできることをまとめると、次のとおりです。
- π x n の平方根を1つの関数で計算する
- 正規分布の定数 √(2π) を取得する
=SQRT(PI()*n)と同じ結果を短い式で書ける
NOTE
SQRTPI関数はGoogleスプレッドシートの全バージョンで使えます。Excelとの互換性も完全なので、ファイルのやり取りでも安心です。
SQRTPI関数の書き方(構文と引数)
基本構文
=SQRTPI(値)
カッコの中に「πを掛けたい数値」を1つ入れます。関数が内部で π x 値 を計算し、その平方根を返します。
引数の説明
| 引数 | 必須/任意 | 説明 |
|---|---|---|
| 値 | 必須 | πに掛ける数値。0以上の値を指定する |
引数は1つだけです。負の数を指定すると#NUM!エラーになります。
スプレッドシートでのSQRTPI関数の基本的な使い方
整数を指定する
もっともシンプルな使い方です。
=SQRTPI(1)
結果は「1.7725…」です。√(π x 1) = √π ですね。
ほかにもいくつか例を見てみましょう。
| 数式 | 結果 | 考え方 |
|---|---|---|
| =SQRTPI(1) | 1.7725… | √(π x 1) = √π |
| =SQRTPI(2) | 2.5066… | √(π x 2) = √(2π) |
| =SQRTPI(4) | 3.5449… | √(π x 4) = 2√π |
| =SQRTPI(10) | 5.6050… | √(π x 10) |
SQRTPI(4) は SQRTPI(1) の2倍になっています。√(4π) = 2√π という計算ですね。
セル参照を使う
実務ではセル参照を使うケースがほとんどです。A2セルに数値が入っているとします。
=SQRTPI(A2)
セル参照にしておけば、値を変更するだけで結果が自動的に再計算されます。
0や小数を指定する
0を指定すると結果は「0」です。√(π x 0) = √0 = 0 ですね。
=SQRTPI(0)
小数も問題なく計算できます。
=SQRTPI(0.5)
結果は「1.2533…」です。√(π x 0.5) = √(π/2) ですね。
実務でのSQRTPI関数活用例
正規分布の定数を求める
SQRTPI関数がもっとも活躍するのは、統計の正規分布の計算です。
正規分布の確率密度関数には分母に √(2π) が登場します。この値は SQRTPI(2) で一発取得できます。
=SQRTPI(2)
結果は「2.5066…」です。
正規分布の係数 1/√(2π) を求めるなら、次のように書けます。
=1/SQRTPI(2)
結果は「0.3989…」です。標準正規分布(平均0、標準偏差1)の最大値がこの値ですね。
=1/SQRT(2*PI()) と書いても同じ結果ですが、SQRTPI関数を使ったほうが式がすっきりします。
| 書き方 | 数式 | 結果 |
|---|---|---|
| SQRTPI関数 | =1/SQRTPI(2) | 0.3989… |
| SQRT + PI | =1/SQRT(2*PI()) | 0.3989… |
| SQRT + 手入力 | =1/SQRT(2*3.14159) | 0.3989…(誤差あり) |
3つの式は同じ計算をしていますが、SQRTPI関数が一番シンプルです。手入力の円周率は桁数が足りないと誤差が出るので、関数を使うほうが安心ですよ。
SQRT(PI()*n) の短縮記法として使う
数学・物理系の計算でπを含む平方根が必要になったとき、SQRTPI関数で式を短縮できます。
=SQRTPI(A2)
=SQRT(PI()*A2)
この2つはまったく同じ結果です。数式が複雑になる場面では、SQRTPI関数で式を短くしておくと読みやすくなります。
TIP
SQRTPI関数は「円の面積から半径を逆算する」用途には向きません。面積 S から半径 r を求めるには
=SQRT(S/PI())を使います。SQRTPI(S) は √(πS) を計算するため、半径の逆算とは別の計算になります。
よくあるエラーと対処法
SQRTPI関数で発生しやすいエラーをまとめました。
| エラー | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| #NUM! | 負の数を指定した | 0以上の値を指定する。必要ならABS関数で絶対値に変換する |
| #VALUE! | 文字列を指定した | セルに数値が入っているか確認する |
| #ERROR! | 構文ミス(カッコ忘れ等) | 数式の入力内容を見直す |
#NUM! エラーの対処例
SQRTPI関数でもっとも多いエラーです。負の数を指定すると発生します。
=SQRTPI(-1)
この計算は#NUM!エラーになります。πに負の数を掛けると結果も負になり、負の数の平方根は実数では定義できないためです。
ABS関数で絶対値にすれば回避できます。
=SQRTPI(ABS(-1))
結果は「1.7725…」です。SQRTPI(1)と同じ結果ですね。
SQRT関数・PI関数との違い・使い分け
SQRTPI(n) = SQRT(PI()*n) の関係
SQRTPI関数は、SQRT関数とPI関数を組み合わせた結果と同じです。
=SQRTPI(2) → 2.5066...
=SQRT(PI()*2) → 2.5066...
どちらも √(2π) を計算しています。結果は完全に一致します。
では、どちらを使えばよいのでしょうか。
| 比較項目 | SQRTPI関数 | SQRT(PI()*n) |
|---|---|---|
| 式の長さ | 短い | やや長い |
| 読みやすさ | 「π含む平方根」と一目でわかる | 計算の流れが明示的 |
| 柔軟性 | π x n の平方根に限定 | 組み合わせ自由 |
| 向いている場面 | 正規分布の定数など定型計算 | πを分母に使うなど自由な計算 |
正規分布の定数のように √(nπ) をそのまま使う場面ではSQRTPI関数が便利です。一方、=SQRT(S/PI()) のように円周率を分母に置く計算には使えません。計算の目的に応じて使い分けてみてください。
Excelとの違い
SQRTPI関数はExcelとGoogleスプレッドシートで完全に同じ動作です。
| 項目 | Excel | Googleスプレッドシート |
|---|---|---|
| 構文 | =SQRTPI(数値) | =SQRTPI(値) |
| 動作 | π x n の平方根を返す | π x n の平方根を返す |
| 負の数 | #NUM!エラー | #NUM!エラー |
| 小数対応 | 対応 | 対応 |
引数名の表記が若干異なるだけで、機能は完全に同じです。
まとめ
SQRTPI関数は、指定した数値にπ(円周率)を掛けた値の平方根を返す関数です。
ポイントを整理します。
- 構文は
=SQRTPI(値)の1引数。π x n の平方根を返す =SQRT(PI()*n)と同じ結果を短い式で書ける- 正規分布の定数 √(2π) は
=SQRTPI(2)で取得できる - 負の数を指定すると#NUM!エラー。0以上の値を使う
- SQRT関数は平方根全般、PI関数は円周率の取得に使い分ける
まずは =SQRTPI(1) で「√π = 1.7725…」から試してみてください。
