スプレッドシートのTBILLYIELD関数の使い方|米国T-Billの利回りを購入価格から計算

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「この価格で T-Bill を買うと、実際の利回りはいくらなの?」——そう思ったときに使う関数が TBILLYIELD です。購入価格を入力するだけで、T-Bill の利回り(割引利回り)を返してくれますよ。

この記事では、スプレッドシートの TBILLYIELD 関数の使い方を、構文・計算例・よくあるエラーの対処まで同僚に教える感覚で解説します。TBILLPRICE・TBILLEQ との使い分けも整理しているので、外債管理や財務モデルの実務に活用してください。

スプレッドシートの TBILLYIELD 関数とは?

スプレッドシートの TBILLYIELD 関数は、米国財務省短期証券(T-Bill / Treasury Bill)の購入価格から、利回り(割引利回り / discount yield)を計算する財務関数です。

関数名の TBILLYIELD は “Treasury Bill Yield”(T-Bill の利回り)を略したものです。

T-Bill は市場で取引されており、同じ割引率でも購入するタイミングによって市場価格が変動します。「今日 97.50 ドルで 26週 T-Bill を買ったら、年率換算でどのくらい稼げるか?」という疑問に、TBILLYIELD が答えてくれますよ。

返す値は小数(例: 0.0408 = 4.08%)なので、セルの表示形式を「パーセント」に設定して使うのが基本です。

TBILLYIELD は T-Bill 関連の 3 関数ファミリーの一員です。

関数入力(決済日・満期日+)返す値主な用途
TBILLPRICE割引率額面100あたりの価格割引率から実勢価格を求める
TBILLYIELD購入価格利回り(discount yield、小数)購入価格から利回りを求める
TBILLEQ割引率債券等価利回り(BEY、365日ベース)割引率を年率利回りに換算して比較

TBILLYIELD だけが「価格」を第3引数に取り、他の2関数は「割引率」を第3引数に取る点が特徴です。

TBILLYIELD 関数の構文と引数

TBILLYIELD 関数の構文は次のとおりです。

=TBILLYIELD(決済日, 満期日, 価格)

英語表記だと =TBILLYIELD(settlement, maturity, price) となります。

引数省略説明
決済日(settlement)必須T-Billの受渡日(購入が完了する日)。DATE 関数での指定を推奨
満期日(maturity)必須T-Billの満期日。決済日から1年以内の日付を指定
価格(price)必須額面100あたりの購入価格。0より大きい値を小数または整数で指定(例: 97.978)

TBILLYIELD も basis(日数計算方法)引数は存在しません。常に360日基準の割引計算が行われます。

返す値は小数です。たとえば 0.0408 という結果なら「割引利回りは約 4.08%」を意味しますよ。

TBILLYIELD の内部計算式

TBILLYIELD の計算式は TBILLPRICE の逆算です。

TBILLYIELD = (100 − price) / price × (360 / DSM)
  • price: 額面100あたりの購入価格
  • DSM: 決済日から満期日までの実日数

価格が低いほど(割安で買えるほど)利回りは高くなります。

TBILLYIELD 関数の基本的な使い方

6か月 T-Bill の利回りを購入価格から求める

額面100に対して 97.978 ドルで購入する 6か月 T-Bill(決済日 2024/1/1、満期日 2024/7/1、DSM=182日)の場合です。

セル項目
B2決済日2024/1/1
B3満期日2024/7/1
B4価格97.978
=TBILLYIELD(B2, B3, B4)

結果は 約 0.0400(4.00%) です(セルをパーセント形式に設定した場合)。購入価格 97.978 が割引率 4% に対応していることが確認できますよ。

DATE 関数を使って直接指定することもできます。

=TBILLYIELD(DATE(2024,1,1), DATE(2024,7,1), 97.978)

3か月 T-Bill の利回りを求める

額面100に対して 98.736 ドルで購入する 3か月 T-Bill(決済日 2024/4/1、満期日 2024/7/1、DSM=91日)の場合です。

=TBILLYIELD(DATE(2024,4,1), DATE(2024,7,1), 98.736)

結果は 約 0.0500(5.00%) です。価格が 98.736 のときの割引利回りが 5% であることがわかりますよ。

TBILLPRICE と TBILLYIELD を組み合わせて確認する

TBILLPRICE で計算した価格を TBILLYIELD に渡すと、元の割引率が戻ってきます(相互検証に使えます)。

価格の計算:  =TBILLPRICE(DATE(2024,1,1), DATE(2024,7,1), 0.04)  → 97.978
利回りの確認: =TBILLYIELD(DATE(2024,1,1), DATE(2024,7,1), 97.978) → 0.04(= 4%)

