「モダンExcel」という言葉、聞いたことはありますか?
最近のExcelは関数やグラフだけのツールではなくなっています。データの取り込みから分析、さらにはAI活用まで、びっくりするほど進化しているんです。
この記事では、モダンExcelの基本から2026年時点の最新機能まで、まるっと解説していきます。「Power Queryって何?」「Python in Excelって聞いたけどよくわからない」という方も、読み終わるころにはスッキリ理解できるはずです。
モダンExcelとは
従来のExcelとの違い
モダンExcelとは、Power QueryやPower Pivotといったデータ分析ツールを活用する、新しいExcelの使い方を指す言葉です。
もともとExcelは「セルに数値を入れて、関数で計算して、グラフにする」という使い方が主流でした。それが2010年ごろからデータ分析向けの強力なツールが追加され、できることが大きく広がりました。
ただし「モダンExcel」はMicrosoft公式の名称ではありません。日本のExcelコミュニティを中心に広まった呼び方で、従来の使い方と区別するために生まれた言葉です。
モダンExcelが注目される理由
なぜ今モダンExcelが注目されているのか、理由を整理してみましょう。
- データ量の増加: 業務で扱うデータが年々増えており、手作業での集計に限界がある
- VBAなしで自動化できる: Power Queryを使えば、プログラミングなしでデータの取り込みや加工を自動化できる
- 複数データの統合が簡単: 異なるファイルやシステムからのデータを一つにまとめられる
- 再現性が高い: 一度作った処理を「更新」ボタンひとつで何度でも繰り返せる
特に「VBAは難しくて手が出ない」と感じている方にとって、モダンExcelは作業効率化の強い味方になってくれますよ。
モダンExcelの主要ツール
モダンExcelの中核となるのが、Power QueryとPower Pivotの2つです。それぞれの役割を見ていきましょう。
Power Query(データの取得・整形)
Power Queryは、さまざまなデータソースからデータを取り込み、使いやすい形に整えるためのツールです。
具体的にできることは以下のとおりです。
| 機能 | 具体例 |
|---|---|
| データ取り込み | CSV、Excel、Webページ、データベースなどから取得 |
| データ変換 | 列の分割・結合、データ型の変更、不要な行の削除 |
| データ整形 | ピボット解除、列名の変更、条件によるフィルタリング |
| 自動更新 | 「更新」ボタンで最新データに一括更新 |
たとえば、毎月届くCSVファイルの売上データを「取り込んで → 不要な列を消して → 日付形式を整えて → 集計用シートに反映する」という一連の作業を、Power Queryなら一度設定するだけで自動化できます。
対応バージョン: Excel 2016以降は標準搭載されています。Excel 2010・2013では無料アドインとしてダウンロードが必要です。
操作は「データ」タブの「データの取得」から始められます。プログラミングの知識は不要で、マウス操作だけで設定できるのがうれしいポイントです。
Power Pivot(高度なデータ分析)
Power Pivotは、通常のピボットテーブルをパワーアップさせたツールです。複数のテーブルを「リレーションシップ」でつなげて、高度なデータ分析ができます。
通常のピボットテーブルとの違いをまとめると、こんな感じです。
| 項目 | 通常のピボットテーブル | Power Pivot |
|---|---|---|
| データソース | 1つのテーブル | 複数のテーブルを結合可能 |
| データ量 | 約100万行まで | 数億行も処理可能 |
| 計算式 | 標準の集計関数 | DAX関数で高度な計算が可能 |
| ファイルサイズ | データ量に比例して大きくなる | 圧縮されるので比較的小さい |
Power Pivotの計算式はDAX(Data Analysis Expressions)という専用の言語を使います。ちょっとむずかしく見えますが、基本的な使い方であればExcel関数に似た感覚で書けるので安心してください。
注意点: Power Pivotは全てのExcelエディションで使えるわけではありません。Microsoft 365、Office Professional Plus、Excel 2021(Windows版)などが対応しています。お使いのエディションで使えるかは、Microsoftの公式サイトで確認してみてください。
Power QueryとPower Pivotの連携
この2つのツールは、セットで使うのが基本です。
- Power Queryでデータを取り込み、きれいに整形する
- 整形したデータをPower Pivotのデータモデルに読み込む
- Power Pivotで複数のテーブルをリレーションシップで接続する
- DAX関数で分析用の計算式(メジャー)を作成する
- ピボットテーブルやピボットグラフで結果を可視化する
「Power Queryがデータの下ごしらえ担当、Power Pivotが分析担当」と覚えるとわかりやすいですよ。
2026年のExcel最新機能
モダンExcelの進化はPower QueryとPower Pivotだけにとどまりません。ここ数年で追加された注目の新機能を紹介します。
