ExcelのSTDEV.S関数の使い方|標本標準偏差でばらつきを求める方法

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「データの平均は出せたけど、ばらつきってどうやって数値化すればいいんだろう?」。こんな疑問を感じたことはありませんか?

平均値だけでは、データがどれくらい散らばっているかが見えませんよね。ばらつきを数値で測定できれば、品質管理やテスト結果の分析にもすぐに活用できます。

そんなときに使うのがSTDEV.S関数です。この記事では基本の書き方から実務での活用例まで解説します。STDEV.P関数との違いや旧STDEV関数との互換性もあわせて整理しました。

STDEV.S関数とは?標本標準偏差を求める関数

STDEV.S関数(読み方: エスティーデブ・エス)は、データの標本標準偏差を返す関数です。「STDEV」は「Standard Deviation(標準偏差)」、「S」は「Sample(標本)」の頭文字です。

標準偏差とは、データが平均値からどれくらい離れているかを数値化した指標です。値が大きいほどデータのばらつきが大きく、小さいほど平均値の近くにデータが集まっています。

身近な例で考えてみましょう。テストの平均点が同じ70点のクラスが2つあるとします。全員が65〜75点に収まっているクラスと、30〜100点までバラバラのクラスでは、意味がまったく違いますよね。この「ばらつきの大きさ」を数値で表してくれるのがSTDEV.S関数です。

STDEV.S関数にできることをまとめると、次のとおりです。

  • データのばらつき(標本標準偏差)を数値で求める
  • 複数のデータ群のばらつきを比較する
  • 品質管理やテスト結果の分析に活用する
  • AVERAGE関数と組み合わせて「平均 +/- 標準偏差」の範囲を求める

NOTE

STDEV.S関数はExcel 2010以降で使えます。Microsoft 365、Excel 2013〜2024のすべてのバージョンに対応しています。

STDEV.S関数の書き方(構文と引数)

基本構文

=STDEV.S(数値1, [数値2], ...)

カッコの中に、標準偏差を求めたいデータやセル範囲を指定します。

引数の説明

引数必須/任意説明
数値1必須標準偏差を求めたい最初の値またはセル範囲
数値2, …任意追加の値またはセル範囲。最大253個まで指定可能

引数にはセル参照、セル範囲、数値を直接指定できます。

TIP

セル範囲に含まれる文字列・論理値(TRUE/FALSE)・空白セルは自動的に無視されます。数値だけが計算の対象になります。

「標本」標準偏差とは?

STDEV.S関数が返すのは標本標準偏差です。ちょっとむずかしく聞こえますが、考え方はシンプルです。

  • 標本: データの一部だけを取り出した場合(例: 社員1,000人のうち100人を抜き出して調査)
  • 母集団: データが全部そろっている場合(例: クラス30人全員のテスト結果)

手元のデータが「全体の一部」なら、STDEV.S関数を使います。計算では「n-1」で割ることで、全体のばらつきをより正確に推定します。

データが全員分そろっているなら、STDEV.P関数を使います。この違いについては後半の「使い分け」セクションで詳しく説明します。

STDEV.S関数の基本的な使い方

以下の売上データでSTDEV.S関数を使ってみましょう。

B2からB11に10人分の月間売上データ(万円)が入っているとします。

 A列(担当者)B列(売上)
2行目田中120
3行目鈴木85
4行目佐藤200
5行目山田150
6行目高橋95
7行目伊藤180
8行目渡辺110
9行目中村130
10行目小林160
11行目加藤140

標準偏差を求める

=STDEV.S(B2:B11)

結果は約 37.5 です。各担当者の売上が平均値(137万円)から、平均して約37.5万円離れていることを意味します。

標準偏差の値をどう読むか

標準偏差の値だけでは「大きい」「小さい」の判断がしにくいですよね。比較対象があると意味が出てきます。

たとえば、2つのチームの売上データを比べてみましょう。

チーム平均売上標準偏差
Aチーム137万円37.5
Bチーム137万円12.0

平均売上は同じでも、Bチームのほうがばらつきが小さいことがわかります。Bチームは全員が安定して売上を出しているということです。

TIP

標準偏差を平均値で割った値を変動係数(CV)と呼びます。=STDEV.S(B2:B11)/AVERAGE(B2:B11) で求められ、単位が違うデータ同士のばらつきも比較できますよ。

STDEV.S関数の実践的な使い方・応用例

品質管理で「規格外」の製品を検出する

製造業の品質管理では、「平均 +/- 3倍の標準偏差」の範囲から外れた製品を不良品と判定する「3シグマルール」が広く使われています。

C2からC21に20個の部品の重量データ(g)が入っているとします。

=AVERAGE(C2:C21) - 3*STDEV.S(C2:C21)
=AVERAGE(C2:C21) + 3*STDEV.S(C2:C21)

この2つの数式で「管理下限」と「管理上限」を求められます。範囲から外れた部品は品質に問題がある可能性が高いと判断できます。

各製品が規格内かどうかをIF関数で判定するなら、次のように書きます。

=IF(AND(C2>=AVERAGE($C$2:$C$21)-3*STDEV.S($C$2:$C$21), C2<=AVERAGE($C$2:$C$21)+3*STDEV.S($C$2:$C$21)), "OK", "NG")

テスト結果の偏差値を計算する

偏差値は「平均を50、標準偏差を10」に換算した指標です。STDEV.S関数とAVERAGE関数を組み合わせて求められます。

B2からB31に30人分のテストの点数が入っているとします。

=50 + 10 * (B2 - AVERAGE($B$2:$B$31)) / STDEV.S($B$2:$B$31)

