スプレッドシートで「この数を偶数に揃えたいんだけど、どうすればいいの?」と思ったことはありませんか?
2個セットの梱包数を決めるとき、ペアワークの人数を揃えるとき。手作業で偶数に直すのは面倒ですし、ミスも起きがちです。
そんなときに便利なのがEVEN関数です。数値を偶数に切り上げてくれるシンプルな関数ですよ。
この記事では基本の書き方からODD関数との違い、CEILING・MROUNDとの使い分けまで解説します。
EVEN関数とは?
EVEN関数(読み方: イーブン関数)は、数値をいちばん近い偶数に切り上げる関数です。
名前は英語の「even(偶数の・均等な)」に由来しています。たとえば「3」にEVEN関数をかけると「4」になります。すでに偶数の「6」を渡すとそのまま「6」です。
EVEN関数にできることをまとめると、次のとおりです。
- 奇数や小数を次の偶数に切り上げる
- すでに偶数ならそのままの値を返す
- 0を渡すと0が返る(0は偶数)
- 負の数は0から離れる方向に切り上げる
NOTE
EVEN関数はGoogleスプレッドシートの全バージョンで使えます。Excelとの互換性も完全なので、ファイルのやり取りでも安心です。
EVEN関数の書き方(構文と引数)
基本構文
=EVEN(値)
カッコの中に「偶数に切り上げたい数値」を指定します。引数は1つだけです。
引数の説明
| 引数 | 必須/任意 | 説明 |
|---|---|---|
| 値 | 必須 | 偶数に切り上げたい数値やセル参照、数式 |
直接入力・セル参照・他の関数の結果など、数値として扱えるものなら何でも指定できます。
EVEN関数の基本的な使い方
正の数を偶数に切り上げる
もっともシンプルな使い方です。
=EVEN(3)
結果は「4」です。3は奇数なので、次の偶数である4に切り上がります。
=EVEN(5.1)
結果は「6」です。小数も同じように、次の偶数まで切り上げられます。
すでに偶数の場合
=EVEN(8)
結果は「8」です。すでに偶数なら、そのままの値が返ります。
セル参照で指定する
A1に「11.5」が入っているとします。
=EVEN(A1)
結果は「12」です。セル参照でも同じように使えます。実務ではこちらの書き方がメインになるでしょう。
0を渡した場合
=EVEN(0)
結果は「0」です。0は偶数なのでそのまま返ります。ODD関数では0を渡すと1になるので、ここが大きな違いです。
実務でのEVEN関数活用例
2個セットの梱包数を確保する
商品を2個セットで梱包するとき、数量を偶数に揃えたい場合があります。B2に注文数量が入っているとします。
=EVEN(B2)
たとえばB2が「13」なら結果は「14」です。「10」ならそのまま「10」が返ります。梱包に必要な偶数をサッと求められます。
ペアワークの人数を確保する
2人1組の作業を割り振るとき、参加人数を偶数に切り上げたい場面です。
=EVEN(B2)
B2が「15」なら結果は「16」です。余分に1名確保するイメージですね。あぶれる人が出ないよう、偶数に揃えてから組を決めると安心です。
偶数チェックはMOD関数で
数値が偶数かどうかを「判定」したいときは、EVEN関数ではなくMOD関数を使います。
=MOD(A1, 2)
結果が「0」なら偶数、「1」なら奇数です。EVEN関数は「切り上げ」であって「判定」ではない点に注意してください。
TIP
偶数判定にはISEVEN関数を使う方法もあります。
=ISEVEN(A1)で TRUE / FALSE が返ります。
EVEN関数の負の数の扱い
ここがEVEN関数でもっとも注意すべきポイントです。
負の数は「0から離れる方向」に切り上がる
EVEN関数は正の数も負の数も、0から遠ざかる方向で切り上げます。数直線で見ると、絶対値が大きくなる側の偶数を返します。
=EVEN(-3)
結果は「-4」です。「-2」ではない点に注意してください。-3より絶対値が大きい偶数は-4です。
正の数と負の数の挙動比較
| 元の値 | EVEN(値) | 説明 |
|---|---|---|
| 3 | 4 | 次の偶数に切り上げ |
| 5.1 | 6 | 次の偶数に切り上げ |
| 8 | 8 | すでに偶数なのでそのまま |
| 0 | 0 | 偶数なのでそのまま |
| -3 | -4 | 0から離れる方向に切り上げ |
| -5.1 | -6 | 0から離れる方向に切り上げ |
| -8 | -8 | すでに偶数なのでそのまま |
INT関数が「負の無限大方向」に丸めるのと似た考え方です。EVEN関数は必ず偶数を返す点が違います。
よくあるエラーと対処法
EVEN関数はシンプルな関数ですが、エラーが出ることもあります。
| エラー | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| #VALUE! | 値に文字列が入っている | セル参照先が数値かどうか確認する |
| #ERROR! | 構文ミス(カッコ忘れ等) | 数式の入力内容を見直す |
