「ExcelのCOTH関数って何に使うの?」と疑問に思ったことはありませんか。
双曲線余接と言われてもピンとこないですし、似た名前のCOT関数との違いもわかりにくいですよね。
そんなときはこの記事を読めば大丈夫です。ExcelのCOTH関数は =COTH(値) と書くだけで双曲線余接を求められます。数学的にはTANH関数の逆数にあたる関数ですよ。
この記事では、基本の書き方からTANH関数との関係、COT関数との違い、引数0でエラーになる注意点まで紹介します。
ExcelのCOTH関数とは?読み方と基本
COTH関数は、指定した数値の双曲線余接(ハイパーボリックコタンジェント)を返すExcelの数学関数です。
読み方は「コタンジェント・ハイパーボリック」です。名前は英語の「Cotangent Hyperbolic」の略に由来します。
たとえば =COTH(1) と入力すると「1.31303…」が返ります。これが1の双曲線余接の値です。
COTH関数の特徴は、TANH関数の逆数であることです。TANH(x)の結果は-1から1の範囲に収まります。一方、COTH(x)の結果は1より大きいか-1より小さい値になりますよ。
COTH関数にできることをまとめると、次のとおりです。
NOTE
COTH関数はExcel 2013以降のバージョンで使えます。Microsoft 365・Excel 2024 / 2021 / 2019 / 2016にも対応していますよ。
COTH関数の書き方(構文と引数)
基本構文
=COTH(数値)
カッコの中に、双曲線余接を求めたい数値を指定します。
引数の説明
| 引数 | 必須/任意 | 説明 |
|---|---|---|
| 数値 | 必須 | 双曲線余接を求めたい実数値(0以外)。絶対値は2^27未満 |
引数は1つだけです。COT関数とは違い、ラジアンへの変換は不要です。そのまま数値を渡せばOKですよ。
ただし引数に0は指定できません。COTH(0)は数学的に定義されないため、エラーになります。
TIP
COT関数は引数に「角度(ラジアン)」を取りますが、COTH関数は「任意の実数値(0以外)」を取ります。RADIANS関数での変換は必要ありません。
COTH関数の基本的な使い方
代表的な値でCOTH関数の動きを確認してみましょう。
正の値を渡す
=COTH(1)
結果は「1.31303…」です。
もう少し大きい値も見てみます。
=COTH(2)
結果は「1.03731…」です。値が大きくなるにつれて1に近づいていくのがポイントですね。
負の値を渡す
=COTH(-1)
結果は「-1.31303…」です。COTH(1)の符号を反転した値になっています。
これはCOTH関数が「奇関数」だからです。COTH(-x) = -COTH(x) が常に成り立ちますよ。
0を渡すとエラーになる
=COTH(0)
この数式は #DIV/0! エラーになります。COTH(x)はCOSH(x)/SINH(x)で計算されます。SINH(0) = 0 なので「0で割る」ことになるのが原因です。
これはCOTH関数で一番注意が必要なポイントですよ。
代表値の一覧
代表的な入力値と結果を一覧にまとめます。
| 数式 | 結果 | 備考 |
|---|---|---|
| =COTH(0) | #DIV/0! | 0は定義されない |
| =COTH(0.5) | 2.16396… | 1からかなり離れた値 |
| =COTH(1) | 1.31303… | 基本値 |
| =COTH(2) | 1.03731… | 1に近づく |
| =COTH(5) | 1.00001… | ほぼ1 |
| =COTH(-1) | -1.31303… | 奇関数(符号反転) |
| =COTH(-2) | -1.03731… | -1に近づく |
値が大きくなると1に、小さくなると-1に近づきます。ただし、1や-1にはなりません。
セル参照を使う
もちろんセル参照も使えます。A1セルに数値が入っていれば、次のように書きます。
=COTH(A1)
A列に複数の値を入れて、B列にCOTH関数を並べれば一括計算もできますよ。
COTH関数の数学的な仕組み
定義式とSINH・COSH関数での検算
COTH関数は数学的に次のように定義されています。
COTH(x) = COSH(x) / SINH(x)
つまり、COSH関数(双曲線余弦)をSINH関数(双曲線正弦)で割った値です。Excelでは次のように検算できます。
=COSH(A1)/SINH(A1)
この式とCOTH(A1)は同じ結果を返します。実際にA1に「1」を入れて確認してみましょう。
| 数式 | 結果 |
|---|---|
| =COTH(1) | 1.31303… |
| =COSH(1)/SINH(1) | 1.31303… |
どちらも同じ値ですね。
TANH関数との逆数関係
COTH関数はTANH関数の逆数でもあります。
COTH(x) = 1 / TANH(x)
Excelで確認してみましょう。
| 数式 | 結果 |
|---|---|
| =COTH(1) | 1.31303… |
| =1/TANH(1) | 1.31303… |
どちらも同じ値です。COTH関数がないバージョン(Excel 2010以前)でも =1/TANH() で代用できますよ。
