「Geminiにメール返信を頼むたびに、毎回同じ前提を入力していませんか?」
「うちの会社の言い回しに合わせてほしい、議事録のフォーマットを毎回指定するのが面倒」
そんな悩みを一気に解決してくれるのが、Geminiの「Gems(ジェムズ)」機能です。
ChatGPTのカスタムGPTを知っている方なら、「あれのGemini版」と思ってください。それでイメージしやすくなるはずです。
この記事では、Gemini Gemsとは何かから自分で作る手順、事務職に役立つ活用例、無料プランで使えるかまでまとめて解説します。読み終わるころには、自分専用のAIアシスタントを作れるようになっているはずです。
Gemini Gemsとは?ChatGPTのカスタムGPTに相当する機能
Gemini Gemsは、Googleが提供する「カスタマイズ可能なAIアシスタント」を作れる機能です。
役割や口調、出力フォーマットを事前に設定したAIアシスタント(Gem)を作って、繰り返し使えるのが特徴です。
ChatGPTを使ったことがある方なら、「カスタムGPT(GPTs)」を思い出してもらえるとわかりやすいと思います。Gemsはそれのほぼ同等機能で、Gemini版という位置づけです。
| 項目 | ChatGPT カスタムGPT | Gemini Gems |
|---|---|---|
| 提供元 | OpenAI | |
| 提供開始 | 2023年11月 | 2024年8月(順次無料化) |
| ナレッジファイル | アップロード可 | アップロード可 |
| 連携機能 | カスタムアクション(API) | Google Workspace連携 |
| 共有 | GPT Storeで公開可 | 個別共有可 |
GoogleドキュメントやGmailとシームレスに連携できるのが、Gemini Gemsならではの強みです。普段からGoogle Workspaceを使っている事務職の方には、特に便利な機能と言えます。
Gemini Gemsは無料プランで使える?料金プラン別の対応状況
「便利そうだけど、結局有料プランじゃないと使えないんでしょう?」と思った方、ご安心ください。
2024年12月以降、Gemini Gems機能は無料プランでも基本的な作成・利用が可能になりました。
それぞれのプランで使える範囲を、ざっくりまとめると次のようになります。
| プラン | Gems作成 | Gems利用 | 使えるモデル | ナレッジファイル |
|---|---|---|---|---|
| Gemini 無料版 | 可能 | 可能 | 標準モデル | 制限あり |
| Gemini Advanced(有料) | 可能 | 可能 | 高性能モデル(Pro系) | 緩和される |
無料プランでも基本機能は十分に使えます。ただしGemini Advancedにアップグレードすると、より長い指示を読み込ませたり大きなナレッジファイルを使ったりできるようになります。
まずは無料プランで使ってみて、業務にハマるなら有料プランを検討する流れが安心です。
なお、Googleの機能開放スケジュールは流動的です。最新の対応状況はGeminiの公式ヘルプを確認してください。
Geminiそのものの活用方法をもっと知りたい方は、GeminiでGoogleドキュメント・Gmail・スライドを使いこなす|会社員が毎日使える3つの機能も参考になります。
Gemini Gemsの作り方|3ステップで自分専用AIアシスタントを作る
ここからは、実際にGemを作る手順を見ていきましょう。
Gemの作成画面は、たった3つの項目を埋めるだけというシンプルな構成になっています。
ステップ1: Gem マネージャーを開く
まず、Geminiのウェブ画面(gemini.google.com)にアクセスします。
画面左側のサイドバーに「Gemマネージャー」または「Gems」という項目があるので、そこから「新しいGem」をクリックします。
ステップ2: 名前と指示を設定する
Gem作成画面では、次の3項目を順番に設定していきます。
1. 名前(Name)
Gemの識別名を入力します。あとから自分が見てすぐわかる名前にするのがおすすめです。
例:「メール返信アシスタント」「議事録整理係」「データ入力チェッカー」など。
2. 指示(Instructions / カスタム指示)
ここがGem作りの肝です。
「どのような役割のAIになってほしいか」を自然言語で書きます。書き方のコツは次の3点です。
- 役割を明確にする(例:「あなたは事務職向けのメール返信アシスタントです」)
- 出力フォーマットを指定する(例:「件名・本文・締めの一文の3ブロックで返してください」)
- 守ってほしいルールを書く(例:「丁寧語で書く」「絵文字は使わない」)
3. ナレッジ(Knowledge / Files)
GemにPDFやGoogleドキュメント、テキストファイルなどをアップロードして、参照知識として使わせる機能です。
