「年利3%って書いてあるけど、実際に受け取れる利息はもっと多いの?」と疑問に思ったことはありませんか。銀行の定期預金やローンの契約書に書かれている利率は「名目利率」で、複利の効果を含んでいません。
ExcelのEFFECT関数を使えば、名目利率から実際に適用される利率(実効年利率)を簡単に計算できます。この記事では、EFFECT関数の基本的な使い方から住宅ローン・定期預金での実務例、NOMINAL関数との違いまでわかりやすく解説していきますよ。
ExcelのEFFECT関数とは?
EFFECT関数は、名目年利率と1年あたりの複利計算回数から実効年利率を求める関数です。読み方は「エフェクト」で、英語の「Effective(実効的な)」が名前の由来になっています。
名目利率と実効年利率の違い
EFFECT関数を理解するには、まず「名目利率」と「実効年利率」の違いを押さえておきましょう。
| 用語 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 名目利率 | 契約書に記載されている年利率 | 年利3.0% |
| 実効年利率 | 複利効果を反映した実際の年利率 | 年利3.04%(月複利の場合) |
名目利率が同じ3%でも、複利の計算が月ごとなのか半年ごとなのかで、実効年利率は変わります。複利回数が多いほど、実効年利率は高くなる仕組みです。
こんな場面でEFFECT関数が役立ちますよ。
- 定期預金の実質的な利回りを確認したいとき
- 住宅ローンの実効利率を比較したいとき
- 複利回数が異なる金融商品を正確に比べたいとき
対応バージョンは、Excel 2010以降・Microsoft 365です。Googleスプレッドシートでも同じ構文で使えます。
ExcelのEFFECT関数の書き方(構文と引数)
基本構文
=EFFECT(名目利率, 複利計算回数)
EFFECT関数の引数は2つだけで、どちらも必須です。シンプルなので覚えやすいですよ。
引数の説明
| 引数 | 必須/省略可 | 説明 |
|---|---|---|
| 名目利率(nominal_rate) | 必須 | 契約上の年利率を指定する。0.03や3%のように指定 |
| 複利計算回数(npery) | 必須 | 1年あたりの複利計算回数。月複利なら12、四半期複利なら4 |
引数のポイント:複利計算回数の代表値
複利計算回数は金融商品によって異なります。主な値を覚えておくと便利です。
| 複利計算回数 | 意味 | 主な使用場面 |
|---|---|---|
| 1 | 年1回 | 一部の定期預金 |
| 2 | 半年複利 | 国債、社債 |
| 4 | 四半期複利 | 一部のローン |
| 12 | 月複利 | 住宅ローン、クレジットカード |
| 365 | 日複利 | 普通預金、一部の投資商品 |
EFFECT関数の計算式
EFFECT関数が内部で行っている計算はこちらです。
実効年利率 = (1 + 名目利率 / 複利計算回数) ^ 複利計算回数 - 1
数式で書くと難しく見えますが、EFFECT関数を使えば引数を2つ指定するだけで自動計算してくれます。
ExcelのEFFECT関数の基本的な使い方
ここでは、名目利率3%・四半期複利(年4回)のケースで基本的な使い方を確認しましょう。
セルにデータを入力して、EFFECT関数で実効年利率を求めます。
| セル | 内容 | 値 |
|---|---|---|
| B2 | 名目利率 | 3% |
| B3 | 複利計算回数 | 4 |
=EFFECT(B2, B3)
結果は約3.034% です。名目利率3%でも、四半期ごとに複利計算されることで、実効年利率は少し高くなります。
値を直接指定する場合はこのように書きます。
=EFFECT(0.03, 4)
結果は同じ約3.034%です。名目利率は小数(0.03)で指定してもパーセント(3%)で指定しても、どちらでも構いません。
NOTE
名目利率に0以下の値を指定したり、複利計算回数に1未満の値を指定すると
#NUM!エラーになります。どちらもプラスの値を指定してくださいね。
EFFECT関数の実践的な使い方・応用例
応用1: 定期預金の実質利回りを比較する
銀行Aと銀行Bの定期預金を比較するケースです。名目利率は同じでも、複利回数が異なると実効年利率に差が出ます。
| 項目 | 銀行A | 銀行B |
|---|---|---|
| 名目利率 | 0.5% | 0.5% |
| 複利計算 | 半年複利(年2回) | 月複利(年12回) |
=EFFECT(0.005, 2)
=EFFECT(0.005, 12)
それぞれの実効年利率を計算してみましょう。
- 銀行A(半年複利):
=EFFECT(0.005, 2)→ 約0.5006% - 銀行B(月複利):
=EFFECT(0.005, 12)→ 約0.5011%
月複利の銀行Bのほうがわずかに有利です。100万円を1年預けた場合、数十円の差ですが、金額が大きくなるほど差が広がりますよ。
応用2: 住宅ローンの実効利率を確認する
