Excelで関数を使えるようになりたいけれど、そもそも関数って何だろう。こんな疑問を持っている方は、意外と多いのではないでしょうか。
関数の意味がわからないまま操作していると、計算ミスに気づけなかったり、作業効率がなかなか上がらなかったりします。最初に基本を押さえておくと、その後の習得がぐっとスムーズになりますよ。
この記事では、Excel関数とは何かという基本から、引数の意味、入力方法、まず覚えたい関数までをまとめて解説します。読み終えるころには、関数への苦手意識がだいぶ減っているはずです。
この記事は次のような人におすすめ
– Excelの関数が何なのか、よくわかっていない人
– 関数の入力方法を知りたい人
– まず覚えるべき関数が何か知りたい人
対象環境: Microsoft Excel 2016以降 / Microsoft 365(Windows・Mac共通)
Excel関数とは
Excel関数とは、あらかじめ用意されている計算の仕組みのことです。「この範囲を合計して」「条件に合うデータを数えて」といった処理を、短い数式で実行できます。
たとえば、セルA1からA10までの数値を合計したいとします。手作業で「=A1+A2+A3+…」と書くのは大変ですよね。SUM関数を使えば、次のように書くだけで済みます。
=SUM(A1:A10)
Excelには数百種類もの関数が用意されています。ただし、すべてを覚える必要はありません。実務でよく使うのは20〜30種類ほどです。まずは基本的なものから覚えていけば大丈夫ですよ。
関数の基本的な形式
どの関数も、次の形で入力します。
=関数名(引数1, 引数2, …)
この形式さえ覚えておけば、どんな関数でも同じ感覚で使えます。各要素の役割は次のとおりです。
| 要素 | 役割 | 例 |
|---|---|---|
| =(イコール) | 「これは数式です」とExcelに伝える記号 | = |
| 関数名 | 使いたい計算の種類を指定する | SUM, IF, VLOOKUP |
| ()(カッコ) | 引数を囲む | (A1:A10) |
| 引数(ひきすう) | 計算に使うデータを指定する | A1:A10 |
| ,(カンマ) | 引数どうしを区切る記号 | A1, B1 |
なお、引数を取らない関数もあります。たとえば今日の日付を返すTODAY関数は =TODAY() のようにカッコの中が空です。それでもカッコ自体は省略できないので注意してくださいね。
引数(ひきすう)とは
引数とは、関数に「何を計算するか」を教えるための情報です。読み方は「ひきすう」で、プログラミングでも使われる用語です。
引数の数や種類は、関数によって異なります。たとえばSUM関数とIF関数では、引数の使い方がまったく違います。
=SUM(A1:A10)
SUM関数の引数は「合計する範囲」です。ここではA1からA10までのセルを合計します。
=IF(A1>=80, "合格", "不合格")
IF関数の引数は3つです。それぞれの意味は次のとおりです。
| 引数の順番 | 意味 | 上の例での値 |
|---|---|---|
| 第1引数 | 条件 | A1>=80(A1が80以上か) |
| 第2引数 | 条件に合うときの値 | “合格” |
| 第3引数 | 条件に合わないときの値 | “不合格” |
引数には「必須引数」と「省略できる引数」があります。省略できる引数は、構文の説明で [ ](角カッコ)で囲んで表記されることが多いです。たとえばIF関数の第3引数は省略でき、省略すると条件に合わないときにFALSEが返ります。
引数の内容を暗記する必要はありません。関数を入力するとき、Excelが引数のヒントを表示してくれるので、それを見ながら入力すれば大丈夫ですよ。
関数と数式の違い
初心者がつまずきやすいのが、「数式」と「関数」の違いです。この2つは似ているようで、指す範囲が異なります。
数式とは、= で始まる計算式全般のことです。たとえば =A1+B1 や =A1*1.1 も立派な数式です。
関数とは、その数式の中で使う、あらかじめ用意された便利な機能のことです。SUMやIFなどが関数にあたります。
=A1+A2+A3 ← 数式(関数を使っていない)
=SUM(A1:A3) ← 数式(SUM関数を使っている)
つまり「関数は数式の一部」と考えるとわかりやすいです。すべての関数は数式ですが、すべての数式が関数を使っているわけではありません。この感覚をつかんでおくと、エラーの原因も見つけやすくなりますよ。
Excel関数の入力方法【3つ】
