ExcelのCOPILOT関数とは?使い方と活用例【AI数式入門】

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「このアンケートの自由記述を、1件ずつ手で読んで要約している」——毎回そんな作業に半日溶かしていませんか。コメントの分類、ポジティブ・ネガティブの仕分け、問い合わせ内容へのタグ付け。どれも「人が読んで判断する」必要があるからこそ、関数では自動化できないと諦めてきた領域です。

その諦めを覆すのが、Excelの新しい数式「COPILOT関数」です。セルに自然言語で指示を書くだけで、AIが結果を返してくれます。=COPILOT("このコメントを一行で要約して", B2) と書けば、もう手作業で読む必要はありません。

この記事では、COPILOT関数の基本構文から、コピペでそのまま使える実務の活用例、Copilotチャットパネルとの使い分け、そして「自分のライセンスで使えるのか」までを、同僚に教える感覚でわかりやすく解説します。読み終わるころには、明日から自分のシートでAIを動かせるようになっているはずです。

なお、COPILOT関数は2026年6月時点では展開が始まったばかりの新機能です。ライセンス要件や提供状況は時期によって変わるため、本記事ではその時点の情報であることを明記しながら進めます。

COPILOT関数とは?仕組みと基本の書き方

セル内でAIが動く仕組み

COPILOT関数とは、セルに書いた自然言語の指示(プロンプト)をAIに渡し、その回答を数式の結果として返す新しいExcel関数です。=SUM()=VLOOKUP() と同じように数式バーに入力しますが、計算するのは数値ではなく「言葉の意味」です。

「この文章を要約して」「この内容をポジティブかネガティブで分類して」といった、これまで人が読んで判断していた処理を、セルの中で完結させられます。使われているAIモデルは gpt-4.1-mini(2025-04-14版)で、モデルは今後改善・変更される可能性があります。

プロンプトと参照データはインターネット経由でAzure上のAIモデルに送られ、結果がセルに戻ってきます。そのため、利用にはアクティブなインターネット接続が必須です。なお、入力したプロンプトやデータがAIモデルの学習に使われることはない、と公式に明記されています。

従来の関数と何が違うのか

従来の関数は「決められたルールどおりに計算する」のが仕事です。=SUM(A1:A10) は何度実行してもまったく同じ合計を返します。入力が同じなら出力も必ず同じ、という決定論的な動きです。

一方COPILOT関数は、AIが「意味を解釈して」回答を作ります。同じプロンプト・同じデータでも、再計算のたびに表現が少し変わることがあります。ここが従来の関数と決定的に違う点で、後述する注意点にもつながります。

もうひとつの違いは「入力の自由度」です。従来の関数は引数の型や順序が厳密に決まっています。COPILOT関数の指示は普段の日本語で書けます。「丁寧語で」「20文字以内で」といった細かい注文も、文章で伝えられるのが強みです。

COPILOT関数が得意なこと・苦手なこと

得意なのは、テキストを扱う処理です。公式が推奨する用途として、テキストの要約・サンプルデータの生成・内容の分類(カテゴリ分け)・テキスト生成・Web検索が挙げられています。「人が文章を読んで判断していた作業」全般がターゲットです。

逆に使ってはいけないのが、数値計算です。公式は不適切な用途として以下を明示しています。数値計算、法的/規制/コンプライアンス要件の処理、ブック内データのルックアップ(VLOOKUPの代わりに使うこと)です。合計や検索は、従来どおり =SUM=VLOOKUP を使ってください。

つまりCOPILOT関数は「言葉の処理は任せろ、計算は従来関数に任せる」という役割分担で考えるのが正解です。この線引きは記事後半の判断フローでもう一度整理します。

基本の書き方(構文と引数)

COPILOT関数の構文はシンプルです。指示(プロンプト)と、参照したいデータ(コンテキスト)を渡すだけです。まずは基本形を押さえましょう。

=COPILOT(prompt_part1, [context1], [prompt_part2], [context2], ...)

