「スプレッドシートにAI機能があるらしいけど、どうやって使うの?」と気になっている方、多いのではないでしょうか。
顧客アンケートの分類や、海外から届いたデータの翻訳など、手作業でやると地味に時間がかかる作業がありますよね。こうした作業を放置していると、毎月何時間もの工数がムダになってしまいます。かといって、関数を組み合わせて自動化するのもハードルが高い。
そんなときに使えるのが、Googleスプレッドシートに搭載されたGeminiのAI関数です。この記事では、=AI()関数の基本的な書き方から実務で使える3つの活用例、さらにCopilot in Excelとの比較まで解説します。手順どおりに進めれば、関数の知識がなくてもすぐに試せますよ。
Gemini in スプレッドシートとは?できること一覧
Gemini in スプレッドシートは、Googleの生成AI「Gemini」をスプレッドシート上で直接使える機能です。2025年にかけて段階的に展開され、日本語環境でも利用できるようになりました。
使い方は大きく分けて2つあります。
サイドパネルと=AI()関数の2つの使い方
| 機能 | できること | 向いている作業 |
|---|---|---|
| サイドパネル | シート全体に対する質問・要約・分析 | 「この表の傾向を教えて」など全体把握 |
| =AI()関数 | セル単位でAIにプロンプトを送り、結果を返す | 分類・翻訳・要約など行ごとの繰り返し処理 |
サイドパネルは「データ全体を俯瞰したいとき」に便利です。一方、=AI()関数は「各セルのデータを1つずつ処理したいとき」に力を発揮します。
この記事では、実務で活用の幅が広い=AI()関数を中心に解説していきます。
利用条件と対応プラン
=AI()関数を使うには、以下のいずれかのプランが必要です。
- Google Workspace Business Standard(月額1,360円/ユーザー)以上
- Google Workspace Business Plus(月額2,040円/ユーザー)以上
- Gemini Business / Enterprise アドオン
無料のGoogleアカウント(個人用Gmail)では利用できません。会社でGoogle Workspaceを導入しているなら、管理者にGemini機能が有効か確認してみてください。
NOTE
=AI()関数は以前は=Gemini()という名前でした。現在はどちらでも動作しますが、公式ドキュメントでは=AI()が推奨されています。
出典: Google Workspace の AI 機能 / AI 関数ヘルプ
=AI()関数の基本的な書き方
基本構文と引数の説明
=AI()関数の構文はとてもシンプルです。
=AI(プロンプト)
セル参照を組み合わせる場合は、次のように書きます。
=AI("このテキストを要約して: " & A2)
| 引数 | 必須/省略可 | 説明 |
|---|---|---|
| プロンプト | 必須 | AIに送る指示文。テキスト直書き、またはセル参照と「&」で結合して指定 |
ポイントは、プロンプトにセル参照を組み込めることです。「A列の各データに同じ処理をする」といった繰り返し作業を、数式コピーだけで一括処理できます。
ちょっとむずかしく見えますが、やっていることはシンプルです。「AIへの質問文にセルの中身を差し込んでいる」だけですね。
プロンプトの書き方のコツ
=AI()関数で期待どおりの結果を得るには、プロンプトの書き方にコツがあります。
1. 出力形式を指定する
=AI("次のコメントのカテゴリを「苦情」「要望」「感想」のいずれか1つで答えて: " & A2)
「いずれか1つで」と指定すると、余計な説明文がつかずセルに入れやすい結果が返ります。
2. 回答の長さを制限する
=AI("次の文章を50文字以内で要約して: " & A2)
文字数を指定しないと、長い回答が返ってセルが見づらくなることがあります。
3. 言語を指定する
=AI("Translate the following to Japanese in one sentence: " & A2)
翻訳系のタスクでは、出力言語を明示するのがポイントです。
実務で使えるAI関数の活用例3選
ここからは、事務職の方がすぐに試せる3つの活用例を紹介します。
活用例1:顧客コメントの自動カテゴリ分類
お客様アンケートやサポート問い合わせの内容を、手作業で分類していませんか? =AI()関数なら、自然言語のコメントを自動でカテゴリ分けできます。

手順:
ステップ1: A列に顧客コメントを入力します。
ステップ2: B1セルに「カテゴリ」と見出しを入力します。
