会議の議事録まとめに30分、分厚いマニュアルから該当箇所を探すのに10分、報告書の書き出しが思いつかず手が止まる時間が15分。事務職の毎日には、こうした「考える前の準備作業」がたくさん積み重なっています。
ChatGPTの名前は知っていても、社内資料をアップロードして大丈夫なのか不安で踏み出せない方も多いはずです。情報漏洩や著作権の問題、回答の正確性、そもそもどこから始めればいいのか。悩みは尽きません。
そこでおすすめしたいのがGoogleの「NotebookLM(ノートブックエルエム)」です。Googleアカウントさえあれば無料で使えます。自分がアップロードした資料だけを根拠に回答してくれる、事務職にぴったりのAIアシスタントです。本記事では、5分の初回セットアップから事務職の業務に直結する5つの活用シーンまで、画面の前で一緒に操作するイメージで解説します。
!_images/google-notebooklm-how-to-use-office-work/01_screenshot_NotebookLMのトップ画面.png
NotebookLMとは?Googleが作ったAI読書アシスタント
NotebookLMはGoogleが提供するAI搭載リサーチアシスタントです。最大の特徴は、ユーザーがアップロードした資料だけを情報源として回答を生成することです。Web全体を検索しに行きません(出典: https://robotango.biz/knowledge/ai-notebooklm/)。社内マニュアルや議事録など「外に出したくないけれどAIには読ませたい資料」を扱う事務職と相性が良いツールです。
3行でわかるNotebookLMの特徴
- アップロードした資料だけを根拠に回答するので、ハルシネーション(AIの作り話)が起きにくい
- PDF・Word・Googleドキュメント・音声ファイル・WebサイトURLなど多様な形式に対応
- Googleアカウントがあれば無料で利用可能。日本語のチャットもUIも標準対応
アップロードしたデータはAIモデルの学習には使われないと公式に明記されています(出典: https://office-masui.com/notebooklm-free-vs-paid-limits-2026/)。それでも社内ルールでの確認は必要です。不安な方は生成AIを仕事で使うときの注意点チェックリスト15も合わせてご覧ください。
無料版でできること・できないこと一覧
無料版でできることをまとめた表が次のとおりです(出典: https://office-masui.com/notebooklm-free-vs-paid-limits-2026/)。
| 項目 | 無料版 | NotebookLM in Pro(有料) |
|---|---|---|
| ノートブック数 | 最大100個 | 最大500個 |
| 1ノートあたりのソース数 | 最大50ファイル | 最大300ファイル |
| 1ソースあたりの容量 | 50万文字または200MB | 同左 |
| チャット質問回数 | 1日50回 | 1日500回 |
| 音声概要(Audio Overview)生成 | 1日3回 | 1日20回 |
| 料金 | 無料 | Google AI Pro 月額2,900円 |
事務職の日常業務であれば、ほとんどのケースは無料版で完結します。まずは無料版で十分です。
ChatGPT・Geminiとの使い分け(1行比較)
社内ドキュメントだけを根拠に答えてほしいならNotebookLM、Web上の最新情報や雑多な相談ならChatGPTやGemini、と覚えておけば迷いません。
NotebookLMの始め方|5分でできる初回セットアップ
ここからは実際の操作手順です。準備するものはGoogleアカウントとブラウザ(Google Chrome推奨)だけです。
ステップ1:Googleアカウントでログインする
ブラウザで notebooklm.google.com にアクセスし、普段使っているGoogleアカウントでログインします。Geminiアプリが利用可能な180以上の地域で利用できます(出典: https://support.google.com/notebooklm/answer/14278184?hl=ja)。
!_images/google-notebooklm-how-to-use-office-work/02_screenshot_NotebookLMのログイン後トップ画面.png
ステップ2:ノートブックを新規作成する
画面中央の「新しいノートブック」をクリックします。ノートブックは案件や会議ごとに分けて作るのがおすすめです。後から探しやすくなります。
