「老後に3,000万円貯めるには、今ある500万円を何%で運用すればいい?」
「自社の売上が3年間で1.5倍になったけど、年平均では何%成長したことになる?」
「子どもの教育費に15年で300万円。今ある200万円は何%で運用すれば足りる?」
このような「目標から逆算で必要利率を求める」計算は、GoogleスプレッドシートのRRI関数で解決できます。1行の数式で答えが出るのが便利ですよ。この記事では、投資・売上CAGR・教育資金という3つの実務シーンで、コピペで動く数式とともに使い方を解説しますね。
スプレッドシートのRRI関数とは?複利利率を逆算する財務関数
RRI(読み方:アールアールアイ)は「Rate of Return on Investment」の略です。一定期間の複利運用で目標額に到達するために必要な、1期間あたりの利率を求める関数です。
FV(将来価値)・PV(現在価値)・期間数の3つを与えるだけで、毎期必要な成長率が返ってきます。
RRI関数でできること
- 投資の必要利回り計算: 100万円を10年で300万円にするには年何%必要か
- CAGR(年平均成長率)の計算: 売上3年間の平均成長率を求める
- 目標達成シミュレーション: 教育資金・老後資金の必要利回りを算出する
CAGRはビジネスレポートや投資分析でよく使われる指標です。「毎年一定の割合で成長し続けたと仮定した平均成長率」を指します。RRI関数の計算式はCAGRと同じなので、スプレッドシートでのCAGR計算にそのまま使えますよ。
Excel版RRIと完全互換
ExcelのRRI関数とスプレッドシートのRRI関数は構文・挙動ともに完全一致しています。Excel版の解説はExcelのRRI関数の使い方で読めるので、両方使う場面でも安心です。
RRI関数の書式と3つの引数
=RRI(期間数, 現在価値, 将来価値)
| 引数 | 英語名 | 内容 | 入力例 |
|---|---|---|---|
| 期間数 | nper | 運用する期間の数(年数など) | 10 |
| 現在価値 | pv | 現在の金額・開始時の値 | 1000000 |
| 将来価値 | fv | 目標の金額・終了時の値 | 3000000 |
引数は3つすべて必須です。構文がシンプルなので覚えやすいですよ。
内部では次の計算式が使われています。
利率 = (将来価値 / 現在価値) ^ (1 / 期間数) − 1
CAGRの公式と完全に同じ式です。RRI関数は、この計算をスプレッドシートに任せられる便利関数だと考えるとイメージしやすいですね。
RRI関数の使い方①|投資の必要利率を逆算する
100万円を10年間で300万円にするために必要な年利を求めてみましょう。
条件設定
| 項目 | 値 | セル |
|---|---|---|
| 運用期間(年) | 10 | B1 |
| 現在の資産(円) | 1,000,000 | B2 |
| 目標金額(円) | 3,000,000 | B3 |
数式
=RRI(B1, B2, B3)
結果は 約 11.6% になります。
100万円を10年で3倍にするには、複利で年11.6%の運用が必要です。インデックス投資の長期平均は年5〜7%程度なので、11.6%は積極運用レベルだとわかりますね。
パーセント表示にするには?
RRI関数の結果は小数で返ります(0.116…)。セルの書式を「パーセンテージ」に変更すると、そのまま「11.6%」と表示できます。書式設定メニューから操作するのが最も簡単ですよ。
RRI関数の使い方②|売上のCAGR(年平均成長率)を求める
売上の年平均成長率を求める場面でも、RRIはよく使われます。
条件設定
| 年度 | 売上(万円) |
|---|---|
| 1年目(基準) | 5,000 |
| 4年目(最新) | 7,500 |
ここで注意したいのが「期間数」です。1年目から4年目までは、年数の差分で3年になります。年度の数ではなく、間隔を数えるのがポイントですよ。
=RRI(3, 5000, 7500)
結果は 約 14.5% です。
「3年間で売上が1.5倍になった」ことを、「年平均14.5%成長」と表現できます。投資家説明会や経営陣へのプレゼン資料でよく使われる表現ですね。
CAGR表記がプレゼンで重視される理由
「3年で1.5倍」は直感的でわかりやすい指標です。ただし、期間が違う事業同士を比べるときには使えません。CAGR(年平均ベース)に揃えれば、5年間や10年間の事業とも横並びで比較できます。経営指標としてCAGRが好まれるのはこのためですよ。
RRI関数の使い方③|教育資金の必要利回りをシミュレーションする
子どもの大学進学資金を例にしてみましょう。今ある200万円を、15年後に300万円にしたいケースです。
条件設定
| 項目 | 値 | セル |
|---|---|---|
| 運用期間(年) | 15 | B1 |
| 現在の貯蓄(円) | 2,000,000 | B2 |
| 目標金額(円) | 3,000,000 | B3 |
数式
=RRI(B1, B2, B3)
結果は 約 2.7% になります。
年2.7%なら、つみたてNISAやバランス型投資信託でも十分狙える水準です。「目標が現実的かどうか」を1行の数式で判定できるのがRRIの強みですね。
追加積立がある場合は?