関数をセルに入力する方法は、大きく3つあります。それぞれの特徴を知っておくと、場面に合わせて使い分けられますよ。
方法1: セルに直接入力する(一番速い)
もっとも効率が良いのは、セルに直接関数を入力する方法です。
手順:
- 関数を入力したいセルをクリックする
- 半角で
=を入力する - 関数名を入力し始める(例:
suと入力) - 候補リストが表示されるので、使いたい関数をダブルクリックする
- 引数を入力する(セル範囲はマウスでドラッグしても指定できる)
- Enterキーを押して確定する
関数名は最初の2〜3文字を入力するだけで候補が表示されます。正確なスペルを覚えていなくても問題ありません。引数を入力している間も、Excelがヒントを出してくれるので安心です。
この方法は慣れると速いので、最終的にはこちらをメインで使うのがおすすめですよ。
方法2: 関数の挿入ダイアログを使う(関数名がわからないとき)
使いたい関数名がわからないときに便利なのが「関数の挿入」ダイアログです。
手順:
- 関数を入力したいセルをクリックする
- 数式バーの左にある「fx」ボタンをクリックする(または「数式」タブ →「関数の挿入」)
- 「関数の検索」にやりたいことを入力する(例:「合計」)
- 表示された関数の一覧から、使いたい関数を選んでOKをクリックする
- 引数の入力画面が表示されるので、説明を見ながら引数を入力する
- OKをクリックして確定する
この方法は入力に少し手間がかかります。その代わり、引数の説明が画面に表示されるので、初心者でも安心して使えます。関数名がわからないときは、まずこの方法で検索してみてくださいね。
方法3: オートSUMを使う(合計・平均をワンクリック)
合計や平均など、よく使う集計はもっと手軽に入力できます。それが「オートSUM」です。
「ホーム」タブの右側、または「数式」タブに「オートSUM(Σ)」ボタンがあります。これをクリックすると、SUM関数が自動で入力されます。Excelが合計する範囲を推測してくれるので、範囲が正しければEnterを押すだけで完了です。
オートSUMボタンの右側にある「▼」を押してみてください。平均(AVERAGE)・数値の個数(COUNT)・最大値(MAX)・最小値(MIN)も選べます。Alt + Shift + = のショートカットでも呼び出せるので、覚えておくと便利ですよ。
初心者がまず覚えておきたいExcel関数
数百種類もある関数ですが、まずは次の関数を覚えれば、実務の多くの場面に対応できます。
| 関数名 | 機能 | 入力例 | 結果の例 |
|---|---|---|---|
| SUM | 合計を求める | =SUM(A1:A10) | 数値の合計値 |
| AVERAGE | 平均を求める | =AVERAGE(B1:B10) | 数値の平均値 |
| COUNT | 数値の個数を数える | =COUNT(C1:C10) | 数値が入ったセルの数 |
| IF | 条件で結果を変える | =IF(D1>=80,”合格”,”不合格”) | 合格 または 不合格 |
| VLOOKUP | 表からデータを検索する | =VLOOKUP(E1,A:B,2,FALSE) | 検索結果の値 |
ここからは、それぞれの関数を少しだけ詳しく見ていきましょう。
SUM関数(合計)
SUM関数は、指定した範囲の数値を合計する関数です。もっとも使う機会が多い関数といえます。
=SUM(A1:A10)
範囲(A1:A10)だけでなく、=SUM(A1, B1, C1) のように個別のセルをカンマで区切って指定することもできます。文字列や空白セルは自動でスキップしてくれるので、多少データが混ざっていても安心です。詳しい使い方はSUM関数の使い方で解説しています。
AVERAGE関数(平均)/ COUNT関数(個数)
AVERAGE関数は数値の平均を、COUNT関数は数値が入ったセルの個数を求めます。
=AVERAGE(B1:B10)
=COUNT(C1:C10)
AVERAGE関数には1つ注意点があります。空白セルは計算から無視されますが、0 が入力されたセルは計算に含まれてしまうのです。平均が思ったより低いときは、0が混ざっていないか確認してみてください。詳しくはAVERAGE関数の使い方とCOUNT関数の使い方をご覧くださいね。
IF関数(条件分岐)
IF関数は、条件によって結果を変える関数です。「点数が80以上なら合格、そうでなければ不合格」といった処理ができます。
=IF(D1>=80, "合格", "不合格")