EXP関数を使った定義式
COTH関数はEXP関数(ネイピア数eのべき乗を返す関数)でも表現できます。
COTH(x) = (e^x + e^(-x)) / (e^x - e^(-x))
Excelの式にすると、次のとおりです。
=(EXP(A1)+EXP(-A1))/(EXP(A1)-EXP(-A1))
この式がCOTH(A1)と同じ結果になることも確認できます。COTH関数の結果が正しいか不安なときは、EXP関数を使った式で検算してみてくださいね。
COT関数との違い
名前は似ていますが、COT関数とCOTH関数はまったく別の関数です。
| 項目 | COT関数 | COTH関数 |
|---|---|---|
| 正式名称 | 余接(コタンジェント) | 双曲線余接(ハイパーボリックコタンジェント) |
| 数学的な背景 | 円(三角関数) | 双曲線(双曲線関数) |
| 引数 | 角度(ラジアン) | 任意の実数値(0以外) |
| 値の範囲 | 制限なし(-無限大 から +無限大) | 1より大きい、または-1より小さい |
| RADIANS変換 | 必要 | 不要 |
| 周期性 | あり(πごとに繰り返す) | なし |
| 逆数の関係 | 1/TAN(x) | 1/TANH(x) |
一番大きな違いは「数学的な背景」です。COT関数は三角関数で、円に基づく計算をします。COTH関数は双曲線関数で、双曲線に基づく計算をします。
もうひとつの違いは「引数」です。COT関数はラジアン単位の角度を受け取ります。RADIANS関数での変換が必要ですが、COTH関数はそのまま数値を渡せますよ。
数式を入力するとき、COTとCOTHを間違えないように注意してくださいね。
よくあるエラーと対処法
COTH関数でよくあるトラブルをまとめます。
| 症状 | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| #DIV/0! エラー | 引数に0を渡した | 0以外の値を指定する。IF関数で0を除外する |
| #VALUE! エラー | 引数に文字列を渡した | 数値またはセル参照を指定する |
| COT関数と結果が違う | 関数を間違えている | COTは三角関数、COTHは双曲線関数。目的に合った方を使う |
| 結果が1に近すぎる | 入力値が大きすぎる | COTH関数は値が大きくなると1に近づく性質がある |
引数に0を渡したとき
=COTH(0)
結果は #DIV/0! エラーです。COTH(0)は数学的に定義されないため、このエラーは正しい動作です。
セルの値が0になる可能性がある場合は、IF関数で事前にチェックしましょう。
=IF(A1=0, "定義なし", COTH(A1))
この式なら、A1が0のときはエラーにならず「定義なし」と表示されますよ。
文字列を渡したとき
=COTH("abc")
結果は #VALUE! エラーです。引数には必ず数値を渡してくださいね。セル参照の場合は、参照先が数値であることを確認しましょう。
似た関数との違い・使い分け
| 関数 | 動作 | 引数 | 用途 |
|---|---|---|---|
| COTH | 双曲線余接を返す | 実数値(0以外) | TANH関数の逆数計算 |
| TANH | 双曲線正接を返す | 実数値 | 正規化・スコアリング |
| SINH | 双曲線正弦を返す | 実数値 | 物理シミュレーション |
| COSH | 双曲線余弦を返す | 実数値 | カテナリー曲線のy座標 |
| ACOTH | 双曲線逆余接を返す | 絶対値が1より大きい実数 | COTH関数の逆関数 |
| COT | 余接(コタンジェント)を返す | 角度(ラジアン) | 三角関数・水平距離の計算 |
| EXP | eのべき乗を返す | 指数 | 指数関数・成長率計算 |
SINH・COSH・TANH・COTHは双曲線関数の仲間です。三角関数のSIN・COS・TAN・COTに対応する関係ですね。
双曲線関数の間には次の関係が成り立ちます。
COTH(x) = COSH(x) / SINH(x) = 1 / TANH(x)
COSH(x)^2 - SINH(x)^2 = 1
ACOTH関数はCOTH関数の逆関数です。たとえば =COTH(2) は約1.037を返しますが、=ACOTH(1.037314...) と入力すると元の2に戻ります。「行って帰ってくる」イメージで覚えておくと便利ですよ。
まとめ
ExcelのCOTH関数について解説しました。要点を振り返りましょう。
- COTH関数は双曲線余接を返す関数で、
=COTH(数値)と書く - Excel 2013以降で使える(Microsoft 365にも対応)
- COTH(1)=1.31303 が代表的な値
- 定義式は COSH(x)/SINH(x) で、TANH関数の逆数
- 引数に0を渡すと #DIV/0! エラーになるので注意
- COT関数とは別物(三角関数 vs 双曲線関数)
- 値が大きくなると1に、小さくなると-1に近づく
まずは =COTH(1) で1.31303が返ることを確認してみてください。
双曲線関数ファミリーの他の関数もあわせてチェックしてみてくださいね。
