「2つのデータ列について、それぞれの二乗を足し合わせた合計を出したい……」。スプレッドシートでこんな計算が必要になったことはありませんか?
セルごとに二乗して足し算して、さらに合計して……と手作業で数式を組むと長くなりがちです。もっとスッキリ書けたら便利ですよね。
そんなときに使うのがスプレッドシートのSUMX2PY2関数です。この記事では基本の書き方から実務での活用例まで解説します。よく似た姉妹関数(SUMX2MY2・SUMXMY2)との違いも比較表で整理しました。
SUMX2PY2関数とは?スプレッドシートで平方の和を求める関数
SUMX2PY2関数(読み方: サム エックス スクエアド プラス ワイ スクエアド)は、2つの配列の対応する要素についてx²+y²の合計を返す関数です。
「SUMX2PY2」は「SUM of X² Plus Y²」の略です。数式で書くと次のようになります。
SUMX2PY2 = Σ(xᵢ² + yᵢ²)
たとえば X = {3, 4} と Y = {1, 2} なら、3²+1²(=10)と 4²+2²(=20)の合計で 30 になります。
SUMX2PY2関数にできることをまとめると、次のとおりです。
- 2つのデータ列の「二乗の和」を一括で合計する
- ユークリッド距離の計算に使える(SQRTと組み合わせ)
- データの全体的な大きさ(スケール)を把握できる
- SUMSQ関数(平方和)の応用として使える
- 姉妹関数のSUMX2MY2・SUMXMY2と組み合わせて多角的な分析ができる
NOTE
SUMX2PY2関数はGoogleスプレッドシートの全バージョンで使えます。Excelにも同名の関数があり、動作は同じです。
SUMX2PY2関数の書き方(構文と引数)
基本構文
=SUMX2PY2(配列_x, 配列_y)
カッコの中に、計算したい2つのセル範囲を指定します。
引数の説明
| 引数 | 必須/任意 | 説明 |
|---|---|---|
| 配列_x | 必須 | 1つ目のデータ範囲(x側) |
| 配列_y | 必須 | 2つ目のデータ範囲(y側) |
2つの配列は同じサイズ(同じ要素数)である必要があります。サイズが異なると #N/A エラーになるので注意してください。
TIP
空のセルや文字列が含まれている場合は、0として扱われます。たとえば x=5、y=空白なら、5²+0² = 25 として計算されますよ。
SUMX2PY2関数の基本的な使い方
以下のサンプルデータでSUMX2PY2関数を使ってみましょう。
A列にデータX、B列にデータYが入っているとします。
| A列(データX) | B列(データY) | |
|---|---|---|
| 2行目 | 3 | 1 |
| 3行目 | 4 | 2 |
| 4行目 | 5 | 3 |
セル範囲で指定する
=SUMX2PY2(A2:A4, B2:B4)
結果は 64 です。内訳を確認してみましょう。
| 要素 | xᵢ² | yᵢ² | xᵢ²+yᵢ² |
|---|---|---|---|
| 1番目 | 3²=9 | 1²=1 | 10 |
| 2番目 | 4²=16 | 2²=4 | 20 |
| 3番目 | 5²=25 | 3²=9 | 34 |
| 合計 | 64 |
各要素をそれぞれ二乗して、その和を取り、最後に合計しています。
計算の仕組みを数式で確認する
SUMX2PY2の結果が正しいか、個別の数式で検算してみましょう。
=SUMPRODUCT(A2:A4^2 + B2:B4^2)
この数式でも同じ結果の 64 が返ります。SUMX2PY2関数は、この計算を1つの関数でまとめてくれるわけですね。
SUMX2PY2関数の実務での活用例
ユークリッド距離の計算に使う
ユークリッド距離とは、2つのデータ間の「直線距離」のことです。座標の異なる2地点間の距離をイメージするとわかりやすいですよ。
たとえば、2つの店舗の売上データを比較してみましょう。
| A列(店舗Aの月別売上) | B列(店舗Bの月別売上) | |
|---|---|---|
| 2行目 | 100 | 120 |
| 3行目 | 150 | 130 |
| 4行目 | 200 | 180 |
2つの店舗のデータの「差の距離」を求めるには、SUMXMY2関数(差の二乗和)とSQRT関数を組み合わせます。
=SQRT(SUMXMY2(A2:A4, B2:B4))
一方、SUMX2PY2は2つのデータの「全体的な大きさ」を測る指標として使います。
=SUMX2PY2(A2:A4, B2:B4)
結果は 136200 です。この値が大きいほど、2つの店舗の売上規模が全体的に大きいことを意味します。
TIP