引数は3つで、第1引数の「条件」が必須です。文字列を返すときは、"合格" のように引用符(”)で囲む点に注意してください。条件分岐の幅が広い便利な関数なので、ぜひIF関数の使い方で詳しく学んでみてくださいね。
VLOOKUP関数(表からデータを検索)
VLOOKUP関数は、表の中から条件に合うデータを探し出す関数です。商品コードから商品名を引っ張ってくる、といった作業で活躍します。
=VLOOKUP(E1, A:B, 2, FALSE)
引数は4つで、最後の「検索の型」だけ省略できます。完全に一致するものを探すときはFALSE、おおよそ一致でよいときはTRUEを指定します。実務では完全一致のFALSEを使う場面がほとんどです。少しハードルが高い関数なので、VLOOKUP関数の使い方でじっくり確認してみてください。
なお、Microsoft 365やExcel 2021以降では、VLOOKUPの後継となるXLOOKUP関数も使えます。これから覚えるなら、こちらも候補に入れておくとよいですよ。
COUNTIF・IFERROR(次のステップ)
SUMやIFに慣れてきたら、次は条件付きの集計やエラー処理にも挑戦してみましょう。
COUNTIF関数は、範囲の中で条件に合うセルの個数を数えます。「『りんご』と入力されたセルがいくつあるか」といった集計に使います。
=COUNTIF(A1:A10, "りんご")
IFERROR関数は、数式がエラーになったときに表示する値を指定できる関数です。VLOOKUPで該当データが見つからず #N/A エラーが出るような場面で重宝します。
=IFERROR(VLOOKUP(E1,A:B,2,FALSE), "該当なし")
それぞれCOUNTIF関数の使い方とIFERROR関数の使い方で詳しく解説しています。
関数をもっと使いこなす基礎知識
関数そのものとあわせて知っておきたい、2つの基礎知識を紹介します。どちらも関数を実務で使うときに欠かせない考え方です。
相対参照と絶対参照($の意味)
数式をコピーしたとき、参照するセルがずれるかどうかを決めるのが「参照方式」です。
- 相対参照(例:
A1): 数式をコピーすると、参照先も一緒にずれます。 - 絶対参照(例:
$A$1):$を付けると、コピーしても参照先が固定されます。
たとえばVLOOKUPで検索する表を固定したいときに便利です。$A$1:$B$100 のように絶対参照にしておくと、数式をコピーしても表の範囲がずれません。$ は手で入力してもよいですが、セルを選択して F4 キーを押すと、相対参照と絶対参照を簡単に切り替えられますよ。
関数の中に関数を入れる(ネスト)
関数の引数の中に、別の関数を入れることもできます。これを「ネスト(入れ子)」と呼びます。
=IF(D1>=80, "合格", IF(D1>=60, "再試験", "不合格"))
この例では、IF関数の中にさらにIF関数を入れて、3段階で判定しています。ネストは便利ですが、深くしすぎると数式が読みにくくなります。実用上は3〜4段までを目安にしましょう。それ以上複雑になる場合は、IFS関数など別の関数への置き換えを検討してみてくださいね。
関数入力でよくあるミスと対処法
関数を入力したのにエラーが表示された、という経験はないでしょうか。初心者がよくやるミスと、その対処法をまとめました。
| ミス | 症状 | 対処法 |
|---|---|---|
| 「=」を忘れる | 関数がそのまま文字として表示される | セルの先頭に半角の「=」を入力する |
| 全角で入力する | エラーが出るか、文字として表示される | 半角英数モードで入力する |
| カッコの閉じ忘れ | エラーメッセージが表示される | 修正候補が表示されたら「はい」をクリックする |
| カンマとコロンの間違い | 意図しない計算結果になる | 範囲は「:(コロン)」、引数の区切りは「,(カンマ)」 |
| 文字列の引用符忘れ | #NAME? エラーが出る | 文字列は「”」で囲む |
| セル範囲の指定ミス | 計算結果が正しくない | 数式バーで範囲を確認し、選び直す |
特に多いのが「全角で入力してしまう」ミスです。関数は半角英数字で入力する必要があります。入力前に、日本語入力がオフになっているか確認してみてくださいね。
エラー値が表示されたときは
エラーが表示されたときは、セルに出るエラー値から原因を特定できます。代表的なものを挙げておきます。
| エラー値 | よくある原因 |
|---|---|
| #DIV/0! | 0で割り算した(割る数が空白セルの場合も) |
