ExcelのFVSCHEDULE関数の使い方|変動利率の将来価値

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変動金利の住宅ローンや、年ごとに利回りが変わる投資商品の将来価値を試算したい。FV関数で計算してみたものの、利率は1つしか入れられず、変動金利には対応できないですよね。

そんなときに役立つのが、ExcelのFVSCHEDULE関数です。配列で複数年分の利率を渡すだけで、変動利率の元本将来価値を一発で計算してくれる財務関数です。

この記事ではFVSCHEDULE関数の構文・使い方から、FV関数との違い、変動金利型住宅ローンや投資シミュレーションといった実務活用例まで解説します。よくあるエラー対処や、XNPV関数との使い分けも紹介するので、財務初心者の方でも今日の業務にすぐ活かせますよ。

FVSCHEDULE関数とは?FV関数との違い

FVSCHEDULE関数(読み方:エフブイスケジュール)は、元本に対して期間ごとに異なる利率を順次掛けていき、変動利率の将来価値を計算する財務関数です。

関数名は「FV(Future Value=将来価値)」と「SCHEDULE(スケジュール=利率の予定表)」に由来します。利率を「予定表」として配列で渡すイメージです。

FVSCHEDULE関数でできることをまとめると、次のようになります。

  • 年ごとに利率が変わる投資商品の将来額を計算する
  • 変動金利型の定期預金の満期額を求める
  • 段階金利型商品(フラット35の段階金利型など)の試算をする
  • 過去の実績利率から「結局いくらになったか」を逆検証する

FV関数との違い(最重要ポイント)

FV関数とFVSCHEDULE関数は、利率の前提と積立対応の有無で大きく違います。

観点FV関数FVSCHEDULE関数
利率固定(毎期同じ)変動(期間ごとに異なる)
引数の数5つ(rate, nper, pmt, pv, type)2つ(元金, 利率配列)
積立あり(毎月の積立に対応)なし(一括投資の元本のみ)
利率の指定単一の数値配列またはセル範囲
期間の指定nper引数で明示利率配列の要素数
主な用途定額預金・定期積立変動金利・段階金利・利率予測

実務では「利率が一定なのか、年ごとに変わるのか」がそのまま使い分けの判断基準になります。利率が変わるならFVSCHEDULE関数、一定で積立もしたいならFV関数、と覚えるとシンプルです。

NOTE

FVSCHEDULE関数は「元本の一括投資」が前提です。毎月の積立を含めたい場合は、FV関数の結果と合算するか、自分で複利計算を組み立てる必要があります。

対応バージョン

FVSCHEDULE関数はExcel 2007以降で標準搭載されています。Microsoft 365・Excel 2024/2021/2019/2016に加え、Excel for Mac、Excel for the web でも使えますよ。

FVSCHEDULE関数の構文と引数

FVSCHEDULE関数の構文は、財務関数の中でもとくにシンプルです。

=FVSCHEDULE(元金, 利率配列)

引数の詳細

引数説明必須
元金現時点の投資額(現在価値)。プラスの数値で指定する必須
利率配列各期間の利率を配列定数またはセル範囲で指定する必須

ポイントは次の3つです。

  • 元金は数値で指定する(文字列が混じると #VALUE! エラー)
  • 利率は 0.05 または 5% の形式で指定する(5 と書くと年利500%扱い)
  • 配列の要素数 = 期間数になる(3つなら3期間、12個なら12期間)

計算式の中身

FVSCHEDULE関数は、内部で次の式を計算しています。

将来価値 = 元金 × (1 + 利率1) × (1 + 利率2) × … × (1 + 利率n)

利率を順番に掛け合わせる、複利計算の基本形です。手計算でも検算できるので、「なぜこの結果になるのか」を上司に説明したいときにも安心ですよ。

FVSCHEDULE関数の基本的な使い方

実際の動きを確認していきましょう。シンプルな例から始めて、徐々に実務的なパターンに広げていきます。

配列リテラルで直接利率を指定する

100万円を3年間運用し、年利が1年目5%・2年目6%・3年目5.5%だった場合の将来額を求めます。

=FVSCHEDULE(1000000, {0.05, 0.06, 0.055})

結果は 1,174,215 円になります。100万円が3年後に約117.4万円に増える計算です。

中身を順を追って確認すると、次のようになります。

  • 1年目末: 1,000,000 × 1.05 = 1,050,000
  • 2年目末: 1,050,000 × 1.06 = 1,113,000
  • 3年目末: 1,113,000 × 1.055 = 1,174,215

各期間の利率を順番に掛け合わせるだけなので、手計算でも一致するか確認できます。

セル範囲で利率を指定する

配列リテラルではなく、セル範囲を渡す方法のほうが実務では便利です。利率を変えながらシミュレーションがしやすくなります。

セル内容
A20.05
A30.06
A40.055
=FVSCHEDULE(1000000, A2:A4)

