「BINOMDISTって関数を見つけたけど、BINOM.DISTとどう違うの?」。スプレッドシートで統計関数を使おうとして、こんな疑問を持ったことはありませんか?
名前がよく似た関数が2つあると、どちらを使えばいいか迷いますよね。間違えたら計算結果が変わるのでは、と不安にもなります。
結論から言うと、BINOMDIST関数はBINOM.DIST関数の互換バージョンです。この記事ではGoogleスプレッドシートでのBINOMDIST関数の使い方を、構文・引数から実務活用まで解説します。BINOM.DIST関数との関係もはっきりさせますよ。
スプレッドシートのBINOMDIST関数とは
BINOMDIST関数(読み方: バイノムディスト関数)は、二項分布にもとづいて確率を返す互換関数です。「BINOM」は「Binomial(二項)」、「DIST」は「Distribution(分布)」の略です。
二項分布とは、「成功か失敗か」の2択を繰り返したとき、成功が何回起きるかの確率分布のことです。たとえば次のような場面で使います。
- 不良品率5%の製品を20個検査して、不良品が2個以下になる確率
- アンケートを100人に送って、50件以上回収できる確率
- 成約率30%の営業が月20件商談して、8件以上成約する確率
NOTE
BINOMDIST関数はBINOM.DIST関数の互換関数です。計算結果は完全に同じですが、Googleの公式ドキュメントではBINOM.DISTが推奨されています。新しく数式を書くときはBINOM.DISTを使いましょう。
BINOMDIST関数の書き方(構文と引数)
基本構文
=BINOMDIST(成功回数, 試行回数, 成功確率, 累積)
カッコの中に4つの引数を指定します。
| 引数 | 必須/任意 | 説明 |
|---|---|---|
| 成功回数(number_s) | 必須 | 成功と判定する回数(0以上の整数) |
| 試行回数(trials) | 必須 | 試行の合計回数(1以上の整数) |
| 成功確率(probability_s) | 必須 | 各試行で成功する確率(0〜1の範囲) |
| 累積(cumulative) | 必須 | TRUEで累積確率、FALSEで確率質量 |
引数の並びも意味も、BINOM.DIST関数とまったく同じです。
TIP
成功回数に小数を指定すると、小数部分は切り捨てられます。たとえば2.7は2として処理されますよ。
TRUE/FALSEの違い
4番目の引数で、返ってくる値の意味が変わります。
- FALSE(確率質量): ちょうどx回成功する確率を返す
- TRUE(累積確率): x回以下成功する確率の合計を返す
たとえば「10回コインを投げて、ちょうど3回表が出る確率」なら次のとおりです。
=BINOMDIST(3, 10, 0.5, FALSE)
結果は約0.1172(11.7%) です。
「3回以下表が出る確率」なら、4番目をTRUEに変えます。
=BINOMDIST(3, 10, 0.5, TRUE)
結果は約0.1719(17.2%) です。0回+1回+2回+3回の確率を合計した値ですね。
BINOMDIST関数の基本的な使い方
実際の業務場面で使ってみましょう。ここでは品質管理の例で説明します。
例: 不良品率5%の製品を50個検査して、不良品が3個以下になる確率
=BINOMDIST(3, 50, 0.05, TRUE)
結果は約0.7604(76.0%) です。約76%の確率で不良品が3個以下に収まるとわかります。
「不良品が1個以下」の確率も出してみましょう。
=BINOMDIST(1, 50, 0.05, TRUE)
結果は約0.2794(27.9%) です。品質管理の合格基準を決めるときの根拠にできますよ。
「x回以上」の確率を求めるには
BINOMDIST関数のTRUEは「x回以下」の確率を返します。「x回以上」が欲しいときは、1から引き算します。
=1 - BINOMDIST(x-1, 試行回数, 成功確率, TRUE)
たとえば「回収率40%のアンケートを100人に送って、50件以上回収できる確率」はこうです。
=1 - BINOMDIST(49, 100, 0.4, TRUE)
結果は約0.0271(2.7%) です。「x-1」にする点がポイントですね。「50件以上」には「ちょうど50件」も含むため、49件以下の累積確率を1から引きます。
BINOM.DIST関数との違い・どちらを使うべき?
