「このデータの中で、売上が100万〜200万円に収まる確率ってどれくらいだろう?」
こんなふうに、データの分布から特定の範囲に入る確率を知りたい場面はありませんか。手作業で計算するのは面倒ですよね。
ExcelのPROB関数を使えば、データと確率の組み合わせから、指定した範囲に収まる確率をサッと求められますよ。
ExcelのPROB関数とは?
PROB関数は「プロバビリティ」と読みます。英語の「Probability(確率)」が語源です。
この関数は、数値データとそれぞれの出現確率をもとに、指定した範囲の値が出現する確率を計算します。たとえば「テスト結果が60〜80点になる確率は何%か」といった計算ができます。
入力するのは「数値の一覧」「各数値の確率」「下限値」「上限値」の4つです。出力は0〜1の確率値で返ってきます。0.35なら35%という意味ですね。
PROB関数はExcel 2010以降およびMicrosoft 365で使えます。なお、Googleスプレッドシートには対応していません。
PROB関数の書き方(構文と引数)
基本構文
=PROB(x範囲, 確率範囲, 下限, [上限])
引数の説明
| 引数 | 必須/省略可 | 説明 |
|---|---|---|
| x範囲 | 必須 | 確率に対応する数値データのセル範囲 |
| 確率範囲 | 必須 | 各数値に対応する確率の値(0以上1以下) |
| 下限 | 必須 | 確率を求めたい範囲の下限値 |
| 上限 | 省略可 | 確率を求めたい範囲の上限値 |
ポイントは2つあります。
1つ目は、x範囲と確率範囲のセル数は必ず同じにすることです。対応関係がズレると#N/Aエラーになります。
2つ目は、確率範囲の合計値が1(つまり100%)になる必要があることです。合計が1でない場合は#NUM!エラーが返ります。
上限を省略した場合は、下限の値とぴったり一致するデータの確率だけが返りますよ。
PROB関数の基本的な使い方
ここでは、商品の売上個数と出現確率のデータを使って説明します。
たとえば以下のようなデータがあるとしましょう。
| セル | A列(売上個数) | B列(確率) |
|---|---|---|
| 2行目 | 10 | 0.10 |
| 3行目 | 20 | 0.20 |
| 4行目 | 30 | 0.30 |
| 5行目 | 40 | 0.25 |
| 6行目 | 50 | 0.15 |
確率の合計は0.10+0.20+0.30+0.25+0.15=1.00で、ちゃんと100%になっていますね。
特定の値に一致する確率を求める
売上個数がちょうど30個になる確率を求めるには、上限を省略して次のように入力します。
=PROB(A2:A6, B2:B6, 30)
結果は 0.30(30%)です。30個に対応する確率がそのまま返ります。
範囲内に収まる確率を求める
売上個数が20〜40個の範囲に収まる確率を求めるには、下限と上限を指定します。
=PROB(A2:A6, B2:B6, 20, 40)
結果は 0.75(75%)です。20個の確率0.20、30個の確率0.30、40個の確率0.25を合計した値になります。
このように、PROB関数は下限以上かつ上限以下に該当するデータの確率を合算してくれますよ。
PROB関数の実践的な使い方・応用例
品質管理での不良率の計算
製造ラインで計測した製品サイズと、その出現確率のデータがあるとします。
| セル | A列(サイズmm) | B列(確率) |
|---|---|---|
| 2行目 | 9.5 | 0.05 |
| 3行目 | 9.8 | 0.15 |
| 4行目 | 10.0 | 0.40 |
| 5行目 | 10.2 | 0.25 |
| 6行目 | 10.5 | 0.10 |
| 7行目 | 11.0 | 0.05 |
規格範囲が9.8〜10.2mmだとして、規格内の確率を求めてみましょう。
=PROB(A2:A7, B2:B7, 9.8, 10.2)
結果は 0.80(80%)です。つまり規格外の不良率は20%と分かります。
SUMPRODUCTとの使い分け
確率の合計値を手動で計算するなら、SUMPRODUCT関数を条件付きで使う方法もあります。ただしPROB関数なら1つの数式で完結するので、確率データが用意されている場面ではPROB関数のほうが手軽ですよ。
PROB関数のよくあるエラーと対処法
PROB関数でよく見かけるエラーは3種類あります。それぞれの原因と対処法をまとめました。
#NUM!エラー
最も多いエラーです。次の2つの原因が考えられます。
- 確率範囲に0未満または1超の値がある: 確率は0以上1以下でないといけません。セルの値を確認して修正しましょう。
- 確率範囲の合計が1にならない: すべての確率の合計がちょうど1.00になっているか確認してください。SUM関数で合計を検算するのがおすすめです。
#VALUE!エラー
引数に数値以外の文字列が含まれている場合に発生します。x範囲や確率範囲に空白セルや文字が混じっていないかチェックしてみてください。
#N/Aエラー
x範囲と確率範囲のセル数が一致していない場合に発生します。たとえばx範囲がA2:A6の5セルなのに、確率範囲がB2:B5の4セルだとエラーになります。範囲の行数を揃えれば解決しますよ。
PROB関数と似た関数との違い
確率や分布を扱うExcel関数は他にもあります。目的に応じて使い分けましょう。
| 関数名 | 用途 | 特徴 |
|---|---|---|
| PROB | 離散データの確率計算 | 実データと確率の組み合わせから範囲内の確率を求める |
| POISSON.DIST | ポアソン分布の確率 | 一定期間内のイベント発生回数の確率を求める |
| CRITBINOM | 二項分布の累積確率の逆関数 | 「確率がX%を超える最小の成功回数」を求める |
PROB関数は実際に観測したデータに確率を割り当てて使います。一方、POISSON.DISTやCRITBINOMは理論的な確率分布に基づく関数です。ポアソン分布や二項分布など、数学的なモデルから確率を計算します。
「手元に確率データがある」ならPROB関数を選びましょう。「理論的な分布から求めたい」なら分布関数のほうが適していますよ。
まとめ
ExcelのPROB関数は、数値データとその確率をもとに、指定範囲に収まる確率を計算する関数です。
この記事のポイントをおさらいしておきましょう。
- 構文は
=PROB(x範囲, 確率範囲, 下限, [上限]) - 確率範囲の合計は必ず1にする
- 上限を省略すると、下限と一致する値の確率だけ返る
- #NUM!エラーは確率の範囲外や合計不一致が原因
- 理論分布にはPOISSON.DISTやCRITBINOMを使い分ける
品質管理や売上分析など、データから確率を読み取りたい場面で活用してみてください。
