「NEGBINOMDISTって関数を見つけたけど、NEGBINOM.DISTとどう違うの?」。スプレッドシートで統計関数を使おうとして、こんな疑問を持ったことはありませんか?
名前がよく似た関数が2つあると、どちらを使えばいいか迷いますよね。間違えたら計算結果が変わるのでは、と不安にもなります。
結論から言うと、NEGBINOMDIST関数はNEGBINOM.DIST関数の互換バージョンです。この記事ではGoogleスプレッドシートでのNEGBINOMDIST関数の使い方を、構文・引数から実務活用まで解説します。NEGBINOM.DIST関数との関係もはっきりさせますよ。
スプレッドシートのNEGBINOMDIST関数とは
NEGBINOMDIST関数(読み方: ネガティブ・バイノムディスト関数)は、負の二項分布にもとづいて確率を返す互換関数です。「NEGBINOM」は「Negative Binomial(負の二項)」、「DIST」は「Distribution(分布)」の略です。
負の二項分布とは、「成功がk回に達するまでに、失敗がちょうどn回起きる確率」の分布のことです。たとえば次のような場面で使います。
- 合格率20%の面接で3人採用するまでに、不合格がちょうど10人になる確率
- 成約率15%の営業が5件成約するまでに、失注がちょうど30件になる確率
- 不良品率5%の検査で不良品3個を見つけるまでに、合格品がちょうど50個になる確率
NOTE
NEGBINOMDIST関数はNEGBINOM.DIST関数の互換関数です。Googleの公式ドキュメントではNEGBINOM.DISTが推奨されています。新しく数式を書くときはNEGBINOM.DISTを使いましょう。
NEGBINOMDIST関数の書き方(構文と引数)
基本構文
=NEGBINOMDIST(失敗回数, 成功回数, 成功確率)
カッコの中に3つの引数を指定します。
| 引数 | 必須/任意 | 説明 |
|---|---|---|
| 失敗回数(number_f) | 必須 | 失敗の回数(0以上の整数) |
| 成功回数(number_s) | 必須 | 目標とする成功の回数(1以上の整数) |
| 成功確率(probability_s) | 必須 | 各試行で成功する確率(0〜1の範囲) |
NEGBINOM.DIST関数との大きな違いは、4番目の「累積」引数がないことです。NEGBINOMDIST関数は常に確率質量(ちょうどn回失敗する確率)を返します。累積確率(n回以下失敗する確率)は計算できません。
TIP
第1引数は「失敗回数」です。BINOMDIST関数の第1引数が「成功回数」なので、混同しないように注意してください。
NEGBINOMDIST関数が返す値
NEGBINOMDIST関数は、「成功がk回に達する最後の試行で成功したとき、それまでにちょうどn回失敗していた確率」を返します。
たとえば「成功確率30%の試行で3回成功するまでに、ちょうど5回失敗する確率」を求めるなら次のとおりです。
=NEGBINOMDIST(5, 3, 0.3)
結果は約0.0794(7.9%) です。これは =NEGBINOM.DIST(5, 3, 0.3, FALSE) とまったく同じ値ですよ。
NEGBINOMDIST関数の基本的な使い方
実際の業務場面で使ってみましょう。ここでは採用面接の例で説明します。
例: 合格率25%の面接で5人採用するまでに、不合格がちょうど15人になる確率
=NEGBINOMDIST(15, 5, 0.25)
結果は約0.0520(5.2%) です。不合格がちょうど15人になる確率は約5%とわかります。
もう少し少ない人数ではどうでしょうか。ちょうど10人不合格の確率も見てみます。
=NEGBINOMDIST(10, 5, 0.25)
結果は約0.0584(5.8%) です。失敗回数ごとの確率を並べると、どの回数が最も起きやすいかが見えてきますよ。
「n回以下」の確率を求めるには
NEGBINOMDIST関数には累積引数がないため、「n回以下失敗する確率」を直接求めることはできません。NEGBINOM.DIST関数のTRUEを使いましょう。
=NEGBINOMDIST(15, 5, 0.25) ← ちょうど15回の確率のみ
=NEGBINOM.DIST(15, 5, 0.25, TRUE) ← 15回以下の累積確率(推奨)
累積確率が必要な場面では、NEGBINOM.DISTを使うのが便利です。これがNEGBINOM.DISTへの移行をおすすめする理由のひとつですね。
NEGBINOM.DIST関数との違い・どちらを使うべき?