SUMXMY2が「2つのデータのズレ」を測るのに対し、SUMX2PY2は「2つのデータを合わせた全体の大きさ」を測る指標です。目的に応じて使い分けてみてください。
2つのデータセットの大きさを比較する
SUMX2PY2を使えば、2つのデータセットのスケール(大きさ)を1つの数値で比較できます。
たとえば、2つのチームの月別タスク完了数を比較するケースを考えてみましょう。
| A列(チームA) | B列(チームB) | |
|---|---|---|
| 2行目 | 30 | 25 |
| 3行目 | 45 | 40 |
| 4行目 | 35 | 50 |
| 5行目 | 50 | 30 |
=SUMX2PY2(A2:A5, B2:B5)
結果は 12275 です。
この値自体に大きな意味はありませんが、別の月のデータと比較することで「チーム全体の生産量が増えたか減ったか」を定量的に把握できます。
たとえば前月のSUMX2PY2が8,000だったなら、今月の12,275は生産量が増加したと判断できますよ。
SUMX2MY2・SUMXMY2との違い
スプレッドシートには、SUMX2PY2と名前がよく似た姉妹関数が2つあります。混同しやすいので、比較表で整理しておきましょう。
| 関数名 | 計算内容 | 数式 | 結果の意味 |
|---|---|---|---|
| SUMX2MY2 | 二乗の差の合計 | Σ(xᵢ²-yᵢ²) | xとyの二乗値の差を比較 |
| SUMX2PY2 | 二乗の和の合計 | Σ(xᵢ²+yᵢ²) | xとyの二乗値を合算 |
| SUMXMY2 | 差の二乗の合計 | Σ(xᵢ-yᵢ)² | xとyの差を二乗して合算 |
名前の違いは「MY2」「PY2」「XMY2」の部分です。
同じデータで3つの関数を比較
X = {3, 4, 5}、Y = {1, 2, 3} で計算してみましょう。
=SUMX2MY2(A2:A4, B2:B4) → 36
=SUMX2PY2(A2:A4, B2:B4) → 64
=SUMXMY2(A2:A4, B2:B4) → 12
| 要素 | SUMX2MY2 (x²-y²) | SUMX2PY2 (x²+y²) | SUMXMY2 (x-y)² |
|---|---|---|---|
| 1番目 | 9-1=8 | 9+1=10 | (3-1)²=4 |
| 2番目 | 16-4=12 | 16+4=20 | (4-2)²=4 |
| 3番目 | 25-9=16 | 25+9=34 | (5-3)²=4 |
| 合計 | 36 | 64 | 12 |
どの関数を使えばいい?
- 2つのデータの大きさの優劣を比較したい → SUMX2MY2(差がプラスかマイナスかで判断)
- 2つのデータの全体的な大きさを把握したい → SUMX2PY2(ユークリッドノルムの二乗に相当)
- 2つのデータのズレの大きさを測りたい → SUMXMY2(最小二乗法や誤差の評価に使う)
SUMX2PY2は結果が常にプラスになるため、「どちらが大きいか」の判定には向きません。全体の規模感を把握したいときに使ってみてください。
よくあるエラーと対処法
#N/Aエラー
2つの配列のサイズが異なると #N/A エラーが発生します。
=SUMX2PY2(A2:A4, B2:B5) → #N/Aエラー(3個 vs 4個)
=SUMX2PY2(A2:A4, B2:B4) → 正常に計算される
配列_xと配列_yの行数(要素数)が一致しているか確認してください。COUNT関数で個数を数えてみると原因がわかりやすいですよ。
=COUNT(A2:A4) → 3
=COUNT(B2:B5) → 4(1つ多い)
#VALUE!エラー
引数にセル範囲ではなく文字列を直接指定すると発生します。
=SUMX2PY2("abc", B2:B4) → #VALUE!エラー
SUMX2PY2の引数にはセル範囲を指定してください。セル範囲内に文字列が含まれている場合は0として扱われるので、エラーにはなりません。
まとめ
SUMX2PY2関数は、2つの配列の対応する要素についてx²+y²の合計を返す関数です。
この記事のポイント
- 構文は
=SUMX2PY2(配列_x, 配列_y)で、2つのセル範囲を指定する - 平方の和(Σ(xᵢ²+yᵢ²))を一発で計算できる
- 結果は常にプラスになり、データの全体的な大きさを把握できる
- 2つの配列のサイズが異なると#N/Aエラーになる
- 姉妹関数のSUMX2MY2(二乗の差の合計)・SUMXMY2(差の二乗の合計)と使い分ける
次のステップ:関連する関数
SUMX2PY2関数の使い方がわかったら、以下の関数もあわせて覚えてみてください。データ分析の幅が広がりますよ。