引数は可変長で、プロンプトとコンテキストを交互に何組でも指定できます。各引数の意味は次の表のとおりです。

引数必須/省略可内容
prompt_part1必須AIへの指示(テキスト)。「要約して」「分類して」など
context1省略可指示の対象データ。単一セルまたは範囲参照(例: B2、A2:A20)
prompt_part2 以降省略可追加の指示。条件を足したいときに使う
context2 以降省略可追加の参照データ

戻り値は動的配列(スピル)です。AIが複数の結果を返す場合は、隣接するセルに自動的に展開(スピル)されます。1件の回答なら1セルに、リスト状の回答なら縦や表形式に広がります。

=COPILOT(プロンプト, 参照範囲) の形

もっとも基本的な使い方は、プロンプトとセル参照を1組だけ渡す形です。B2セルにある長文コメントを一行に要約するなら、次のように書きます。

=COPILOT("この内容を一行で要約して", B2)

参照範囲は1つのセルだけでなく、複数セルの範囲も指定できます。A2からA20までの顧客の声をまとめて1つの傾向にしたいときは、範囲をそのまま渡します。

=COPILOT("これらの意見の共通点を3点にまとめて", A2:A20)

公式の使用例として、A2に地域名を入れて関連イベントを調べる使い方も紹介されています。

=COPILOT("次の地域の今後の祝日や主要イベントを調べて", A2)

プロンプトの書き方のコツ

プロンプトは「具体的・簡潔・出力形式を指定する」の3点を意識すると、結果が安定します。「要約して」だけより「30文字以内で要約して」のほうが、毎回近い長さの回答が返ります。

出力のばらつきを抑えたいときは、選択肢を明示するのが有効です。分類タスクなら「ポジティブ・ネガティブ・ニュートラルのいずれかで答えて」と候補を限定すると、想定外の答えが減ります。

複数の条件を足したいときは、プロンプトを複数の引数に分けても、1つの文章に詰め込んでもかまいません。次の例は、対象データと出力条件を分けて指定した形です。

=COPILOT("次のレビューを要約して。", B2, "出力は20文字以内、敬体で。")

コピペで使える実務活用例3選

ここからは、事務作業でそのまま役立つ3つのユースケースを、コピペできる数式付きで紹介します。いずれも「人が読んで判断していた作業」をセル1つに置き換えるものです。

対象データが入っている列を1つ用意し、その隣のセルにCOPILOT関数を入力していくイメージです。1行目に数式を作って、あとは下方向にコピーすれば列全体に適用できます。

テキスト要約:アンケート・コメントを1行にまとめる

自由記述のアンケートやレビューを、ひと目で把握できる一行に圧縮するパターンです。B列に元のコメントが入っているとして、C列に要約を出します。

=COPILOT("このコメントの要点を1行(30文字以内)で要約して", B2)

長文が並ぶ列でも、要約列を1つ用意するだけで全体の傾向がつかみやすくなります。報告資料に貼る一覧表を作るときに重宝します。

感情分類:ポジティブ/ネガティブ/ニュートラルに仕分ける

レビューや問い合わせの感情を3区分に仕分けるパターンです。候補を明示することで、答えのブレを抑えます。

=COPILOT("このレビューの感情を、ポジティブ・ネガティブ・ニュートラルのいずれか1語で答えて", B2)

仕分け結果が列に並べば、あとは従来関数で集計できます。COPILOT関数の結果列に対して =COUNTIF(C:C, "ネガティブ") を使えば、ネガティブ件数が一発で出ます。AIで分類し、数えるのは従来関数という組み合わせが効率的です。

タグ付け:商品カテゴリや問い合わせ種別を自動付与する

問い合わせ内容や商品説明から、種別タグを自動で付けるパターンです。社内で使っているカテゴリ名を候補として渡すと、運用ルールに沿った分類になります。

=COPILOT("この問い合わせを、返品・配送・不具合・その他のいずれかに分類して", B2)

候補リストが多い場合は、別セルにカテゴリ一覧を用意して範囲で渡す方法もあります。指示文とカテゴリ範囲を組み合わせれば、メンテナンスもしやすくなります。

=COPILOT("この商品説明に最も合うカテゴリを次の一覧から1つ選んで", B2, "カテゴリ一覧:", $E$2:$E$10)

チャットパネル・通常関数との使い分け

Copilotチャットパネルとの違い・使い分け方

「それ、いつものCopilotチャットで質問すればいいのでは?」——ここが多くの人が引っかかるポイントです。Excelには、AIを使う経路が複数あります。画面横に開くチャットパネル、今回のCOPILOT関数、そして複数ステップを一括自動化するエージェントモードです。

