ExcelのPHI関数の使い方|標準正規分布の密度関数の値を求める方法

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「正規分布の曲線をExcelで描きたいけど、どの関数を使えばいいかわからない」と悩んだことはありませんか。統計の教科書で見かけるあの釣鐘型のグラフ、実はExcelの関数1つで簡単に作れます。

そんなときに使えるのが、ExcelのPHI関数です。この関数を使えば、標準正規分布の確率密度関数(ベルカーブの高さ)の値を手軽に求められます。

この記事では、PHI関数の基本的な使い方から、正規分布グラフの作成方法、実務での活用例まで詳しく解説していきます。

PHI関数とは?

読み方と語源

PHI関数の読み方は「ファイ関数」です。ギリシャ文字の「phi(ファイ)」に由来しており、統計学では標準正規分布の確率密度関数を表す記号として広く使われています。

PHI関数でできること

PHI関数は、標準正規分布の確率密度関数の値を求める関数です。

標準正規分布とは、平均が0、標準偏差が1の正規分布のことです。この分布の「確率密度関数」は、いわゆるベルカーブ(釣鐘型の曲線)の各点の高さを表します。

計算式で書くと次のようになります。

PHI(x) = (1 / sqrt(2 pi)) exp(-x^2 / 2)

たとえば、x = 0(平均値の位置)のとき、PHI関数は約0.3989を返します。これがベルカーブの頂点の高さです。xが0から離れるほど値は小さくなり、曲線の裾に向かって下がっていくイメージです。

注意しておきたいのは、PHI関数が返す値は「確率そのもの」ではないという点です。確率密度関数の値は曲線の高さを表しているだけで、ある範囲の確率を求めるにはNORM.S.DIST関数などを使う必要があります。

対応バージョン

PHI関数は以下の環境で使用できます。

  • Excel 2013以降のすべてのバージョン
  • Microsoft 365
  • Googleスプレッドシート

Excel 2010以前では使用できないため、代わりに次の数式で同じ結果が得られます。

=1/SQRT(2*PI())*EXP(-x^2/2)

PHI関数の書き方(構文と引数)

基本構文

=PHI(x)

引数の説明

PHI関数の引数は1つだけで、必須です。

引数必須/省略可説明
x必須標準正規分布の密度を求めたい数値を指定します

引数xには任意の実数を指定できます。正の値でも負の値でも問題ありません。数値以外のデータ型を指定すると #VALUE! エラーになります。

基本的な使い方

まずはシンプルな例でPHI関数の動きを確認してみましょう。

数値を直接指定する

平均値の位置(x = 0)での密度を求めてみます。

=PHI(0)

結果は「0.398942」になります。これが標準正規分布の頂点(最も高い部分)の値です。

次に、平均から少し離れた位置の値を確認してみましょう。

=PHI(1)     → 結果: 0.241971(平均から標準偏差1つ分右)
=PHI(-1)    → 結果: 0.241971(平均から標準偏差1つ分左)
=PHI(2)     → 結果: 0.053991(平均から標準偏差2つ分右)

標準正規分布は左右対称なので、PHI(1) と PHI(-1) は同じ値になるのがポイントです。

セル参照を使って指定する

B1セルに数値が入っている場合は、次のように記述します。

=PHI(B1)

セル参照を使えば、値を変更するだけで自動的に再計算されるので便利です。

実践的な使い方・応用例

応用例1: 正規分布曲線(ベルカーブ)のグラフを作成する

PHI関数の最もよく使われる場面が、正規分布曲線のグラフ作成です。

まず、A列にx値を並べます。-3.0から3.0まで0.2刻みで入力してみましょう。

セル
A1-3.0
A2-2.8
A3-2.6
A313.0

次に、B1セルに次の数式を入力し、B31セルまでコピーします。

=PHI(A1)

A列とB列のデータを選択して「散布図(平滑線)」のグラフを挿入すると、きれいなベルカーブが描けます。

プレゼン資料や報告書で「正規分布」の説明をしたいときに、このグラフ作成テクニックは重宝します。

応用例2: STANDARDIZE関数と組み合わせて使う

実際のデータは平均0・標準偏差1とは限りませんよね。そんなときはSTANDARDIZE関数でデータをZスコアに変換してから、PHI関数に渡す方法が便利です。

たとえば、テストの点数(平均65点、標準偏差12)が入ったA2セルに対して、次のように書きます。

=PHI(STANDARDIZE(A2, 65, 12))