ステップ3: B2セルに次の数式を入力します。
=AI("次の顧客コメントを「苦情」「要望」「お褒め」「質問」のいずれか1つに分類して、カテゴリ名だけを答えて: " & A2)
ステップ4: B2セルを下方向にコピーすれば、全行が自動で分類されます。
| A列(顧客コメント) | B列(=AI()の結果) |
|---|---|
| 商品が届くのが遅すぎます | 苦情 |
| カラーバリエーションを増やしてほしい | 要望 |
| スタッフの対応がとても丁寧でした | お褒め |
| 返品の手続きはどうすればいいですか | 質問 |
これまでIF関数やIFS関数で条件分岐を組んでいた作業が、AI関数なら自然言語の指示だけで実現できます。条件分岐の式を考える必要がないのは大きなメリットですよね。
従来のIF関数を使った条件分岐について詳しく知りたい方は、「[[ExcelのIF関数の使い方|基本から複数条件まで実例で解説]]」も参考にしてみてください。複数条件での分岐なら「[[ExcelのIFS関数の使い方|複数条件の分岐を実例で解説]]」もあわせてどうぞ。
活用例2:英語データの一括翻訳
海外拠点やグローバルなサービスを使っていると、英語のデータが届くことがありますよね。Google翻訳に1つずつコピペするのは面倒ですが、=AI()関数なら一括で翻訳できます。

手順:
ステップ1: A列に英語テキストを配置します。
ステップ2: B2セルに次の数式を入力します。
=AI("次の英語を自然な日本語に翻訳して。翻訳結果だけを答えて: " & A2)
ステップ3: 数式を下方向にコピーすれば、全行が自動翻訳されます。
| A列(英語データ) | B列(=AI()の結果) |
|---|---|
| The quarterly report is due by Friday | 四半期レポートの締め切りは金曜日です |
| Please review the attached proposal | 添付の提案書を確認してください |
| Meeting rescheduled to next Monday | 会議は来週月曜日に変更されました |
NOTE
GoogleスプレッドシートにはGOOGLETRANSLATE関数という翻訳専用の関数もあります。単純な翻訳ならGOOGLETRANSLATE関数、ニュアンスを考慮した自然な翻訳なら=AI()関数と使い分けるのがおすすめです。
活用例3:自由記述アンケートの感情分析
社内アンケートや顧客満足度調査で「自由記述」の回答が大量にあると、内容を読み込むだけでも大変です。=AI()関数なら、テキストの感情を自動で判定できます。

手順:
ステップ1: A列に自由記述回答を配置します。
ステップ2: B2セルに次の数式を入力します。
=AI("次のアンケート回答の感情を「ポジティブ」「ネガティブ」「ニュートラル」のいずれか1つで判定して。判定結果だけを答えて: " & A2)
ステップ3: 数式を下方向にコピーすれば、全行の感情が自動判定されます。
さらに一歩進めて、キーワード抽出も同時に行えます。
=AI("次の回答から最も重要なキーワードを1つだけ抽出して: " & A2)
感情判定とキーワード抽出を組み合わせれば、「ネガティブ回答で多いキーワード」をピボットテーブルで集計するといった分析もスプレッドシートだけで完結します。
Copilot in Excel vs Gemini in スプレッドシート比較
AIを活用した表計算ツールとして、MicrosoftのCopilot in Excelも注目されています。どちらを使うべきか迷っている方のために、主要な違いを比較表にまとめました。
| 比較項目 | Gemini in スプレッドシート | Copilot in Excel |
|---|---|---|
| AI関数 | =AI()でセル内プロンプト実行 | 関数での直接実行は非対応 |
| サイドパネル | データ分析・質問・グラフ作成 | データ分析・質問・数式生成・VBA生成 |
| 料金 | Business Standard 月額1,360円〜に含まれる | 月額30ドル(約4,500円)の追加ライセンスが必要 |
| 対応環境 | ブラウザ(Chrome推奨) | デスクトップアプリ + Web版 |
| 日本語対応 | 対応済み | 対応済み |
| 強み | セル単位のAI処理を関数で自動化 | VBAコード生成、高度なデータ分析 |
出典: Microsoft 365 Copilot 料金 / Google Workspace 料金
どちらを選ぶべきか?