NEGBINOMDIST関数とNEGBINOM.DIST関数の関係を整理しましょう。
| 項目 | NEGBINOMDIST | NEGBINOM.DIST |
|---|---|---|
| 種類 | 互換関数(旧バージョン) | 現行関数(推奨) |
| 構文 | =NEGBINOMDIST(失敗回数, 成功回数, 成功確率) | =NEGBINOM.DIST(失敗回数, 成功回数, 成功確率, 累積) |
| 引数の数 | 3つ | 4つ |
| 累積確率 | 求められない | TRUE/FALSEで切り替え可能 |
| 確率質量の計算結果 | NEGBINOM.DISTのFALSEと同じ | 同じ |
| Googleの推奨 | 非推奨 | 推奨 |
結論としては、新しく数式を書くときはNEGBINOM.DISTを使いましょう。理由は次の3つです。
- Googleの公式ドキュメントでNEGBINOM.DISTが推奨されている
- 累積確率(TRUE)も計算できるので、活用の幅が広い
- ExcelでもNEGBINOM.DISTが標準で、互換性が高い
ただし、既存のスプレッドシートでNEGBINOMDISTが使われている場合、慌てて書き換える必要はありません。確率質量の計算結果は同じなので、そのまま動き続けますよ。
TIP
NEGBINOM.DIST関数の詳しい使い方(TRUE/FALSEの比較表、実務活用3パターンなど)はNEGBINOM.DIST関数の解説記事で詳しく紹介しています。
NEGBINOMDISTからNEGBINOM.DISTへの書き換え
既存の数式を書き換えるなら、関数名を変えて4番目の引数にFALSEを追加するだけです。
=NEGBINOMDIST(5, 3, 0.3) ← 互換関数
=NEGBINOM.DIST(5, 3, 0.3, FALSE) ← 推奨関数(FALSEを追加)
BINOMDIST関数と違い、単純な関数名の置換だけでは不十分です。4番目の引数FALSEを忘れずに追加してくださいね。
NOTE
書き換えるときに「累積確率も使いたい」と思ったら、FALSEをTRUEに変えるだけでOKです。NEGBINOMDIST関数ではできなかった「n回以下の累積確率」がすぐに使えるようになりますよ。
よくあるエラーと対処法
NEGBINOMDIST関数でつまずきやすいポイントをまとめました。
#NUM! エラー: 成功回数に0以下を指定している
成功回数は1以上の整数でなければなりません。「0回成功するまでの失敗回数」は意味をなさないので、エラーになります。
=NEGBINOMDIST(5, 0, 0.3) ← #NUM! エラー
#NUM! エラー: 成功確率が0〜1の範囲外
成功確率は0から1の間で指定します。30%なら「30」ではなく「0.3」と入力してください。
=NEGBINOMDIST(5, 3, 30) ← #NUM! エラー(30ではなく0.3)
#VALUE! エラー: 引数に文字列が入っている
数値であるべき引数にテキストが入ると#VALUE!エラーです。セル参照を使うときは、参照先が数値であることを確認しましょう。
第1引数と第2引数を間違える
NEGBINOMDIST関数の第1引数は「失敗回数」、第2引数は「成功回数」です。BINOMDIST関数の第1引数は「成功回数」なので、順番を混同しないように注意してください。
関連する確率分布関数
Googleスプレッドシートには、確率分布に関連する関数がいくつかあります。目的に応じて使い分けましょう。
| 関数 | 用途 | 特徴 |
|---|---|---|
| NEGBINOM.DIST | 目標成功までの失敗回数の確率を求める | NEGBINOMDISTの推奨版。累積確率も計算可能 |
| BINOM.DIST | 固定回数の試行で成功回数の確率を求める | 試行回数が決まっている場面に最適 |
| BINOMDIST | BINOM.DISTの互換関数 | 引数・計算結果ともBINOM.DISTと同じ |
NEGBINOMDISTとBINOMDISTの使い分けもポイントです。
- 試行回数が決まっている → BINOMDIST(またはBINOM.DIST)
- 目標の成功回数が決まっている → NEGBINOMDIST(またはNEGBINOM.DIST)
たとえば「20件商談して5件以上成約する確率」ならBINOMDISTです。「5件成約するまでに何件失注するか」ならNEGBINOMDISTです。
まとめ
NEGBINOMDIST関数は、負の二項分布にもとづいて「目標の成功回数に達するまでの失敗回数の確率」を求める互換関数です。
- NEGBINOM.DIST関数の旧バージョンで、確率質量の計算結果は同じ
- 引数は3つ(失敗回数, 成功回数, 成功確率)で、累積引数がない
- 「ちょうどn回失敗する確率」のみ返し、累積確率は計算できない
- 新しく数式を書くときはNEGBINOM.DISTを使うのがおすすめ
- 既存のNEGBINOMDIST数式はそのまま動くので、急いで書き換えなくてOK
- 成功回数が0以下や、確率が0〜1の範囲外だと
#NUM!エラー - 書き換え時は関数名の変更に加えて、4番目の引数(TRUE/FALSE)の追加を忘れずに
NEGBINOMDISTとNEGBINOM.DISTで迷ったら、NEGBINOM.DISTを選んでおけば間違いありません。既存ファイルのNEGBINOMDISTも問題なく動くので、安心してくださいね。