BINOMDIST関数とBINOM.DIST関数の関係を整理しましょう。
| 項目 | BINOMDIST | BINOM.DIST |
|---|---|---|
| 種類 | 互換関数(旧バージョン) | 現行関数(推奨) |
| 構文 | =BINOMDIST(成功回数, 試行回数, 成功確率, 累積) | =BINOM.DIST(成功回数, 試行回数, 成功確率, 累積) |
| 引数 | 4つ(同一) | 4つ(同一) |
| 計算結果 | 同じ | 同じ |
| Googleの推奨 | 非推奨 | 推奨 |
結論としては、新しく数式を書くときはBINOM.DISTを使いましょう。理由は次の3つです。
- Googleの公式ドキュメントでBINOM.DISTが推奨されている
- ExcelでもBINOM.DISTが標準で、互換性が高い
- 将来的にBINOMDISTが廃止される可能性がゼロではない
ただし、既存のスプレッドシートでBINOMDISTが使われている場合、慌てて書き換える必要はありません。計算結果は同じなので、そのまま動き続けますよ。
TIP
BINOM.DIST関数の詳しい使い方(TRUE/FALSEの比較表、実務活用3パターンなど)はBINOM.DIST関数の解説記事で詳しく紹介しています。
BINOMDISTからBINOM.DISTへの書き換え
既存の数式を書き換えるなら、関数名を置き換えるだけです。引数はそのままで問題ありません。
=BINOMDIST(3, 10, 0.5, TRUE) ← 互換関数
=BINOM.DIST(3, 10, 0.5, TRUE) ← 推奨関数(引数はそのまま)
スプレッドシートの「検索と置換」機能(Ctrl+H)を使えば、シート内のBINOMDISTをBINOM.DISTに一括で書き換えることもできますよ。
よくあるエラーと対処法
BINOMDIST関数でつまずきやすいポイントをまとめました。
#NUM! エラー: 成功回数が試行回数を超えている
成功回数は試行回数以下でなければなりません。「10回の試行で15回成功」は起こりえないのでエラーになります。
=BINOMDIST(15, 10, 0.5, TRUE) ← #NUM! エラー
引数の順番を間違えていないか確認してみてください。
#NUM! エラー: 成功確率が0〜1の範囲外
成功確率は0から1の間で指定します。50%なら「50」ではなく「0.5」と入力してください。
=BINOMDIST(3, 10, 50, TRUE) ← #NUM! エラー(50ではなく0.5)
#VALUE! エラー: 引数に文字列が入っている
数値であるべき引数にテキストが入ると#VALUE!エラーです。セル参照を使うときは、参照先が数値であることを確認しましょう。
TRUE/FALSEの指定間違い
4番目の引数は省略できません。TRUEとFALSEでは結果がまったく異なります。「ちょうどx回の確率」を求めたいのにTRUEを指定すると、累積値が返ってしまいますよ。
まとめ
BINOMDIST関数は、二項分布(成功/失敗の2択)にもとづいて確率を求める互換関数です。
- BINOM.DIST関数の旧バージョンで、計算結果は完全に同じ
- 4番目の引数にFALSEで「ちょうどx回の確率」、TRUEで「x回以下の確率」を返す
- 新しく数式を書くときはBINOM.DISTを使うのがおすすめ
- 既存のBINOMDIST数式はそのまま動くので、急いで書き換えなくてOK
- 成功回数 > 試行回数や、確率が0〜1の範囲外だと
#NUM!エラー - 「x回以上」を求めるには
=1 - BINOMDIST(x-1, n, p, TRUE)と書く - 二項分布の確率から成功回数を逆算したいときはBINOM.INV関数が便利
BINOMDISTとBINOM.DISTで迷ったら、BINOM.DISTを選んでおけば間違いありません。既存ファイルのBINOMDISTも問題なく動くので、安心してくださいね。
