「2進数で記録されたシステムログを、Linuxのパーミッション設定に合わせて8進数で確認したい…」
サーバーの権限設定や組み込み機器のレジスタ値など、2進数と8進数を行き来する場面は意外と多いものです。手計算で3桁ずつ区切って変換するのは、桁数が増えるほど面倒ですよね。
そんなときに便利なのがGoogleスプレッドシートのBIN2OCT関数です。2進数のセルを指定するだけで、8進数に一発変換してくれますよ。
しかも桁数を揃えて表示できるので便利です。Unixのファイルパーミッション(755や644など)のようにフォーマットが決まっているデータも、整った形で出力できます。
この記事では、BIN2OCT関数の基本から桁数指定までまとめて解説します。符号付き2進数の扱いやエラー対処法、関連関数との使い分けにも触れていきますね。
BIN2OCT関数とは?
BIN2OCT関数(読み方: ビントゥオクト / バイナリ・トゥ・オクタル)は、2進数を8進数に変換するエンジニアリング関数です。
2進数は「0」と「1」だけで数値を表す方法です。コンピュータの内部では、すべてのデータがこの形式で処理されています。
一方、8進数は「0〜7」の8つの数字で数値を表す方法ですね。16進数と違ってA〜Fのようなアルファベットは登場しません。
2進数の3桁が8進数の1桁にちょうど対応するため、長いビット列をコンパクトに表現したいときに8進数が使われます。
たとえば =BIN2OCT("101011") と入力すると、結果は「53」です。6桁の2進数が、たった2文字の8進数になりました。
関数名の由来
関数名を分解すると、次の意味になります。
- BIN = Binary(バイナリ、2進数)
- 2 = to(〜へ)
- OCT = Octal(オクタル、8進数)
つまり「BINからOCTへ」、2進数を8進数に変換するという意味がそのまま名前になっています。基数変換系の関数はすべて同じ命名ルールです。
BIN2OCT関数でできること
BIN2OCT関数の特徴をまとめると、次のとおりです。
- 0と1で構成された2進数を8進数に変換する
- 最大10桁(10ビット)の2進数に対応する
- 桁数を指定して結果の文字数を揃えられる
- 符号付き2進数(負の数)にも対応する
- Excelとの互換性があり、ファイルのやり取りでもそのまま使える
NOTE
BIN2OCT関数はGoogleスプレッドシートのエンジニアリング関数カテゴリに属します。全バージョンで追加設定なしに利用できます。
BIN2OCT関数の書き方(構文と引数)
基本構文
=BIN2OCT(数値, [桁数])
カッコの中に、変換したい2進数と、必要に応じて桁数を指定します。桁数は省略できます。
引数の説明
| 引数 | 必須/任意 | 説明 |
|---|---|---|
| 数値 | 必須 | 8進数に変換したい2進数。0と1のみで構成された値を指定する |
| 桁数 | 任意 | 結果の最小文字数。省略すると必要最小限の桁数で返される |
引数のルール
数値に指定できるのは、次の条件を満たす値だけです。
- 使える文字は「0」と「1」だけ
- 最大10桁(10ビット)まで
- 直接入力でもセル参照でもOK
- 文字列として指定する場合はダブルクォーテーションで囲む
桁数のルールは、次のとおりです。
- 1〜10の範囲で指定する
- 結果の桁数より小さい値を指定するとエラーになる
- 負の数を変換した場合、桁数指定は無視されて10桁で返される
WARNING
直接入力で
=BIN2OCT(0011)のように先頭に0を付けると、スプレッドシートが10進数として解釈し、先頭の0が消えてしまうことがあります。先頭0が意味を持つ場合は"0011"と文字列で指定するのが安全です。
2進数と8進数の対応表
BIN2OCT関数の動きをイメージしやすくするため、代表的な対応を表にまとめました。
| 2進数 | 8進数 | 10進数 |
|---|---|---|
| 0 | 0 | 0 |
| 1 | 1 | 1 |
| 10 | 2 | 2 |
| 111 | 7 | 7 |
| 1000 | 10 | 8 |
| 1010 | 12 | 10 |
| 111111 | 77 | 63 |
| 1000000 | 100 | 64 |
| 1100100 | 144 | 100 |
| 111111111 | 777 | 511 |
ポイントは「2進数の3桁が8進数の1桁にぴったり対応する」点です。たとえば6桁の2進数 101011 を考えてみましょう。
上位3桁の 101 は10進数で5、下位3桁の 011 は10進数で3です。それぞれを8進数に変換すれば 53 という形になりますよ。
TIP
