Excelで割り算や平均を計算したら、結果が「12.3333…」のように長い小数になって困った経験はありませんか。「何個必要か」「何時間かかるか」を出したいのに、小数のままでは使いにくいですよね。
INT関数を使えば、小数点以下をバッサリ切り捨てて整数だけを取り出せます。この記事では基本の書き方から実務パターン、TRUNC・ROUNDとの使い分けまでまとめて紹介します。
この記事は次のような人におすすめ
- 小数を整数に切り捨てたい
- INT関数とTRUNC関数の違いを知りたい
- 消費税の端数処理や時間の変換に使いたい
INT関数とは?
INT(インテジャー)関数は、数値の小数部分を切り捨てて整数にする関数です。名前は英語の「integer(整数)」に由来しています。
たとえば「12.8」にINT関数をかけると「12」が返ります。四捨五入ではなく、常に小数部分を取り除くのがポイントです。
Excel 2007以降のすべてのバージョンで使用できます。Microsoft 365やGoogleスプレッドシートにも対応しています。
INT関数の書き方(構文と引数)
基本構文
=INT(数値)
引数は1つだけ。シンプルですね。
引数の説明
| 引数 | 必須/任意 | 内容 |
|---|---|---|
| 数値(number) | 必須 | 整数に切り捨てたい数値。セル参照や数式もOK |
直接入力・セル参照・他の関数の結果など、数値として扱えるものなら何でも指定できます。
INT関数の基本的な使い方
正の小数を整数に切り捨てる
もっともシンプルな使い方です。
=INT(12.8)
結果は「12」です。小数点以下がそのまま切り捨てられます。
=INT(99.999)
こちらも結果は「99」です。どれだけ0.999…に近くても、100にはなりません。
セル参照で指定する
A1に「3.14159」が入っているとします。
=INT(A1)
結果は「3」です。セル参照でも同じように使えます。実務ではこちらの書き方がメインになるでしょう。
数式の結果を整数にする
他の関数や計算式と組み合わせることも多いです。B2に「250」、C2に「3」が入っているとしましょう。
=INT(B2/C2)
250÷3=83.333…ですが、結果は「83」になります。割り算の結果をそのまま整数にできるので便利です。
INT関数の実務活用パターン
消費税の端数切り捨て
税込金額を計算するとき、1円未満の端数が出ることがあります。B2に税抜価格が入っているとしましょう。
=INT(B2 * 1.1)
たとえば税抜価格が「1,234」の場合、1,234 x 1.1 = 1,357.4 です。INT関数で小数部分が切り捨てられ「1,357」になります。
四捨五入したい場合
取引先との契約で「消費税は四捨五入」と決まっている場合はROUND関数を使ってください。
=ROUND(B2*1.1, 0)で整数に四捨五入できます。
時間の整数部分を取り出す
分単位のデータを「何時間何分」に変換する場面です。A2に「150」(分)が入っているとしましょう。
=INT(A2/60)
150÷60=2.5ですが、INT関数で「2」(時間)が取り出せます。残りの分はMOD関数で求めましょう。
=INT(A2/60) & "時間" & MOD(A2,60) & "分"
結果は「2時間30分」です。INTで時間、MODで分を取り出す定番パターンです。
梱包数の計算(QUOTIENT関数との比較)
在庫を箱に詰めるとき「何箱できるか」を求める場面です。A2に在庫数「85」、B2に1箱あたり「12」個が入っているとします。
=INT(A2/B2)
85÷12=7.083…で、結果は「7」箱です。この計算はQUOTIENT関数でも書けます。
=QUOTIENT(A2,B2)
正の数であれば結果は同じ「7」です。INTは引数1つ、QUOTIENTは2つという違いがあります。割り算以外の用途ではINT関数のほうが汎用的です。
負の数でのINT関数の挙動
ここがINT関数でもっとも注意すべきポイントです。
負の数は「より小さい整数」に丸まる