Python in Excel
2024年9月に一般提供が開始された「Python in Excel」は、Excelのセル内で直接Pythonコードを実行できる機能です。
- pandas、matplotlib、seabornなどのライブラリが使える
- 統計分析や機械学習の前処理をExcel上で完結できる
- Pythonの実行はMicrosoftのクラウド上で行われるため、ローカル環境の構築が不要
セルに =PY( と入力するだけでPythonモードに切り替わります。Excelのデータをそのままpandasのデータフレームとして扱えるので、Pythonを知っている方にとってはかなり便利です。
対応環境: Microsoft 365のExcel(Windows版・Web版)で利用可能です。
Copilot in Excel
Microsoft 365 Copilotの一部として提供されている「Copilot in Excel」は、AIを活用したデータ分析支援機能です。
自然言語で指示を出すだけで、以下のようなことができます。
- データの傾向や異常値の分析
- グラフや表の自動作成
- 数式の提案と説明
- ピボットテーブルの作成
たとえば「売上が前月比10%以上下がった商品を教えて」と入力するだけで、該当するデータを自動で抽出してくれます。
対応環境: Microsoft 365 Copilotのライセンスが別途必要です。
動的配列関数
Excel 2021やMicrosoft 365で使える動的配列関数も、モダンExcelの重要な機能です。1つの数式で複数のセルに結果を返せるのが最大の特徴です。
代表的な動的配列関数を紹介します。
| 関数名 | 機能 |
|---|---|
| XLOOKUP | VLOOKUPの上位互換。左方向の検索にも対応 |
| FILTER | 条件に合うデータだけを抽出 |
| SORT / SORTBY | データを指定条件で並べ替え |
| UNIQUE | 重複を除いた一覧を取得 |
| VSTACK / HSTACK | 複数の範囲を縦・横に結合 |
これらの関数を使いこなせると、従来VBAで書いていた処理をワークシート関数だけで実現できるケースが増えます。
モダンExcelの始め方
「機能はわかったけど、何から始めればいいの?」という方に向けて、具体的なステップを紹介します。
必要な環境と対応バージョン
モダンExcelの各機能を使うために必要な環境をまとめました。
| 機能 | 最低バージョン | 推奨環境 |
|---|---|---|
| Power Query | Excel 2016以降 | Microsoft 365 |
| Power Pivot | Excel 2013 Pro Plus以降 | Microsoft 365 |
| 動的配列関数 | Excel 2021 | Microsoft 365 |
| Python in Excel | Microsoft 365のみ | Microsoft 365 |
| Copilot in Excel | Microsoft 365 + Copilotライセンス | Microsoft 365 |
最新機能をフルに活用するなら、Microsoft 365(旧Office 365)のサブスクリプションが最も確実です。
まず試してほしい3つのステップ
モダンExcelを始めるなら、以下の順番がおすすめです。
ステップ1: Power Queryでデータ取り込みを体験する
「データ」タブ → 「データの取得」→「ファイルから」→「ブックから」で、別のExcelファイルのデータを取り込んでみてください。マウス操作だけでデータの整形まで完了する便利さを実感できるはずです。
ステップ2: 動的配列関数を試す
XLOOKUP関数やFILTER関数を使ってみましょう。「1つの数式で複数セルに結果が出る」という体験は、従来のExcelの常識を覆してくれます。
ステップ3: Power Pivotでリレーションシップを体験する
2つのテーブルをリレーションシップでつないでピボットテーブルを作ってみてください。「別々のテーブルのデータを組み合わせて分析できる」という感覚がつかめます。
いきなり全部をマスターしようとしなくて大丈夫です。まずはPower Queryだけでも、日々の業務がグッと効率化されますよ。
まとめ
モダンExcelとは、Power QueryやPower Pivotを中心としたデータ分析ツール群を活用する新しいExcelの使い方です。
この記事で紹介した内容をおさらいしましょう。
- Power Query: データの取り込みと整形を自動化するツール
- Power Pivot: 複数テーブルを結合して高度な分析ができるツール
- Python in Excel: Excelセル内でPythonを実行できる最新機能
- Copilot in Excel: AIによるデータ分析支援機能
- 動的配列関数: XLOOKUP、FILTER、SORT、UNIQUEなどの新世代関数
従来の「セルに数値を入れて関数で計算する」使い方も、もちろん大切です。でも、モダンExcelの機能を知っておくと、データが増えても効率的に対応できるようになります。
まずはPower Queryからでも始めてみてください。「こんなに簡単にデータ整理ができるのか」と驚くはずです。