この「3ビット = 1オクタル桁」の関係が、8進数がコンピュータの世界で重宝された理由です。長い2進数を区切って読みやすくする目的で、Unixのパーミッション設定などに使われ続けています。
BIN2OCT関数の基本的な使い方
2進数を直接入力する
もっともシンプルな使い方から見ていきましょう。
=BIN2OCT("1010")
結果は「12」です。2進数の 1010 は、8進数では 12 にあたります。
=BIN2OCT("111111")
結果は「77」です。6桁すべてが1の場合、8進数では 77 になります。
セル参照で2進数を変換する
実務では、セルに入っている2進数を変換する場面が多いです。A2のセルに「11001」が入っている場合、次のように書きます。
=BIN2OCT(A2)
結果は「31」です。2進数の 11001 は、8進数の 31 にあたります。
複数のセルをまとめて変換する
複数の2進数データをまとめて変換したい場合は、通常どおり数式を下方向にドラッグしてコピーすればOKです。
| A列: 2進数 | B列: 数式 | 結果(8進数) |
|---|---|---|
| 1 | =BIN2OCT(A2) | 1 |
| 1010 | =BIN2OCT(A3) | 12 |
| 11001 | =BIN2OCT(A4) | 31 |
| 1100100 | =BIN2OCT(A5) | 144 |
| 111111111 | =BIN2OCT(A6) | 777 |
TIP
ARRAYFORMULAと組み合わせて
=ARRAYFORMULA(BIN2OCT(A2:A6))と書けば、1つの数式で範囲全体を一括変換できます。スプレッドシートならではの書き方ですね。
桁数を指定して表示を揃える
BIN2OCT関数の便利な特徴が、第2引数の「桁数」です。これを指定すると、結果の文字数を揃えられます。
桁数指定の基本
不足分は先頭に「0」が補われます。
=BIN2OCT("1010", 4)
結果は「0012」です。桁数を省略した場合は「12」とだけ表示されますが、4を指定したことで先頭に「0」が2つ追加されました。
桁数指定が役立つ場面
桁数指定はデータの一覧表を作るときに便利です。桁数がバラバラだと見づらいですよね。
| 数式 | 結果 | 説明 |
|---|---|---|
| =BIN2OCT(“1”, 3) | 001 | 3桁に揃える |
| =BIN2OCT(“1010”, 4) | 0012 | 4桁に揃える |
| =BIN2OCT(“111111111”, 4) | 0777 | 4桁に揃える |
特にUnixパーミッションのように「必ず3桁で表記する」というルールがある場面では、桁数指定が活躍します。
桁数を結果より小さくするとエラー
結果の桁数より小さい値を指定するとエラーになります。
=BIN2OCT("111111111", 1)
→ #NUM! エラー
111111111 は8進数で 777(3桁)になるため、桁数1では収まりません。エラーが出たら、桁数を大きくするか省略してくださいね。
NOTE
負の数を変換した場合は、桁数指定が無視されて常に10桁で返されます。これは2の補数表現で必ず10桁が必要になるためです。
符号付き2進数(10桁の場合)の扱い方
BIN2OCT関数も、BIN2DEC関数と同じく「符号付き2進数」に対応しています。10桁の2進数を指定したときだけ、左端のビットが符号として扱われますよ。
符号ビットの仕組み
10桁の2進数では、各桁の意味が次のようになります。
| 桁 | 10桁目(左端) | 9桁目〜1桁目 |
|---|---|---|
| 役割 | 符号ビット(0=正、1=負) | 数値部分 |
| 例: 正の最大 | 0 | 111111111(10進数で511) |
| 例: -1 | 1 | 111111111 |
| 例: 負の最小 | 1 | 000000000(10進数で-512) |
10桁目が「1」の場合は負の数として扱われます。結果は2の補数(負の数を表現するためのコンピュータの方式)で表現された8進数になりますよ。
符号付き2進数の変換例
具体例を見ていきましょう。
=BIN2OCT("1111111111")
結果は「7777777777」です。10桁すべてが1の場合、2の補数では -1 を表します。そのため8進数では10桁すべてが 7 になります。
=BIN2OCT("1000000000")
結果は「7777777000」です。これが10ビットの符号付き2進数で表現できる最小値(-512)の8進数表現です。
=BIN2OCT("0111111111")
結果は「777」です。こちらが正の最大値(511)の8進数表現になります。
9桁以下は符号ビットが無視される
9桁以下の2進数では、最上位が1でも正の数として扱われます。
=BIN2OCT("111111111")