Geminiがおすすめのケース:
- すでにGoogle Workspaceを使っている
- セル単位の繰り返し処理(分類・翻訳・要約)を自動化したい
- コストを抑えたい
Copilotがおすすめのケース:
- ExcelとMicrosoft 365が業務の中心
- VBAコードの自動生成が必要
- デスクトップアプリで高速に処理したい
すでにGoogle Workspaceを契約しているなら、追加コストなしで使えるGeminiから試してみるのがおすすめです。
うまくいかないときの対処法
=AI()関数を使っていて「思ったように動かない」ケースもあります。よくあるトラブルと対処法をまとめました。
=AI()関数が使えない場合の確認ポイント
「この関数は認識されません」と表示される場合:
- Workspaceプランを確認 — 無料のGoogleアカウントでは利用できません。Business Standard以上が必要です
- 管理者設定を確認 — Workspace管理者がGemini機能を有効にしている必要があります。管理コンソールの設定を確認してもらいましょう
- ブラウザを更新 — Chromeの最新版を使用しているか確認してください
数式は入力できるが結果が返ってこない場合:
- セルの書式を確認 — 書式が「テキスト」だと数式として認識されません。「自動」に変更してください
- しばらく待つ — =AI()関数はAIに問い合わせるため、通常の関数より時間がかかります。数秒〜十数秒は待ってみましょう
期待通りの結果が返ってこないときのプロンプト改善
「分類結果が安定しない」「余計な説明文がつく」場合は、プロンプトを改善しましょう。
改善前(NG例):
=AI("このコメントを分類して: " & A2)
曖昧な指示だと、AIが独自にカテゴリを作ったり長い説明を返したりします。
改善後(OK例):
=AI("次のコメントを「苦情」「要望」「お褒め」「質問」のいずれか1つに分類して、カテゴリ名だけを答えて: " & A2)
ポイントは3つです。
- 選択肢を明示する(「苦情」「要望」「お褒め」「質問」)
- 出力形式を指定する(「カテゴリ名だけを答えて」)
- 回答数を制限する(「いずれか1つ」)
これらを意識するだけで、結果の安定性がぐっと上がりますよ。
VBAやマクロで自動化していた作業をAI関数に置き換えたい方は、「[[Excel VBAとマクロの違いとは?初心者向けにわかりやすく解説]]」で自動化の基本を押さえておくと使い分けがしやすくなります。
まとめ
この記事では、Googleスプレッドシートで使えるGeminiのAI関数(=AI())の使い方を解説しました。
ポイントをおさらいしましょう。
- =AI()関数を使えば、セル単位でAIにプロンプトを送って結果を受け取れる
- プロンプトのコツは「選択肢の明示」「出力形式の指定」「回答数の制限」
- 活用例として、コメント分類・翻訳・感情分析を紹介
- Copilot in Excelと比べて、セル単位の関数処理とコスト面でGeminiに優位性がある
- 利用条件はGoogle Workspace Business Standard以上
関数の知識がなくても、自然言語で指示を書くだけでデータ処理を自動化できるのがAI関数の魅力です。まずは身近なデータで「コメントの分類」から試してみてください。
普段の業務でExcelのIF関数やIFS関数を使って条件分岐している方は、同じ作業がAI関数でどれだけラクになるか、ぜひ比較してみてくださいね。