「テストの点数や売上データを4つのグループに分けたいけど、どうやればいいんだろう」と困った経験はありませんか。平均値だけだとデータの偏りや散らばり具合が見えづらいですよね。
そんなときに役立つのがQUARTILE関数です。この関数を使えば、データを4等分する区切りの値(四分位数)をかんたんに求められます。この記事では、ExcelのQUARTILE関数の使い方を実例付きで解説します。後継のQUARTILE.INCやQUARTILE.EXC関数との違いや使い分けもあわせて紹介しますね。
ExcelのQUARTILE関数とは?
QUARTILE関数(読み方:クォータイル)は、データの四分位数を求める統計関数です。関数名は英語の「quarter(4分の1)」が語源で、データを4つに区切る境目の値を返すのがこの関数の役割です。
四分位数(しぶんいすう)とは、データを小さい順に並べたときに4等分する区切りの値のことです。たとえば10人分の試験結果があるとき、「下位25%はどこまで?」「上位25%の境目は?」といった分析ができます。データの散らばり具合や偏りを把握するのに便利ですよ。
QUARTILE関数はExcel 2010以降、互換性関数という扱いになっています。同じ機能を持つQUARTILE.INC関数が後継として用意されたためです。新しいシートを作るときはQUARTILE.INC関数を使いましょう。既存シートにQUARTILE関数があれば、置き換えを検討してみてくださいね。
NOTE
QUARTILE関数は将来のバージョンで削除される可能性があります。新規作成ではQUARTILE.INC関数またはQUARTILE.EXC関数を使うことが推奨されています。
QUARTILE関数の書き方(構文と引数)
基本構文
=QUARTILE(配列, 戻り値)
引数は2つで、どちらも省略できません。
引数の説明
| 引数 | 必須 | 説明 |
|---|---|---|
| 配列 | 必須 | 四分位数を求めたい数値データのセル範囲または配列を指定します |
| 戻り値 | 必須 | どの四分位数を返すかを0〜4の整数で指定します |
戻り値の数字と返される値の対応は次のとおりです。
| 戻り値 | 返される値 | パーセンタイル |
|---|---|---|
| 0 | 最小値 | 0% |
| 1 | 第1四分位数(Q1) | 25% |
| 2 | 第2四分位数(中央値) | 50% |
| 3 | 第3四分位数(Q3) | 75% |
| 4 | 最大値 | 100% |
戻り値に2を指定した場合は、MEDIAN関数と同じ結果が返ります。覚えておくと便利ですよ。
計算の中身
QUARTILE関数は、データを小さい順に並べたあと、四分位の位置に対応する値を線形補間で求めています。データ件数nに対して、第k四分位数(k=1,2,3)の位置は次の式で決まります。
位置 = 1 + k × (n - 1) / 4
たとえばn=10で第1四分位数(k=1)なら、位置は3.25です。3番目の値と4番目の値の間の25%地点を補間して返す動作になります。難しく感じても大丈夫で、Excelが自動で計算してくれます。
QUARTILE関数の使い方(実践例)
ここでは、10人分の試験結果データを使った例を紹介します。
例題: A2:A11に試験結果10件(45, 52, 58, 63, 70, 74, 78, 85, 90, 96)があります。このデータの第1四分位数(Q1)を求めてください。
セルに次の数式を入力します。
=QUARTILE(A2:A11, 1)
結果は59.25です。これは「全体の下から25%の位置にある値」という意味になります。
同じデータで戻り値を変えて各四分位数を求めると、次のようになります。
| 数式 | 結果 | 意味 |
|---|---|---|
=QUARTILE(A2:A11, 0) | 45 | 最小値 |
=QUARTILE(A2:A11, 1) | 59.25 | 下位25%の境目(Q1) |
=QUARTILE(A2:A11, 2) | 72 | 中央値(Q2) |
=QUARTILE(A2:A11, 3) | 83.25 | 上位25%の境目(Q3) |
=QUARTILE(A2:A11, 4) | 96 | 最大値 |
Q1からQ3までの範囲にデータの中央50%が収まります。この幅が広いほどデータがばらついている、狭いほど中央付近に集まっている、という見方ができますよ。