→ 777(9桁なので正の数)
=BIN2OCT("11111111")
→ 377(8桁なので正の数)
同じ「1が並んだ形」でも、桁数によって結果が変わる点に注意してくださいね。
NOTE
符号付き2進数の扱いはExcelのBIN2OCT関数と完全に同じです。Googleスプレッドシートで作成した数式は、Excelにそのままコピーしても動作します。
よくあるエラーと対処法
BIN2OCT関数で発生するエラーは主に2種類です。原因と対処法を表にまとめました。
| エラー | 原因 | 数式の例 | 対処法 |
|---|---|---|---|
| #NUM! | 10桁を超える2進数を指定した | =BIN2OCT(“11111111111”) | 10桁以内に収める |
| #NUM! | 0と1以外の文字が含まれる | =BIN2OCT(“102”) | 0と1だけで構成する |
| #NUM! | 桁数が結果より小さい | =BIN2OCT(“111111111”, 1) | 桁数を大きくするか省略する |
| #NUM! | 桁数に10超を指定した | =BIN2OCT(“1010”, 11) | 桁数を1〜10の範囲で指定する |
| #VALUE! | 無効な引数を指定した | =BIN2OCT(“ABC”) | 数値または数値文字列を指定する |
#NUM!エラーの代表例
実務で一番多いのが、10進数を2進数と間違えて入力するケースです。
=BIN2OCT("102")
→ #NUM! エラー
10進数の「102」をそのまま指定してしまったパターンです。「2」は2進数では使えない文字ですね。
桁数オーバーも見落としがちです。
=BIN2OCT("11111111111")
→ #NUM! エラー
11桁を指定しているため、エラーになります。10桁以内に修正する必要があります。
IFERRORでエラー処理
大量のデータを変換する場合、元データにノイズが混ざることもありますよね。IFERROR関数(エラー時に代替値を返す関数)と組み合わせて、エラー時の表示をカスタマイズしておくと親切です。
=IFERROR(BIN2OCT(A2), "変換不可")
これでA2が2進数として無効な値でも、エラーではなく「変換不可」というメッセージが表示されます。
TIP
入力値が2進数として有効かを事前に判定したい場合は
=IF(REGEXMATCH(A2, "^[01]{1,10}$"), BIN2OCT(A2), "無効")のようにREGEXMATCH関数(正規表現で文字列パターンを判定する関数)と組み合わせるのも便利です。スプレッドシートの正規表現関数が強力に働きますよ。
BIN2OCT関数の実務活用パターン
Unixファイルパーミッションの確認
8進数の代表的な活用シーンが、Linuxやmacのファイルパーミッションです。chmod 755 や chmod 644 のように見たことがある方も多いですよね。
パーミッションは「読み取り(r)」「書き込み(w)」「実行(x)」の3ビットで構成されます。所有者・グループ・その他の3組で計9ビットです。
=BIN2OCT("111101101")
結果は「755」です。所有者はすべて許可(rwx=7)、グループと他は読み取り・実行のみ(r-x=5)という設定ですね。
| 2進数(9ビット) | 8進数 | パーミッション表記 | 説明 |
|---|---|---|---|
| 111101101 | 755 | rwxr-xr-x | 一般的な実行ファイル |
| 110100100 | 644 | rw-r–r– | 一般的なテキストファイル |
| 111000000 | 700 | rwx—— | 所有者のみアクセス可 |
| 111111111 | 777 | rwxrwxrwx | 全員フルアクセス(非推奨) |
ビット表現と8進数表現の対応関係を一覧で持っておくと、サーバー設定の確認がスムーズに進みます。
組み込み機器のレジスタ値解析
マイコンや組み込み機器では、レジスタの設定値を8進数で表記する文化が一部に残っています。デバッグログが2進数で出力される場合、BIN2OCTで8進数に変換しておくと、マニュアルと突き合わせやすくなりますよ。
=BIN2OCT(A2, 4)
桁数4で揃えておけば、表示が縦にきれいに揃って読みやすくなりますね。
他のBIN系関数と並べて多角的に確認
同じ2進数データを、8進数・10進数・16進数で並べて表示すると、データ全体を多角的に確認できます。
B1: =BIN2OCT(A1) → 53
C1: =BIN2DEC(A1) → 43
D1: =BIN2HEX(A1) → 2B
A1に「101011」を入力すれば、3つの基数表現が同時に確認できます。検証作業や教育用途で役立ちますよ。