RRIは「一括投資で目標を達成する利率」を求める関数です。毎月積み立てる場合は、FV関数やPV関数を使って積立を含めた計算をするのが正解です。
RRI関数の応用|期間別シナリオで必要利率を比較する
同じ現在価値・将来価値でも、運用期間が変わると必要利率は大きく変わります。
=RRI(5, 1000000, 3000000) → 約 24.6%
=RRI(10, 1000000, 3000000) → 約 11.6%
=RRI(20, 1000000, 3000000) → 約 5.6%
=RRI(30, 1000000, 3000000) → 約 3.7%
期間が長いほど、必要利率がぐっと下がりますね。これは複利効果が時間とともに膨らむためです。
老後資金の計画を早めに始める理由として、このような比較表を作るとリアリティを持って共有できますよ。家族会議の資料に使うと「あ、20年後なら現実的だね」と納得感が出やすいです。
RRI関数とPDURATION関数を組み合わせる
RRI関数は「目標利率で何年かかるか」を求めるPDURATION関数と対になる関数です。
| 関数 | 求めるもの | 与えるもの |
|---|---|---|
| RRI | 必要な利率 | 期間・現在価値・目標額 |
| PDURATION | 必要な期間 | 利率・現在価値・目標額 |
「年5%で運用したら何年で2倍になる?」→ PDURATION
「10年で2倍にするには何%必要?」→ RRI
という使い分けです。2つをセットで使うとシミュレーションの幅がぐっと広がりますね。
組み合わせ例:目標達成戦略の比較
老後資金1,000万円を準備したいケースで、両関数を並べてみましょう。
| シナリオ | 関数 | 入力 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 20年で目標達成するなら | RRI | 期間20年・現在300万・目標1,000万 | 年6.2% |
| 年6%で運用するなら | PDURATION | 利率6%・現在300万・目標1,000万 | 約20.6年 |
| 年3%で運用するなら | PDURATION | 利率3%・現在300万・目標1,000万 | 約40.7年 |
「期間優先」「利率優先」のどちらで目標を設計するかが、ひと目で判断できますよ。
RRI関数のよくあるエラーと対処法
#NUM! エラー
次のいずれかのときに発生します。
- 現在価値(pv)と将来価値(fv)が同じ符号でない
- 期間数が0以下
- 現在価値が0
よくある原因は、現在価値にマイナスを入れてしまうケースです。RRI関数では現在価値・将来価値ともに正の値で入力してくださいね。
NG:=RRI(10, -1000000, 3000000)
OK:=RRI(10, 1000000, 3000000)
結果が0になる
現在価値と将来価値が同じ値の場合は、成長率ゼロを意味するため0が返ります。数値を正しく入力しているか確認しましょう。
結果がマイナスになる
将来価値が現在価値より小さい(価値が減少している)場合に、負の値が返ります。これは「マイナス成長(減少率)」を意味するので、エラーではありません。
たとえば、新規ユーザー数が3年間で1,000→700と減ったケースを考えてみましょう。=RRI(3, 1000, 700) の結果は約 −11.2% です。「年あたり11.2%減」と読み替えられますよ。
CAGR(RRI)の落とし穴|途中の変動が見えなくなる
RRIで計算するCAGRは、始点と終点しか見ません。途中の年に何が起きたかは結果に反映されないのが弱点です。
たとえば次の2つの売上推移を比べてみましょう。
| 年度 | パターンA(安定成長) | パターンB(乱高下) |
|---|---|---|
| 1年目 | 5,000 | 5,000 |
| 2年目 | 5,750 | 9,000 |
| 3年目 | 6,612 | 3,500 |
| 4年目 | 7,500 | 7,500 |
どちらもCAGRは 約14.5% で同じです。でも、パターンBは2年目から3年目で売上が60%以上落ち込んでいます。
経営報告でCAGRだけを見せると、こうした変動が完全に隠れてしまうので注意が必要ですね。年次成長率の表も併記する、標準偏差や前年比のグラフを添えるなど、補助指標とセットで使うのがおすすめですよ。
不定期なキャッシュフローの実利回りを正確に求めたい場合は、IRR関数やXIRR関数が適しています。
RRI関数と関連する財務関数の使い分け
| 関数 | できること | 主な用途 |
|---|---|---|
| RRI | 複利利率・CAGRの計算 | 資産運用・KPI成長率 |
| PDURATION | 目標達成期間 | シミュレーション |
| FV | 将来価値 | 積立後の予測 |
| PV | 現在価値 | 元本の逆算 |
| RATE | 元利均等返済の利率 | ローン分析 |
| NPER | 元利均等返済の期間 | ローン分析 |
| IRR | 内部収益率 | キャッシュフロー混在 |
| XIRR | 内部収益率(日付指定) | 投資の実利回り |
使い分けの感覚をシンプルにまとめると、こうなります。
- 資産運用の利率逆算 → RRI
- ローン返済の利率確認 → RATE
- 不定期な投資の実利回り → XIRR
まとめ:RRI関数で目標から逆算する思考を手に入れる
GoogleスプレッドシートのRRI関数は、3つの引数だけで「目標額に到達するための必要利率」を求められます。
- 投資シミュレーション(必要利回り計算)
- 売上のCAGR(年平均成長率)算出
- 教育資金・老後資金のシナリオ設計
の3シーンで、特に威力を発揮します。
PDURATION関数とセットで使えば「期間優先」「利率優先」の両方向からシミュレーションできますよ。CAGRの落とし穴(途中変動が見えない)には注意しつつ、目標から逆算する思考のツールとして活用してくださいね。
Excel版の使い方はExcelのRRI関数の使い方で解説しています。ExcelとスプレッドシートでRRI関数の構文は共通なので、両方使う場面でも安心です。
