「QUARTILE関数とQUARTILE.EXC関数って何が違うの?」。スプレッドシートで四分位数を求めるとき、こんな疑問が出てきませんか?
QUARTILE関数だけでも十分使えますが、統計的に厳密な分析をしたい場面ではQUARTILE.EXC関数の出番です。0と4を除外した「排他的四分位数」を返すのが特徴ですよ。
この記事では、QUARTILE.EXC関数の基本の書き方からQUARTILE関数との違い、実務での活用例まで解説します。
スプレッドシートのQUARTILE.EXC関数とは?排他的四分位数を求める関数
QUARTILE.EXC関数(読み方: クォータイル・エクスクルーシブ)は、データの中から排他的四分位数を返す関数です。「EXC」は「Exclusive(排他的)」の略ですよ。
排他的四分位数とは、最小値(0)と最大値(4)を除外した範囲で四分位数を計算する方式のことです。通常のQUARTILE関数が0〜4の全範囲を指定できるのに対し、QUARTILE.EXC関数は1〜3のみを指定できます。
つまり、第1四分位数(Q1)・中央値(Q2)・第3四分位数(Q3)の3つを求める専用の関数です。最小値や最大値を取得する必要があるなら、MIN関数やMAX関数を使いましょう。
QUARTILE.EXC関数にできることをまとめると、次のとおりです。
- 統計的に厳密な四分位数(Q1・Q2・Q3)を求める
- 端の値(最小値・最大値)に引っ張られにくい分析ができる
- 統計学の教科書に沿った正確な四分位計算ができる
- QUARTILE関数では対応しにくい厳密な分析に使える
NOTE
QUARTILE.EXC関数はGoogleスプレッドシートで利用できます。ExcelではExcel 2010以降で対応しています。
QUARTILE.EXC関数の書き方(構文と引数)
基本構文
=QUARTILE.EXC(データ, 四分位数)
引数の説明
| 引数 | 必須/任意 | 説明 |
|---|---|---|
| データ | 必須 | 四分位数を求めたいセル範囲または配列 |
| 四分位数 | 必須 | 1・2・3のいずれか(0と4は指定不可) |
第2引数に指定できる値と意味は次のとおりです。
| 値 | 意味 | PERCENTILE.EXCでの対応 |
|---|---|---|
| 1 | 第1四分位数(Q1、25パーセンタイル) | PERCENTILE.EXC(データ, 0.25) |
| 2 | 第2四分位数(Q2、中央値) | PERCENTILE.EXC(データ, 0.5) |
| 3 | 第3四分位数(Q3、75パーセンタイル) | PERCENTILE.EXC(データ, 0.75) |
TIP
QUARTILE.EXC関数は、内部的にはPERCENTILE.EXC関数と同じ排他的補間で計算しています。四分位数に特化したショートカット関数と考えるとわかりやすいですよ。
QUARTILE.EXC関数の基本的な使い方
以下のテスト得点データでQUARTILE.EXC関数を使ってみましょう。
B2からB11に10人分の得点データが入っているとします。
| A列(名前) | B列(得点) | |
|---|---|---|
| 2行目 | 田中 | 72 |
| 3行目 | 鈴木 | 85 |
| 4行目 | 佐藤 | 91 |
| 5行目 | 山田 | 68 |
| 6行目 | 高橋 | 78 |
| 7行目 | 伊藤 | 95 |
| 8行目 | 渡辺 | 83 |
| 9行目 | 中村 | 76 |
| 10行目 | 小林 | 88 |
| 11行目 | 加藤 | 60 |
第1四分位数(Q1)を求める
下位25%のラインを知りたいときは、第2引数に1を指定します。
=QUARTILE.EXC(B2:B11, 1)
結果は 71 です。得点71以下のデータが全体の下位25%にあたるということがわかります。
すべての四分位数を求める
第2引数を変えて、Q1・Q2・Q3をまとめて確認してみましょう。
| 数式 | 四分位数 | 結果 | 意味 |
|---|---|---|---|