住宅ローンを契約するとき、パンフレットに「年利1.5%(月複利)」と書かれていたとします。実効年利率を確認してみましょう。
=EFFECT(0.015, 12)
結果は約1.5104% です。名目利率1.5%のローンでも、実際に支払う利息は実効年利率ベースで約1.51%です。3,000万円のローンなら、名目と実効の差は年間で約3,000円ほどになります。
金額が大きい住宅ローンでは、このわずかな差が返済総額に影響します。契約前にEFFECT関数で確認しておくと安心ですよ。
応用3: 複利回数による実効年利率の変化を一覧表にする
名目利率5%で、複利回数を変えたときの実効年利率を一覧表にしてみましょう。
| 複利回数 | 数式 | 実効年利率 |
|---|---|---|
| 年1回 | =EFFECT(0.05, 1) | 5.0000% |
| 半年複利 | =EFFECT(0.05, 2) | 5.0625% |
| 四半期複利 | =EFFECT(0.05, 4) | 5.0945% |
| 月複利 | =EFFECT(0.05, 12) | 5.1162% |
| 日複利 | =EFFECT(0.05, 365) | 5.1267% |
この表を見ると、複利回数が増えるほど実効年利率が高くなることがわかります。ただし、月複利と日複利の差はかなり小さいですよね。実務上は月複利まで押さえておけば十分です。
EFFECT関数のよくあるエラーとNOMINAL関数との違い
よくあるエラーと対処法
#NUM! エラー
EFFECT関数で最もよくあるエラーです。以下の条件で発生します。
- 名目利率が0以下の場合
- 複利計算回数が1未満の場合
=EFFECT(-0.03, 4) → #NUM! エラー
=EFFECT(0.03, 0) → #NUM! エラー
名目利率は必ず正の値を、複利計算回数は1以上の整数を指定してください。
#VALUE! エラー
引数に数値以外の値(文字列や空白セル)を指定すると発生します。セル参照先が正しい数値になっているか確認しましょう。
=EFFECT("三パーセント", 4) → #VALUE! エラー
結果が名目利率と同じになる
複利計算回数に1を指定すると、実効年利率は名目利率と同じ値になります。これはエラーではなく正しい結果です。年1回の複利計算では複利効果が発生しないため、名目利率と実効年利率が一致します。
=EFFECT(0.05, 1) → 5.0000%(名目利率と同じ)
EFFECT関数とNOMINAL関数の違い
EFFECT関数と対になる関数がNOMINAL関数です。この2つは逆方向の変換を行います。
| 関数 | 変換の方向 | 構文 |
|---|---|---|
| EFFECT | 名目利率 → 実効年利率 | =EFFECT(名目利率, 複利回数) |
| NOMINAL | 実効年利率 → 名目利率 | =NOMINAL(実効利率, 複利回数) |
相互変換の実例
実効年利率5.1162%が月複利の商品だとわかっているとき、名目利率に戻すにはNOMINAL関数を使います。
=NOMINAL(0.051162, 12)
結果は約5.0% です。つまり、EFFECT関数の結果をNOMINAL関数に渡すと元の名目利率に戻せます。
=EFFECT(0.05, 12) → 0.051162(実効年利率)
=NOMINAL(0.051162, 12) → 0.05(名目利率に戻る)
このように、EFFECT関数とNOMINAL関数はペアで覚えておくと便利ですよ。
他の財務関数との使い分け
EFFECT関数は利率の変換に特化した関数です。目的に応じて他の財務関数も使い分けましょう。
| 関数 | 求めるもの | こんなときに使う |
|---|---|---|
| EFFECT | 実効年利率 | 名目利率から実効利率に変換したいとき |
| NOMINAL | 名目利率 | 実効利率から名目利率に変換したいとき |
| RATE | 期間利率 | ローンの支払条件から利率を逆算したいとき |
| PMT | 定期支払額 | ローンの毎月の返済額を求めたいとき |
| NPER | 期間 | 返済完了までの期間を求めたいとき |
| FV | 将来価値 | 積立投資の将来の合計額を求めたいとき |
EFFECT関数で実効年利率を確認してから、RATE関数やPMT関数でローンシミュレーションをするのがおすすめですよ。
まとめ
ExcelのEFFECT関数は、名目利率から実効年利率を求める関数です。
ポイントをおさらいしておきましょう。
- EFFECT関数は「名目利率」と「複利計算回数」の2つで実効年利率を求められる
- 複利回数が多いほど、実効年利率は名目利率より高くなる
- 定期預金の比較や住宅ローンの実質コスト確認に便利
- NOMINAL関数を使えば、実効年利率から名目利率への逆変換もできる
#NUM!エラーが出たら、名目利率が正の値か・複利回数が1以上かを確認する
ローンの契約前に実効利率をチェックしたり、預金の利回りを正確に比較したりと、お金まわりの判断にぜひ活用してみてください。
