「FORECAST.LINEAR関数って何?FORECASTと何が違うの?」
ExcelからGoogleスプレッドシートに乗り換えたとき、こんな疑問を持った方は多いはずです。結論から言うと、FORECAST.LINEARとFORECASTはまったく同じ関数です。ただし、名前が2つある理由を知っておかないと混乱のもとになります。
この記事ではスプレッドシートのFORECAST.LINEAR関数について解説します。名前の由来から構文、実務での活用パターンまでまとめてお伝えします。
FORECAST.LINEAR関数とは?
FORECAST.LINEAR関数(読み方: フォーキャスト・リニア関数)は、線形回帰(最小二乗法)で予測値を返す統計関数です。散布図に引いた直線の延長上にある値を求めてくれます。
たとえば過去6か月の広告費と売上のデータがあれば、「広告費を来月いくらにしたら売上はどのくらいか」を数式1つで計算できます。
Googleスプレッドシートでは、FORECASTとFORECAST.LINEARのどちらの名前でも同じ結果が得られます。使い慣れたほうを使えばOKですよ。
FORECASTとFORECAST.LINEARはなぜ名前が2つあるのか
もともとExcelにはFORECAST関数しかありませんでした。ところがExcel 2016で予測関数群が拡充され、次のように整理されました。
- FORECAST.LINEAR — 従来のFORECASTと同じ線形予測
- FORECAST.ETS — 季節性を考慮した指数平滑法の予測
つまり「LINEAR(線形)」という種類を明示するためにリネームされたわけです。GoogleスプレッドシートはExcelとの互換性を保つため、旧名FORECAST・新名FORECAST.LINEARの両方をサポートしています。
NOTE
どちらの名前で入力しても内部の計算はまったく同じです。数式バーでFORECASTに自動変換されることがありますが、結果に影響はありません。
FORECAST.ETSとの違い(線形 vs 季節性あり)
名前が似ているFORECAST.ETSは、FORECAST.LINEARとは予測の仕組みが異なります。
| 項目 | FORECAST.LINEAR | FORECAST.ETS |
|---|---|---|
| 予測手法 | 線形回帰(直線) | 指数平滑法(季節性を加味) |
| 向いているデータ | 右肩上がり・右肩下がりの傾向 | 毎月・毎週の周期パターンがある |
| 使用例 | 広告費→売上の予測 | 季節で売上が変動する小売の需要予測 |
| スプレッドシート対応 | 対応 | 非対応(Excel専用) |
ポイントは、FORECAST.ETSはGoogleスプレッドシートでは使えないという点です。スプレッドシートで季節性のある予測をしたい場合は、別のアプローチが必要になります。この記事ではFORECAST.LINEARに絞って解説しますね。
FORECAST.LINEAR関数の書き方(構文と引数)
基本構文は次のとおりです。
=FORECAST.LINEAR(x, データ_y, データ_x)
引数の意味と順番
| 引数 | 必須/任意 | 説明 |
|---|---|---|
| x | 必須 | 予測したいxの値(例: 広告費40万円) |
| データ_y | 必須 | 従属変数の範囲(例: 売上データ) |
| データ_x | 必須 | 独立変数の範囲(例: 広告費データ) |
引数はFORECAST関数とまったく同じです。yが先、xが後という順番に注意してください。SLOPE関数やINTERCEPT関数と同じ並び順です。
WARNING
データ_yとデータ_xのデータ数が異なると
#N/Aエラーになります。セル範囲の行数を必ず揃えてください。
主なエラーをまとめておきます。
| エラー | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| #N/A | データ_yとデータ_xの配列長が不一致 | セル範囲の行数を揃える |
| #DIV/0! | データ_xがすべて同じ値(分散ゼロ) | データにばらつきがあるか確認する |
| #VALUE! | xに数値以外を指定した | xには数値またはセル参照を使う |
FORECAST.LINEAR関数の基本的な使い方
月次売上データから翌月を予測する
6か月分の売上データから7か月目を予測してみましょう。
| A列(月番号) | B列(売上・万円) | |
|---|---|---|
| 2行目 | 1 | 320 |
| 3行目 | 2 | 345 |
| 4行目 | 3 | 360 |
| 5行目 | 4 | 390 |
| 6行目 | 5 | 410 |
| 7行目 | 6 | 440 |
7か月目の予測値を求める数式はこちらです。
=FORECAST.LINEAR(7, B2:B7, A2:A7)
結果は 460 です。「来月の売上は460万円の見込み」と報告できますね。
数式の読み方を整理すると、次のようになります。
- 第1引数「7」→ 予測したい月番号
- 第2引数「B2:B7」→ 売上(y)のデータ範囲
- 第3引数「A2:A7」→ 月番号(x)のデータ範囲