=QUARTILE.EXC(B2:B11, 1) | Q1(第1) | 71 | 下位25%のライン |
=QUARTILE.EXC(B2:B11, 2) | Q2(第2) | 80.5 | 中央値 |
=QUARTILE.EXC(B2:B11, 3) | Q3(第3) | 88.75 | 上位25%のライン |
Q2の80.5はMEDIAN関数の結果と一致します。中央値を求めるだけならMEDIAN関数のほうがシンプルですが、Q1・Q2・Q3をまとめて使う場面ではQUARTILE.EXC関数が便利ですよ。
QUARTILE関数と結果を比較してみよう
同じデータで、QUARTILE関数(包含的)と比べてみましょう。
| 四分位数 | QUARTILE(INC) | QUARTILE.EXC | 差 |
|---|---|---|---|
| Q1(25%) | 73 | 71 | 2 |
| Q2(中央値) | 80.5 | 80.5 | 0 |
| Q3(75%) | 87.25 | 88.75 | 1.5 |
Q2(中央値)は同じ結果ですが、Q1とQ3では値が異なります。QUARTILE.EXC関数のほうが端に寄った値を返す傾向があります。データ数が増えるほど、両者の差は小さくなりますよ。
QUARTILE.EXC関数の実践的な使い方・応用例
成績のランク分けに使う
QUARTILE.EXC関数を使って、統計的に厳密なボーダーラインで成績をA〜Dに振り分けましょう。IFS関数と組み合わせます。
=IFS(B2>=QUARTILE.EXC($B$2:$B$11, 3), "A",
B2>=QUARTILE.EXC($B$2:$B$11, 2), "B",
B2>=QUARTILE.EXC($B$2:$B$11, 1), "C",
TRUE, "D")
結果は以下のようになります。
| 名前 | 得点 | 評価 |
|---|---|---|
| 田中 | 72 | C |
| 鈴木 | 85 | B |
| 佐藤 | 91 | A |
| 山田 | 68 | D |
| 高橋 | 78 | C |
| 伊藤 | 95 | A |
| 渡辺 | 83 | B |
| 中村 | 76 | C |
| 小林 | 88 | B |
| 加藤 | 60 | D |
範囲を絶対参照($B$2:$B$11)にするのがポイントです。数式を下にコピーしても範囲がずれませんよ。
外れ値の検出に使う(IQR法)
品質管理や売上分析では、正常範囲から外れたデータを見つけたい場面があります。QUARTILE.EXC関数を使ったIQR法で外れ値を検出しましょう。
まず、Q1とQ3を求めます。
=QUARTILE.EXC(B2:B11, 1) → Q1 = 71
=QUARTILE.EXC(B2:B11, 3) → Q3 = 88.75
次に、IQR(四分位範囲 = Q3 – Q1)を計算します。
=QUARTILE.EXC(B2:B11, 3) - QUARTILE.EXC(B2:B11, 1)
IQRは88.75 – 71 = 17.75です。
外れ値の判定式は以下のとおりです。
=IF(OR(
B2 > QUARTILE.EXC($B$2:$B$11, 3) + 1.5*(QUARTILE.EXC($B$2:$B$11, 3) - QUARTILE.EXC($B$2:$B$11, 1)),
B2 < QUARTILE.EXC($B$2:$B$11, 1) - 1.5*(QUARTILE.EXC($B$2:$B$11, 3) - QUARTILE.EXC($B$2:$B$11, 1))),
"外れ値", "")
ちょっとむずかしく見えますが、やっていることはシンプルです。Q1とQ3の差(IQR)の1.5倍を超えたデータに「外れ値」と表示しています。
QUARTILE.EXC関数を使うと、端の値に影響されにくいため、より安定した外れ値検出ができますよ。
条件付き書式で四分位ごとに色分けする
QUARTILE.EXC関数を条件付き書式と組み合わせると、データの分布を視覚的に把握できます。
- B2:B11を選択する
- 「表示形式」から「条件付き書式」を開く