結果は配列リテラル指定の場合と同じ 1,174,215 円です。利率を変更すれば結果が自動で更新されるので、複数パターンの比較にぴったりですよ。

利率が0の年がある場合

利率が0の年があってもエラーにはなりません。その年は元金がそのまま据え置かれます。

=FVSCHEDULE(1000000, {0.03, 0, 0.03})

結果は 1,060,900 円です。2年目は0%なので、1年目末の金額がそのまま3年目に引き継がれています。リーマンショック直後のように利率がほぼゼロだった年を含めたい場合に使えますよ。

マイナス利率を含む場合

景気後退や金利低下局面を想定し、マイナス利率を含めることもできます。

=FVSCHEDULE(1000000, {-0.02, -0.01, 0.01})

結果は約 979,902 円です。マイナス利率の期間は元本が目減りし、その後プラス利率に戻っても完全には回復しないことが分かります。インフレ調整や下落シナリオの試算にも使える特性です。

TIP

「マイナス利率って入力していいの?」と心配になりますが、計算上は問題ありません。実務では悲観シナリオの一部として使うケースが多いです。

FVSCHEDULE関数の実務活用パターン5選

財務・経理の実務で使えるパターンを5つ紹介します。コピペで動くサンプルなので、自分の数値に置き換えて使ってみてください。

パターン1: 変動金利型の投資シミュレーション

将来予測される金利を年ごとに入力し、投資の将来額を試算します。500万円を5年間運用し、年利が段階的に上がるケースです。

想定年利
1年目1.0%
2年目1.5%
3年目2.0%
4年目2.5%
5年目3.0%

利率を B2:B6 に入力した場合の数式は次のとおりです。

=FVSCHEDULE(5000000, B2:B6)

結果は 5,519,741 円。5年後に約552万円になる計算です。

利率予測を変えて何度も試したいときは、セル範囲で渡すのが圧倒的にラクです。経営企画の中期計画で、金利環境を年度ごとに変えて再試算する場面でも活躍しますよ。

パターン2: 変動金利型住宅ローンの「運用残高」シミュレーション

変動金利型住宅ローンの試算で、「もし返済せずに利息だけが乗っていったら残高はどうなるか」を確認したいケースです。

3000万円を借り入れ、5年間の各年の適用金利が次のように変動した場合を考えます。

適用金利
1年目0.475%
2年目0.5%
3年目0.55%
4年目0.6%
5年目0.65%
=FVSCHEDULE(30000000, C2:C6)

結果は約 30,841,761 円。返済しなければ5年で約84万円の利息が積み上がります。

実際のローン返済額試算には ExcelのPMT関数ExcelのIPMT関数 を組み合わせて使いますが、「金利が動いた場合に元本がどう増えていくか」を可視化するときにFVSCHEDULE関数が役立ちます。

パターン3: 楽観・標準・悲観の3シナリオ比較

将来の金利は予測が難しいので、複数シナリオを並べてリスクの幅を可視化するのが定石です。

300万円を5年間運用した場合の比較表を作ってみます。

シナリオ利率(5年分)数式5年後の将来額
楽観5%, 5%, 5%, 5%, 5%=FVSCHEDULE(3000000, D2:D6)約3,828,845円
標準3%, 3%, 3%, 3%, 3%=FVSCHEDULE(3000000, E2:E6)約3,477,822円
悲観1%, 1%, 1%, 1%, 1%=FVSCHEDULE(3000000, F2:F6)約3,153,030円

シナリオ別に列を分けておけば、利率を変えるだけでシミュレーションが完結します。経営層への提案資料では「悲観シナリオでも約315万円」という言い方ができると、説得力がぐっと上がりますよ。

パターン4: 月利を指定して月単位で計算する

利率配列は年単位だけでなく、月単位でも指定できます。月ごとに利率が変わるケースに便利です。

300万円を6か月運用し、月利が0.1%・0.12%・0.15%・0.13%・0.11%・0.10%だった場合の数式は次のとおりです。

=FVSCHEDULE(3000000, {0.001, 0.0012, 0.0015, 0.0013, 0.0011, 0.001})

結果は約 3,021,363 円。6か月後に約2.1万円の利息が付く計算です。

利率配列の単位(年・月・日)と、要素数を必ず揃えてください。月利なら配列も月数分並べる、というルールを徹底すれば単位ミスは防げます。

TIP

配列の要素数 = 期間数 です。月利を12個並べれば1年分、24個並べれば2年分のシミュレーションになります。

パターン5: 過去実績から満期額を逆検証する

変動金利型の定期預金で、銀行が表示している満期額が正しいかチェックする用途にも使えます。

200万円を10年預け、各年の適用利率が次のとおり記録されているケースです。

適用利率
1年目0.3%
2年目0.35%
3年目0.4%
4年目0.5%
5年目0.6%
6年目0.55%
7年目0.5%
8年目0.45%
9年目0.4%
10年目0.35%

利率を D2:D11 に入力した場合の数式は次のとおりです。

=FVSCHEDULE(2000000, D2:D11)

