Excelで消費税の端数を切り捨てたり、見積金額を千円単位にそろえたりしたい場面はありませんか。四捨五入だと金額が上がってしまうし、表示形式で見た目だけ変えてもセルの中身は元のままです。
ROUNDDOWN関数を使えば、指定した桁数で「値そのもの」を常に切り捨てられます。この記事では基本の書き方から桁数の指定パターン、実務での活用例、似た関数との使い分けまでまとめて紹介します。
この記事は次のような人におすすめ
ROUNDDOWN関数とは?
ROUNDDOWN(ラウンドダウン)関数は、数値を指定した桁数で常に切り捨てる関数です。名前は英語の「round down(下方向に丸める)」に由来しています。
たとえば「3.14159」を小数第2位で切り捨てると「3.14」になります。四捨五入ではないので、小数第3位の「1」が5以上であっても切り上がることはありません。常にゼロに近い方向へ丸めるのがポイントです。
Excel 97以降のすべてのバージョンで使用でき、Microsoft 365やGoogleスプレッドシートにも対応しています。
ROUNDDOWN関数の書き方(構文と引数)
基本構文
=ROUNDDOWN(数値, 桁数)
引数は2つだけ。どちらも必須です。
引数の説明
| 引数 | 必須/任意 | 内容 |
|---|---|---|
| 数値(number) | 必須 | 切り捨てたい数値。セル参照や数式もOK |
| 桁数(num_digits) | 必須 | 何桁まで残して切り捨てるかを指定する整数 |
桁数に小数を渡した場合は、整数部分だけが使われます。たとえば桁数に「1.9」を指定しても「1」として扱われます。
桁数(第2引数)の指定パターン
ROUNDDOWN関数の使いこなしは、この桁数の理解がカギです。正・0・負の3パターンを表にまとめます。
| 桁数 | 切り捨て方 | 例: ROUNDDOWN(1234.567, 桁数) | 結果 |
|---|---|---|---|
| 2 | 小数第2位まで残す | =ROUNDDOWN(1234.567, 2) | 1234.56 |
| 1 | 小数第1位まで残す | =ROUNDDOWN(1234.567, 1) | 1234.5 |
| 0 | 整数に切り捨てる | =ROUNDDOWN(1234.567, 0) | 1234 |
| -1 | 10の位で切り捨てる | =ROUNDDOWN(1234.567, -1) | 1230 |
| -2 | 100の位で切り捨てる | =ROUNDDOWN(1234.567, -2) | 1200 |
| -3 | 1000の位で切り捨てる | =ROUNDDOWN(1234.567, -3) | 1000 |
覚え方は「正の桁数は小数点の右側を残す」「負の桁数は整数部分を大きな単位で切り捨てる」です。ROUND関数と桁数の考え方は同じなので、ROUNDを使ったことがあればすぐに慣れます。
ROUNDDOWN関数の基本的な使い方
数値を直接入力する
もっともシンプルな使い方です。
=ROUNDDOWN(3.14159, 2)
結果は「3.14」です。小数第3位以降がすべて切り捨てられます。
セル参照を使う
A1に「1234.567」が入っているとき、整数に切り捨ててみましょう。
=ROUNDDOWN(A1, 0)
結果は「1234」です。小数部分がまるごと切り捨てられます。
数式の結果をそのまま切り捨てる
他の関数と組み合わせると、計算結果を直接切り捨てられます。
=ROUNDDOWN(B2 * 1.1, 0)
B2に「980」が入っていれば、980 x 1.1 = 1078 です。小数が出ないのでそのまま「1078」が返ります。小数が出る計算でも端数をすべてカットしたいときに便利です。
整数部分を大きな位で切り捨てる
桁数に負の数を指定すると、整数部分を丸められます。
=ROUNDDOWN(48500, -3)
結果は「48000」です。千の位より下が切り捨てられ、千円単位の金額になります。
実務でのROUNDDOWN関数活用例
消費税の端数を切り捨てる
消費税の計算で「切り捨て」と決まっている場合は、ROUNDDOWN関数の出番です。B2に税抜価格が入っているとします。
=ROUNDDOWN(B2 * 1.1, 0)
B2が「1,980円」なら 1980 x 1.1 = 2178 で、結果は「2178」です。小数が出る金額でも1円未満がきれいにカットされます。
四捨五入・切り上げの場合は?