!_images/google-notebooklm-how-to-use-office-work/03_screenshot_新しいノートブック作成ボタン.png
ステップ3:ソース(PDF・Word・テキスト)を追加する
左側の「ソース」パネルで「+」をクリックし、PDFや文書ファイルをドラッグ&ドロップします。GoogleドライブからはGoogleドキュメント・スライド・スプレッドシートを直接選択できます(出典: https://support.google.com/notebooklm/answer/16215270?hl=ja)。
対応している主なソース形式
- PDF / テキスト / マークダウン
- Microsoft Word
- Google ドキュメント / スライド / スプレッドシート
- 音声ファイル / 画像ファイル
- WebサイトURL
ソース一覧に追加されたことを確認したら準備完了です。右側のチャット欄に質問を入力すると、AIが指定したソースだけを参照して出典付きで答えてくれます。
!_images/google-notebooklm-how-to-use-office-work/04_screenshot_ソース追加後のチャット画面.png
事務職が使える5つの場面と操作手順
ここからが本題です。事務職の業務に直結する5つのシーンを、それぞれ「準備するソース」「操作手順」「活用のコツ」の3点で紹介します。
シーン1:会議の議事録を5分で要約する
毎週の定例会議の議事録作成に時間を取られている方におすすめです。会議の音声データや文字起こしテキスト、配布資料PDFをまとめてソースに追加し、AIに要約させます(出典: https://www.smartshoki.com/blog/gijirokusakusei/howto-notebooklm-minutes-creation/)。
操作手順は次のとおりです。
- 会議名でノートブックを新規作成する
- 音声ファイルまたは文字起こしテキストと、配布資料PDFをソース追加する
- チャットで「決定事項を箇条書きでまとめてください」と入力する
- 続けて「担当者別のタスクと期限を表形式で出してください」と追加質問する
- 出力をコピーしてGoogleドキュメントに貼り付ける
プロンプト例
この会議の決定事項を5項目以内で箇条書きにまとめてください。
そのうえで、担当者・期限・タスク内容を表形式で整理してください。
ポイントは、一度にすべてを要求せずに段階的に質問することです。回答の精度が安定します。
シーン2:分厚いマニュアルをQ&A形式で検索できるようにする
就業規則や経費精算マニュアルなど、必要なときに該当ページを探すのが大変な資料に効果的です。社内マニュアル専用のAIヘルプデスクを作るイメージで使います(出典: https://robotango.biz/knowledge/ai-notebooklm/)。
- 「社内マニュアル」というノートブックを作成する
- 就業規則・経費規程・出張規程などのPDFを最大50ファイルまでまとめてアップロードする
- チャットで「育児休業の申請手順を教えてください」のように自然な日本語で質問する
- 出典付きの回答が表示されるので、リンクをクリックして元資料の該当箇所を確認する
!_images/google-notebooklm-how-to-use-office-work/05_screenshot_マニュアルへの質問と出典付き回答.png
NotebookLMは社内マニュアルだけを根拠に答えます。Web上の一般情報と混ざる心配がありません。これは事務職にとって非常に大きな安心材料です。アップロード前のセキュリティ確認は生成AIを仕事で使うときの注意点チェックリスト15を参照してください。
シーン3:報告書・企画書の叩き台をAIに作らせる
「書き出しが思いつかない」を解決するシーンです。過去の類似報告書や関連データをソースに追加し、構成案から作らせます(出典: https://www.notta.ai/blog/notebooklm-beginner-guide-usage)。
- 過去の類似報告書・データ資料・関連議事録をソース追加する
- チャットで「経営層向けに、A4一枚で読める四半期報告書の構成案を作ってください」と指示する
- 構成案が出たら、章ごとに「この章の本文を300文字で書いてください」と追加で依頼する
- 右側の「ノート」パネルで「新しいノートを作成」を選び下書きを保存する
- 生成されたテキストをWordやGoogleドキュメントに転記し、自分の言葉で加筆する
ゼロから書くのではなく「叩き台を直す」スタイルにすることで、取りかかりの心理的ハードルが大きく下がります。
シーン4:研修資料の音声化(Audio Overview)
