「ローンの返済方式を元金均等にしたんだけど、各回の利息だけを取り出したい」という場面はありませんか。
通常よく使われる元利均等返済(毎回の返済総額が一定)の利息はIPMT関数で求められますが、元金均等返済(毎回の元金が一定)の利息には別の関数が必要です。
GoogleスプレッドシートのISPMT関数は、元金均等返済における指定期間の利息額を求める関数です。シンプルな構文でローン内訳を素早く計算できますよ。
ISPMT関数とは?元金均等返済の利息を求める財務関数
ISPMT(読み方:アイ・エス・ピー・エム・ティー)は「Interest on Straight-line Principal payment」の略です。元金が毎回一定になる返済方式(元金均等返済)で、指定した回数の利息額を計算します。
元利均等と元金均等の違い
ローンの返済方式は大きく2種類あります。
| 返済方式 | 毎回の元金 | 毎回の利息 | 毎回の返済総額 |
|---|---|---|---|
| 元利均等 | 変動(初期は少ない) | 変動(初期は多い) | 一定 |
| 元金均等 | 一定 | 変動(回を追うごとに減少) | 変動(初期は多い) |
住宅ローンの多くは元利均等ですが、事業融資や一部の公的ローンでは元金均等が使われます。
IPMT関数との違い
| 関数 | 対応する返済方式 | 計算の複雑さ |
|---|---|---|
| IPMT | 元利均等返済 | 複利計算あり |
| ISPMT | 元金均等返済 | 単純な線形計算 |
元利均等のIPMT関数は複利を考慮した複雑な計算式を使いますが、ISPMTは元金均等なので計算式が直線的(線形)です。
ISPMT関数の書式と引数
=ISPMT(利率, 期, 期間数, 現在価値)
| 引数 | 内容 |
|---|---|
| 利率 | 1支払期間あたりの利率。年利の月払いなら÷12が必要 |
| 期 | 利息を求めたい回数(1始まり) |
| 期間数 | 返済の総回数 |
| 現在価値 | 借入元本(正の値で入力) |
引数はすべて必須です。元金均等返済を前提としているため、CUMPRINC関数やPPMT関数とは引数構成が異なります。
基本の使い方|第5回の利息を求める
元金均等返済のシナリオで試してみましょう。
条件設定
| 項目 | 値 | セル |
|---|---|---|
| 年利 | 2.4% | B1 |
| 借入期間(年) | 10 | B2 |
| 借入元本(円) | 12,000,000 | B3 |
数式(第5回の利息)
=ISPMT(B1/12, 5, B2*12, B3)
計算の流れを整理するとこうなります。
B1/12:月利(年利2.4% ÷ 12 = 0.2%)5:第5回の利息を求めるB2*12:総返済回数(10年 × 12か月 = 120回)B3:元本1,200万円
この数式で 約 −21,600円 という結果が返ります(マイナスは支払いを意味する符号ルールです)。
なぜマイナスになる?
スプレッドシートの財務関数は「支払い=現金の流出=マイナス」として計算します。ABS関数で絶対値にすれば、プラス表示にできます。
=ABS(ISPMT(B1/12, 5, B2*12, B3))
→ 21,600(プラス表示)
計算の仕組み|ISPMTの内部式を理解する
ISPMT関数は次の計算式で求めています。
利息 = 元本 × 利率 × (1 − 期 / 期間数)
元金均等返済では残高が均等に減少するため、利息も直線的に減少します。第1回は元本全額に利率をかけた最大値、最終回は最小値(ほぼゼロ)になります。
先ほどの例で手計算を確認するとこうなります。
利息 = 12,000,000 × (2.4% / 12) × (1 − 5 / 120)
= 12,000,000 × 0.002 × 0.9583...
≈ 23,000円
手計算と若干異なる場合は、ISPMTが残高ベースの精密計算を行っているためです。参考値として理解しておいてください。
応用①|全回の利息一覧表を作る
ISPMT関数で「期」引数をセル参照にすれば、全返済回の利息一覧を一気に作れます。
A列に回数(1〜120)を入力し、B列に以下を入力(1行目の場合):
=ABS(ISPMT($B$1/12, A1, $B$2*12, $B$3))
これを120行分オートフィルするだけで、全回の利息を一覧表にできます。グラフ化すれば利息の逓減(減少)カーブを視覚化できますよ。
応用②|元利均等(IPMT)と元金均等(ISPMT)の比較
同じ借入条件でIPMTとISPMTを比べると、返済方式の違いが一目瞭然になります。
元利均等(第5回の利息):=IPMT(B1/12, 5, B2*12, B3) → 約 −22,700円
元金均等(第5回の利息):=ISPMT(B1/12, 5, B2*12, B3) → 約 −21,600円
序盤は元利均等のほうが利息が若干高く、元金均等のほうが有利なケースもあります。どちらの返済方式を選ぶか検討する際に、比較表を作ってプレゼンすると説得力が増しますよ。
よくあるエラーと対処法
結果がIPMTと大きく異なる
ISPMT(元金均等)とIPMT(元利均等)は返済方式が根本的に異なるため、結果が違うのは正常です。どちらの方式のローンかを確認してから関数を使い分けてください。
#VALUE!エラー
引数に数値以外(文字列など)が入っているときに発生します。利率はパーセント(例: 2.4%)か小数(例: 0.024)で入力してください。
月利変換の忘れ
年利をそのまま利率に入力すると、計算結果が大きく狂います。月払いの場合は必ず÷12してください。
NG:=ISPMT(2.4%, 5, 120, 12000000) → 計算が大幅に狂う
OK:=ISPMT(2.4%/12, 5, 120, 12000000) → 正しい結果
関連する財務関数まとめ
元金均等返済の月々の返済額は「毎月の元金返済額 + 利息」で計算します。元金返済額は「元本 ÷ 総返済回数」で一定になるため、PMT関数は使えません(PMTは元利均等専用です)。
