「データの散らばりをざっくり把握したいけど、何から手をつければいいかわからない…」そんな場面、ありますよね。
たとえば売上データや試験の点数を分析するとき、平均だけではデータの偏りが見えてきません。そこで便利なのが四分位数(データを4等分したときの区切りの値)です。
ExcelのQUARTILE.INC関数を使えば、最小値から最大値まで含めた四分位数をかんたんに求められます。この記事では、基本の書き方から実践例、エラー対処法まで順番に解説していきますね。
ExcelのQUARTILE.INC関数とは?
QUARTILE.INC関数は、データセットの四分位数を返す統計関数です。読み方は「クアタイル・インクルーシブ」で、「QUARTILE」は英語で「4分の1」、「INC」は「Inclusive(含む)」に由来しています。
この関数のポイントは、0%(最小値)から100%(最大値)まで含めた範囲で四分位数を計算することです。戻り値に0を指定すれば最小値、4を指定すれば最大値も取得できます。
対応バージョンはExcel 2010以降です。Excel 2007以前をお使いの場合は、旧バージョンのQUARTILE関数を使ってくださいね。
QUARTILE.INC関数の書き方
基本構文
=QUARTILE.INC(配列, 戻り値)
引数は2つとも必須です。省略するとエラーになるので注意してください。
引数の説明
| 引数 | 必須/省略可 | 説明 |
|---|---|---|
| 配列 | 必須 | 四分位数を求めたい数値データの範囲またはセル範囲 |
| 戻り値 | 必須 | 返す四分位数の種類を0〜4の数値で指定 |
「戻り値」に指定できる数値と、それぞれの意味は以下のとおりです。
| 戻り値 | 意味 | パーセント位置 |
|---|---|---|
| 0 | 最小値 | 0% |
| 1 | 第1四分位数 | 25% |
| 2 | 第2四分位数(中央値) | 50% |
| 3 | 第3四分位数 | 75% |
| 4 | 最大値 | 100% |
0〜4以外の値を指定すると#NUM!エラーになります。QUARTILE.EXC関数では1〜3しか指定できませんが、QUARTILE.INC関数なら0と4も使えるのが大きな違いですよ。
計算のしくみ
QUARTILE.INC関数は線形補間(前後の値を比率で按分する計算)で四分位数を求めます。データがちょうど25%や75%の位置にない場合は、前後の値から自動で按分してくれます。
たとえば5個のデータ {10, 20, 30, 40, 50} の第1四分位数は 20 です。ちょうど25%の位置にデータがある場合はその値がそのまま返ります。位置にぴったりのデータがないときは、前後の値を按分して計算してくれますよ。
QUARTILE.INC関数の基本的な使い方
実際にQUARTILE.INC関数を使ってみましょう。以下のサンプルデータで試してみます。
サンプルデータ(A1:A8): 20, 35, 40, 50, 60, 70, 80, 95
第1四分位数(25%の位置)を求めるには、次のように入力します。
=QUARTILE.INC(A1:A8, 1)
結果は 38.75 になります。データの下位25%の位置にある値です。
同じデータで5つの四分位数をまとめて確認してみましょう。
| 数式 | 戻り値 | 結果 | 意味 |
|---|---|---|---|
| =QUARTILE.INC(A1:A8, 0) | 0 | 20 | 最小値 |
| =QUARTILE.INC(A1:A8, 1) | 1 | 38.75 | 下位25%の位置 |
| =QUARTILE.INC(A1:A8, 2) | 2 | 55 | 中央値(50%の位置) |
| =QUARTILE.INC(A1:A8, 3) | 3 | 72.5 | 上位25%の位置 |
| =QUARTILE.INC(A1:A8, 4) | 4 | 95 | 最大値 |
戻り値0と4がMIN関数・MAX関数と同じ結果を返す点がポイントです。1つの関数でデータの全体像をつかめるのは便利ですよね。
QUARTILE.INC関数の実践的な使い方
テストの成績分布を分析する
たとえば、10人のテスト成績がA1:A10に入っている場合を考えてみましょう。データは 45, 52, 58, 63, 68, 72, 75, 81, 88, 95 です。
=QUARTILE.INC(A1:A10, 1) → 結果: 59.25(下位25%ライン)
=QUARTILE.INC(A1:A10, 2) → 結果: 70(中央値)
=QUARTILE.INC(A1:A10, 3) → 結果: 86.25(上位25%ライン)
この結果から、「59点以下が下位グループ、70点が真ん中、86点以上が上位グループ」という分布がわかります。平均点だけでは見えないデータの散らばりが、四分位数で一目瞭然になりますよ。
四分位範囲(IQR)で外れ値を検出する
四分位範囲(IQR)は、第3四分位数から第1四分位数を引いた値です。データの散らばり具合を示す指標として、外れ値の検出に使われます。
