スプレッドシートのTBILLPRICE関数の使い方|米国T-Billの価格を割引率から計算

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「割引率が4%の T-Bill を買うと、実際にいくら支払えばいいの?」——そう思ったときに使う関数が TBILLPRICE です。割引率を入力するだけで、額面100に対する購入価格を返してくれますよ。

この記事では、スプレッドシートの TBILLPRICE 関数の使い方を、構文・計算例・よくあるエラーの対処まで同僚に教える感覚で解説します。TBILLEQ・TBILLYIELD との使い分けも整理しているので、外債管理や財務モデルの実務にぜひ活用してください。

スプレッドシートの TBILLPRICE 関数とは?

スプレッドシートの TBILLPRICE 関数は、米国財務省短期証券(T-Bill / Treasury Bill)の割引率から、額面100あたりの購入価格を計算する財務関数です。

関数名の TBILLPRICE は “Treasury Bill Price”(T-Bill の価格)を略したものです。

T-Bill は割引発行の短期証券で、購入時に額面より安い価格で買い、満期に額面通りの金額を受け取ります。その差額が利益(利子に相当)です。TBILLPRICE を使えば「割引率4%の26週T-Bill を今日買うといくら?」という疑問に、数式1つで答えられますよ。

返す値は「額面100あたりの価格」(例: 98.02)で、パーセントではなく金額(ドル)として扱います。実際の投資額は「TBILLPRICE × 購入額面 ÷ 100」で計算できます。

TBILLPRICE は T-Bill 関連の 3 関数ファミリーの一員です。

関数入力(決済日・満期日+)返す値主な用途
TBILLPRICE割引率額面100あたりの価格割引率から実勢価格を求める
TBILLYIELD購入価格利回り(discount yield相当)購入価格から利回りを求める
TBILLEQ割引率債券等価利回り(BEY、365日ベース)割引率を年率利回りに換算して比較

TBILLPRICE 関数の構文と引数

TBILLPRICE 関数の構文は次のとおりです。

=TBILLPRICE(決済日, 満期日, 割引率)

英語表記だと =TBILLPRICE(settlement, maturity, discount) となります。

引数省略説明
決済日(settlement)必須T-Billの受渡日(購入が完了する日)。DATE 関数での指定を推奨
満期日(maturity)必須T-Billの満期日。決済日から1年以内の日付を指定
割引率(discount)必須T-Billの年間割引率。0より大きく1より小さい小数で指定(例: 4%→0.04)

TBILLPRICE も TBILLEQ と同様、basis(日数計算方法)引数は存在しません。常に360日基準の割引計算が行われます。

返す値は「額面100に対する価格」です。たとえば 98.02 という結果なら「額面100に対して98.02ドルで購入できる」という意味ですよ。

TBILLPRICE の内部計算式

参考として、TBILLPRICE の計算式を示します。

TBILLPRICE = 100 × (1 − 割引率 × DSM / 360)
  • DSM: 決済日から満期日までの実日数

割引率が大きいほど、期間が長いほど価格は低くなります。

TBILLPRICE 関数の基本的な使い方

6か月 T-Bill の価格を求める

割引率 4%(= 0.04)の 6か月 T-Bill を 2024/1/1 に購入し、満期日が 2024/7/1(DSM=182日)の場合です。

セル項目
B2決済日2024/1/1
B3満期日2024/7/1
B4割引率0.04
=TBILLPRICE(B2, B3, B4)

結果は 約 97.978 です。額面100に対して97.978ドルで購入できるということですよ。

DATE 関数を使って直接指定することもできます。

=TBILLPRICE(DATE(2024,1,1), DATE(2024,7,1), 0.04)

3か月 T-Bill の価格を求める

割引率 5%(= 0.05)の 3か月 T-Bill で決済日が 2024/4/1、満期日が 2024/7/1(DSM=91日)の場合です。

=TBILLPRICE(DATE(2024,4,1), DATE(2024,7,1), 0.05)

結果は 約 98.736 です。期間が短いほど価格は額面に近くなりますよ。

割引率が異なる複数の T-Bill を比較する

割引率3%・4%・5%で同じ期間(26週, DSM=182)の価格を並べると、割引率と価格の関係が一目でわかります。

割引率数式結果(価格)
3%(0.03)=TBILLPRICE(DATE(2024,1,1), DATE(2024,7,1), 0.03)約 98.483
4%(0.04)=TBILLPRICE(DATE(2024,1,1), DATE(2024,7,1), 0.04)約 97.978
5%(0.05)=TBILLPRICE(DATE(2024,1,1), DATE(2024,7,1), 0.05)約 97.472

