「引き継いだExcelファイルにPOISSON関数が入っているけど、これって何をしている関数なの?」と疑問に思ったことはありませんか。
POISSON関数はポアソン分布の確率を求める関数ですが、実はExcel 2010以降は後継のPOISSON.DIST関数に置き換えられた互換性関数です。そのまま使い続けるとバージョンアップで使えなくなるリスクがあります。
この記事では、POISSON関数の使い方をしっかり押さえたうえで、POISSON.DIST関数への移行方法まで解説します。
POISSON関数とは?
POISSON関数は、ポアソン分布に基づいてイベントの発生確率を計算する関数です。
読み方は「ポアソン」です。フランスの数学者シメオン・ドニ・ポアソンに由来しています。
ポアソン分布とは「一定の期間や範囲内で、ある事象が平均X回起きるとき、実際にY回起きる確率」を表す確率分布のことです。たとえば次のような場面で使います。
- 1時間に平均5件の問い合わせがあるコールセンターで、8件以上来る確率を知りたい
- 製造ラインで1日平均2個の不良品が出るとき、不良品が0個になる確率を調べたい
- 1日平均3件のクレームがある窓口で、5件以上来る日の確率を把握したい
ただし、POISSON関数はExcel 2007以前との互換性を維持するために残されている関数です。Excel 2010以降では、同じ機能を持つPOISSON.DIST関数の使用が推奨されています。
POISSON関数の書き方(構文と引数)
基本構文
=POISSON(イベント数, 平均, 関数形式)
引数は3つで、すべて必須です。
引数の説明
| 引数 | 必須/省略可 | 説明 |
|---|---|---|
| イベント数 | 必須 | 確率を求めたいイベントの発生回数。0以上の整数を指定します |
| 平均 | 必須 | 一定期間内のイベントの平均発生回数。0より大きい数値を指定します |
| 関数形式 | 必須 | TRUEで累積分布、FALSEで確率密度を返します |
関数形式のTRUE/FALSEの違いを理解しておくことが大切です。
- FALSE(確率密度): 「ちょうどX回起きる確率」を返します
- TRUE(累積分布): 「0回からX回までに収まる確率」を返します
たとえば平均3件のとき、=POISSON(5,3,FALSE) なら「ちょうど5件になる確率」を求めます。=POISSON(5,3,TRUE) なら「0~5件に収まる確率」が得られますよ。
POISSON関数の使い方と活用例
基本: ちょうどX回の確率を求める
実際にPOISSON関数を使って確率を計算してみましょう。
例題: 1時間あたり平均4件の問い合わせがあるコールセンターで、ちょうど6件来る確率を求めます。
セルに次の数式を入力してください。
=POISSON(6, 4, FALSE)
結果は 約0.1042(約10.4%)になります。平均4件のところに6件来る確率は、だいたい10%くらいということですね。
次に、6件以下に収まる確率を求めてみましょう。
=POISSON(6, 4, TRUE)
結果は 約0.8893(約88.9%)です。6件以下に収まる確率は約89%ということがわかります。
ここから「7件以上来る確率」も計算できますよ。全体の確率(100%)から6件以下の確率を引くだけです。
=1-POISSON(6, 4, TRUE)
結果は 約0.1107(約11.1%)になります。「X件以上」の確率を求めるときは、1から累積確率を引くテクニックを覚えておくと便利です。
応用1: 不良品発生の確率を調べる
製造ラインで1日あたり平均2個の不良品が発生するとします。不良品が0個の日になる確率を求めてみましょう。
=POISSON(0, 2, FALSE)
結果は 約0.1353(約13.5%)です。不良品がゼロになる日は、だいたい7~8日に1回くらいの割合ですね。
さらに「不良品が5個以上出る確率」を知りたいなら、次のように計算します。
=1-POISSON(4, 2, TRUE)
結果は 約0.0527(約5.3%)です。5個以上出る確率が約5%なので、もし実際に5個以上出た場合は通常の範囲を超えている可能性がありますよ。品質管理の判断基準として使えます。
応用2: セル参照を使った確率一覧表
