「STDEVP関数って何? STDEV.P関数と何が違うの?」。スプレッドシートで標準偏差を調べていると、似た名前の関数がいくつも出てきて混乱しますよね。
結論からいうと、STDEVP関数とSTDEV.P関数は同じ計算をする関数です。STDEVPはSTDEV.Pの互換関数(旧名称)なので、計算結果はまったく同じになります。
この記事ではSTDEVP関数の基本から使い方まで解説します。STDEV.P関数との関係や、どちらを使うべきかも整理しました。
STDEVP関数とは?スプレッドシートで母標準偏差を求める互換関数
STDEVP関数(読み方: エスティーデブピー関数)は、データの母標準偏差を返す関数です。「STDEV」は「Standard Deviation(標準偏差)」、「P」は「Population(母集団)」の略です。
STDEVP関数はSTDEV.P関数の互換関数(旧名称)です。もともとスプレッドシートにはSTDEVPとSTDEVの2つがありました。しかし「母集団」と「標本」の区別がわかりにくいため、後から「STDEV.P」(Population)と「STDEV.S」(Sample)が追加されました。
つまりSTDEVPは「STDEV.Pの古い名前」です。どちらを使っても結果は変わりません。
STDEVP関数にできることをまとめると、次のとおりです。
- データ全体のばらつき(母標準偏差)を数値で求める
- 複数のグループのばらつきを比較する
- 品質管理の管理図(平均±2σ)に活用する
- AVERAGE関数と組み合わせて「平均±標準偏差」の範囲を求める
NOTE
STDEVP関数はGoogleスプレッドシートの全バージョンで使えます。Excelにも同名の互換関数があり、動作は同じです。
STDEVP関数の書き方(構文と引数)
基本構文
=STDEVP(値1, [値2], ...)
カッコの中に、母標準偏差を求めたいデータやセル範囲を指定します。
引数の説明
| 引数 | 必須/任意 | 説明 |
|---|---|---|
| 値1 | 必須 | 母標準偏差を求めたい最初の値またはセル範囲 |
| 値2, … | 任意 | 追加の値またはセル範囲。最大255個まで指定可能 |
引数にはセル参照、セル範囲、数値を直接指定できます。
TIP
セル範囲内の文字列・TRUE/FALSE・空白セルは自動的に無視されます。数値だけが計算の対象になりますよ。
「母集団」の標準偏差とは?
STDEVP関数が返すのは母集団の標準偏差です。ちょっとむずかしく聞こえますが、考え方はシンプルです。
- 母集団: データが全部そろっている場合(例: クラス30人全員のテスト結果)
- 標本: データの一部だけを取り出した場合(例: 社員1,000人のうち100人を抜き出して調査)
手元のデータが「全員分」「全期間分」なら、STDEVP関数(またはSTDEV.P関数)を使います。計算では偏差平方和(各データと平均の差を2乗して合計した値)を「n(データ個数)」で割ります。
データが全体の一部なら、STDEV関数を使いましょう。
STDEVP関数の基本的な使い方
以下の売上データでSTDEVP関数を使ってみましょう。
B2からB11に営業部10人全員の月間売上データ(万円)が入っているとします。
| A列(担当者) | B列(売上) | |
|---|---|---|
| 2行目 | 田中 | 120 |
| 3行目 | 鈴木 | 85 |
| 4行目 | 佐藤 | 200 |
| 5行目 | 山田 | 150 |
| 6行目 | 高橋 | 95 |
| 7行目 | 伊藤 | 180 |
| 8行目 | 渡辺 | 110 |
| 9行目 | 中村 | 130 |
| 10行目 | 小林 | 160 |
| 11行目 | 加藤 | 140 |
母標準偏差を求める
=STDEVP(B2:B11)
結果は約 34.7 です。10人全員のデータなので「母集団」として計算されます。各担当者の売上が平均値(137万円)から、平均して約34.7万円離れていることを意味します。
STDEV.P関数で同じ範囲を指定しても、結果は同じです。
=STDEV.P(B2:B11)
こちらも約 34.7 になります。どちらの関数を使っても計算結果は変わりませんよ。
標準偏差の値をどう読むか
標準偏差の値だけでは「大きい」「小さい」の判断がしにくいですよね。比較対象があると意味が出てきます。
たとえば、2つの部署の売上データを比べてみましょう。
| 部署 | 平均売上 | 母標準偏差(STDEVP) |
|---|---|---|