社内の文書テンプレートやよく使う略語リスト、議事録の過去サンプルなどを登録しておくと、Gemがそれを参照しながら回答してくれるようになります。
ステップ3: プレビューで動作確認 → 保存
設定が終わったら、画面の右側または下部にあるプレビューエリアで動作を試してみましょう。
想定どおりに動かなかった場合は、指示文を調整して再度プレビューする、というサイクルを2〜3回繰り返すのがおすすめです。
動作に納得できたら「保存」をクリックして完成です。
作成済みのGemは「My Gems」または「Gems」セクションに一覧表示され、いつでも編集・削除できます。
Geminiの基本的な使い方を復習したい方は、Google Workspace × Gemini ワークフロー完全ガイドも合わせてどうぞ。
事務職に役立つGemini Gemsの活用例3選
Gemsを作るときに一番悩むのが「で、結局なにを作ればいいの?」というところだと思います。
ここでは、事務職の方が今日からマネしやすい活用例を3つ紹介します。
活用例1: メール返信アシスタントGem
毎日たくさんのメールに返信していると、文面を考えるだけで時間が溶けていきますよね。
社内向け・取引先向けの2種類の返信パターンを学習させたGemを作っておくと、返信のたたき台を一瞬で出してくれます。
指示の書き方例:
あなたは事務職のメール返信アシスタントです。受け取ったメールの内容に対し、以下のルールで返信案を作ってください。
- 出力形式: 件名 / 本文 / 結びの3ブロック
- 文体: 丁寧語、社内向けは「お疲れさまです」、取引先向けは「お世話になっております」で開始
- 長さ: 本文は150〜250文字程度
- 絵文字・顔文字は使わない
ナレッジに自社の挨拶テンプレートをアップロードしておくと、より自社らしい返信が生成されます。
活用例2: 議事録整理Gem
会議の録音を文字起こししたあと、「これを整理して、論点とアクションアイテムに分けて」と毎回指示するのは骨が折れます。
議事録整理Gemを作っておけば、文字起こしを貼り付けるだけで定型フォーマットに整理してくれます。
指示の書き方例:
あなたは議事録整理の専門アシスタントです。貼り付けられた会議の文字起こしテキストから、以下の4項目を抽出してください。
1. 会議の論点(3〜5個の箇条書き)
2. 決定事項(あったもののみ)
3. アクションアイテム(担当者・期限つき)
4. 次回までの宿題
事実のみを抽出し、推測や補足は加えないこと。
ナレッジに過去の議事録サンプルをアップロードしておけば、自社の議事録テンプレートに沿った形式で出力してくれます。
活用例3: データ入力チェックGem
請求書番号は半角、日付は「YYYY/MM/DD」形式、取引先コードは4桁の英数字。
こういった入力規則のチェックを毎回目視でやるのは大変です。データ入力チェックGemに任せましょう。
指示の書き方例:
あなたはデータ入力チェック担当アシスタントです。貼り付けられたデータについて、以下のルールに従ってチェックし、違反箇所を箇条書きで指摘してください。
- 請求書番号: 半角英数字8桁
- 日付: YYYY/MM/DD形式(半角スラッシュ)
- 取引先コード: 4桁の半角英大文字
- 金額: 半角数字、カンマ区切り
問題がない場合は「すべての項目が規則どおりです」と返してください。
スプレッドシートでGeminiを使う応用テクニックは、スプレッドシートでGeminiサイドパネルを使いこなす応用編も参考になります。
Gemini GemsとGoogle Workspace連携のポイント
Gemsの真価は、Google Workspaceと組み合わせたときに発揮されます。
GmailやGoogleドキュメント、スプレッドシートのデータをGemsから直接呼び出して操作できるからです。
連携でできること
- Gmail連携: 「@Gmail」で受信箱から特定メールを引っ張ってきて、Gemsに整理させる
- Googleドキュメント連携: 「@ドキュメント」で過去文書を参照しながら新しい文書を作らせる
- スプレッドシート連携: スプレッドシート内のGeminiサイドパネル経由で、自作Gemを呼び出す
連携利用時の注意点
- Google Workspace連携は、利用しているGoogleアカウントの権限内でしか動作しません
- 社内の機密情報をナレッジにアップロードする場合は、社内規定を必ず確認してください
- Workspace連携機能の一部は、Gemini Advanced(有料)で先行提供されることがあります
Gemini × ドキュメント連携の応用例は、Gemini Canvasでドキュメント・議事録・プレゼンを一気に作るで詳しく解説しています。
Gemini Gemsを使う際のよくある疑問とつまずきポイント
ここまで読んで「やってみよう」と思った方が、最初につまずきがちなポイントをQ&A形式でまとめました。
Q1: 一度作ったGemは編集・削除できますか?
