スプレッドシートで角度から余割(コセカント)を求めたいとき、どの関数を使えばいいか迷っていませんか?
三角関数の中でもコセカントはなじみが薄くて、書き方がわからないですよね。
そんなときに使うのがCSC関数です。=CSC(角度) と書くだけで、指定した角度の余割(コセカント)を返してくれます。
この記事では基本の書き方から、SIN関数との関係、RADIANS関数との組み合わせ、実務での活用まで紹介します。
スプレッドシートのCSC関数とは?
CSC関数(読み方: コセカント関数)は、角度の余割(コセカント)を返す関数です。語源はラテン語の「cosecans」で、「complementary secant(補割線)」を意味します。
たとえば =CSC(RADIANS(30)) と入力すると「2」が返ります。30度の余割がそのまま取得できるわけですね。
CSC関数はラジアン単位の角度を引数に取ります。度数法(30度、45度など)を使いたい場合は、RADIANS関数で変換してから渡します。
CSC関数にできることをまとめると、次のとおりです。
- 角度のラジアン値から余割(コセカント)を返す
- RADIANS関数と組み合わせて度数法の角度を使う
- SIN関数の逆数として波形の振幅計算に活用する
- 工学や物理の計算で使う
NOTE
CSC関数はGoogleスプレッドシートの全バージョンで使えます。Excelとも完全に互換性があるので、ファイルのやり取りでも安心です。
CSC関数の書き方(構文と引数)
基本構文
=CSC(角度)
カッコの中にラジアン単位の角度を指定します。
引数の説明
| 引数 | 必須/任意 | 説明 |
|---|---|---|
| 角度 | 必須 | 余割を求めたい角度をラジアン単位で指定する |
引数は1つだけです。ラジアン単位で指定する点がポイントですね。
度数法の角度(30度、45度など)を使いたい場合は、次のどちらかで変換します。
=CSC(RADIANS(30)) ← RADIANS関数で変換
=CSC(30*PI()/180) ← PI関数を使って手計算
どちらも同じ結果(2)を返します。式がシンプルなRADIANS関数がおすすめですよ。
CSC関数とSIN関数の関係
CSC関数はSIN関数の逆数です。数学的には次の関係が成り立ちます。
CSC(θ) = 1 / SIN(θ)
つまり =CSC(RADIANS(30)) と =1/SIN(RADIANS(30)) は同じ結果を返します。CSC関数がないバージョンでも =1/SIN() で代用できますよ。
CSC関数の基本的な使い方
ラジアンで角度を指定する
まずはラジアン値をそのまま渡すパターンです。
=CSC(PI()/6)
結果は「2」です。π/6ラジアン(30度)の余割は2ですね。
代表的なラジアン値とCSCの結果をまとめます。
| 数式 | 角度 | 結果 |
|---|---|---|
| =CSC(PI()/6) | 30度 | 2 |
| =CSC(PI()/4) | 45度 | 1.4142… |
| =CSC(PI()/3) | 60度 | 1.1547… |
| =CSC(PI()/2) | 90度 | 1 |
| =CSC(PI()) | 180度 | 非常に大きい値(定義なし) |
0度と180度のCSCは数学的に定義されません。SIN関数の値が0になるため、CSC = 1/SIN の計算で「0で割る」ことになるからです。
RADIANS関数と組み合わせて度数法で指定する
実務では度数法で角度を扱うことがほとんどです。RADIANS関数と組み合わせれば、度数法のまま使えます。
=CSC(RADIANS(30))
結果は「2」です。30度のコセカントがそのまま求まりますね。
よく使う角度の早見表を用意しました。
| 角度 | 数式 | 結果 |
|---|---|---|
| 30度 | =CSC(RADIANS(30)) | 2 |
| 45度 | =CSC(RADIANS(45)) | 1.4142… |
| 60度 | =CSC(RADIANS(60)) | 1.1547… |
| 90度 | =CSC(RADIANS(90)) | 1 |
| 120度 | =CSC(RADIANS(120)) | 1.1547… |
| 135度 | =CSC(RADIANS(135)) | 1.4142… |
CSCの値はSINの逆数なので、SINが大きいところではCSCは小さく、SINが小さいところではCSCは大きくなります。
角度をセルに入れておけば、ドラッグでまとめて計算することもできます。
A列に角度を入力して、B1セルに次の式を入れてみてください。
=CSC(RADIANS(A1))
あとはB1をコピーして下方向に貼り付ければ、各角度の余割を一括で求められますよ。
実務でのCSC関数活用例
斜辺の長さを対辺から求める
SIN関数は「傾斜角と斜辺から対辺(高さ)」を求めるのに使いますが、CSC関数はその逆の発想で使えます。対辺(高さ)と傾斜角から斜辺の長さを計算できます。
斜辺は次の式で計算します。
=対辺 * CSC(RADIANS(傾斜角))
たとえば高さ50mで傾斜角が30度の場合、斜辺の長さを求めてみましょう。
=50*CSC(RADIANS(30))
結果は「100」です。高さ50m・傾斜角30度の斜面は、斜辺が100mになることがわかります。
いくつかの条件で比較してみます。
| 対辺・高さ(A列) | 傾斜角(B列) | 数式 | 斜辺の長さ |
|---|---|---|---|