セル参照で戻り値を切り替える
戻り値をセル参照にすると、ドロップダウンで切り替えながら結果を確認できます。
=QUARTILE($A$2:$A$11, B1)
B1セルに0〜4の数値を入れると、対応する四分位数が返ります。データ範囲を絶対参照($付き)にしておくのがポイントです。
QUARTILE関数の活用例
QUARTILE関数は、データのランク分けや外れ値検出など、実務で使える場面が多くあります。代表的な活用例を紹介します。
売上データのランク分け
営業チームの月間売上を四分位数で分類すると、メンバーの成績ランクがひと目でわかります。
| ランク | 判定基準 |
|---|---|
| 優秀 | Q3以上 |
| 標準 | Q1〜Q3 |
| 要改善 | Q1未満 |
数式は次のようにIF関数を組み合わせます。
=IF(B2<QUARTILE($B$2:$B$11,1),"要改善",IF(B2>QUARTILE($B$2:$B$11,3),"優秀","標準"))
B2に売上、B2:B11に全員のデータが入っている前提です。下方向にコピーすれば、全メンバーのランクが一括で表示されます。
外れ値(異常値)の検出
統計でよく使われるIQR法(四分位範囲による判定)で外れ値を見つけられます。IQR(四分位範囲)はQ3からQ1を引いた値で、データの中央50%の幅を表します。
判定基準は次のとおりです。
| 判定 | 条件 |
|---|---|
| 下側の外れ値 | 値 < Q1 - 1.5 × IQR |
| 上側の外れ値 | 値 > Q3 + 1.5 × IQR |
数式にすると次のようになります。
=OR(B2<QUARTILE($B$2:$B$11,1)-1.5*(QUARTILE($B$2:$B$11,3)-QUARTILE($B$2:$B$11,1)), B2>QUARTILE($B$2:$B$11,3)+1.5*(QUARTILE($B$2:$B$11,3)-QUARTILE($B$2:$B$11,1)))
TRUEが返ったセルが外れ値です。長く見えますが、Q1とQ3、IQRをそれぞれ別セルに分けると見通しが良くなりますよ。
試験結果の成績ランク表示
学校や研修の成績表で、生徒・受講者を四分位数でA〜Dランクに分けるのも定番の使い方です。Q1未満をD、Q1〜Q2をC、Q2〜Q3をB、Q3以上をAとすれば、相対評価が一発でできます。
TIP
RANK関数で順位を求める方法と組み合わせれば、「A評価かつ全体の上位5位以内」のような複合条件の集計もかんたんになります。
QUARTILE.INC・QUARTILE.EXCとの違い・使い分け
QUARTILE関数には2つの後継関数があります。どちらを使うべきか迷ったときは、次の比較表を参考にしてください。
| 項目 | QUARTILE(互換性) | QUARTILE.INC | QUARTILE.EXC |
|---|---|---|---|
| 0%・100%の扱い | 含む | 含む | 除く |
| 計算結果 | INCと同じ | QUARTILEと同じ | INCと異なる |
| 戻り値の指定 | 0〜4 | 0〜4 | 1〜3のみ |
| 対応バージョン | 全バージョン | Excel 2010以降 | Excel 2010以降 |
| 将来の削除リスク | あり | なし | なし |
QUARTILE関数とQUARTILE.INC関数は、まったく同じ計算結果を返します。違いは互換性関数かどうかだけです。
QUARTILE.EXC関数は0%と100%を除いて計算するため、Q1とQ3の値がQUARTILE.INCとは異なります。統計学的にはQUARTILE.EXCのほうが厳密ですが、一般的なビジネス用途ではQUARTILE.INCで十分ですよ。
使い分けのフロー
実務での使い分けは、次のフローで判断すると迷いません。
- 既存シートでQUARTILE関数を見つけたら → QUARTILE.INC関数に置き換える
- 新規シートで一般的な業務用途 → QUARTILE.INC関数を使う
- 統計的に厳密な分析が必要、または学術用途 → QUARTILE.EXC関数を使う
迷ったらQUARTILE.INCで問題ありません。Excelに最初から推奨されている関数で、QUARTILEと同じ結果が出るので置き換えのリスクもありませんよ。
QUARTILEからQUARTILE.INCへの置き換え手順