- 「カスタム数式」を選び、以下の数式を入力する
上位25%(Q3以上)のセルに色を付ける場合はこちらです。
=B2>=QUARTILE.EXC($B$2:$B$11, 3)
下位25%(Q1以下)のセルに別の色を付ける場合はこちらです。
=B2<=QUARTILE.EXC($B$2:$B$11, 1)
これで上位と下位のデータが一目でわかるようになります。四分位ごとに4色で塗り分ければ、データの分布をさらにわかりやすく表現できますよ。
よくあるエラーと対処法
#NUM!エラー
QUARTILE.EXC関数で最もよく見るエラーです。以下の原因が考えられます。
| 原因 | 対策 |
|---|---|
| 第2引数に0または4を指定 | 1・2・3のいずれかを指定する |
| 第2引数が1未満または3超 | 1〜3の整数を指定する |
| データ範囲が空(数値なし) | 数値が入った範囲を指定する |
よくある間違いは、QUARTILE関数と同じ感覚で「0」や「4」を指定するケースです。QUARTILE.EXC関数では0と4は使えません。最小値を求めたい場合はMIN関数、最大値はMAX関数を使ってください。
#VALUE!エラー
第2引数に文字列を指定すると発生します。数値を直接入力するか、数値が入ったセルを参照してください。
TIP
セル参照で第2引数を指定する場合は、参照先に数値が入っているか確認しましょう。空欄や文字列が入っていると#VALUE!エラーの原因になりますよ。
文字列・論理値の扱い
データ範囲に含まれる文字列やTRUE/FALSEは自動的に無視されます。エラーにはなりませんが、データ件数が想定より少なくなることがあります。有効なデータ数が減ると、計算結果も変わる点に注意してください。
QUARTILE関数との違い
QUARTILE.EXC関数を正しく使い分けるために、QUARTILE関数との違いを整理しましょう。
2つの関数の比較表
| 項目 | QUARTILE(= QUARTILE.INC) | QUARTILE.EXC |
|---|---|---|
| 第2引数の範囲 | 0〜4 | 1〜3 |
| 最小値の取得(0) | 可 | 不可 |
| 最大値の取得(4) | 可 | 不可 |
| 計算方法 | 包含的補間 | 排他的補間 |
| Q1の計算結果(10個の場合) | 73 | 71 |
| Q3の計算結果(10個の場合) | 87.25 | 88.75 |
QUARTILE関数はQUARTILE.INC関数と完全に同じ動作をします。INCは「Inclusive(包含的)」の略で、QUARTILEの正式名称という位置づけです。
どちらを使えばいい?使い分けの基準
| 場面 | おすすめ関数 | 理由 |
|---|---|---|
| 通常の業務(売上分析・ランク分け) | QUARTILE関数 | 0と4も指定でき、シンプルで直感的 |
| 統計的に厳密な分析 | QUARTILE.EXC | 学術・統計の標準的な計算方式に準拠 |
| データ数が少ない(5個未満) | QUARTILE関数 | EXCも使えるが差が大きくなりやすい |
| データ数が多い(30個以上) | どちらでも可 | データが多いほど両者の差は小さくなる |
通常の業務ではQUARTILE関数で問題ありません。統計的に厳密な結果が必要な場合や、学術的なレポートを作成する場合にQUARTILE.EXC関数を使いましょう。
まとめ
QUARTILE.EXC関数は、0と4を除外した排他的四分位数を返す関数です。
この記事のポイント
- 構文は
=QUARTILE.EXC(データ, 四分位数)の2引数 - 第2引数は1・2・3のいずれか(0と4は指定不可)
- QUARTILE関数(包含的)とは計算結果が異なる
- 通常の業務にはQUARTILE関数、統計的に厳密な分析にはQUARTILE.EXCを使う
- データ数が多いほど両者の差は小さくなる
次のステップ:関連する統計関数
QUARTILE.EXC関数の使い方がわかったら、以下の関数もあわせて覚えてみてください。データ分析の幅が広がりますよ。