やりたい処理の種類によって最適な道具は変わります。迷ったら、次の3分岐フローで判断してください。

やりたい処理は?
├─ テキストの解釈・生成(要約・分類・タグ付け)
│    → COPILOT関数
├─ 数値計算・検索・集計(合計・平均・VLOOKUP)
│    → 従来関数(SUM / IF / VLOOKUP など)
└─ 複数ステップの繰り返し作業を丸ごと自動化
     → Copilotエージェントモード

チャットパネルとCOPILOT関数:4軸比較

チャットパネルは、人と対話しながら作業を進める「アシスタント」です。一方COPILOT関数は、セルに埋め込まれて他の関数と一緒に動く「部品」です。この違いを4つの軸で整理してみましょう。

比較軸CopilotチャットパネルCOPILOT関数
操作方法画面横のパネルに質問を入力(セル外)セルに数式として入力
結果の永続性会話として表示。シートには手動で貼る必要ありセルの値として残り、保存される
他関数との組み合わせ不可(対話で完結)可能(COUNTIFやIFと組み合わせられる)
向いている場面その場で1回だけ相談・分析したいとき同じ処理を列全体に一括適用したいとき

最大の違いは「結果がシートに残るかどうか」と「他の関数とつなげられるか」です。「1件だけその場で相談したい」ならチャットパネル、「同じ処理を何十件・何百件に適用したい」ならCOPILOT関数を選んでください。

COPILOT関数 vs 通常関数|使い分け判断フロー

テキスト処理はCOPILOT関数、数値計算は従来関数

数値計算にCOPILOT関数を使ってはいけません。公式も不適切な用途として明示しています。AIは意味の解釈は得意でも、正確な四則演算や厳密なルックアップには向かないからです。

実務では両者を組み合わせるのが定石です。「COPILOT関数で感情分類 → COUNTIFで件数集計」のように、判断はAI・計算は従来関数と分担させると精度も速度も両立します。

繰り返し自動化はエージェントモードへ

「データの取り込みから集計、レポート作成まで一連の流れを自動化したい」というレベルになると、1つの関数では収まりません。そこで登場するのが、複数ステップを自動実行するエージェントモードです。

COPILOT関数が「1つのセルで1つの仕事を頼む」のに対し、エージェントモードは「一連の作業全体をAIに任せる」イメージです。詳しい設定方法はExcel Copilotエージェントモードの使い方を参照してください。

そもそもCopilotと他のAI(ChatGPT・Gemini)をどう使い分けるか迷っている方は、ChatGPT・Gemini・Copilotの違いと使い分けもあわせてどうぞ。事務職目線での選び方をまとめています。

使うために必要なライセンスと条件

ここが「自分は使えるのか」のいちばん気になるところでしょう。結論から言うと、COPILOT関数は誰でもすぐ使えるわけではなく、特定のライセンスが必要です。以下はすべて2026年6月時点の情報です。

職場・学校アカウントの場合は、Microsoft 365 Copilotアドオンライセンスが必須です。個人ユーザーの場合は、Microsoft 365 Premiumのサブスクライバーのみ利用できます。Personal や Family は対象外なので注意してください。

Microsoft 365 Personal / Business Standard / Business Premium 比較

「うちの会社のプランで使えるの?」を判断しやすいよう、主要プランの利用可否を表にまとめました(2026年6月時点)。

プランCOPILOT関数の利用可否補足
Microsoft 365 Personal / Family不可Premiumへの切り替えが必要
Microsoft 365 Premium(個人)個人で使うならこれ
Business Basic要確認Copilotアドオンの購入可否・条件は契約形態により異なる
Business Standard要確認同上。管理者または公式ページで確認
Business Premium可(Copilotアドオン追加購入が必要)アドオンなしでは不可

重要なポイントは2つあります。1つ目は、法人プランではいずれも「Microsoft 365 Copilot アドオンの追加購入」が前提になること。アドオンの価格は$30/ユーザー/月(年払い)が基本です。2つ目は、Business Basic / Standard でのアドオン購入可否や COPILOT 関数の展開状況は契約形態・テナント設定によって異なるため、自社の管理者かMicrosoft公式のライセンスページで最新条件を確認してほしいことです。

