「複利で運用したら、どのくらいの利率が必要なんだろう?」
投資や貯蓄の計画を立てるとき、こんな疑問が浮かびますよね。目標金額と運用期間はなんとなく決められても、必要な利率を逆算するのは意外とやっかいです。
ExcelのRRI関数を使えば、この計算がたった1つの数式で完了します。この記事では、RRI関数の基本から実践的な活用法まで、わかりやすく解説していきますね。
ExcelのRRI関数とは?
RRI関数は、一定期間の複利運用で必要な利率を求める関数です。「今ある金額を、指定した期間で目標額にするには年何%で運用すればいいか」がわかります。
Excel 2013で追加された比較的新しい関数です。Excel 2016 / 2019 / 2021 / 2024 / Microsoft 365で使えます。
RRI関数の読み方と意味
RRI関数の読み方は「アールアールアイ」です。
語源は「Rate of Return on Investment」の略とされています。ただし、Microsoft公式には明記されていません。日本語にすると「投資利益率」という意味になります。
覚え方としては、「R(リターン)の R(レート)を I(投資で)求める」とイメージするとわかりやすいですよ。
RRI関数でできること(複利利率・CAGR計算)
RRI関数では、主に次のような計算ができます。
- 複利利率の逆算: 目標金額に到達するために必要な年利を求める
- CAGR(年平均成長率)の計算: 売上や利益の成長率を求める
- 投資シミュレーション: 老後資金や教育資金の必要利回りを算出する
CAGRとは年平均成長率(Compound Annual Growth Rate)を指します。複数年の成長を毎年一定の率で成長したと仮定した平均成長率です。RRI関数の内部計算式はCAGRの公式とまったく同じなので、CAGR計算にそのまま使えます。
ExcelのRRI関数の書き方(構文・引数)
基本構文
=RRI(nper, pv, fv)
引数は3つだけ。すべて必須です。シンプルな構文なので、すぐに覚えられますよ。
引数の説明(表で整理)
| 引数 | 名前 | 意味 | 入力例 |
|---|---|---|---|
| nper | 期間数 | 運用する期間の数(年数など) | 10 |
| pv | 現在価値(Present Value) | 現在の金額・開始時の値 | 1000000 |
| fv | 将来価値(Future Value) | 目標の金額・終了時の値 | 2000000 |
内部では次の計算式が使われています。
(fv / pv) ^ (1 / nper) - 1
この式はCAGRの計算式そのものです。RRI関数はこの計算をワンクリックで実行してくれる便利な関数というわけですね。
RRI関数の基本的な使い方
例:10年で100万円を200万円にするための必要利率
「100万円を10年間複利で運用して200万円にしたい」というケースで試してみましょう。
=RRI(10, 1000000, 2000000)
結果は 約0.07177(約7.18%) になります。
つまり、年利約7.18%で複利運用すれば、10年で100万円が200万円に到達するということです。パーセント表示にするには、セルの書式設定で「パーセンテージ」を選んでくださいね。
手計算で検証してみましょう。
(2000000 / 1000000) ^ (1/10) - 1
= 2 ^ 0.1 - 1
≈ 0.07177
RRI関数の結果と一致しますね。
セル参照で動的に計算する
実務では、数値を直接入力するよりもセル参照を使うのがおすすめです。値を変えるだけで結果が自動更新されるので、シミュレーションに便利ですよ。
たとえば、次のようにセルにデータを入力します。
| セル | 内容 | 値 |
|---|---|---|
| B2 | 運用期間(年) | 10 |
| B3 | 現在の金額 | 1,000,000 |
| B4 | 目標金額 | 2,000,000 |
数式はこうなります。
=RRI(B2, B3, B4)
B4の目標金額を3,000,000に変更すれば、必要利率も自動で再計算されます。いろいろな条件を試したいときに便利です。
RRI関数の実践的な使い方・応用例
投資シミュレーション:老後資金の必要利回りを計算する
「手元の500万円を30年間運用して、老後資金2,000万円を準備したい」というケースを考えてみましょう。
=RRI(30, 5000000, 20000000)
結果は 約0.04729(約4.73%) です。
年利約4.73%で複利運用できれば、30年で500万円が2,000万円に届く計算になります。現実的に達成できそうな利率かどうか、判断材料になりますよね。
条件を変えてシミュレーションしてみるのもおすすめです。たとえば、元手を700万円に増やすとどうなるか試してみてください。
=RRI(30, 7000000, 20000000)