| 営業1課 | 137万円 | 34.7 |
| 営業2課 | 137万円 | 11.0 |
平均売上は同じでも、営業2課のほうがばらつきが小さいです。全員が安定して売上を出しているということですね。
TIP
標準偏差を平均値で割った値を変動係数(CV)(ばらつきを相対的に比較する指標)と呼びます。
=STDEVP(B2:B11)/AVERAGE(B2:B11)で求められますよ。
STDEV.P関数との違い
STDEVP関数とSTDEV.P関数の比較表
| 項目 | STDEVP | STDEV.P |
|---|---|---|
| 計算結果 | 母標準偏差 | 母標準偏差 |
| 割る数 | n | n |
| 結果の違い | なし(完全に同じ) | なし(完全に同じ) |
| 位置づけ | 互換関数(旧名称) | 現行の推奨関数 |
計算方法も結果もまったく同じです。違いは名前だけですよ。
なぜ2つの名前があるのか
もともとスプレッドシートには「STDEVP」(母集団)と「STDEV」(標本)がありました。しかし名前から「母集団用」「標本用」の区別がつきにくいですよね。
そこで新しく「STDEV.P」(Population)と「STDEV.S」(Sample)が追加されました。ピリオド付きの名前なら、PとSの意味がすぐわかります。
STDEVPは後方互換性のために残されています。既存のスプレッドシートで使われているSTDEVP関数は、そのまま動作し続けますよ。
どちらを使えばいいか
新規で数式を書くならSTDEV.P関数がおすすめです。理由は以下のとおりです。
- STDEV.S関数と名前の対称性があり、使い分けがわかりやすい
- 「P = Population(母集団)」という意味が名前に含まれている
- Googleの公式ドキュメントでもSTDEV.Pが推奨されている
すでにSTDEVP関数を使っている数式をわざわざ修正する必要はありませんよ。
関連関数の一覧
| 関数 | 説明 | 計算方法 |
|---|---|---|
| STDEV | 標本標準偏差 | n-1で割る |
| STDEV.S | STDEVと同じ(新名称) | n-1で割る |
| STDEV.P | 母集団の標準偏差 | nで割る |
| STDEVP | STDEV.Pの旧名称(この記事) | nで割る |
| STDEVA | 文字列・論理値も含む標本標準偏差 | n-1で割る |
| VAR.P | 母分散 | nで割る |
よくあるエラーと対処法
#DIV/0!エラー
STDEVP関数で最もよく見るエラーです。以下の原因が考えられます。
| 原因 | 対策 |
|---|---|
| 範囲内に数値データがない | 文字列ばかりの範囲を指定していないか確認する |
| 数値データが0個 | 1個以上の数値データを指定する |
NOTE
STDEV関数は最低2個の数値が必要ですが、STDEVP関数は1個でも計算できます(結果は0になります)。0個の場合にのみ#DIV/0!エラーが発生しますよ。
#VALUE!エラー
引数に文字列を直接入力すると発生します。
=STDEVP("100", "200") → #VALUE!エラー
=STDEVP(100, 200) → 正常に計算される
セル範囲内に文字列がある場合は自動で無視されるので安心してください。文字列を直接引数として渡した場合にのみ発生するエラーです。
結果が0になるケース
すべてのデータが同じ値の場合、標準偏差は0になります。これはエラーではなく「ばらつきがまったくない」という正しい結果です。
TIP
期待した結果にならないときは、セル範囲に文字列が混ざっていないか確認してください。STDEVP関数は文字列を無視するため、データ件数が想定より少なくなっている可能性があります。COUNT関数で数値の個数を確認するのがおすすめですよ。
まとめ
STDEVP関数は、データの母集団の標準偏差を返す関数です。STDEV.P関数の互換関数(旧名称)で、計算結果はまったく同じです。
この記事のポイント
- 構文は
=STDEVP(値1, [値2], ...)で、セル範囲を指定するだけ - STDEVP関数とSTDEV.P関数は同じ関数。STDEVPが旧名称
- 新規で書くならSTDEV.P関数がおすすめ(STDEV.Sとの対称性がわかりやすい)
- 母標準偏差はデータ全体のばらつきを数値化した指標
- 既存のSTDEVP関数を書き換える必要はない
関連する統計関数
STDEVP関数の使い方がわかったら、以下の関数もあわせて覚えてみてください。データ分析の幅が広がりますよ。