「TBILLPRICE で求めた価格を TBILLYIELD で戻すと元の割引率になる」という逆関数の関係ですよ。

TBILLPRICE・TBILLEQ との使い分け

T-Bill 3 関数の使い分けは「何がわかっていて、何を知りたいか」で決まります。

知りたいことわかっていること使う関数
購入価格割引率TBILLPRICE
利回り(割引率)購入価格TBILLYIELD
他の債券との利回り比較割引率TBILLEQ

TBILLYIELD が返す「割引利回り」は、市場での T-Bill の価格から算出した年率です。これは T-Bill の市場慣例で使われる利回り表示ですが、他の債券(国債・社債)の利回りと直接比べるには「債券等価利回り(BEY)」への換算が必要です。その換算に使うのがTBILLEQ 関数ですよ。

割引利回りの確認:   =TBILLYIELD(DATE(2024,1,1), DATE(2024,7,1), 97.978)  → 4.00%
BEYへの換算:       =TBILLEQ(DATE(2024,1,1), DATE(2024,7,1), 0.04)         → 約4.08%

決済日から満期日は1年以内にする

TBILLYIELD にも「決済日から満期日までが1年(365日)以内」という制約があります。T-Bill の期間(通常4週間・13週間・26週間・52週間)に合わせた設計です。

1年を超える期間を指定すると #NUM! エラーになります。長期債の利回り計算には YIELD 関数や YIELDDISC 関数を使ってください。

よくあるエラーと対処法

#NUM! エラー

最も多いエラーです。以下のケースで発生します。

発生条件対処法
決済日 ≥ 満期日決済日が満期日より前になるよう修正する
価格 ≤ 0正の値を指定する(T-Billの価格は0より大きく100未満が通常)
満期日 − 決済日 > 1年T-Bill の期間は1年以内に設定する

#VALUE! エラー

引数に日付・数値として解釈できない値が入っている場合に発生します。日付を直接入力するときは DATE(2024,7,1) のように DATE 関数を使うと確実ですよ。

価格を「”97.978″」のように文字列として指定している場合も #VALUE! になります。数値として入力してください。

#NAME? エラー

関数名のスペルミスが原因です。TBILLYILDT-BILLYIELDTBILL YIELD などは存在しない関数名です。

Excel との互換性と実務での活用

TBILLYIELD 関数は Excel・Google スプレッドシート・LibreOffice Calc で同じ計算結果を返します。Excel ファイル(.xlsx)をスプレッドシートで開いてもそのまま動作しますよ。

実務での主な活用シーンは次のとおりです。

  • 市場価格から利回りを算出: ブルームバーグや市場データで取得した T-Bill の時価から、現在の割引利回りを計算する
  • 購入タイミングの比較: 同じ銘柄でも購入日によって価格が異なるため、TBILLYIELD で利回りを統一的に比較する
  • MMF 組み入れ銘柄の評価: 複数 T-Bill の個別利回りを計算して加重平均利回りを求める
  • CFA 試験対策: Level 1「Fixed Income」で T-Bill の利回り計算が出題範囲

まとめ

スプレッドシートの TBILLYIELD 関数は、米国財務省短期証券(T-Bill)の購入価格から利回り(割引利回り)を計算する財務関数です。ポイントをまとめておきます。

  • 引数は決済日・満期日・価格の3つ(省略可能な引数はなし、basis も存在しない)
  • 第3引数は「価格」(例: 97.978)で、TBILLPRICE・TBILLEQ の「割引率」と異なる点に注意
  • 結果は小数で返るため、セルの表示形式を「パーセント」に設定する
  • 決済日から満期日は1年以内(T-Bill の定義に準拠)
  • TBILLPRICE の逆関数(価格→利回り↔利回り→価格)
  • TBILLEQ 関数で BEY に換算すると、他の債券と利回りを比較できる
  • Excel・LibreOffice Calc との互換性があり、.xlsx ファイルをそのまま開いても動作する

T-Bill の購入価格から利回りを確認したいときや、市場データをもとに利回り分析を行いたいときに TBILLYIELD を活用してください。割引債の満期受取額計算にはRECEIVED 関数、債券の利払日管理にはCOUPNCD 関数も合わせて参照してみてください。

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