既存のExcelファイルにQUARTILE関数が残っていると、関数名の前に黄色い三角マークが表示されることがあります。これは「互換性関数なので新しい関数への置き換えを推奨」というサインです。
置き換え手順
- シート全体を「Ctrl + F」で検索します
- 検索キーワードに
QUARTILE(を入力します(カッコまで含めるのがコツ) - 「すべて検索」で対象セルを一覧表示します
- 「Ctrl + H」で置換ダイアログに切り替えます
- 検索文字列に
QUARTILE(、置換文字列にQUARTILE.INC(を入れて「すべて置換」します
TIP
検索時に
QUARTILE(のようにカッコ付きで指定すると、QUARTILE.INCやQUARTILE.EXCがすでに使われているセルを誤って書き換えずに済みます。
置き換え後は、必ず数値結果が変わっていないことを確認してください。QUARTILEとQUARTILE.INCは同じ計算式なので、結果が変わらないのが正しい動作です。
よくあるエラーと対処法
QUARTILE関数でエラーが出たときは、次の表で原因を確認してください。
| エラー | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
#NUM! | 戻り値が0〜4以外 | 0、1、2、3、4のいずれかを指定する |
#NUM! | 配列が空(データなし) | 数値データを含む範囲を指定する |
#VALUE! | 戻り値に文字列が含まれている | 数値またはセル参照を指定する |
#VALUE! | 配列の中身がすべて文字列 | 数値データを含む範囲に修正する |
NOTE
QUARTILE関数は、配列内の文字列・空白セル・論理値(TRUE/FALSE)を無視します。途中に空白セルがあっても問題なく計算されますよ。
戻り値に小数を指定した場合(例: =QUARTILE(A2:A11, 1.5))は、自動的に整数部分だけが使われます。意図しない丸めを避けるため、整数で指定する習慣をつけましょう。
エラー値の種類と対処法をもっと詳しく知りたい方は「セルに表示されるエラーの種類と原因」も参考にしてみてください。
実務での活用シーン
QUARTILE関数は、データの分布を把握したいあらゆる業務で力を発揮します。代表的な4つのシーンを紹介しますね。
給与・賞与データの分析
社員の給与水準を四分位で区切ると、給与カーブの実態がわかります。Q1とQ3の差(IQR)が大きいと給与のばらつきが大きい、小さいと均質、という見方ができます。人事評価の見直しや給与改定の議論で根拠資料として使えますよ。
製品の品質検査データ
製造ラインから抽出した製品の重量・寸法をQUARTILE関数で分析します。IQR法を使えば、不良品の可能性があるロットを外れ値として自動で検出できます。AVERAGE関数だけでは見えない極端な値を発見できるのがメリットです。
顧客満足度アンケートの集計
回答者ごとの満足度スコアを四分位で区切り、満足層・標準層・不満層を分類します。Q1未満の不満層に絞って自由記述を読めば、改善ポイントが効率的に見つかります。
営業案件の単価分析
過去の成約案件単価をQUARTILE関数で四分位に分けると、案件の規模感が整理できます。Q3以上を「大型案件」、Q1未満を「小規模案件」と定義すれば、リソース配分の議論がスムーズになりますよ。
TIP
四分位数とあわせてSTDEV.S関数で標準偏差を求めると、データのばらつきを「中央50%の幅」と「全体の散らばり」の2つの視点で評価できます。
まとめ
QUARTILE関数は、データの四分位数を求めるための関数です。
- 構文:
=QUARTILE(配列, 戻り値) - 戻り値は0(最小値)〜4(最大値)の整数で指定する
- 戻り値2は中央値で、MEDIAN関数と同じ結果になる
- 互換性関数のため、新規作成ではQUARTILE.INC関数またはQUARTILE.EXC関数を使う
- ランク分け・外れ値検出・分布把握など実務での活用範囲が広い
- 既存シートのQUARTILEは置換機能でQUARTILE.INCに統一していくとよい
四分位数を使えば、平均値だけでは見えないデータの偏りや散らばりを数値で示せます。まずは手元のデータで試してみて、データ分析の引き出しを増やしていきましょう。
関数の一覧は「アルファベット順 Excel関数一覧」からご覧いただけます。