はい、いつでも編集・削除できます。
「My Gems」一覧から対象のGemを選び、編集アイコンから指示やナレッジを修正できます。修正内容は保存後すぐに反映されます。
Q2: Gemを他の人と共有できますか?
はい、Gemごとに共有設定が可能です。
チームで同じ業務基準を共有したいときは、Gemを作成してチームメンバーに共有することで品質を揃えられます。
ただし、ナレッジに機密情報を含む場合は共有範囲に注意してください。
Q3: ナレッジファイルに何をアップロードすればいいですか?
「Gemに毎回参照してほしい知識」をアップロードします。
具体例としては次のようなものです。
- 議事録のテンプレートや過去サンプル
- 自社のメール挨拶文・署名集
- よく使う略語・社内用語の一覧
- 業務マニュアルのPDF
- データ入力規則を記載したドキュメント
Q4: Gemが意図どおりに動かないときはどうすればいいですか?
ほとんどの場合、指示文の書き方を見直すと改善します。
特に効果的な調整ポイントは次の3つです。
- 役割定義を冒頭で明確にする(「あなたは○○の専門家です」)
- 出力フォーマットを箇条書きで明示する
- やってほしくないことを「しないこと:」として書き出す
Q5: Geminiの事前構築済みGemも使えますか?
はい、Googleが用意した「事前構築済みGem」も無料で利用できます。
「キャリアガイド」「学習コーチ」「ブレインストーミングパートナー」など、汎用的なGemが揃っています。自作する前に試して感覚をつかむのがおすすめです。
Gemini自体のリサーチ活用については、Gemini Deep Researchをビジネスで使いこなすも合わせてお読みください。
まとめ|Gemini Gemsで事務作業の「毎回同じ前提入力」から解放されよう
Gemini Gemsは、ChatGPTのカスタムGPTに相当するGemini版のカスタムAIアシスタント機能です。
名前・指示・ナレッジの3項目を設定するだけで、自分専用のAIアシスタントを作れるのが大きな魅力です。
この記事のポイントを振り返ると、次のようになります。
- Gems機能は2024年12月以降、無料プランでも基本機能が使える
- 作り方は「名前」「指示」「ナレッジ」の3ステップ
- 事務職向け活用例は「メール返信」「議事録整理」「データ入力チェック」の3つが鉄板
- Google Workspace連携で、GmailやドキュメントとシームレスにつながるのがGemsならではの強み
- 一度作ったGemは編集・削除・共有が自由
「毎回同じ前提を入力するのが面倒」という日常的なストレスを、Gemsはまるごと解消してくれます。
まずは「メール返信アシスタントGem」を5分で作ってみて、便利さを体感してみてください。一度作ってしまえば、明日からの事務作業の景色が変わるはずです。
スプレッドシートでもGeminiの力を借りたい方は、GoogleスプレッドシートでAI関数(=AI())を使う方法も合わせて活用してみてください。