| #VALUE! | 引数の型が合わない(文字列を計算しようとした等) |
| #NAME? | 関数名のスペルミス、引用符の付け忘れ |
| #REF! | 参照していたセルが削除された |
| #N/A | VLOOKUPなどで検索値が見つからない |
エラーの種類ごとの詳しい原因と対処法は、セルに表示されるエラーの種類と原因、対処方法を解説の記事で確認できます。
関数を効率よく覚えるコツ
関数は数百種類ありますが、全部覚える必要はありません。効率よく身につけるためのコツを3つ紹介します。
よく使う関数から覚える
まずは先ほど紹介したSUM・AVERAGE・COUNT・IF・VLOOKUPから始めましょう。この5つを使いこなせれば、日常業務の大半はカバーできます。慣れてきたら、次のステップとしてCOUNTIFやSUMIFなどの条件付き関数に進むのがおすすめですよ。
実際に手を動かす
関数は見て覚えるよりも、実際にExcelを開いて入力してみるほうが早く身につきます。練習用のデータを作って、いろいろな関数を試してみてください。
最初は正しく動かなくても気にしなくて大丈夫です。エラーが出ても壊れることはないので、何度でもやり直せますよ。
どんな関数があるか、ざっくり把握しておく
関数名やスペルを暗記する必要はありません。でも「こういうことができる関数がある」と知っておくだけで、作業中に「あの関数が使えそう」と気づけるようになります。
以下の一覧ページに目を通しておくと、いざというときに役立ちます。
よくある質問(FAQ)
最後に、Excel関数について初心者からよく寄せられる質問をまとめました。
Q1. 関数と数式は何が違うのですか?
数式は = で始まる計算式全般のことです。関数は、その数式の中で使う、あらかじめ用意された機能を指します。=A1+B1 は関数を使わない数式、=SUM(A1:B1) はSUM関数を使った数式です。関数は数式の一部、とイメージしてください。
Q2. 関数名は大文字と小文字、どちらで入力すればいいですか?
どちらでも問題ありません。sum と小文字で入力しても、確定すると自動で SUM と大文字に変換されます。入力のしやすい方で大丈夫ですよ。
Q3. 関数はいくつ覚えればいいですか?
まずはSUM・AVERAGE・COUNT・IF・VLOOKUPの5つで十分です。実務でよく使うのは20〜30種類ほどなので、必要になったときに少しずつ増やしていけばOKです。
Q4. 引数(ひきすう)は全部暗記しないとダメですか?
暗記は不要です。関数を入力し始めると、Excelが引数のヒントを表示してくれます。それを見ながら入力すれば、暗記していなくても正しく使えますよ。
Q5. 関数を入力したのに計算されず、文字のまま表示されます。
主な原因は2つです。1つはセルの先頭に半角の = を入れ忘れているケース。もう1つは、セルの表示形式が「文字列」になっているケースです。後者の場合は、表示形式を「標準」に直してから入力し直してみてください。
Q6. Macのエクセルでも同じ関数が使えますか?
基本的な関数は、WindowsでもMacでも共通して使えます。ごく一部にWindows専用の関数もありますが、SUMやIF、VLOOKUPといったよく使う関数は問題なく使えますよ。
Q7. Googleスプレッドシートでも同じ関数が使えますか?
SUM・IF・VLOOKUPなど、多くの関数はGoogleスプレッドシートでもほぼ同じように使えます。ただし、一部の関数は名称や仕様が異なる場合があります。乗り換えるときは、その関数が対応しているか確認しておくと安心です。
まとめ
Excel関数とは、あらかじめ用意されている計算の仕組みのことです。SUMやIFなど数百種類の関数があり、=関数名(引数) の形で入力します。
この記事で紹介した内容をおさらいしておきましょう。
- 関数は「=関数名(引数)」の形で入力する
- 引数は関数に「何を計算するか」を教える情報。必須引数と省略できる引数がある
- 関数は数式の一部(すべての数式が関数を使うわけではない)
- 入力方法は「直接入力」「関数の挿入ダイアログ」「オートSUM」の3つ
- まずはSUM・AVERAGE・COUNT・IF・VLOOKUPの5つから始める
- 相対参照・絶対参照、ネストも知っておくと応用が利く
- 全部覚える必要はなく、使いながら少しずつ慣れていけばOK
関数は最初こそ難しく感じますが、焦らず1つずつ使っていけば自然と身につきます。まずはSUM関数で合計を出すところから、ぜひ試してみてくださいね。