INT関数は「負の無限大方向」に切り捨てます。数直線で見ると、左側(より小さい側)の整数を返します。
=INT(-8.2)
結果は「-9」です。「-8」ではない点に注意してください。-8.2より小さい整数は-9なので、そちらが返ります。
INT関数とTRUNC関数の結果比較
正の数では同じ結果ですが、負の数で違いが出ます。
| 数値 | INT(数値) | TRUNC(数値) | 違い |
|---|---|---|---|
| 8.9 | 8 | 8 | 同じ |
| 3.14 | 3 | 3 | 同じ |
| -2.3 | -3 | -2 | 異なる |
| -8.9 | -9 | -8 | 異なる |
| -0.5 | -1 | 0 | 異なる |
INTは「負の無限大方向」、TRUNCは「ゼロ方向」に丸めます。正の数だけならどちらでもOKです。マイナスの値が混ざる可能性があるなら、どちらの挙動が欲しいか意識して選びましょう。
MOD関数への影響
MOD関数は内部で
=数値 - 除数 * INT(数値/除数)という計算をしています。そのため、負の数のMOD結果が直感と異なることがあります。たとえば=MOD(-7, 3)は「-1」ではなく「2」を返します。
よくあるエラーと対処法
#VALUE! エラー
数値として認識できない文字列を渡すと発生します。
=INT("abc")
セル参照先に全角数字や余計なスペースが混入していないか確認してみてください。全角数字はASC関数で半角に変換できます。
=INT(ASC(A1))
日付を渡した場合
Excelの日付は内部的にシリアル値(整数)で管理されています。日付セルにINT関数を使うと、そのシリアル値がそのまま返ります。すでに整数なので結果は変わりませんが、日時(日付+時刻)の場合はINT関数で日付部分だけを取り出せます。
結果が期待と違う(浮動小数点の誤差)
Excelの内部では小数を2進数で管理しているため、まれに微小な誤差が生じます。
=INT(2.1/0.3)
手計算では7ですが、内部では2.1÷0.3が6.999…になることがあります。そのためINT関数の結果が「6」になるケースがあります。ROUND関数で先に丸めておくと安心です。
=INT(ROUND(2.1/0.3, 10))
結果は「7」です。ROUND関数で小数第10位まで丸めれば、誤差が解消されます。
似た関数との使い分け
Excelには「切り捨て」系の関数がいくつかあります。迷ったときは以下の表を参考にしてみてください。
| 関数 | 丸め方向 | 桁数指定 | 負の数での挙動 | 使いどころ |
|---|---|---|---|---|
| INT | 負の無限大方向 | 不可(常に整数) | -8.9 → -9 | 整数が欲しいとき全般 |
| TRUNC | ゼロ方向 | 可能 | -8.9 → -8 | 桁数を指定して切り捨てたいとき |
| ROUND | 四捨五入 | 可能 | -8.5 → -9 | 端数を丸めたいとき |
| ROUNDDOWN | ゼロ方向 | 可能 | -8.9 → -8 | TRUNCと同じ(名前で直感的) |
| FLOOR | 負の無限大方向 | 倍数指定 | -8.9 → 基準値による | 倍数単位で切り捨てたいとき |
選び方のコツは3つです。
- 「とにかく整数にしたい」→ INT関数が一番シンプル
- 「小数第2位で切り捨てたい」→ TRUNC関数かROUNDDOWN関数
- 「15分単位・100円単位で切り捨てたい」→ FLOOR関数
まとめ
INT関数は、小数を整数に切り捨てるシンプルな関数です。
ポイントを整理します。
- 構文は
=INT(数値)の1引数だけ - 正の数は小数点以下を切り捨て、負の数は「より小さい整数」に丸まる
- 消費税の端数処理、時間変換、梱包数計算など実務の出番が多い
- 負の数を扱うときはTRUNC関数との結果の違いに注意する
- MOD関数と組み合わせると「時間と分」「箱数と端数」が求められる
まずは =INT(A1) でセルの値を整数に変換するところから試してみてください。