| 結果が想定と違う | 負の数の方向を誤解 | 「0から離れる方向」に切り上がる仕様を確認 |
文字列が混在しているとき
EVEN関数に文字列を渡すと#VALUE!エラーになります。
=EVEN("abc")
セル参照先が数値かどうか不安なときは、ISNUMBER関数で事前にチェックできます。
=IF(ISNUMBER(A1), EVEN(A1), "数値を入力してください")
負の数の結果が想定と違うとき
=EVEN(-3) が「-2」ではなく「-4」になるのは正常な動作です。0に近い偶数が欲しい場合は、絶対値をEVEN関数で処理してから符号を戻す方法があります。
=SIGN(A1) * EVEN(ABS(A1))
ただしこの書き方は、正の数の切り上げと方向が逆になります。用途に合わせて使い分けてください。
ODD関数・CEILING関数との違い・使い分け
EVEN関数と混同しやすい関数を比較表で整理します。
| 関数 | 切り上げ先 | 引数の数 | 用途 |
|---|---|---|---|
| EVEN | 偶数 | 1 | 偶数に切り上げたいとき |
| ODD | 奇数 | 1 | 奇数に切り上げたいとき |
| CEILING | 指定した倍数 | 2 | 任意の倍数に切り上げたいとき |
| MROUND | 指定した倍数(四捨五入) | 2 | 倍数単位で四捨五入したいとき |
| ROUNDUP | 指定した桁数 | 2 | 桁数を指定して切り上げたいとき |
| INT | 整数(切り捨て) | 1 | 小数を整数に切り捨てたいとき |
EVENとODDの違い
EVEN関数とODD関数は、切り上げ先が「偶数」か「奇数」かの違いだけです。構文も引数の数も同じです。
| 元の値 | EVEN | ODD |
|---|---|---|
| 3 | 4 | 3 |
| 4 | 4 | 5 |
| 5.1 | 6 | 7 |
| 0 | 0 | 1 |
| -3 | -4 | -3 |
0を渡したときの違いがポイントです。EVEN(0)は「0」(0は偶数)、ODD(0)は「1」(0は偶数なので次の奇数)です。
EVENとCEILINGの使い分け
EVEN関数は「偶数(2の倍数)への切り上げ」専用です。CEILING関数は任意の倍数を指定できます。
=EVEN(3) → 4(2の倍数に切り上げ)
=CEILING(3, 2) → 4(2の倍数に切り上げ、EVENと同じ結果)
=CEILING(3, 5) → 5(5の倍数に切り上げ)
=CEILING(3, 10) → 10(10の倍数に切り上げ)
「偶数に切り上げたい」だけならEVEN関数が引数1つでシンプルです。「5の倍数」「10の倍数」など自由に指定したいならCEILING関数を使いましょう。
TIP
=EVEN(A1)と=CEILING(A1, 2)は正の数では同じ結果です。ただし負の数での丸め方向が異なる場合があるので、負の数を扱うときは結果を確認してください。
EVENとMROUNDの使い分け
MROUND関数は指定した倍数に「四捨五入」で丸めます。EVEN関数は「切り上げ」のみです。
=EVEN(3) → 4(切り上げ)
=MROUND(3, 2) → 4(四捨五入 → 3は2と4の中間より上なので4)
=EVEN(1) → 2(切り上げ)
=MROUND(1, 2) → 2(四捨五入 → 1は0と2の中間なので2)
「常に偶数以上に切り上げたい」ならEVEN関数です。「偶数に近いほうに丸めたい」ならMROUND関数を使いましょう。
Excelとの違い
EVEN関数はExcelとGoogleスプレッドシートで完全に同じ動作です。
| 項目 | Excel | Googleスプレッドシート |
|---|---|---|
| 構文 | =EVEN(数値) | =EVEN(値) |
| 動作 | 偶数に切り上げ | 偶数に切り上げ |
| 負の数 | -3→-4 | -3→-4 |
| 0 | 0 | 0 |
引数名の表記が若干異なるだけで、機能は完全に同じです。ExcelとSheetsでファイルを共有しても計算結果がずれることはありません。
TIP
Excel版の解説はExcelのEVEN関数の使い方の記事で詳しく紹介しています。丸め関数の使い分けについてはExcelの丸め関数10種を完全比較もチェックしてみてください。
まとめ
EVEN関数は、数値を偶数に切り上げるシンプルな関数です。
ポイントを整理します。
- 構文は
=EVEN(値)の1引数だけ - すでに偶数ならそのまま、奇数や小数は次の偶数に切り上がる
- 0を渡すと0が返る(ODD関数の0→1とは異なる)
- 負の数は「0から離れる方向」に切り上がる(-3 → -4)
- 「偶数に揃えたい」→ EVEN関数、「任意の倍数に揃えたい」→ CEILING関数
- 偶数の判定にはISEVEN関数やMOD関数を使う
まずは =EVEN(A1) でセルの値を偶数に変換するところから試してみてください。
