「ローンの返済、あと何回で終わるんだろう?」「毎月3万円ずつ積み立てたら、目標金額まで何年かかる?」
こうした疑問、Excelで簡単に解決できるのをご存じですか? 手計算だと面倒な期間の計算も、ExcelのNPER関数を使えば一発で求められます。
この記事では、NPER関数の基本的な書き方から実践的な活用例まで、わかりやすく解説していきます。
ExcelのNPER関数とは?
NPER関数は、ローン返済や積立貯蓄に必要な期間(回数)を求める関数です。
読み方は「ナンバー・オブ・ピリオド」。英語の「Number of Periods」の略で、「何期間必要か」を計算してくれます。
たとえば、次のようなケースで使えますよ。
- 住宅ローンの返済があと何回で完了するか知りたい
- 毎月の積立で目標額に届くまで何年かかるか調べたい
- 車のローンを繰り上げ返済した場合の残り回数を確認したい
利率と支払額、残高がわかっていれば、NPER関数が期間を自動計算してくれます。
NPER関数の書き方(構文と引数)
基本構文
=NPER(利率, 定期支払額, 現在価値, [将来価値], [支払期日])
引数は全部で5つありますが、必須なのは最初の3つです。
引数の一覧
| 引数 | 必須/省略可 | 説明 |
|---|---|---|
| 利率 | 必須 | 1期間あたりの利率。年利を使う場合は12で割って月利にする |
| 定期支払額 | 必須 | 毎期の支払額。支出はマイナスで指定する |
| 現在価値 | 必須 | 現時点の残高や元本。ローン残高はプラス、積立の初期投資はマイナスで指定する |
| 将来価値 | 省略可 | 最終的に残したい金額。省略すると0(完済)になる |
| 支払期日 | 省略可 | 0または省略で期末払い、1で期首払い |
符号のルール(ここが大事!)
NPER関数で一番つまずきやすいのが、プラスとマイナスの使い分けです。
Excelの財務関数では「お金の流れ」で符号が決まります。自分から出ていくお金はマイナス、入ってくるお金はプラスです。
- ローン返済: 現在価値(借入額)はプラス、定期支払額はマイナス
- 積立貯蓄: 定期支払額はマイナス、将来価値(目標額)はプラス
符号を間違えると #NUM! エラーになるので、気をつけてくださいね。
NPER関数の基本的な使い方
ここでは、シンプルなローン返済の例で基本操作を確認しましょう。
例題: 100万円を年利3%で借り入れ、毎月2万円ずつ返済する場合、完済まで何回かかる?
セルに次の数式を入力します。
=NPER(3%/12, -20000, 1000000)
3%/12: 年利3%を12で割って月利に変換-20000: 毎月の支払い(出ていくお金なのでマイナス)1000000: 借入額(手元に入ったお金なのでプラス)
結果は 約53.5 になります。つまり、毎月2万円ずつ返済すると約54回(4年半)で完済できるということですね。
端数が出た場合は、ROUNDUPで切り上げると実際の支払回数がわかりますよ。
=ROUNDUP(NPER(3%/12, -20000, 1000000), 0)
この場合、結果は 54回 になります。
NPER関数の実践例
例1: 積立貯蓄で目標額に届くまでの期間を求める
毎月5万円を年利1.5%で積み立てて、500万円を貯めるには何か月かかるでしょうか。
=NPER(1.5%/12, -50000, 0, 5000000)
1.5%/12: 月利-50000: 毎月の積立額(支出なのでマイナス)0: 初期残高なし5000000: 目標額(将来手に入るお金なのでプラス)
結果は 約94.3か月 です。ROUNDUPで切り上げると 95か月(約7年11か月) になります。
利率を変えて比較すれば、どの金融商品を選ぶべきかの判断材料にもなりますね。
例2: 住宅ローンの繰り上げ返済シミュレーション
3,000万円の住宅ローン(年利1.2%、毎月返済10万円)で、返済期間を確認してみましょう。
=NPER(1.2%/12, -100000, 30000000)
結果は 約356.9回 です。切り上げると 357回(約29年9か月) ですね。
では、毎月の返済額を12万円に増やしたらどうなるでしょうか。
=NPER(1.2%/12, -120000, 30000000)
結果は 約287.8回(約24年) になります。月2万円の増額で、返済期間を約5年9か月も短縮できることがわかりますよ。
こうしたシミュレーションは、繰り上げ返済を検討するときにとても役立ちます。
例3: セル参照で条件を変えて比較する
実務では、数式に直接数値を書くよりもセル参照を使うのがおすすめです。
| A | B | |
|---|---|---|
| 1 | 年利 | 3% |
| 2 | 毎月の返済額 | -20,000 |
| 3 | 借入額 | 1,000,000 |
=NPER(B1/12, B2, B3)
セル参照にしておけば、利率や返済額を変えるだけで結果が自動更新されます。複数パターンの比較がサッと行えますね。
PMT関数と組み合わせれば、「返済額を変えたときの期間」と「期間を決めたときの返済額」を両面からシミュレーションできますよ。
NPER関数でよくあるエラーと対処法
#NUM! エラー
最も多いのが #NUM! エラーです。次のケースで発生します。
- 符号の間違い: 定期支払額と現在価値が同じ符号になっている
- 返済額が利息以下: 毎月の返済額が利息を下回ると、永遠に返済が終わらないため計算不能になる
たとえば =NPER(5%/12, -1000, 1000000) と入力すると #NUM! になります。月利約4,167円に対して返済額1,000円では元本が減らないためです。
対処法: 符号を見直すか、返済額を増やしてみてください。
#VALUE! エラー
引数に数値以外(文字列や空白セル)が入っている場合に発生します。
対処法: セル参照先が数値になっているか確認しましょう。
結果がマイナスになる
将来価値の符号が逆になっていると、結果がマイナスで返ることがあります。積立の計算では将来価値をプラスにするのがポイントです。
NPER関数と似た関数との違い・使い分け
Excelの財務関数は、同じ5つの要素(利率・期間・支払額・現在価値・将来価値)のうち「どれを求めるか」で関数が分かれています。
| 関数 | 求めるもの | 使いどころ |
|---|---|---|
| NPER | 期間(回数) | 返済や積立に必要な回数を知りたいとき |
| PMT | 定期支払額 | 毎月の返済額や積立額を求めたいとき |
| RATE | 利率 | 実質利率を逆算したいとき |
| FV | 将来価値 | 積立の将来の受取額を計算したいとき |
| PV | 現在価値 | ローンの借入可能額を求めたいとき |
これらの財務関数はセットで覚えておくと便利ですよ。たとえば、NPERで期間を求めた後、PMT関数で返済額を調整するといった使い方ができます。
投資判断にはMIRR関数(修正内部収益率)も合わせてチェックしてみてください。
まとめ
ExcelのNPER関数を使えば、ローン返済や積立貯蓄に必要な期間をかんたんに計算できます。
この記事のポイントをおさらいしましょう。
- NPER関数は「期間(回数)」を求める財務関数
- 構文は
=NPER(利率, 定期支払額, 現在価値, [将来価値], [支払期日]) - 月単位で計算するときは、年利を12で割って月利にする
- 支出はマイナス、収入はプラスの符号ルールが大切
- ROUNDUPと組み合わせれば、実際の支払回数を整数で出せる
まずは身近なローンや積立で試してみてください。金額や利率を変えてシミュレーションするだけでも、お金の計画が具体的になりますよ。
