「毎月3万円を積み立てたら、10年後にいくらになるんだろう?」
電卓で複利(元利合計にも利息が付く仕組み)を計算するのは大変ですよね。
スプレッドシートのFV関数を使えば、利率・期間・毎月の積立額を入力するだけで、将来の受取額が一発で出せます。
この記事では、FV関数の基本から積立投資・定期預金のシミュレーションまで、実務で使えるパターンをまとめて紹介します。
FV関数とは? — スプレッドシートで将来価値を計算する関数
FV関数(読み方: えふぶい)は、将来価値(Future Value)を計算する関数です。
将来価値とは「現在のお金が、将来いくらになるか」という金額のことです。
「毎月いくら積み立てたら、何年後にいくらになるか」を計算できます。
FV関数にできることをまとめると、次のとおりです。
- 積立投資の将来の受取額を計算する
- 定期預金の満期時の受取額を計算する
- 金利や積立額を変えたシミュレーションを作る
- 一括預入と毎月積立を組み合わせた計算をする
NOTE
FV関数はGoogleスプレッドシートの全バージョンで使えます。ExcelのFV関数と完全互換なので、ファイルのやり取りでも安心です。
FV関数の書き方(構文と引数)
基本構文
=FV(利率, 期間数, 定期支払額, [現在価値], [期首期末])
カッコの中に利率・期間数・定期支払額の3つを指定します。現在価値と期首期末は省略できます。
内部では複利計算式を使って算出しています。計算式は「将来価値 = 現在価値 × (1+利率)^期間数 + 積立額 × 累積複利係数」です。利率が0の場合は複利計算を行わず、単純に「積立額 × 期間数」で計算されます。
引数の説明
| 引数 | 必須/任意 | 説明 |
|---|---|---|
| 利率 | 必須 | 1期間あたりの利率。年利を月利に変換して指定する(年利/12) |
| 期間数 | 必須 | 支払い回数の合計。年数を月数に変換して指定する(年数*12) |
| 定期支払額 | 必須 | 毎期の積立額。省略または0にすると一括預入のみの計算になる |
| 現在価値 | 任意 | 現時点の預入額(初期預入金)。省略すると0として扱われる |
| 期首期末 | 任意 | 0=各期の末に支払い(期末払い)、1=各期の初めに支払い(期首払い)。省略すると0 |
NOTE
期間数に小数を指定することもできます。ただし通常は整数(月数・年数)で指定するのが一般的です。
TIP
PMT関数と引数の構造がよく似ています。PMT関数は「毎月の支払額」を求め、FV関数は「将来の受取額」を求める関数です。
FV関数の基本的な使い方
まずはシンプルな例で動きを確認してみましょう。
毎月の積立で将来いくらになるか求める
毎月1万円を年利3%で5年間積み立てた場合の将来額を計算します。
=FV(3%/12, 5*12, -10000)
結果は 646,467 です。5年間で合計60万円を積み立て、利息を含めて約64.6万円になります。
定期支払額をマイナスで指定する理由
FV関数の定期支払額にマイナスを付けるのは、「支出(出金)」を表すためです。
スプレッドシートの財務関数では、お金の流れを符号で区別します。
| お金の方向 | 符号 | 例 |
|---|---|---|
| 支払う(出金) | マイナス | 毎月の積立額 |
| 受け取る(入金) | プラス | 将来の受取額 |
積立額をマイナスで入れると、結果はプラス(受取額)で返ります。逆にプラスで入れると、結果がマイナスになります。
「マイナスを付けるのが面倒」という場合は、数式全体にマイナスを付ける方法もあります。
=-FV(3%/12, 5*12, 10000)
期首払いと期末払いの違い
5つ目の引数で積立のタイミングを変えられます。
=FV(3%/12, 5*12, -10000, 0, 0) → 646,467(期末払い)
=FV(3%/12, 5*12, -10000, 0, 1) → 648,083(期首払い)
期首払いのほうが将来額が少し多くなります。各期の初めに積み立てることで、運用期間が1期分長くなるためです。積立のタイミングも、状況に応じて使い分けてみてくださいね。
FV関数の実践的な使い方・応用例
積立投資の将来額をシミュレーションする
毎月3万円を年利5%で20年間積み立てた場合の将来額を求めます。
=FV(5%/12, 20*12, -30000)
結果は 12,331,010 です。20年間で合計720万円を積み立て、複利の効果で約1,233万円になります。
積立額を変えて比較したい場合は、定期支払額をセル参照にすると便利です。
| 毎月の積立額 | 20年後の将来額 |
|---|---|
| 1万円 | 約411万円 |
| 3万円 | 約1,233万円 |
| 5万円 | 約2,055万円 |
積立額が増えるほど利息の恩恵も大きくなります。セルに積立額を入れておけば、条件を変えるだけで結果が自動更新されますよ。
定期預金の満期時の受取額を計算する
100万円を年利0.5%の定期預金に5年間預けた場合の満期額を求めます。
一括預入で毎月の積立はないため、定期支払額を0にします。現在価値(pv)に預入額を指定します。
=FV(0.5%/12, 5*12, 0, -1000000)
結果は 1,025,310 です。5年後に約102.5万円を受け取れます。
一括預入+毎月積立を組み合わせる
