「年ごとに利率が変わる投資の将来額を計算したい」
利率が毎年同じならFV関数で済みますが、変動金利の場合は複利計算が複雑になりますよね。
スプレッドシートのFVSCHEDULE関数を使えば、年ごとに異なる利率を配列で指定するだけで、変動利率での将来価値が一発で求められます。
この記事では、FVSCHEDULE関数の基本から変動金利型の投資シミュレーションまで、実務で使えるパターンをまとめて紹介します。
FVSCHEDULE関数とは? — スプレッドシートで変動利率の将来価値を計算する関数
FVSCHEDULE関数(読み方: えふぶいスケジュール)は、変動する利率スケジュールを使って元本の将来価値を計算する関数です。
関数名は「FV(Future Value:将来価値)+ SCHEDULE(スケジュール)」に由来します。年ごとに変わる利率を「スケジュール」として配列で渡すイメージです。
FVSCHEDULE関数にできることをまとめると、次のとおりです。
- 年ごとに利率が変わる投資の将来額を計算する
- 変動金利型の定期預金の満期額を計算する
- 段階的に金利が上がる商品のシミュレーションを作る
- 過去の実績利率から将来価値を逆検証する
NOTE
FVSCHEDULE関数はGoogleスプレッドシートの全バージョンで使えます。ExcelのFVSCHEDULE関数と完全互換なので、ファイルのやり取りでも安心です。
FVSCHEDULE関数の書き方(構文と引数)
基本構文
=FVSCHEDULE(元本, 利率スケジュール)
カッコの中に元本と利率スケジュールの2つを指定します。引数は2つだけなのでシンプルです。
内部では「元本 × (1+利率1) × (1+利率2) × … × (1+利率n)」という複利計算式で算出しています。配列で渡された利率を順番に掛け合わせていく仕組みです。
引数の説明
| 引数 | 必須/任意 | 説明 |
|---|---|---|
| 元本 | 必須 | 現時点の投資額(現在価値)。プラスの数値で指定する |
| 利率スケジュール | 必須 | 各期間の利率を配列またはセル範囲で指定する。例: {0.05, 0.06, 0.055} |
NOTE
利率スケジュールの要素数が、そのまま運用期間(年数や月数)になります。3つ指定すれば3期間分、5つ指定すれば5期間分の計算です。
TIP
FV関数は固定利率の将来価値、FVSCHEDULE関数は変動利率の将来価値を求めます。利率が一定ならFV、変わるならFVSCHEDULEと覚えてください。
FVSCHEDULE関数の基本的な使い方
まずはシンプルな例で動きを確認してみましょう。
配列リテラルで直接利率を指定する
100万円を3年間運用し、年利が1年目5%・2年目6%・3年目5.5%だった場合の将来額を計算します。
=FVSCHEDULE(1000000, {0.05, 0.06, 0.055})
結果は 1,174,215 です。100万円が3年後に約117.4万円になります。
計算の中身を確認すると、以下の流れです。
- 1年目末: 1,000,000 × 1.05 = 1,050,000
- 2年目末: 1,050,000 × 1.06 = 1,113,000
- 3年目末: 1,113,000 × 1.055 = 1,174,215
各期間の利率を順番に掛け合わせるので、手計算でも同じ結果が確認できます。
セル範囲で利率を指定する
利率を別セルに入力しておけば、シミュレーションがしやすくなります。
| セル | 内容 |
|---|---|
| A1 | 0.05 |
| A2 | 0.06 |
| A3 | 0.055 |
=FVSCHEDULE(1000000, A1:A3)
結果は配列指定の場合と同じ 1,174,215 です。利率を変更すれば結果が自動更新されるので、複数パターンの比較に便利ですよ。
利率が0の期間を含める
利率が0の年があってもエラーにはなりません。その年は元本がそのまま据え置かれます。
=FVSCHEDULE(1000000, {0.03, 0, 0.03})
結果は 1,060,900 です。2年目は0%なので、1年目末の金額がそのまま3年目に引き継がれています。
FVSCHEDULE関数の実践的な使い方・応用例
変動金利型の投資シミュレーション
将来予測される金利を年ごとに入力して、投資の将来額をシミュレーションします。
500万円を5年間運用し、年利が段階的に上昇するケースです。
| 年 | 想定年利 |
|---|---|
| 1年目 | 1.0% |
| 2年目 | 1.5% |
| 3年目 | 2.0% |
| 4年目 | 2.5% |
| 5年目 | 3.0% |
利率を B2:B6 に入力した場合の数式は次のとおりです。
=FVSCHEDULE(5000000, B2:B6)
結果は 5,519,741 です。5年後に約552.0万円になります。
利率予測を変えて何度も試したいときは、セル範囲指定が圧倒的に便利です。
変動金利型の定期預金の満期額を計算する
10年もの変動金利型定期預金で、過去の適用利率から実際の満期額を計算します。
200万円を10年間預け、各年の適用利率が記録されているケースです。
| 年 | 適用利率 |
|---|---|
| 1年目 | 0.3% |
| 2年目 | 0.35% |
| 3年目 | 0.4% |
| 4年目 | 0.5% |
| 5年目 | 0.6% |
| 6年目 | 0.55% |
| 7年目 | 0.5% |
| 8年目 | 0.45% |