FORECAST.LINEARは内部で回帰直線 y = ax + b を求め、x=7を代入した値を返しています。SLOPE関数 × 7 + INTERCEPT関数の計算を自動でやってくれるわけです。
TIP
FORECAST関数の記事では、複数月の一括予測やCORREL関数との組み合わせなど、より実践的なパターンを詳しく解説しています。あわせてチェックしてみてください。
FORECAST.LINEAR関数の実務活用パターン
売上予測に使う(広告費→売上)
時系列だけでなく、因果関係のあるデータにも活用できます。広告費(x)から売上(y)を予測する例を見てみましょう。
| A列(広告費・万円) | B列(売上・万円) | |
|---|---|---|
| 2行目 | 10 | 150 |
| 3行目 | 15 | 200 |
| 4行目 | 20 | 280 |
| 5行目 | 25 | 310 |
| 6行目 | 30 | 390 |
| 7行目 | 35 | 450 |
広告費を40万円にしたときの売上予測はこうなります。
=FORECAST.LINEAR(40, B2:B7, A2:A7)
結果は約 507 です。「広告費を40万円に増やすと、売上は約507万円になる見込み」という予測が出せます。
ただし、既存データの範囲(10〜35万円)を大きく超えた値を指定すると精度が落ちます。たとえば広告費100万円の予測は、データの範囲外なので参考程度にとどめてください。
予測の精度を確認する(STEYXと組み合わせ)
FORECAST.LINEARはどんなデータでも予測値を返します。しかし、その予測がどれくらい信頼できるかは別問題です。
そこでSTEYX関数を使って、予測の標準誤差を確認しましょう。
=STEYX(B2:B7, A2:A7)
STEYXの値が小さいほど、予測値と実際の値のズレが小さいことを示します。逆にSTEYXが大きい場合は、データのばらつきが大きく予測の精度が低いということです。
さらにCORREL関数で相関係数も見ておくと安心です。
=CORREL(B2:B7, A2:A7)
| 指標 | 確認内容 | 目安 |
|---|---|---|
| CORREL | xとyの相関の強さ | 0.7以上なら予測を活用できる |
| STEYX | 予測値の誤差の大きさ | 値が小さいほど精度が高い |
予測値を報告に使う前に、この2つの指標でデータの信頼性をチェックしてみてください。
FORECAST.LINEAR・FORECAST・TREND の使い分けまとめ
線形予測に使える3つの関数を整理します。
| 項目 | FORECAST.LINEAR | FORECAST | TREND |
|---|---|---|---|
| 機能 | 線形予測(1点) | 線形予測(1点) | 線形予測(複数点) |
| FORECASTとの関係 | 新名称(同一関数) | 旧名称 | 別関数 |
| 出力 | 予測値1つ | 予測値1つ | 予測値を配列で返す |
| 構文 | =FORECAST.LINEAR(x, y, x) | =FORECAST(x, y, x) | =TREND(y, x, 新x) |
| 向いている場面 | 「来月の売上は?」 | 「来月の売上は?」 | 「向こう6か月の推移は?」 |
| 引数の順序 | x → y → x | x → y → x | y → x → 新x |
使い分けのポイントは次のとおりです。
- FORECAST.LINEAR と FORECAST は同じもの。好きなほうを使えばOK
- 1つの値を予測する → FORECAST.LINEARまたはFORECAST
- 複数の値をまとめて予測する → TREND関数
TIP
Excelから移行してきた方は、FORECAST.LINEARのほうがなじみがあるかもしれません。ただしスプレッドシートではどちらの名前でも動くので、チームで統一しておくのがおすすめですよ。
まとめ
FORECAST.LINEAR関数は、既存データから線形回帰で予測値を返す関数です。FORECASTの新しい名前であり、機能はまったく同じです。
この記事のポイント
- 構文は
=FORECAST.LINEAR(x, データ_y, データ_x)で、FORECASTと引数も同じ - Excel 2016でFORECAST → FORECAST.LINEARにリネーム。スプレッドシートは両方使える
- FORECAST.ETSは季節性あり予測だが、スプレッドシートでは非対応
- 予測の信頼性はSTEYX関数とCORREL関数で確認する
- 複数ポイントの一括予測にはTREND関数を使う
関連する統計関数
FORECAST.LINEAR関数の使い方がわかったら、以下の関数もあわせて覚えてみてください。データ分析の幅が広がりますよ。
- FORECAST関数 — FORECAST.LINEARの旧名称。実践例を詳しく解説
- SLOPE関数 — 回帰直線の傾きを求める
- INTERCEPT関数 — 回帰直線のy切片を求める
- STEYX関数 — 回帰の標準誤差を求める
- CORREL関数 — 2つのデータの相関係数を求める
- TREND関数 — 複数ポイントの予測値を一括で返す
