「データの偏りを調べたいけど、平均値だけだと実態がつかめない…」そんな場面、ありますよね。
たとえば営業成績の分布を見たいとき、平均値だけでは上位と下位の差がわかりません。こうした場面で役立つのが四分位数(データを4等分したときの区切りの値)です。
ExcelのQUARTILE.EXC関数を使えば、0%と100%を除いた四分位数をかんたんに求められますよ。この記事では、基本の書き方から実践例、エラー対処法まで順番に解説していきます。
ExcelのQUARTILE.EXC関数とは?
QUARTILE.EXC関数は、データセットの四分位数を返す統計関数です。読み方は「クアタイル・エクスクルーシブ」で、「QUARTILE」は英語の「4分の1」、「EXC」は「Exclusive(除外する)」に由来しています。
この関数のポイントは、0%(最小値)と100%(最大値)を除外した範囲で四分位数を計算することです。つまり、戻り値に指定できるのは第1四分位(25%)、第2四分位(50%=中央値)、第3四分位(75%)の3つだけになります。
対応バージョンはExcel 2010以降です。Excel 2007以前をお使いの場合は、旧バージョンのQUARTILE関数を使ってくださいね。
ExcelのQUARTILE.EXC関数の書き方
基本構文
=QUARTILE.EXC(配列, 戻り値)
引数は2つとも必須です。省略するとエラーになるので注意してください。
引数の説明
| 引数 | 必須/省略可 | 説明 |
|---|---|---|
| 配列 | 必須 | 四分位数を求めたい数値データの範囲またはセル範囲 |
| 戻り値 | 必須 | 返す四分位数の種類を1〜3の数値で指定 |
「戻り値」に指定できる数値と、それぞれの意味は以下のとおりです。
| 戻り値 | 意味 | パーセント位置 |
|---|---|---|
| 1 | 第1四分位数 | 25% |
| 2 | 第2四分位数(中央値) | 50% |
| 3 | 第3四分位数 | 75% |
0や4を指定すると#NUM!エラーになります。ここがQUARTILE.INC関数との大きな違いですよ。
QUARTILE.EXC関数の基本的な使い方
実際にQUARTILE.EXC関数を使ってみましょう。以下のサンプルデータで試してみます。
サンプルデータ(A1:A8): 20, 35, 40, 50, 60, 70, 80, 95
第1四分位数(25%の位置)を求めるには、次のように入力します。
=QUARTILE.EXC(A1:A8, 1)
結果は 36.25 になります。これはデータの下位25%の位置にある値です。
同じデータで3つの四分位数をまとめて確認してみましょう。
| 数式 | 戻り値 | 結果 | 意味 |
|---|---|---|---|
| =QUARTILE.EXC(A1:A8, 1) | 1 | 36.25 | 下位25%の位置 |
| =QUARTILE.EXC(A1:A8, 2) | 2 | 55 | 中央値(50%の位置) |
| =QUARTILE.EXC(A1:A8, 3) | 3 | 77.5 | 上位25%の位置 |
第2四分位数の55は、MEDIAN関数で求めた中央値と同じ値になりますよ。
QUARTILE.EXC関数の実践的な使い方
テストの成績分布を分析する
たとえば、10人のテスト成績(A1:A10に 45, 52, 58, 63, 68, 72, 75, 81, 88, 95 が入っている場合)から成績のばらつきを把握したい場面を考えてみましょう。
=QUARTILE.EXC(A1:A10, 1) → 結果: 56.5(下位25%ライン)
=QUARTILE.EXC(A1:A10, 2) → 結果: 70(中央値)
=QUARTILE.EXC(A1:A10, 3) → 結果: 82.75(上位25%ライン)
この結果から、「56点以下が下位グループ、70点が真ん中、82点以上が上位グループ」という分布がわかります。
四分位範囲(IQR)を求めて外れ値を検出する