| 9年目 | 0.4% |
| 10年目 | 0.35% |
利率を D2:D11 に入力した場合の数式は次のとおりです。
=FVSCHEDULE(2000000, D2:D11)
結果は 2,089,754 です。10年で約9万円の利息が付きます。
過去の実績利率から「実際にいくらになったか」を検証するときに重宝しますよ。
月利を指定して月単位で計算する
利率スケジュールは年単位だけでなく、月単位でも指定できます。月ごとに利率が変わるケースに便利です。
300万円を6か月運用し、月利が0.1%・0.12%・0.15%・0.13%・0.11%・0.10%だった場合の数式は次のとおりです。
=FVSCHEDULE(3000000, {0.001, 0.0012, 0.0015, 0.0013, 0.0011, 0.001})
結果は 3,021,363 です。6か月後に約2.1万円の利息が付きます。
利率スケジュールの単位(年・月・日)と要素数を合わせて運用期間を表現する点に注意してください。
TIP
配列の要素数 = 期間数 です。月利を12個並べれば1年分、24個並べれば2年分のシミュレーションができます。
複数の運用パターンを比較する
楽観・標準・悲観の3シナリオで将来額を比較すると、リスクの幅が見えてきます。
300万円を5年間運用した場合の比較です。
| シナリオ | 1〜5年目の利率 | 5年後の将来額 |
|---|---|---|
| 楽観 | 全年5% | 約383万円 |
| 標準 | 全年3% | 約348万円 |
| 悲観 | 全年1% | 約315万円 |
利率を毎年変えるパターンも組み合わせれば、より現実的なシミュレーションができますよ。
似た関数との使い分け(財務関数ファミリー)
将来価値を求める関数にはFV関数とFVSCHEDULE関数の2つがあります。利率が固定か変動かで使い分けます。
| 関数 | 利率 | 積立 | 使う場面の例 |
|---|---|---|---|
| FV | 固定 | あり | 毎月積立や定期預金(固定金利)の満期額 |
| FVSCHEDULE | 変動 | なし | 変動金利型投資・年ごとに利率が変わるケース |
| PV | 固定 | あり | 将来の受取額の現在価値 |
| NPV | 固定 | 不規則 | キャッシュフローが不定期な投資の正味現在価値 |
| IRR | — | 不規則 | 投資の内部収益率 |
FVSCHEDULE関数は「元本の一括投資」が前提です。毎月の積立を含めたい場合は別途FV関数の結果と合算するか、自分で複利計算を組み立てる必要があります。
TIP
利率が一定ならFV関数、年ごとに変わるならFVSCHEDULE関数、キャッシュフローが不規則ならNPV関数、と使い分けましょう。
よくあるエラーと対処法
FVSCHEDULE関数で「思った結果にならない」ケースをまとめました。
| 症状 | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| #VALUE! エラーが出る | 利率スケジュールに文字列が含まれている | 数値のみ指定する。空欄も含めない |
| #VALUE! エラーが出る | 元本に文字列を指定している | 元本は数値で指定する |
| 将来額が想定より大きい | 利率を「5」のように整数で指定している | パーセンテージは0.05または5%で指定する |
| 将来額が想定より小さい | 月利を年利の枠で指定している | 期間と利率の単位を揃える |
| 結果が元本と同じ | 利率スケジュールがすべて0 | 利率に値を入力する |
| 結果がマイナス | 利率にマイナスを指定している | マイナス利率は元本目減りを意味する。意図と合っているか確認 |
TIP
最も多いミスは「利率の指定形式」です。5%は
0.05または5%と書きます。5と書くと年利500%扱いになるので注意してくださいね。
Excelとの違い
FVSCHEDULE関数はExcelとGoogleスプレッドシートで完全に同じ動作です。
| 項目 | Excel | Googleスプレッドシート |
|---|---|---|
| 構文 | =FVSCHEDULE(元金, 利率配列) | =FVSCHEDULE(元本, 利率スケジュール) |
| 動作 | 変動利率の将来価値を返す | 変動利率の将来価値を返す |
| 利率の指定 | 配列定数またはセル範囲 | 配列定数またはセル範囲 |
| 引数の数 | 2つ(固定) | 2つ(固定) |
引数名の表記が若干異なるだけで、機能は完全に同じです。.xlsxファイルをGoogleスプレッドシートで開いても、FVSCHEDULEの数式はそのまま動作しますよ。
まとめ
FVSCHEDULE関数は、変動する利率スケジュールを使って元本の将来価値を計算する関数です。
ポイントを整理します。
- 構文は
=FVSCHEDULE(元本, 利率スケジュール) - 利率スケジュールは配列リテラル
{0.05, 0.06}またはセル範囲で指定する - 配列の要素数 = 期間数になる
- 利率は
0.05または5%の形式で指定する(5は500%扱いになるので注意) - 固定利率ならFV関数、変動利率ならFVSCHEDULE関数を使う
- 毎月積立を含めるシミュレーションは扱えない(一括投資の前提)
まずは =FVSCHEDULE(1000000, {0.03, 0.04, 0.05}) で100万円・3年運用の将来額を試してみてください。