割引率が高いほど購入価格が低くなり、その分だけ満期時の利益(額面との差額)が大きくなることがわかりますよ。

TBILLYIELD・TBILLEQ との使い分け

T-Bill 3 関数は、知りたい情報によって使い分けます。

知りたいこと使う関数第3引数返す値
割引率 X% なら何円で買える?TBILLPRICE割引率価格(額面100あたり)
この価格で買うと利回りは何%?TBILLYIELD価格利回り(小数)
他の債券と利回りを比べたいTBILLEQ割引率債券等価利回り・BEY(小数)

TBILLPRICE とTBILLYIELD 関数は逆関数の関係です。TBILLPRICE で求めた価格を TBILLYIELD に渡すと、元の割引率が戻ってきますよ。

=TBILLPRICE(DATE(2024,1,1), DATE(2024,7,1), 0.04)  → 97.978(価格)
=TBILLYIELD(DATE(2024,1,1), DATE(2024,7,1), 97.978) → 約 0.04(元の割引率)

実務では TBILLPRICE で購入コストを確認し、TBILLEQ 関数で BEY に換算して他資産と比較する、という組み合わせが多いですよ。

決済日から満期日は1年以内にする

TBILLPRICE にも「決済日から満期日までが1年(365日)以内」という制約があります。T-Bill の期間(通常4週間・13週間・26週間・52週間)に合わせた設計です。

1年を超える期間を指定すると #NUM! エラーになります。長期債の価格計算には PRICEDISC 関数や PRICE 関数を使ってください。

よくあるエラーと対処法

#NUM! エラー

最も多いエラーです。以下のケースで発生します。

発生条件対処法
決済日 ≥ 満期日決済日が満期日より前になるよう修正する
割引率 ≤ 0 または ≥ 10.04のように0より大きく1より小さい小数で指定する
満期日 − 決済日 > 1年T-Bill の期間は1年以内に設定する

#VALUE! エラー

引数に日付・数値として解釈できない値が入っている場合に発生します。日付を直接入力するときは DATE(2024,7,1) のように DATE 関数を使うと確実ですよ。

#NAME? エラー

関数名のスペルミスが原因です。TBILLPRICT-BILLPRICETBILL PRICE などは存在しない関数名です。

Excel との互換性と実務での活用

TBILLPRICE 関数は Excel・Google スプレッドシート・LibreOffice Calc で同じ計算結果を返します。Excel ファイル(.xlsx)をスプレッドシートで開いてもそのまま動作しますよ。

実務での主な活用シーンは次のとおりです。

  • 外債購入コストの試算: 金利変動シナリオで割引率を変えながら、購入価格への影響をシミュレーションする
  • MMF(Money Market Fund)の NAV 計算: 組み入れ T-Bill の時価評価に使う
  • CFA 試験対策: Level 1 で T-Bill の価格計算が出題範囲
  • 金融モデルの感度分析: 割引率を1列に並べ、TBILLPRICE で一括計算して価格の変化を可視化する

まとめ

スプレッドシートの TBILLPRICE 関数は、米国財務省短期証券(T-Bill)の割引率から額面100あたりの購入価格を計算する財務関数です。ポイントをまとめておきます。

  • 引数は決済日・満期日・割引率の3つ(省略可能な引数はなし、basis も存在しない)
  • 割引率は 0 より大きく 1 より小さい小数で指定(例: 4% → 0.04)
  • 結果は額面100あたりの価格(例: 97.978)として返る
  • 決済日から満期日は1年以内(T-Bill の定義に準拠)
  • TBILLYIELD が「価格 → 利回り」の逆関数、TBILLEQ が「割引率 → BEY 換算」
  • Excel・LibreOffice Calc との互換性があり、.xlsx ファイルをそのまま開いても動作する

T-Bill の購入コストを素早く試算したいときや、割引率変動シナリオで価格感度を分析したいときに TBILLPRICE を活用してください。割引債の満期受取額計算にはRECEIVED 関数、利払日管理にはCOUPNCD 関数も合わせて参照してみてください。

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