NotebookLMの目玉機能のひとつが「Audio Overview(音声概要)」です。2025年4月30日より日本語を含む50以上の言語に対応しました。2人のAIホストが対話形式で資料内容を解説する、ポッドキャスト形式の音声を生成できます(出典: https://blog.google/intl/ja-jp/company-news/technology/notebooklm-50/)。
- 研修資料PDFまたはGoogleスライドをソース追加する
- ノートブック右側の「音声概要」パネルで「生成」をクリックする
- 数分待つと、2人のAIホストによる対話形式の音声が生成される
- 再生またはダウンロードして、通勤中や作業中のながら学習に活用する
!_images/google-notebooklm-how-to-use-office-work/06_screenshot_音声概要の生成画面.png
無料版の生成は1日3回までです。新人研修やコンプライアンス研修の資料を音声化しておくと、現場での聞き直しに重宝します。
シーン5:社内ルール集からFAQチャットボットを作る
複数部門のマニュアルを横断的に整理し、新入社員向けのFAQを一気に作るシーンです(出典: https://www.marubeni-idigio.com/insight-hub/notebooklm/)。
- 総務・人事・経理・営業など複数部門のマニュアルをまとめてソース追加する
- チャットで「新入社員がよく質問する内容を10個リストアップしてください」と指示する
- 出力されたリストの各質問について「この質問への回答をマニュアルに基づいて200文字で書いてください」と追加で指示する
- 完成した質問と回答のセットをノートに保存し、Googleドキュメントに転記して整形する
プロンプト例
新入社員が入社1ヶ月以内によく質問する内容を、業務カテゴリ別に10個リストアップしてください。
各質問には、ソース内のどの文書を参照すべきかも併記してください。
社内FAQのたたき台が30分程度で作れます。これまで数日かけていた整理作業が劇的に短縮できます。
すぐ使えるプロンプトテンプレート集(5シーン対応)
5つのシーンで実際に使えるプロンプトをまとめました。コピーしてそのまま使ってください。
議事録要約プロンプト
この会議の決定事項を5項目以内で箇条書きにまとめてください。
そのうえで、担当者・期限・タスク内容を表形式で整理してください。
未決事項がある場合は、決定事項とは別に「要確認事項」として列挙してください。
マニュアルQ&A化プロンプト
「[質問内容]」について、ソース内のマニュアルに基づいて手順を説明してください。
回答には、参照したマニュアルのページ番号またはセクション名も記載してください。
報告書叩き台プロンプト
[対象期間]の[テーマ]について、経営層向けにA4一枚で収まる報告書の構成案を作ってください。
各章の見出しと、その章で伝えるべき要点を箇条書きで示してください。
うまくいかないときの確認ポイント3つ
対応しているファイル形式を確認する
PDF・Word・Googleドキュメント・スライド・スプレッドシート・音声・画像・WebサイトURLが対応形式です。古いdoc形式やパスワード付きPDFはエラーになることがあります。docxやパスワード解除済みPDFに変換しましょう。
ファイルサイズの上限(200MBまで)に注意する
1ソースあたり50万文字または200MBが上限です。長大な資料は章ごとに分割するとうまく取り込めます。
日本語精度の注意点と回避策
専門用語が多い文書ほど、質問を具体的にすると回答の質が安定します。また、Googleドキュメントを更新したあとは、ソース横の同期ボタンを手動でクリックしないと最新内容が反映されません。覚えておくと便利なポイントです。
Googleツール全体で業務を効率化したい方はGoogle Workspace Studioの使い方もぜひあわせて読んでみてください。
まとめ|まずは1シーンだけ今日試してみよう
NotebookLMはGoogleアカウントだけで無料で使えます。自分がアップロードした資料だけを根拠に答えてくれる、事務職にとって非常に頼もしいAIアシスタントです。本記事で紹介した5つのシーンのうち、まずは一番身近な「議事録要約」か「マニュアルQ&A化」のどちらかを今日試してみてください。
notebooklm.google.com にログインして、手元にあるPDFを1つドラッグ&ドロップするだけで第一歩は完了です。一度体験すると、これまで30分かけていた作業が5分で終わる快感に驚くはずです。社内利用前のセキュリティ確認は生成AIを仕事で使うときの注意点チェックリスト15を参考にしてください。明日からの事務仕事が、ぐっと軽くなります。