四分位範囲(IQR)は、第3四分位数から第1四分位数を引いた値です。データのばらつき具合を示す指標として、外れ値の検出によく使われます。
=QUARTILE.EXC(A1:A10, 3) - QUARTILE.EXC(A1:A10, 1)
上のテストデータの場合、IQR = 82.75 – 56.5 = 26.25 です。一般的に、Q1 – 1.5 x IQR より小さい値、または Q3 + 1.5 x IQR より大きい値は外れ値と判断します。この方法は箱ひげ図でも使われている考え方ですよ。
よくあるエラーと対処法
#NUM! エラー
QUARTILE.EXC関数で最もよく見るエラーです。以下の場合に発生します。
- 戻り値に0または4を指定した場合: QUARTILE.EXC関数は0%と100%を除外するため、0や4は指定できません。0(最小値)や4(最大値)を取得したい場合は、MIN関数やMAX関数を使いましょう。
- データの個数が少なすぎる場合: データが3個以下だと、四分位数を計算できずにエラーになります。最低4個以上のデータを用意してください。
#VALUE! エラー
戻り値に数値以外の文字列を指定した場合に発生します。「1」「2」「3」のいずれかの数値を指定しているか確認してみてください。
#NUM! エラーへの安全対策
戻り値が正しい範囲かどうかを事前にチェックしたい場合は、IFERROR関数と組み合わせると安心です。
=IFERROR(QUARTILE.EXC(A1:A10, B1), "値を確認してください")
B1に入力された戻り値が不正な場合でも、エラーの代わりにメッセージが表示されますよ。
QUARTILE.EXC関数と似た関数との違い
QUARTILE.EXCとQUARTILE.INCの違い
最も混同しやすいのがこの2つの関数です。違いは「0%と100%を含むかどうか」です。
| 項目 | QUARTILE.EXC | QUARTILE.INC |
|---|---|---|
| 0%(最小値) | 取得できない | 取得できる(戻り値=0) |
| 100%(最大値) | 取得できない | 取得できる(戻り値=4) |
| 戻り値の範囲 | 1〜3 | 0〜4 |
| 計算方法 | 両端を除外して補間 | 両端を含めて補間 |
| 同じデータでの結果 | わずかに異なる | QUARTILE関数と同じ |
通常の業務データ分析では、どちらを使っても大きな差はありません。ただし、統計的に厳密な四分位数が必要な場合はQUARTILE.EXC、最小値・最大値も含めて手軽に分析したい場合はQUARTILE.INC関数が向いていますよ。
QUARTILE関数との関係
QUARTILE関数は旧バージョン(Excel 2007以前)との互換性を維持するための関数です。動作はQUARTILE.INC関数と同じですが、今後のバージョンで廃止される可能性があります。新しくシートを作る場合は、QUARTILE.EXCまたはQUARTILE.INC関数を使うようにしましょう。
PERCENTILE.EXC関数との関係
QUARTILE.EXC関数は、PERCENTILE.EXC関数の特殊なケースです。QUARTILE.EXC(配列, 1)は PERCENTILE.EXC(配列, 0.25)と同じ結果を返します。4等分以外の細かいパーセンタイルが必要な場合は、PERCENTILE.EXC関数を使ってみてください。
まとめ
QUARTILE.EXC関数は、0%と100%を除外した四分位数を求める関数です。最後にポイントを整理しておきましょう。
- 構文: =QUARTILE.EXC(配列, 戻り値) で、戻り値は1〜3を指定
- 特徴: 0(最小値)と4(最大値)は指定できない。指定すると#NUM!エラー
- QUARTILE.INCとの違い: 0%・100%を含むかどうか。通常の分析ではどちらでもOK
- 実務での活用: 四分位範囲(IQR)の計算や、外れ値の検出に便利
- データ数に注意: 最低4個以上のデータが必要
データの分布を把握するときに、ぜひ活用してみてくださいね。