| 10m | 90度 | =A2*CSC(RADIANS(B2)) | 10.00m |
| 50m | 30度 | =A3*CSC(RADIANS(B3)) | 100.00m |
| 100m | 60度 | =A4*CSC(RADIANS(B4)) | 115.47m |
傾斜角が90度のとき、対辺と斜辺が等しくなります。これはCSC(90度) = 1 だからですね。
距離の逆算に活用する
測量では斜面の高さと角度から斜距離を求める場面があります。CSC関数を使えば直接計算できます。
ただし、この計算はSIN関数を使う方法(=対辺/SIN(RADIANS(角度)))でも同じ結果が得られます。CSC関数を使うとかけ算で済むので、数式がシンプルになりますよ。
よくあるエラーと対処法
CSC関数でよくあるトラブルをまとめます。
| 症状 | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| #VALUE! エラー | 引数に文字列を渡した | 数値またはセル参照を指定する |
| #DIV/0! エラー | 引数に0を渡した(CSC(0)は定義されない) | 0度の余割は定義されないので角度を確認する |
| 期待と違う値が返る | 度数法をそのまま渡している | RADIANS関数で変換してから渡す |
| 非常に大きな値が返る | 0度(またはその整数倍の180度)を指定した | 0度・180度のCSCは定義されない。角度を確認する |
| 結果がぴったり1にならない | 浮動小数点の誤差 | ROUND関数で丸める |
0度と180度ではエラーになる
CSC関数でもっとも注意が必要なのは、0度(0ラジアン)を渡したときです。
=CSC(0)
この数式は #DIV/0! エラーになります。CSC = 1/SIN で、SIN(0) = 0 なので「0で割る」ことになるためです。
180度も同様です。SIN(180度)は数学的には0なので、CSC(180度)も定義されません。
度数法をそのまま渡すミスに注意
SIN関数と同じく、度数法の角度をそのまま渡すと間違った結果になります。
=CSC(30)
この数式は「30ラジアン」の余割を計算します。結果は「-1.0120…」で、30度のコセカント(2)とは全く違う値です。
度数法で指定したい場合は、必ずRADIANS関数で変換しましょう。
=CSC(RADIANS(30))
こちらなら結果は「2」になります。
浮動小数点の誤差を丸める
CSC(RADIANS(90)) は数学的には1ですが、実際には微小な誤差が返ることがあります。
見た目を整えたい場合は、ROUND関数で丸めてください。
=ROUND(CSC(RADIANS(90)), 10)
結果は「1」になります。小数点以下10桁で丸めれば、実用上は問題ありませんよ。
似た関数との違い・使い分け
| 関数 | 動作 | 引数 | 用途 |
|---|---|---|---|
| CSC | 余割(コセカント)を返す | 角度(ラジアン) | SIN関数の逆数・斜辺の長さの計算 |
| SIN | 正弦(サイン)を返す | 角度(ラジアン) | 対辺・高さ・波形データ |
| COS | 余弦(コサイン)を返す | 角度(ラジアン) | 隣辺・距離計算 |
| TAN | 正接(タンジェント)を返す | 角度(ラジアン) | 勾配・傾き・高さの計算 |
| COT | 余接(コタンジェント)を返す | 角度(ラジアン) | TAN関数の逆数・水平距離 |
| ACSC | 逆余割(アークコセカント)を返す | 数値 | コセカント値から角度を逆算 |
| RADIANS | 度数法をラジアンに変換する | 度数法の角度 | SIN/COS/TAN/CSCの引数準備 |
SIN関数との関係
CSC関数とSIN関数は逆数の関係にあります。
CSC(θ) = 1 / SIN(θ)
SIN(θ) = 1 / CSC(θ)
スプレッドシートで確認してみましょう。
| 角度 | CSC | SIN | CSC * SIN |
|---|---|---|---|
| 30度 | 2 | 0.5 | 1 |
| 45度 | 1.4142 | 0.7071 | 1 |
| 60度 | 1.1547 | 0.8660 | 1 |
| 90度 | 1 | 1 | 1 |
どの角度でもCSCとSINの積は1になります。片方の値がわかればもう一方もすぐ求められますよ。
SIN関数が0になる0度・180度ではCSCは定義されません。お互いに補い合う関係ですね。
COS・TAN・COT関数との関係
CSC関数はCOS関数とSIN関数を使って次のように表せます。
CSC(θ) = 1 / SIN(θ)
同じく逆数関数であるCOT関数(= 1/TAN)と合わせて覚えておくと、三角関数の理解が深まりますよ。
まとめ
CSC関数は、ラジアン単位の角度から余割(コセカント)を返す関数です。
ポイントを整理します。
- 構文は
=CSC(角度)で、引数はラジアン単位 - 度数法の角度を使うなら
=CSC(RADIANS(度))と変換する - CSC(RADIANS(30))=2 が代表的な値
- CSC = 1/SIN なので、SIN関数の逆数
- 対辺と傾斜角から斜辺を求めるなら
=対辺*CSC(RADIANS(角度)) - 0度と180度ではエラーになる点に注意
- SIN関数・COS関数・TAN関数・COT関数とセットで覚えておくと便利
まずは =CSC(RADIANS(30)) で2が返ることを確認してみてください。
