ExcelのFILTER関数は、指定した条件に合致するデータを瞬時に抽出できる関数です。シートの機能で行うフィルターとは異なり、元データを変更せずに別の場所へ結果を表示できる点が特徴です。
本記事では、実際の業務で即戦力となる使い方を基本から応用まで詳しく解説します。
- 指定した値に一致するデータをすべて抽出したい
- Excelでのデータ処理をより効率的に行いたい
- フィルター機能を使わずにフィルタリングしたい
「Excel関数？」「聞いた事あるけど何か知らないな？」という方は、こちらの記事でエクセル関数について解説していますので先に確認して頂くと理解しやすいと思います。
FILTER関数とは？
FILTER関数の読み方
読み方は「フィルター関数」です。
FILTER関数では何ができるの？
FILTER関数は、指定した条件に基づいてデータを抽出できる関数です。
この関数はMicrosoft 365やExcel 2021以降で利用することができます。
Excelで表やリストからデータを検索・抽出する際、従来はフィルター機能を使用するか、複雑な数式の組み合わせが必要でした。
しかし、FILTER関数の登場により、よりシンプルに同様のことができるようになりました。
例えば、商品コードから特定の商品データを抽出したり、部門名から該当部門の社員情報をリストアップしたりするような作業が、FILTER関数一つで完了します。
データ量が増えても自動的に対応してくれるため、日々増減するデータの抽出も簡単に実施できます。
FILTER関数の使い方
関数の基本構文をマスター
まずはFILTER関数の基本構文を確認しましょう。
基本構文は以下の3つの引数で構成されています。
=FILTER( 配列 , 含む , [空の場合] )
FILTER関数の引数は3個あり、必ず指定する引数は2個です。
- すべての引数を指定する場合
=FILTER(A2:D100, D2:D100=”食品”, “該当するデータがありません”) - 最小限の引数のみを指定する場合
=FILTER(A2:D100, D2:D100=”食品”)
注意が必要な点は、検索値と範囲の指定方法です。
関数を入力後、数式を別のセルにコピーする場合、絶対参照（$記号）にしていないと範囲がずれてしまいます。
範囲が変わっても問題ない場合を除き、検索範囲がずれないように絶対参照（$記号）をアルファベットと数字の前に一つずつ入力しておきましょう。
F4キーを押すことで$記号を自動挿入することもできます。
関数の引数について知ろう
第1引数：配列（必須）
「配列」引数には、抽出の対象となるデータ範囲を指定します。
表全体や特定の列範囲など、連続したセル範囲を指定できます。
この引数を指定する際に注意したいのは「見出し行」です。
列見出しが記載されている行を範囲に含めることにより、抽出後のデータに見出しが混ざることが懸念されます。必要ない場合は見出しを除く範囲を指定しましょう。
例えば、A1:D10という範囲で、A1:D1が見出し行である場合、配列には「A2:D10」を指定します。
また、この引数では表の一部列のみを指定することも可能です。必要に応じて特定の部分だけを指定するなど、柔軟に指定しましょう。
第2引数：含む（必須）
「含む」引数は、抽出するデータの条件を指定します。
条件を指定する際は「範囲=値」のように指定します。
例えば「D2:D10=”食品”」を指定することで、D2からD10の範囲で「食品」と一致するセルの行を抽出することができます。
第3引数：空の場合（省略可能）
「空の場合」引数は、条件に合致するデータが存在しない場合に表示する値を指定します。
この引数は省略可能ですが、指定しない場合、条件に合致するデータがない場合に「#CALC!」エラーが表示されます。
エラー表示を避けるため、この引数に「該当なし」や「データがありません」などのメッセージを指定しておきましょう。
空の文字列（””）を指定することで、何も表示しないようにすることもできます。
実際にやってみよう！実践編
単一条件のデータ抽出
まずは単一の条件でデータを抽出する方法です。
例えば、A列からD列に家計簿のデータが入力されており、A列に「収入」または「支出」が記載されている表からデータを抽出するとしましょう。
表のデータから「支出」のデータ行だけを抽出したい場合は以下のように関数を使います。
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=FILTER(A2:D100, A2:A100="支出", "該当データなし") |
複数条件のデータ抽出
複数の条件を指定してデータ抽出する方法もあります。
先ほどと同じ表でA列が「支出」で、B列が「食費」のデータ行を抽出する場合は以下のように関数を使います。
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=FILTER(A2:D100, (A2:A100="支出")*(B2:B100="食費"), "該当データなし") |
この式のポイントは「 * 」です。
今回のケースは、A列が「支出」で、B列が「食費」という2つの条件があり、どちらも条件を満たした行だけを抽出しました。
このようにどちらも守る必要がある条件のことを「AND条件」と言います。
FILTER関数では、条件同士を「*」（アスタリスク）で結合することで、AND条件を指定することができます。では、どちらかの条件と一致していれば良い場合はどうでしょうか。