実務では、複数のイベント数に対する確率をまとめて確認したいことが多いですよね。セル参照を使って確率一覧表を作ってみましょう。
セルB1に平均値「4」を入力し、A列にイベント数(0~10)を並べます。B列に次の数式を入力してください。
=POISSON(A2, $B$1, FALSE)
これをB列の下方向にコピーすると、各イベント数に対する確率が一覧で表示されます。平均値を $B$1 で絶対参照にしているので、コピーしても参照先がずれません。
このような確率一覧表を作っておくと、どの件数の確率が高いかがひと目でわかりますよ。
POISSON関数のよくあるエラーと対処法
POISSON関数を使っていて思い通りの結果にならないときは、以下のエラーを確認してみてください。
#VALUE!エラー
引数に数値以外の文字列を指定すると発生します。セル参照を使っている場合は、参照先のセルに数値が正しく入っているか確認してみてください。
#NUM!エラー
次のいずれかに該当すると発生します。
- イベント数に負の値を指定した場合
- 平均に負の値を指定した場合
イベント数と平均は、どちらも0以上の値を指定する必要があります。
#NAME?エラー
関数名のスペルミスが原因です。「POISSON」のスペルを確認してみてください。「POISN」や「POISION」のように間違えやすいので注意が必要です。
なお、イベント数に小数を指定した場合はエラーにはならず、小数点以下が切り捨てられて計算されます。たとえばイベント数に3.7を指定しても、3として計算されますよ。
POISSON.DIST関数との違いと移行方法
POISSON関数とPOISSON.DIST関数の違い
POISSON関数は、Excel 2007以前との互換性のために残されている関数です。引数の構成や計算結果はPOISSON.DIST関数とまったく同じです。
| 項目 | POISSON | POISSON.DIST |
|---|---|---|
| 対応バージョン | Excel 2003以降 | Excel 2010以降 |
| 引数 | 3つ(同じ) | 3つ(同じ) |
| 計算結果 | 同一 | 同一 |
| Microsoftの推奨 | 非推奨 | 推奨 |
| 将来の廃止リスク | あり | なし |
機能面での違いはありませんが、Microsoftが公式にPOISSON.DIST関数の使用を推奨しています。今後のバージョンアップでPOISSON関数が廃止される可能性があるため、早めの移行をおすすめします。
POISSON.DIST関数への置き換え方法
置き換えはとてもシンプルです。関数名を「POISSON」から「POISSON.DIST」に変えるだけで、引数はそのまま使えます。
変更前:
=POISSON(6, 4, FALSE)
変更後:
=POISSON.DIST(6, 4, FALSE)
既存のブックにPOISSON関数が使われている場合は、ExcelのCtrl+Hキー(検索と置換)を使って一括で置き換えると効率的ですよ。
- Ctrl+Hで「検索と置換」を開く
- 検索する文字列に
POISSON(と入力 - 置換後の文字列に
POISSON.DIST(と入力 - 「すべて置換」をクリック
これで一括変換できます。ただし置換後は計算結果が変わっていないか念のため確認してくださいね。
POISSON.DIST関数の詳しい使い方は「ExcelのPOISSON.DIST関数の使い方|ポアソン分布の確率を求める」で解説しています。
まとめ
この記事では、ExcelのPOISSON関数について解説しました。
- POISSON関数は、ポアソン分布に基づいてイベントの発生確率を計算する関数
- 関数形式にFALSEで「ちょうどX回の確率」、TRUEで「X回以下の確率」が得られる
- 「X件以上の確率」は
=1-POISSON(X-1, 平均, TRUE)で求められる - POISSON関数は互換性関数なので、POISSON.DIST関数への移行がおすすめ
- 置き換えは関数名を変えるだけ。Ctrl+Hで一括置換もできる
POISSON関数が入った古いExcelファイルを見つけたら、この記事を参考にPOISSON.DIST関数へ置き換えてみてください。機能は同じなので安心して移行できますよ。