関連する基数変換関数との使い分け
Googleスプレッドシートには、2進数・8進数・10進数・16進数を相互に変換する関数が12種類あります。BIN2OCT関数はその1つです。
BIN2OCTの逆変換と兄弟関数
BIN2OCT関数の「入力側が2進数」「出力側が8進数」を入れ替えたり、変換先を変えたりするバリエーションがあります。
| 関数名 | 変換方向 | 用途 |
|---|---|---|
| BIN2OCT(この記事) | 2進数 → 8進数 | パーミッションやレジスタ値の確認 |
| BIN2DEC | 2進数 → 10進数 | 2進数を人が読み慣れた10進数に変換 |
| BIN2HEX | 2進数 → 16進数 | 2進数のログをコンパクトな16進数で確認 |
| OCT2BIN | 8進数 → 2進数 | BIN2OCTの逆変換。8進数を2進数で確認する |
12種類の基数変換関数の全体像
基数変換関数の命名ルールは「変換元 + 2 + 変換先」です。対応表を頭に入れておくと、必要な関数をすぐに見つけられます。
| 変換元 \ 変換先 | 2進数(BIN) | 8進数(OCT) | 10進数(DEC) | 16進数(HEX) |
|---|---|---|---|---|
| 2進数(BIN) | – | BIN2OCT | BIN2DEC | BIN2HEX |
| 8進数(OCT) | OCT2BIN | – | OCT2DEC | OCT2HEX |
| 10進数(DEC) | DEC2BIN | DEC2OCT | – | DEC2HEX |
| 16進数(HEX) | HEX2BIN | HEX2OCT | HEX2DEC | – |
たとえば「8進数を2進数に戻したい」なら、OCT(8進数)+ 2 + BIN(2進数)で「OCT2BIN関数」になります。命名ルールを覚えると、関数名で迷うことがなくなりますよ。
BIN2OCTとOCT2BINを組み合わせる
逆変換のOCT2BINと組み合わせると、変換結果を元に戻して検証できます。
=OCT2BIN(BIN2OCT(A2))
A2の2進数を8進数に変換し、さらに2進数に戻すという流れです。元の値と一致すれば、変換が正しく行われた確認になりますよ。
BIN2OCT関数をスプレッドシートで使うときのポイント
Excelとの違いはほぼない
BIN2OCT関数の仕様はExcelとGoogleスプレッドシートでほぼ同じです。引数や返り値の範囲、符号付き2進数の扱い、桁数指定のルールも共通ですよ。
既にExcelのBIN2OCT関数を使った経験があれば、スプレッドシートでもそのまま同じ感覚で使えます。ファイルをExcel形式で保存しても、BIN2OCT関数はそのまま動作しますよ。
ARRAYFORMULAで配列処理ができる
スプレッドシートならではの強みは、ARRAYFORMULA関数との組み合わせです。
=ARRAYFORMULA(BIN2OCT(A2:A100, 3))
A2からA100までの2進数データを一気に3桁の8進数に変換できます。Excelでも配列数式は使えますが、スプレッドシートのほうがシンプルに書けますね。
REGEXMATCHで入力値を検証できる
スプレッドシートは正規表現関数が充実しています。BIN2OCTの前に入力値チェックを挟むと、エラーを未然に防げます。
=IF(REGEXMATCH(A2, "^[01]{1,10}$"), BIN2OCT(A2, 3), "無効な2進数")
0と1だけで構成され、かつ10桁以内の文字列だけを変換対象にする、という数式です。大量データの前処理に便利ですね。
まとめ
BIN2OCT関数は、2進数を8進数に変換するエンジニアリング関数です。
ポイントを整理します。
- 構文は
=BIN2OCT(数値, [桁数])で、桁数は省略可能 - 入力は0と1だけの2進数。最大10桁まで対応
- 桁数を指定すると、先頭に0を補って文字数を揃えられる
- 10桁の場合は符号付き2進数として扱われ、最上位ビットが符号ビットになる
- 負の数の場合、桁数指定は無視されて常に10桁で返される
- #NUM!エラーの原因は「10桁超」「0と1以外の文字」「桁数不足」「桁数10超」
- 逆変換にはOCT2BIN関数を使う
- ExcelのBIN2OCT関数と仕様は共通で、ファイルをExcel形式で保存しても動作する
まずは =BIN2OCT("1010") で「12」が返ることを試してみてください。関数の動きがつかめたら、桁数指定や符号付き2進数も使いこなせるようになりますよ。
基数変換の姉妹記事として、スプレッドシートのBIN2DEC関数の使い方やスプレッドシートのBIN2HEX関数の使い方もあわせてご覧ください。Excelでの使い方はExcelのBIN2OCT関数の使い方で詳しく解説しています。