=QUARTILE.INC(A1:A10, 3) - QUARTILE.INC(A1:A10, 1)
上のテストデータの場合、IQR = 86.25 – 59.25 = 27 です。
外れ値の判定基準は以下のとおりです。
- 下側: Q1 – 1.5 x IQR = 59.25 – 40.5 = 18.75 より小さい値
- 上側: Q3 + 1.5 x IQR = 86.25 + 40.5 = 126.75 より大きい値
この範囲を外れるデータが外れ値の候補になります。箱ひげ図でも同じ考え方が使われているので、覚えておくと便利ですよ。
五数要約を一覧にまとめる
五数要約(最小値・Q1・中央値・Q3・最大値の5つの値)は、データの分布を把握するための基本的な統計指標です。QUARTILE.INC関数なら、戻り値を0〜4に変えるだけで一覧が作れます。
| セル | 数式 | 説明 |
|---|---|---|
| B1 | =QUARTILE.INC(A1:A10, 0) | 最小値 |
| B2 | =QUARTILE.INC(A1:A10, 1) | 第1四分位数 |
| B3 | =QUARTILE.INC(A1:A10, 2) | 中央値 |
| B4 | =QUARTILE.INC(A1:A10, 3) | 第3四分位数 |
| B5 | =QUARTILE.INC(A1:A10, 4) | 最大値 |
この表があれば、データの特徴がひと目でわかります。報告書や資料にそのまま貼り付けられるので、実務で重宝しますよ。
QUARTILE.INC関数のよくあるエラーと対処法
#NUM! エラー
QUARTILE.INC関数で最もよく見るエラーです。以下の場合に発生します。
- 戻り値が0〜4の範囲外: 5や-1を指定するとエラーになります。0〜4の整数を指定してください。
- 配列が空: データが1つもない場合にエラーになります。セル範囲にデータが入っているか確認しましょう。
#VALUE! エラー
戻り値に数値以外の文字列を指定した場合に発生します。たとえば「一」や「first」などを指定するとこのエラーが出ます。0〜4の数値を半角で入力してくださいね。
エラーへの安全対策
エラーが出るとシートの見た目が崩れることがありますよね。IFERROR関数と組み合わせれば、エラーの代わりにメッセージを表示できます。
=IFERROR(QUARTILE.INC(A1:A10, B1), "値を確認してください")
B1に入力された戻り値が不正な場合でも、エラーの代わりにメッセージが表示されるので安心ですよ。
QUARTILE.INCと似た関数の違い・使い分け
QUARTILE.INCとQUARTILE.EXCの違い
最も混同しやすいのがこの2つの関数です。違いは「0%と100%を含むかどうか」です。
| 項目 | QUARTILE.INC | QUARTILE.EXC |
|---|---|---|
| 0%(最小値) | 取得できる(戻り値=0) | 取得できない |
| 100%(最大値) | 取得できる(戻り値=4) | 取得できない |
| 戻り値の範囲 | 0〜4 | 1〜3 |
| 計算方法 | 両端を含めて補間 | 両端を除外して補間 |
| 同じデータでの結果 | QUARTILE関数と同じ | わずかに異なる |
通常の業務データ分析では、どちらを使っても大きな差はありません。最小値・最大値もまとめて取得したいならQUARTILE.INCが便利です。統計的に厳密な四分位数が必要ならQUARTILE.EXC関数を選びましょう。迷ったらQUARTILE.INCを選んでおけば大丈夫ですよ。
QUARTILE関数との関係
QUARTILE関数は旧バージョン(Excel 2007以前)との互換性を維持するための関数です。動作はQUARTILE.INC関数とまったく同じですが、今後のバージョンで廃止される可能性があります。新しくシートを作る場合はQUARTILE.INC関数を使うようにしましょう。
PERCENTILE.INC関数との関係
QUARTILE.INC関数は、PERCENTILE.INC関数の特殊なケースです。QUARTILE.INC(配列, 1)はPERCENTILE.INC(配列, 0.25)と同じ結果を返します。4等分以外の細かいパーセンタイル(10%、90%など)が必要な場合は、PERCENTILE.INC関数を使ってみてください。
まとめ
ExcelのQUARTILE.INC関数は、最小値から最大値まで含めた四分位数を求める関数です。最後にポイントを整理しておきましょう。
- 構文: =QUARTILE.INC(配列, 戻り値) で、戻り値は0〜4を指定
- 特徴: 0(最小値)と4(最大値)も取得できる(QUARTILE.EXCとの違い)
- 活用場面: データの散らばり把握、五数要約の作成、外れ値検出(IQR法)
- エラー対策: 戻り値は0〜4の整数のみ。不正値は#NUM!エラーになる
- 旧関数との関係: QUARTILE関数と同じ動作。新規作成ではQUARTILE.INCを推奨
データの分布を把握するときに、ぜひ活用してみてくださいね。