結果は約3.56%まで下がります。元手を増やすほど必要利率が下がることが、数字で確認できますよ。
CAGR(年平均成長率)の計算に使う
RRI関数は投資だけでなく、ビジネスの成長率分析にも活用できます。
たとえば、ある事業の売上が3年間で1,000万円から1,500万円に成長したとします。年平均成長率(CAGR)を求めてみましょう。
=RRI(3, 10000000, 15000000)
結果は 約0.14471(約14.47%) です。
「3年間で毎年平均14.47%ずつ成長した」と表現できます。年ごとの売上にバラつきがあっても、CAGRを使えば平均的な成長ペースを1つの数字で把握できるのがポイントです。
事業計画書や報告資料で「年平均成長率」を示したいときに、ぜひ活用してみてください。
RRI関数でよくあるエラーと対処法
#NUM! エラー
#NUM! エラーは、引数の値が計算上無効な場合に発生します。よくある原因は次の3つです。
- pvが0: 現在価値が0だと割り算ができない
- nperが0: 期間が0だと累乗の計算ができない
- pvとfvの符号が不正: 計算結果が虚数になるケース
対処法はシンプルです。pvとnperに0が入っていないか確認してください。また、pvとfvは通常どちらも正の値を入力します。
=RRI(10, 0, 2000000) → #NUM! エラー(pvが0)
=RRI(0, 1000000, 2000000) → #NUM! エラー(nperが0)
#VALUE! エラー
#VALUE! エラーは、引数に数値以外の値が入っている場合に発生します。
=RRI("十年", 1000000, 2000000) → #VALUE! エラー
セル参照を使っている場合は、参照先に文字列が入っていないかチェックしてみてください。空白セルは0として扱われるため、#NUM! エラーの原因にもなります。
RRI関数と似た関数との使い分け
RRI関数と似た役割を持つ関数がいくつかあります。それぞれの違いを押さえておくと、場面に応じて最適な関数を選べますよ。
RATE関数との違い(定期支払ありのローン・積立)
RATE関数は、定期的な支払い(積立・返済)がある場合の利率を求める関数です。
| 比較項目 | RRI関数 | RATE関数 |
|---|---|---|
| 用途 | 一括投資の複利利率 | ローン・積立の利率 |
| 定期支払(pmt) | なし | あり |
| 計算方式 | 直接計算(数式1回) | 反復計算(繰り返し近似) |
| 引数の数 | 3つ | 最大6つ |
使い分けのポイントは「定期的な支払いがあるかどうか」です。毎月の積立や返済があるならRATE関数、一括投資ならRRI関数を選んでください。
ちなみに、RATE関数でpmt(定期支払額)を0にすると、RRI関数と同じ結果が得られます。Excel 2013より前のバージョンでは =RATE(nper,0,-pv,fv) で代用できますよ。
PDURATION関数との違い(利率ではなく期間を求める)
PDURATION関数は、RRI関数の「姉妹関数」ともいえる存在です。どちらもExcel 2013で同時に追加されました。
| 比較項目 | RRI関数 | PDURATION関数 |
|---|---|---|
| 求めるもの | 必要な利率 | 必要な期間 |
| わかっている情報 | 期間・現在価値・将来価値 | 利率・現在価値・将来価値 |
「利率を知りたい」ならRRI関数、「何年かかるか知りたい」ならPDURATION関数と覚えておけばOKです。
NPER関数・MIRR関数との関係
NPER関数は、定期支払いを含む条件での必要期間を求めます。PDURATION関数が一括投資向けなのに対し、NPER関数はローンや積立にも対応しています。
MIRR関数は、不規則なキャッシュフローの修正内部収益率を求める関数です。投資額と回収額が複数回発生するケースで使います。RRI関数よりも複雑な投資分析に向いていますよ。
これらの関数との関係を整理すると、次のようになります。
- 一括投資の利率 → RRI関数
- 一括投資の期間 → PDURATION関数
- 定期支払ありの利率 → RATE関数
- 定期支払ありの期間 → NPER関数
- 不規則キャッシュフローの収益率 → MIRR関数
まとめ
ExcelのRRI関数は、複利運用で必要な利率を手軽に求められる関数です。
この記事のポイントを振り返っておきましょう。
- 構文は
=RRI(nper, pv, fv)の3引数だけ - 内部計算は
(fv/pv)^(1/nper)-1でCAGRと同じ - 投資シミュレーションや売上成長率の分析に活用できる
- 定期支払いがあるケースではRATE関数を使う
- 必要な期間を求めたいときはPDURATION関数を使う
「目標金額に届くには年利何%が必要?」という疑問を、RRI関数でサクッと解決してみてくださいね。