結果は約 2,089,754 円。10年で約9万円の利息が付く計算になります。銀行の取引明細と一致するかチェックすると、間違いがないか確認できますよ。

利率指定で気をつけたい単位の落とし穴

FVSCHEDULE関数で「結果が異常に大きい」「逆に小さすぎる」と感じたら、ほぼ間違いなく利率の単位ミスです。実務でつまずきやすいポイントを整理します。

利率を「5」と入力するのはNG

最頻出のミスが「5%を 5 と入力してしまう」ケースです。

=FVSCHEDULE(1000000, {5, 6, 5.5})

このまま実行すると、年利500%扱いで計算が走り、結果は約 3億円 になります。明らかにおかしいので気づきやすいですが、たとえば1.5を入れて150%扱いになると気づきにくく、稟議資料に誤った数字が載るリスクがあります。

正しい入力形式は次のいずれかです。

  • 小数表記: 0.05
  • パーセント表記: 5%

年利・月利・日利の単位を揃える

利率配列の単位(年・月・日)と、要素数の単位を必ず揃えてください。Excelは単位の自動換算をしてくれません。

シミュレーションの単位配列の中身要素数の意味
年単位各年の年利年数
月単位各月の月利月数
日単位各日の日利日数

たとえば「年利1.2%を月単位でシミュレーションしたい」なら、月利に換算して 1.2% / 12 = 0.1% を12個並べます。年利を月単位の配列にそのまま入れると、結果が大きく狂うので注意してください。

NOTE

利率の単位ミスは結果が桁単位で違ってくるので、検算する習慣をつけると安心です。簡単な期間で手計算と一致するか確認してから本番の数式に展開しましょう。

よくあるエラーと対処法

FVSCHEDULE関数で発生しやすいエラーをまとめました。

エラー原因対処法
#VALUE!利率配列に文字列が混じっている数値だけで埋める
#VALUE!元金に文字列を指定している数値で指定する
#VALUE!配列に空白セルがある0を入れるか範囲を見直す
結果が異常に大きい利率を 5 のように整数で指定0.05 または 5% で指定
結果が想定より小さい月利を年利の枠で扱った期間と利率の単位をそろえる
結果が元金と同じ利率がすべて0利率を入力する

#VALUE! が出るときの典型例

利率配列に空白セルや文字列(「N/A」「-」など)が紛れ込んでいるケースが大半です。利率データをコピー&ペーストしたときに、書式が文字列のまま入力されている場合も同じエラーになります。

対処は、データの貼り付け先のセル書式を「数値」にしてから貼り直すか、=ISNUMBER(A2) で各セルが数値かどうか個別チェックするのが確実です。

IFERROR関数でエラーをラップする

エラー時にメッセージを表示したいときは、IFERROR関数で包むのが定番です。

=IFERROR(FVSCHEDULE(B2, C2:C6), "利率データを確認してください")

ExcelのIF関数の使い方 と組み合わせると、稟議資料に貼っても恥ずかしくないシートが作れますよ。

FV関数・XNPV関数との違い・使い分け

財務評価の関数は、利率の前提と何を求めたいかで使い分けます。

主要4関数の比較

関数利率積立求めるもの主な用途
FV関数固定あり将来価値定期積立・定額預金の満期額
FVSCHEDULE関数変動なし将来価値変動金利型投資・段階金利の試算
XNPV関数固定正味現在価値不定期キャッシュフローの投資判断
XIRR関数内部収益率不定期キャッシュフローの実利回り

使い分けの判断軸

  • 利率が固定で、毎月の積立を含めたい → FV関数
  • 利率が変動し、元本のみで将来価値を試算したい → FVSCHEDULE関数
  • 不定期な日付のキャッシュフローを評価したい → XNPV関数 / XIRR関数

実務でよくある組み合わせ

たとえば変動金利型住宅ローンの試算では、次のような関数組み合わせが定番です。

利息と返済を厳密にシミュレーションしたい場合は、FVSCHEDULE関数だけでは足りないので注意してください。「金利が動いたら元本がどれだけ増えるか」の概算用途と覚えておくと、適用範囲を間違えずに済みます。

関連記事もあわせてご覧ください。

まとめ|FVSCHEDULE関数で変動利率の将来価値を見える化

ExcelのFVSCHEDULE関数は、変動する利率を配列で受け取り、元本の将来価値を一発で計算する財務関数です。要点をまとめます。

  • 構文は =FVSCHEDULE(元金, 利率配列) の2引数だけ
  • 配列の要素数 = 期間数になる
  • 利率は 0.05 または 5% 形式で指定する(5 は500%扱い)
  • 利率0・マイナス利率も計算できる
  • 単位(年・月・日)は配列と要素数で必ず揃える
  • 元本のみが対象で、毎月積立は含められない
  • 「変動金利」「段階金利」「シナリオ比較」の試算に最適

「変動金利の住宅ローンで5年後どうなる?」「年ごとに利回りが変わる投資商品の将来価値は?」といった場面で、FVSCHEDULE関数があれば手計算で悩まずに数字を出せます。FV関数しか使ったことがない方は、ぜひFVSCHEDULE関数も実務のレパートリーに加えてみてくださいね。

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