初期に50万円を預入し、さらに毎月2万円を年利2%で10年間積み立てるケースです。
=FV(2%/12, 10*12, -20000, -500000)
結果は 3,264,993 です。初期預入と毎月積立の両方に複利が効いて、10年後に約326万円になります。
現在価値(初期預入額)もマイナスで指定する点に注意してください。「お金を支払う方向」なのでマイナスになります。
TIP
PMT関数でローン返済額を計算し、FV関数で積立の将来額を計算する。この2つの関数を使い分ければ、家計のシミュレーションがスプレッドシート上で完結しますよ。詳しくはPMT関数の使い方もあわせてご覧ください。
金利比較表を作る
金利の違いで将来額がどう変わるかを一覧表にすると、資産運用の判断材料になります。
毎月3万円を10年間積み立てた場合の比較です。
| 年利 | 10年後の将来額 | うち利息分 |
|---|---|---|
| 0.5% | 約369万円 | 約9万円 |
| 3.0% | 約419万円 | 約59万円 |
| 5.0% | 約466万円 | 約106万円 |
元本はどのケースも360万円(3万円 × 120か月)です。
年利が上がるほど利息の差が大きくなるのがわかります。こうした比較表はFV関数ならすぐに作れますよ。
似た関数との使い分け(財務関数ファミリー)
FV関数は「財務関数ファミリー」の1つです。利率・期間・支払額・現在価値・将来価値の5変数のうち、どれを求めたいかによって使う関数が変わります。
| 関数 | 求めるもの | 使う場面の例 |
|---|---|---|
| FV | 将来価値 | 積立・預金の満期額を知りたいとき |
| PV | 現在価値 | 将来の受取額が今いくらに相当するかを知りたいとき |
| PMT | 定期支払額 | 毎月いくら積み立てればよいかを求めたいとき |
| NPER | 期間数 | 何年後に目標額に達するかを求めたいとき |
| RATE | 利率 | 目標額に達するために必要な利率を求めたいとき |
5つの関数は引数の構造が共通しています。FV関数を覚えれば、他の関数も理解しやすくなります。
また、投資やプロジェクトのキャッシュフロー分析にはNPV関数(正味現在価値)も活用できます。FVが「一定の積立額の将来価値」を求めるのに対し、NPVは「不規則なキャッシュフロー」を扱う場合に向いています。
TIP
PV関数はFVの「逆算版」です。「10年後に500万円受け取るために、今いくら預ければいいか」を計算できます。詳しくはPV関数の使い方をご覧ください。
よくあるエラーと対処法
FV関数で「思った結果にならない」ケースをまとめました。
| 症状 | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| 将来額が異常に大きい | 年利をそのまま指定している | 月利に変換する(年利/12) |
| 将来額が異常に大きい | 期間数を年数で指定している | 月数に変換する(年数*12) |
| 結果がマイナスになる | 定期支払額をプラスで入れている | 支出はマイナスで指定する。または =-FV(...) で符号を反転 |
| #NUM! エラーが出る | 利率にマイナスを指定している | 利率は正の数で指定する |
| #VALUE! エラーが出る | 引数に文字列を指定している | 数値のみ指定する |
| 結果が0になる | 定期支払額と現在価値の両方が0 | どちらかに金額を指定する |
TIP
最も多いミスは「年利と月利の変換忘れ」です。年利3%なら
3%/12と書くのを忘れずに。期間数も「年数 × 12」で月数に変換してください。
Excelとの違い
FV関数はExcelとGoogleスプレッドシートで完全に同じ動作です。
| 項目 | Excel | Googleスプレッドシート |
|---|---|---|
| 構文 | =FV(利率, 期間数, 定期支払額, [現在価値], [期末]) | =FV(利率, 期間数, 定期支払額, [現在価値], [期首期末]) |
| 動作 | 将来価値を返す | 将来価値を返す |
| 結果の符号 | プラス(受取)/ マイナス(支出) | プラス(受取)/ マイナス(支出) |
| 省略時の動作 | 現在価値=0, 期末=0 | 現在価値=0, 期首期末=0 |
引数名の表記が若干異なるだけで、機能は完全に同じです。.xlsxファイルをGoogleスプレッドシートで開いても、FVの数式はそのまま動作しますよ。
まとめ
FV関数は、積立や預金の将来の受取額を計算する関数です。
ポイントを整理します。
- 構文は
=FV(利率, 期間数, 定期支払額, [現在価値], [期首期末]) - 利率は月利(年利/12)、期間数は月数(年数*12)で指定する
- 定期支払額はマイナスで入れると結果がプラス(受取額)になる
- 積立計算では「定期支払額」に毎月の積立額を指定する
- 一括預入のみの場合は「現在価値」に預入額を指定し、定期支払額を0にする
- 一括預入+毎月積立の組み合わせもできる
- PV・PMT・NPER・RATEなど財務関数ファミリーと組み合わせると、さらに幅広い計算ができる
まずは =FV(3%/12, 5*12, -10000) で毎月1万円・5年積立の将来額を試してみてください。
