ExcelのDEVSQ関数の使い方|偏差の平方和を一発で計算する方法

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データのばらつきを数値で表したいとき、「偏差の平方和」を手計算で求めるのは意外と手間がかかります。平均を出して、各データとの差を求めて、二乗して、合計して……と、ステップが多い割にミスしやすい作業です。

ExcelのDEVSQ関数を使えば、この計算をセル範囲を指定するだけで一発で完了できます。この記事では基本的な使い方から、実務でよく使う2グループ比較の方法、混同されやすいSUMSQとの違いまでまとめて解説します。

DEVSQ関数とは?偏差平方和を一発で計算する関数

DEVSQ関数は、各データから平均を引いた値(偏差)を二乗し、その合計(偏差平方和)を返す関数です。

偏差平方和は統計の基礎となる値で、分散や標準偏差の計算にも使われます。手計算では複数のステップが必要ですが、DEVSQ関数なら1つの数式で完結します。

たとえば {4, 5, 8, 7, 11, 4, 3} というデータの場合、平均は6.0で、偏差平方和は48になります。これをDEVSQ関数に渡すと、中間計算なしに結果を得られます。

対応バージョン: Excel 2016以降、Microsoft 365(Windows・Mac)

DEVSQ関数の書き方(構文と引数)

=DEVSQ(数値1, [数値2], ...)
引数必須内容
数値1必須計算対象のセル範囲または数値
数値2以降省略可追加のセル範囲または数値(最大255個)

引数に文字列・論理値を渡した場合の挙動

  • セル参照内の文字列・論理値・エラー値は無視されます
  • 数式内に直接入力したTRUEは1、FALSEは0として計算されます
  • 空白セルは無視されます

DEVSQ関数の基本的な使い方

下の例でDEVSQ関数の動きを確認してみましょう。

A列(データ)
4
5
8
7
11
4
3
=DEVSQ(A1:A7)

結果: 48

手計算で確認すると、平均 = (4+5+8+7+11+4+3)÷7 = 6.0 です。

データ偏差 (xi − 6)偏差²
4−24
5−11
8+24
7+11
11+525
4−24
3−39
合計 48

DEVSQ関数はこの計算をまとめて行います。AVERAGE関数で平均を別セルに出してから手計算する必要はありません。

実務での活用例 — 2グループのばらつきを比較する

品質管理:2つのラインの検査結果を比較する

製造現場では「どちらのラインが安定しているか」を確認することがあります。偏差平方和が小さいほど、データが平均に集まっていて安定しています。

下の例は、A・Bの2つの製造ラインで測定した製品寸法(mm)のデータです。

測定回AラインBライン
150.149.8
250.350.5
349.950.9
450.249.4
550.050.6
=DEVSQ(B2:B6)
=DEVSQ(C2:C6)

Aラインの結果が小さければ、Aラインのほうが安定しているとわかります。2グループを同じ数式パターンで比較できるのがDEVSQの便利なところです。

営業成績:2チームのばらつきを見る

月次の営業成績でも同じ使い方ができます。平均売上が同じ2チームでも、偏差平方和が小さいチームのほうが成績が安定していると判断できます。

TIP

データ件数が異なる2グループを比較するときは、偏差平方和ではなく分散(VAR.S関数)で比べると公平な比較になります。

DEVSQとSUMSQの違い — 混同しやすい落とし穴

DEVSQ関数とSUMSQは「二乗して合計する」という点では似ていますが、基準がまったく異なります。

関数計算式基準点
DEVSQΣ(xi − 平均平均
SUMSQΣ(xi)²原点(0)

SUMSQ関数は「各データの二乗の合計」を返すため、平均を考慮しません。一方DEVSQは平均からのずれ(偏差)を二乗して合計するため、データの散らばり具合を表します。

数値で確認してみましょう

データ: {2, 4, 6}(平均 = 4)

=DEVSQ(2, 4, 6)
=SUMSQ(2, 4, 6)

DEVSQの結果: (2−4)²+(4−4)²+(6−4)² = 4+0+4 = 8
SUMSQの結果: 2²+4²+6² = 4+16+36 = 56

ばらつきの分析にはDEVSQ、単純な二乗和にはSUMSQと使い分けてください。

DEVSQ・VAR.S・STDEV.Sの関係

偏差平方和(DEVSQ)、分散(VAR.S)、標準偏差(STDEV.S)はすべて同じ元データから計算されており、互いに変換できます。

関数計算式意味
DEVSQΣ(xi − x̄)²偏差の平方和(合計)
VAR.SDEVSQ ÷ (n−1)標本分散
VAR.PDEVSQ ÷ n母分散
STDEV.S√VAR.S標本標準偏差
STDEV.P√VAR.P母標準偏差

たとえば、あるデータでDEVSQ = 48、データ件数 n = 7 の場合:

  • VAR.S = 48 ÷ (7−1) = 8.0
  • VAR.P = 48 ÷ 7 ≈ 6.86

DEVSQはこれらの統計値の「大元」に当たる値です。分散分析などの統計計算で途中の平方和が必要なときに直接使うこともあります。

よくあるエラーと対処法

#NUM! エラー

引数に数値が1つも含まれていない場合に発生します。セル範囲に数値データが入っているか確認してください。

#VALUE! エラー

引数に直接数式として計算できない文字列を渡した場合に発生します。数値が入力されているセルを参照するか、数値を直接入力してください。

結果が0になる

すべてのデータが同じ値の場合、平均との偏差がすべて0になるためDEVSQは0を返します。これはエラーではなく正常な動作です。「ばらつきがまったくない」ことを意味します。

期待と違う値が返ってくる

COUNT関数でデータ件数を確認してみましょう。空白セルや文字列が混在していると、実際に計算に使われているデータ件数が意図より少なくなっていることがあります。

まとめ

  • DEVSQ関数は偏差平方和(各データと平均の差の二乗和)を返す関数
  • 引数にセル範囲を指定するだけで、手計算のステップをすべて省略できる
  • SUMSQとの違い: DEVSQは平均基準、SUMSQは原点基準。ばらつき分析にはDEVSQを使う
  • VAR.S・STDEVとの関係: DEVSQ ÷ (n−1) = VAR.S という関係があり、統計計算の基礎値として使える
  • 2グループのばらつき比較は、同じ数式パターンで並べるだけで直感的に比較できる

偏差平方和が必要な場面では、迷わずDEVSQ関数を使ってみてください。

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