「STDEV関数って何をするの?」「STDEV.Sとどう違うの?」と疑問に思っている方へ。この記事ではSTDEV関数の使い方を基本から解説します。STDEV.Sとの関係、STDEVPとの使い分け、実務活用例まで一記事でまとめています。
Excel STDEV関数とは?標準偏差を求める基本の関数
STDEV関数は、データのばらつきを数値で表す関数です。この数値を「標準偏差」といいます。
標準偏差は「平均からの散らばり具合」を示す指標です。値が大きいほどデータが散らばっており、小さいほど均等に近いことを意味します。
たとえばテスト結果を分析するとき、平均点だけでは点数の均等さはわかりません。標準偏差を使うと、ばらつきを数値で把握できます。
STDEV関数の使い方|構文と入力手順
構文
=STDEV(数値1, [数値2], ...)
数値1:必須。セル範囲または数値を指定します数値2以降:省略可能。最大255個まで指定できます
基本の使い方
B2:B31 に30人分のテスト点数が入っているとします。
=STDEV(B2:B31)
この数式で30人分の標準偏差を求められます。
複数範囲を指定する場合
離れた2つの範囲を続けて指定できます。
=STDEV(B2:B16, D2:D16)
引数のデータの扱い
| データの種類 | 扱い |
|---|---|
| 数値 | 計算に含まれる |
| 空白セル | 無視される |
| 文字列(範囲参照内) | 無視される |
| 論理値(範囲参照内) | 無視される |
| 論理値・文字列(直接入力) | 計算に含まれる |
範囲参照内の文字列や論理値は無視されます。直接引数として入力した場合は計算に含まれます。
STDEVとSTDEV.Sの違い|計算結果は同じ、どちらを使えばいい?
名前が変わった経緯
Excel 2010以降、STDEVの後継として STDEV.S が追加されました。名前変更の理由は関数の役割を明確にするためです。
STDEV.Sの「S」は Sample(標本)の略STDEV.Pの「P」は Population(母集団)の略
S と P で標本と母集団を明確に区別できる体系に整理されました。
計算結果は完全に同一
STDEV と STDEV.S の計算結果はまったく同じです。同じデータに対してどちらを使っても同じ値が返ります。
どちらを使えばいい?
Microsoftは、新規で数式を作るなら STDEV.S の使用を推奨しています。将来のバージョンで STDEV が使えなくなる可能性があると公式が警告しています。
既存ファイルに STDEV が使われている場合は、無理に変更する必要はありません。現行バージョンでは問題なく動作します。
STDEVとSTDEVP(母標準偏差)の使い分け
「標本」と「母集団」とは
まず用語を整理します。
- 母集団:分析したい対象のすべてのデータ
- 標本:母集団から一部を抜き出したデータ
たとえば「全国の中学生の国語点数を分析したい」とします。全国すべての生徒のデータがある場合は母集団です。STDEVP を使います。東京千代田区の生徒のデータで代表させる場合は標本です。STDEV を使います。
計算方式の違い
| 関数 | 計算方式 |
|---|---|
| STDEV(標本標準偏差) | 偏差平方和 ÷ (n-1) の平方根 |
| STDEVP(母標準偏差) | 偏差平方和 ÷ n の平方根 |
STDEVの結果はSTDEVPより大きくなります。データ数が少ないほど差が開きます。
実務での判断基準
手元のデータが「全件」か「一部抽出」かで使い分けます。
- 全件データがある → STDEVP
- 一部を抽出したデータ → STDEV
実務ではほとんどの場合 STDEV を使います。 全件データを保有している状況は少ないためです。抽出データから全体のばらつきを推定するケースが多く、その場合は STDEV が適切です。
STDEV系4関数の早見表|STDEV / STDEV.S / STDEVP / STDEV.P
迷ったときは以下の表で確認してください。
| 関数 | 対象 | 文字列・論理値の扱い | 備考 |
|---|---|---|---|
| STDEV | 標本標準偏差 | 範囲参照内は無視 | 旧関数(互換性あり) |
| STDEV.S | 標本標準偏差 | 範囲参照内は無視 | 推奨(STDEVの後継) |
| STDEVP | 母標準偏差 | 範囲参照内は無視 | 旧関数(互換性あり) |
| STDEV.P | 母標準偏差 | 範囲参照内は無視 | 推奨(STDEVPの後継) |
| STDEVA | 標本標準偏差 | 文字列=0、TRUE=1 | 特殊用途向け |
| STDEVPA | 母標準偏差 | 文字列=0、TRUE=1 | 特殊用途向け |
STDEVA / STDEVPA は特殊用途向けです。論理値(TRUE/FALSE)や文字列を 0 または 1 として計算に含めたい場合に使います。通常の数値分析では STDEV / STDEV.S を使います。
実務での活用例3選
活用例1:テスト点数のばらつき分析
クラス全体の点数が均等かどうかを確認できます。
B2:B31 に30人分の点数が入っているとします。
=STDEV(B2:B31)
標準偏差が大きければ、高得点者と低得点者が混在しています。小さければ全体的に均等な点数分布です。平均だけでは見えない、クラスのばらつき状況を把握できます。
活用例2:月次売上のばらつき把握
売上の安定性を評価したい場合に使います。
C2:C13 に12ヶ月分の売上が入っているとします。
=STDEV(C2:C13)
標準偏差が小さければ毎月安定した売上です。大きければ月による変動が激しいことを示します。平均売上だけでなく、安定性の評価にも役立ちます。
活用例3:複数部署・店舗の比較
各部署の売上のばらつきを比較できます。
各部署の売上範囲に対してそれぞれSTDEVを適用し、結果を並べます。平均が同じでも標準偏差に差があれば、安定性が異なることがわかります。安定している部署の仕事の進め方を参考にするなど、改善のヒントが得られます。
よくある疑問・注意点
Q. STDEV.Sはいつから使えますか?
Excel 2010以降のバージョンで使えます。それ以前のバージョンとファイルを共有する場合は STDEV を使うと安全です。
Q. データが1つしかないとエラーになりますか?
はい。標準偏差の計算にはデータが2個以上必要です。1個の場合は #DIV/0! エラーが返ります。
Q. 空白セルや文字列セルが混ざっていても大丈夫?
範囲参照内の空白・文字列・論理値は自動的に無視されます。手動でデータを除外する必要はありません。
あわせて読みたい
平均と標準偏差を組み合わせると、データの傾向をより詳しく把握できます。
AVERAGE関数の使い方も合わせて確認してください。
条件をつけて平均を求めたい場合はAVERAGEIF関数の使い方が役立ちます。条件が複数ある場合はAVERAGEIFS関数の使い方を参照してください。