たとえば平均点65点、標準偏差12のテストで80点を取った場合、偏差値は約62.5です。自分の位置を直感的に把握できるので便利ですよ。

TIP

全員が同じ点数だとSTDEV.S関数の結果が0になり、ゼロ除算エラーが出ます。=IFERROR(50+10*(B2-AVERAGE($B$2:$B$31))/STDEV.S($B$2:$B$31), "-") のようにIFERROR関数で囲んでおくと安心です。

「平均 +/- 標準偏差」で標準的な範囲を求める

データの約68%は「平均 +/- 1標準偏差」の範囲に収まるといわれています(正規分布の場合)。この性質を使って「標準的な範囲」を算出してみましょう。

=AVERAGE(B2:B11) - STDEV.S(B2:B11)
=AVERAGE(B2:B11) + STDEV.S(B2:B11)

先ほどの売上データなら、結果は約 99.5〜174.5 万円です。この範囲に入っていない担当者は「特に成績が良い」か「改善が必要」と判断する目安になります。

よくあるエラーと対処法

#DIV/0!エラー

STDEV.S関数で最もよく見るエラーです。以下の原因が考えられます。

原因対策
数値データが1個しかない2個以上の数値データを指定する
範囲内に数値が含まれていない文字列ばかりの範囲を指定していないか確認する

標準偏差を計算するには最低2個の数値が必要です。1個しかないと「ばらつき」を求められないためエラーになります。

#VALUE!エラー

引数に文字列を直接入力すると発生します。

=STDEV.S("100", "200")   → #VALUE!エラー
=STDEV.S(100, 200)        → 正常に計算される

セル範囲内に文字列がある場合は自動で無視されますが、引数として直接文字列を渡すとエラーになります。

結果が0になるケース

すべてのデータが同じ値の場合、標準偏差は0になります。これはエラーではなく「ばらつきがまったくない」という正しい結果です。

TIP

期待した結果にならないときは、セル範囲に文字列が混ざっていないか確認してください。STDEV.S関数は文字列を無視するため、データ件数が想定より少なくなっている可能性があります。COUNT関数で数値の個数を確認するのがおすすめです。

STDEV.P関数・旧STDEV関数との違い・使い分け

STDEV.S関数とSTDEV.P関数の違い

STDEV.S関数とSTDEV.P関数は、どちらも標準偏差を求める関数ですが、計算方法が異なります。

項目STDEV.SSTDEV.P
正式名称標本標準偏差母集団の標準偏差
割る数n – 1(不偏推定)n
使う場面データが全体の一部のときデータが全部そろっているとき
結果やや大きくなるやや小さくなる

同じデータでもSTDEV.S関数のほうが値がやや大きくなります。これは「一部のデータから全体のばらつきを推定する」ための補正です。

どちらを使えばいいか迷ったら

以下の基準で判断してみてください。

  • STDEV.S関数を使う場面: アンケート結果(回答者は全体の一部)、サンプル検査、一部の顧客データの分析
  • STDEV.P関数を使う場面: クラス全員のテスト結果、全社員の売上データ、全店舗の月間売上

迷ったらSTDEV.S関数を選んでおけば安全です。n-1で割るほうが推定値として保守的(やや大きめ)になるため、判断を誤るリスクが低くなります。

NOTE

データ件数が30を超えると、STDEV.S関数とSTDEV.P関数の差はほとんどなくなります。どちらを使っても実務上の問題はありません。

旧STDEV関数との互換性

STDEV.S関数はExcel 2010で導入された「新しい名前」の関数です。旧STDEV関数と計算結果はまったく同じです。

項目STDEV.SSTDEV(旧)
導入バージョンExcel 2010Excel 2003以前
計算結果同一同一
今後のサポート推奨互換性のために残存

Microsoftは新しい関数名(STDEV.S / STDEV.P)の使用を推奨しています。既存のブックで旧STDEV関数を使っていても問題はありませんが、新規で数式を作るときはSTDEV.S関数を使いましょう。

TIP

旧STDEV関数で作られたブックをSTDEV.Sに書き換える必要はありません。結果は変わらないので、そのまま使い続けて大丈夫です。

関連関数の一覧

関数説明計算方法
STDEV.S標本標準偏差(数値のみ)n-1で割る
STDEV.P母集団の標準偏差(数値のみ)nで割る
STDEVSTDEV.Sの旧名称n-1で割る
STDEVPSTDEV.Pの旧名称nで割る
STDEVA標本標準偏差(文字列・論理値も含む)n-1で割る
VAR.S標本分散n-1で割る
VAR.P母分散nで割る
AVERAGE平均値を求める

まとめ

STDEV.S関数は、データの標本標準偏差を返す関数です。

この記事のポイント

  • 構文は =STDEV.S(数値1, [数値2], ...) で、セル範囲を指定するだけ
  • 標準偏差はデータのばらつきを数値化した指標。値が大きいほどばらつきが大きい
  • データが「全体の一部」→ STDEV.S関数、「全部そろっている」→ STDEV.P関数
  • 旧STDEV関数と計算結果は同じ。新規で作るならSTDEV.Sを使う
  • 品質管理の3シグマルールや偏差値の計算にも活用できる

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STDEV.S関数の使い方がわかったら、以下の関数もあわせて覚えてみてください。データ分析の幅が広がりますよ。

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