「実効年利率5%の商品って、契約書に書かれる年利は何%になるの?」と疑問に思ったことはありませんか。金融商品のパンフレットや比較サイトでは実効年利率が表示されていても、契約書には名目年利率で記載されるケースがあります。
ExcelのNOMINAL関数を使えば、実効年利率から契約書に記載される名目年利率を簡単に計算できます。この記事では、NOMINAL関数の基本的な使い方からEFFECT関数との相互変換まで解説します。よくあるエラーの対処法もわかりやすく紹介しますよ。
ExcelのNOMINAL関数とは?
NOMINAL関数は、実効年利率と1年あたりの複利計算回数から名目年利率を求める関数です。読み方は「ノミナル」で、英語の「Nominal(名目上の)」が名前の由来になっています。
名目利率と実効年利率の違い
NOMINAL関数を理解するには、まず「名目利率」と「実効年利率」の違いを押さえておきましょう。
| 用語 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 名目利率 | 契約書に記載されている年利率 | 年利5.0% |
| 実効年利率 | 複利効果を反映した実際の年利率 | 年利5.12%(月複利の場合) |
実効年利率は複利の効果を含んだ「実質的な利率」です。複利回数が多いほど、実効年利率は名目利率より高くなります。NOMINAL関数はこの関係を逆方向にたどり、実効年利率から名目利率を算出しますよ。
こんな場面でNOMINAL関数が役立ちます。
- 実効年利率で表示された商品の名目利率を確認したいとき
- 複利回数が異なる金融商品を名目利率に統一して比較したいとき
- EFFECT関数で求めた実効年利率を名目利率に戻したいとき
対応バージョンは、Excel 2010以降・Microsoft 365です。Googleスプレッドシートでも同じ構文で使えますよ。
ExcelのNOMINAL関数の書き方(構文と引数)
基本構文
=NOMINAL(実効利率, 複利計算回数)
NOMINAL関数の引数は2つだけで、どちらも必須です。EFFECT関数と同じくシンプルな構造ですよ。
引数の説明
| 引数 | 必須/省略可 | 説明 |
|---|---|---|
| 実効利率(effect_rate) | 必須 | 実効年利率を指定する。0.05や5%のように指定 |
| 複利計算回数(npery) | 必須 | 1年あたりの複利計算回数を指定する。月複利なら12、四半期複利なら4 |
実効利率は正の値(0より大きい数値)を指定してください。複利計算回数は1以上の整数を指定します。小数を入れた場合は小数点以下が切り捨てられますよ。
ExcelのNOMINAL関数の基本的な使い方
実際にNOMINAL関数を使ってみましょう。実効年利率5.1162%の金融商品について、月複利での名目年利率を求めます。
=NOMINAL(0.051162, 12)
結果は約0.05(5.0%) です。
つまり、実効年利率5.1162%の商品は名目年利率5.0%で月複利計算されていることがわかります。
複利回数による名目年利率の違いも確認してみましょう。実効年利率を5%に固定して、複利回数を変えた場合の名目年利率を計算します。
| 複利の種類 | 数式 | 名目年利率 |
|---|---|---|
| 年1回複利 | =NOMINAL(0.05, 1) | 5.0000% |
| 半年複利 | =NOMINAL(0.05, 2) | 4.9390% |
| 四半期複利 | =NOMINAL(0.05, 4) | 4.9089% |
| 月複利 | =NOMINAL(0.05, 12) | 4.8889% |
| 日複利 | =NOMINAL(0.05, 365) | 4.8790% |
複利回数が増えるほど、名目年利率は実効年利率より低くなっていきます。これはEFFECT関数の逆の関係ですね。複利効果が大きいほど、同じ実効年利率を達成するのに必要な名目利率は小さくなりますよ。
NOMINAL関数の実践的な使い方・応用例
金融商品の利率を名目利率に統一して比較する
異なる複利回数の金融商品を比較する場面で活躍します。以下の3つの定期預金を名目年利率に統一してみましょう。
| 商品 | 実効年利率 | 複利の種類 | 名目年利率の計算 | 名目年利率 |
|---|---|---|---|---|
| 商品A | 3.0% | 月複利 | =NOMINAL(0.03, 12) | 2.9595% |
| 商品B | 3.0% | 四半期複利 | =NOMINAL(0.03, 4) | 2.9668% |
| 商品C | 3.0% | 半年複利 | =NOMINAL(0.03, 2) | 2.9778% |
実効年利率が同じ3.0%でも、複利回数によって名目年利率が異なります。契約書ベースで比較したいときに便利ですね。
EFFECT関数との相互変換
NOMINAL関数とEFFECT関数はペアの関数です。片方の結果をもう片方に渡すと、元の値に戻ります。
=EFFECT(0.06, 12) → 0.06168(実効年利率)
=NOMINAL(0.06168, 12) → 0.06(名目年利率に戻る)
この相互変換を使えば、計算の検算にも活用できます。NOMINAL関数で求めた名目年利率をEFFECT関数に渡して、元の実効年利率に戻るか確認してみてください。
=NOMINAL(0.1, 4) → 0.09645(名目年利率)
=EFFECT(0.09645, 4) → 0.1(実効年利率に戻る)
このように往復変換で検算できるので、計算に自信がないときは両方の関数を使って確認するのがおすすめですよ。
NOMINAL関数のよくあるエラーと対処法
#NUM! エラー
NOMINAL関数で最もよくあるエラーです。以下の条件で発生します。
- 実効利率が0以下の場合
- 複利計算回数が1未満の場合
=NOMINAL(-0.03, 4) → #NUM! エラー
=NOMINAL(0.03, 0) → #NUM! エラー
実効利率は必ず正の値を指定してください。複利計算回数は1以上の整数を指定しましょう。
#VALUE! エラー
引数に数値以外の値(文字列や空白セル)を指定すると発生します。セル参照先が正しい数値になっているか確認してみてください。
=NOMINAL("五パーセント", 4) → #VALUE! エラー
結果が実効年利率と同じになる場合
複利計算回数に1を指定すると、名目利率は実効年利率と同じ値になります。これはエラーではなく正しい結果ですよ。年1回の複利計算では複利効果が発生しないため、名目利率と実効年利率が一致します。
=NOMINAL(0.05, 1) → 5.0000%(実効年利率と同じ)
他の財務関数との使い分け
NOMINAL関数は利率の変換に特化した関数です。目的に応じて他の財務関数も使い分けましょう。
| 関数 | 求めるもの | こんなときに使う |
|---|---|---|
| NOMINAL | 名目年利率 | 実効利率から名目利率に変換したいとき |
| EFFECT | 実効年利率 | 名目利率から実効利率に変換したいとき |
| RATE | 期間利率 | ローンの支払条件から利率を逆算したいとき |
| PMT | 定期支払額 | ローンの毎月の返済額を求めたいとき |
| NPER | 期間 | 返済完了までの期間を求めたいとき |
NOMINAL関数で名目利率を確認してから、PMT関数でローンの返済額を計算するといった使い方もできますよ。
まとめ
ExcelのNOMINAL関数は、実効年利率から名目年利率を求める関数です。
ポイントをおさらいしておきましょう。
- NOMINAL関数は「実効利率」と「複利計算回数」の2つで名目年利率を求められる
- 複利回数が多いほど、名目年利率は実効年利率より低くなる
- 金融商品の利率を名目利率に統一して比較するのに便利
- EFFECT関数と対になる関数で、相互に変換・検算ができる
#NUM!エラーが出たら、実効利率が正の値か・複利回数が1以上かを確認する
利率の比較や契約書との照合など、お金まわりの計算にぜひ活用してみてくださいね。