なお、AIクレジットについては、Personal/Familyが月60クレジット(Copilot全機能で共有)であるのに対し、Microsoft 365 Premiumは実質無制限です。ただし前述のとおり、Personal/FamilyではCOPILOT関数自体が現時点で利用できません。

Insiderプログラムへの参加手順

もうひとつ重要な条件があります。2026年6月時点のCOPILOT関数は、「Frontierプログラム」および「Microsoft 365 Insiderプログラム」の参加者のみ利用可能です。正式ライセンスを持っていても、Insider設定をしないと関数が出てこない可能性があります。

一般提供(GA)は、Excel デスクトップ版・Web版ともに2026年12月予定とされています(ロードマップID: 499658 / 499660)。今すぐ試したい場合は、Excelの[ファイル]→[アカウント]からMicrosoft 365 Insiderプログラムに参加し、最新ビルドに更新したうえで動作を確認してください。

新機能ゆえ、提供状況は流動的です。=COPILOT( と入力しても候補に出ない場合は、ライセンス・Insider参加状況・Excelのバージョンを順に確認するのが近道です。

よくある失敗パターンと対処法(FAQ)

最後に、実際に使い始めると遭遇しがちなつまずきポイントを、対処法とセットでまとめます。事前に知っておくだけで、無駄なハマりを避けられます。

Q: 再計算のたびに結果が変わるのはなぜ?

A: COPILOT関数はAIが意味を解釈して回答するため、同じプロンプト・同じデータでも再計算のたびに表現が変わることがあります。これは仕様で、公式も非決定論的な挙動として明記しています。モデルの改善によって将来結果が変わることもあります。

対処法は「結果を値として固定する」ことです。COPILOT関数を入れたセル範囲をコピーし、[形式を選択して貼り付け]→[値]で同じ場所に貼り付けます。AIの回答がただの文字列に変わり、以降は再計算で変動しなくなります。報告書に使う確定値は、この手順で固定しておくのがおすすめです。

Q: 100件/10分のレート制限に引っかかったら?

A: COPILOT関数には、10分間に最大100回まで、というレート制限があります(公式明記)。大量の行に一気に数式を入れると、この上限に達してエラーになることがあります。

対処法は処理を分割することです。100行ずつブロックに分けて実行し、上限に近づいたら少し時間を空けてから次のブロックを計算します。終わったブロックから順に値貼り付けで固定すると、再計算で同じ行が無駄に消費されるのを防げます。確定したら固定するを習慣にすると安定します。

Q: 数値計算に使ったら精度がおかしい

A: それは想定どおりの結果です。COPILOT関数は数値計算には向いておらず、公式も不適切な用途として明示しています。合計・平均・検索(VLOOKUP相当)には、必ず従来の関数を使ってください。

「言葉の処理はCOPILOT関数、数字の処理は従来関数」と割り切るのが安全です。判断はAIに任せ、その結果をCOUNTIFやSUMで集計するという分業にすれば、AIの解釈力と関数の正確さの両方を活かせます。

なお補足として、機密ラベル(Confidential/Highly Confidential)が付いたブックではCOPILOT関数は使用できません。社内の機密文書で動かない場合は、ラベル設定を確認してみてください。

まとめ

COPILOT関数は、セルに自然言語の指示を書くだけでAIが結果を返す、Excelの新しい数式です。要約・分類・タグ付けといった「人が読んで判断していたテキスト処理」を、=COPILOT("指示", 範囲) の一行で自動化できます。

押さえておきたいポイントは次の3つです。第一に、テキスト処理はCOPILOT関数・数値計算は従来関数と役割分担すること。第二に、再計算で結果が変わるため、確定値は値貼り付けで固定すること。第三に、2026年6月時点では利用に特定ライセンスとInsider参加が必要で、一般提供は同年12月予定であることです。

まずは手元のアンケートやコメントの列で、要約や分類を1行試すところから始めてみてください。「人が読む作業」がセル1つに置き換わる感覚をつかめれば、日々の事務作業の景色が変わるはずです。セルの中でPythonを実行するPython in Excel(PY関数)の使い方もあわせて知っておくと便利です。

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