この数式は「そのテスト点数が正規分布曲線上のどの高さに位置するか」を返します。平均付近の点数は密度が高く(曲線の頂上付近)、極端に高い点数や低い点数は密度が低い(曲線の裾)ことが数値で確認できます。

応用例3: 品質管理における工程能力の可視化

製造業の品質管理では、製品の測定値が正規分布に従うことを前提にした分析がよく行われます。PHI関数を使えば、各測定値が分布のどの位置にあるかを視覚化できます。

たとえば、部品の直径の測定データ(平均10.0mm、標準偏差0.05mm)について、各測定値の密度を計算することで、工程のばらつきを直感的に把握できます。密度が低い値が多く出ている場合は、工程に異常がある可能性を示唆しています。

よくあるエラーと対処法

PHI関数を使う際に発生しやすいエラーをまとめました。

エラー原因対処法
#VALUE!引数に文字列や論理値を指定した引数が数値になっているか確認する。セルの書式が「文字列」になっていないかもチェック
#NAME?関数名のスペルミス、またはExcel 2010以前を使用「PHI」のスペルを確認する。古いバージョンでは手動計算式で代用

PHI関数は引数が1つだけのシンプルな関数なので、エラーが出る場面は比較的少ないです。エラーが発生した場合は、まず引数のセルに数値が正しく入っているかを確認してみてください。

Excelのエラーについて詳しく知りたい方は「セルに表示されるエラーの種類と原因、対処方法を解説」を参考にしてください。

似た関数との違い・使い分け

PHI関数と混同しやすい関数を整理しておきましょう。

関数名用途PHI関数との違い
NORM.S.DIST標準正規分布の累積分布関数または密度関数の値を求める第2引数にFALSEを指定するとPHI関数と同じ結果。TRUEで累積確率を返す
NORM.DIST任意の正規分布の累積分布関数または密度関数の値を求める平均と標準偏差を自由に指定できる汎用版
STANDARDIZEデータのZスコア(標準化変量)を求めるデータを標準正規分布のスケールに変換する。PHI関数の前処理として使える
NORM.S.INV標準正規分布の累積確率から逆関数値を求める確率からx値を逆算する(PHI関数の逆方向)

特に重要なのがNORM.S.DIST関数との関係です。NORM.S.DIST関数の第2引数をFALSEにすると、PHI関数とまったく同じ結果が返ります。

=PHI(1.5)                    → 結果: 0.129518
=NORM.S.DIST(1.5, FALSE)     → 結果: 0.129518(同じ)
=NORM.S.DIST(1.5, TRUE)      → 結果: 0.933193(こちらは累積確率)

つまり、PHI関数は NORM.S.DIST(x, FALSE) のショートカットと考えるとわかりやすいです。確率密度だけが必要ならPHI関数、累積確率も使いたい場合はNORM.S.DIST関数を選ぶと良いでしょう。

まとめ

この記事では、ExcelのPHI関数について解説しました。ポイントを振り返りましょう。

  • PHI関数は、標準正規分布の確率密度関数の値(ベルカーブの高さ)を求める関数
  • 構文は =PHI(x) で、引数は1つだけ
  • x = 0のとき最大値(約0.3989)を返し、0から離れるほど値は小さくなる
  • 正規分布曲線のグラフ作成に最適。-3から3の範囲で値を計算すれば、きれいなベルカーブが描ける
  • NORM.S.DIST(x, FALSE)と同じ結果を返すショートカット関数
  • STANDARDIZE関数と組み合わせれば、実際のデータでも密度関数の値を求められる

PHI関数を活用すれば、統計的な分析やプレゼン資料の作成がぐっと楽になります。正規分布のグラフが必要なときや、データの分布を可視化したいときに、ぜひ使ってみてください。

Excel関数の基本をもう一度確認したい方は、Excel関数一覧もあわせてご覧ください。

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