例えば、B列が「食費」または「光熱費」の行を抽出したいようなケースは、AND条件ではありません。AまたはBのように指定する場合は「OR条件」を利用します。
OR条件は、条件同士を「+」（プラス）で結合することで、AND条件を指定することができます。
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=FILTER(A2:D100, (B2:B100="食費")+(B2:B100="光熱費"), "該当データなし") |
仕事で役立つ便利技！
SUM関数との組み合わせ
FILTER関数でデータ抽出後、SUM関数を使って特定の列の値を合計することができます。
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=SUM(FILTER(B2:B100, YEAR(A2:A100)=2025, 0)) |
この式では、以下の処理を行っています。
1. A2:D100のA列の年が「2025」に一致する行を抽出
2. 抽出したB列データの値を合計する
フィルタ処理したデータを合計したい場合は、この組み合わせがおすすめです。
SORT関数との組み合わせ
FILTER関数でデータ抽出後、SORT関数を使って特定の列で並べ替えることができます。
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=SORT(FILTER(A2:D100, D2:D100="食品", ""), 2, 1) |
この式では、以下の処理を行っています。
1. A2:D100のD列が「食品」に一致する行を抽出
2. 抽出したデータの2列目の値で昇順に並べ変え
フィルタ処理に加えて並び替えをしたい場合は、この組み合わせがおすすめです。
UNIQUE関数との組み合わせ
FILTER関数でデータ抽出後、UNIQUE関数を使って重複のないリストを作成することもできます。
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=UNIQUE(FILTER(A2:D100, D2:D100="食品", "")) |
この式では、以下の処理を行っています。
1. A2:D100のD列が「食品」に一致する行を抽出
2. 抽出したデータから内容が重複している行を削除
フィルタ処理した上で、内容が重複している行を削除したい場合はこの組み合わせがおすすめです。
よくあるエラーと解決法
#CALC!エラーの原因と対策
FILTER関数を使用していて最もよく見られるエラーが「#CALC!」エラーです。
このエラーは、条件に合致するデータが存在しない場合に表示されますが、
第3引数（空の場合）に値を指定することで発生しなくなります。
条件の範囲指定ミス
FILTER関数で条件を指定する際、データ範囲と条件範囲のサイズが一致していないとエラーになります。例えば、A2:D100のデータに対して、D2:D50という不完全な範囲で条件を指定した場合です。
解決策は、データ範囲と条件範囲のサイズを一致させることです。条件範囲はデータ範囲の特定の列に対応している必要があります。例えば：
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=FILTER(A2:D100, D2:D100="食品", "該当なし") |
さらなるスキルアップを目指そう！
FILTER関数を学習した後は、更に以下の関数も内容を把握しておきましょう。
用途が似ている関数や、一緒に使うとさらにできることの幅が広がる関数です。
| 関数名 | 用途 |
|---|---|
| SORT | データの並べ替え |
| UNIQUE | 一意の値(重複していない値)を抽出 |
| XLOOKUP | VLOOKUP関数より柔軟でシンプルな検索 |
| SEQUENCE | 連続した数値の一覧を生成 |
| RANDARRAY | ランダムな数値の配列を生成 |
まとめ
本記事では、Excel FILTER関数の基本から応用までを詳しく解説しました。
FILTER関数は、条件に基づいてデータを抽出する関数であり、Microsoft 365やExcel 2021以降で利用できます。
基本的な構文を覚えることで、様々なデータ抽出ニーズに対応できます。
実務では、FILTER関数を他の関数と組み合わせることで、より高度なデータ処理が可能になります。
今回は汎用的な組み合わせをご紹介しましたが、ご自身の業務に合わせて他の関数との組み合わせも探してみてください。さらに業務効率が向上するかもしれません。
FILTER関数を習得した後は、他の関数についても幅広く知ることをお勧めします。
関数と関数の組み合わせで、今まで出来ないと思っていた作業も簡単にできる可能性があります。
ましゅかぶろぐではExcel関数の一覧を公開しています。是非学習の役に立ててください。
関数一覧
ましゅかぶろぐではExcel関数の一覧を3パターンご用意しています。
用途に合わせてお使いください。
各一覧の文字色が青くなっている関数はクリックすると解説ページを開くことができます。
エラー値についてのまとめ記事
関数でエラーが発生した際に表示される、エラーの種類を以下の記事でまとめています。
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