取引先との契約で「消費税は四捨五入」ならROUND関数、「切り上げ」ならROUNDUP関数を使ってください。関数名を変えるだけで切り替えられます。
見積金額を千円単位にそろえる
社内稟議や概算見積で、細かい端数を省きたい場面です。
=ROUNDDOWN(A2, -3)
A2に「1,234,567円」が入っていれば結果は「1,234,000円」です。千円未満がすべてカットされるので、ざっくりした金額を出したいときに重宝します。
時給計算で1円未満を切り捨てる
アルバイトの時給計算で、分単位の端数を切り捨てるケースです。
=ROUNDDOWN(C2 * D2 / 60, 0)
C2に時給「1,150円」、D2に勤務分数「95」が入っているとします。1150 x 95 / 60 = 1820.833… となり、結果は「1820」です。1円未満の端数が切り捨てられます。
評価スコアの小数を切り捨てる
平均スコアを小数第1位まで表示し、それ以下を切り捨てたい場面です。
=ROUNDDOWN(AVERAGE(B2:B10), 1)
平均が「3.867」なら結果は「3.8」です。切り捨てなので「3.9」にはなりません。控えめな評価を出したいときに使えます。
よくあるエラーと対処法
| 症状 | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| #VALUE! エラー | 引数に数値として認識できない文字列が入っている | セル参照先に全角数字やスペースが混入していないか確認する |
| 結果が0になる | 桁数の指定ミス(桁数が大きすぎる負の数) | =ROUNDDOWN(99, -3) → 結果は0。桁数の符号と大きさを見直す |
| 想定より多く切り捨てられる | 桁数の正負を逆に指定している | 正の桁数は小数側、負の桁数は整数側を切り捨てる |
| 小数の誤差が残る | 浮動小数点の内部誤差 | =ROUNDDOWN(2.0-1.1, 1) が「0.8」ではなく「0.8」になるかを確認。気になる場合はROUND関数と併用する |
負の数の切り捨て方向
ROUNDDOWN関数は常に「ゼロに近い方向」に切り捨てます。
=ROUNDDOWN(-3.7, 0)
結果は「-3」です。「-4」ではありません。負の無限大方向ではなく、絶対値を小さくする方向に丸める点に注意してください。
負の無限大方向(床関数)で切り捨てたい場合はINT関数を使います。=INT(-3.7) の結果は「-4」です。
似た関数との違い・使い分け
Excelには切り捨て関連の関数がいくつかあります。どれを使うか迷ったときは、以下の比較表を参考にしてください。
| 関数 | 切り捨て方 | 引数 | 負の数の方向 | 使いどころ |
|---|---|---|---|---|
| ROUNDDOWN | 桁数指定で切り捨て | 桁数 | ゼロ方向 | 消費税・見積金額の端数カット |
| INT | 整数に切り捨て | なし | 負の無限大方向 | 整数部分だけ取り出したいとき |
| TRUNC | 桁数指定で切り捨て | 桁数(省略可) | ゼロ方向 | ROUNDDOWN とほぼ同じ動作 |
| FLOOR | 倍数指定で切り捨て | 倍数 | ゼロ方向 | 15分単位・100円単位の切り捨て |
ROUNDDOWN と TRUNC の違い
ROUNDDOWNとTRUNC関数はどちらも「ゼロ方向に切り捨て」で、結果もほぼ同じです。違いは桁数の扱いだけです。
=ROUNDDOWN(3.14, 1)
=TRUNC(3.14, 1)
どちらも結果は「3.1」です。TRUNC関数は桁数を省略すると0(整数に切り捨て)として動作します。好みで使い分けて問題ありません。
ROUNDDOWN と INT の違い
正の数ではどちらも同じ結果になりますが、負の数で方向が変わります。
=ROUNDDOWN(-3.7, 0)
=INT(-3.7)
ROUNDDOWNの結果は「-3」(ゼロ方向)、INTの結果は「-4」(負の無限大方向)です。負の数を扱うときはどちらの方向が必要か確認してください。
ROUNDDOWN と FLOOR の違い
ROUNDDOWNは「桁数」で指定し、FLOOR関数は「倍数」で指定します。
=ROUNDDOWN(17, -1)
=FLOOR(17, 5)
ROUNDDOWNの結果は「10」(10の位で切り捨て)、FLOORの結果は「15」(5の倍数で切り捨て)です。「5の倍数」「12個入り1ケース」のような任意の倍数にはFLOOR関数が向いています。
丸め関数6種の早見表
切り捨てだけでなく、四捨五入や切り上げも含めた全体の関係を整理します。
| 関数 | 丸め方 | 第2引数 | 使いどころ |
|---|---|---|---|
| ROUND | 四捨五入 | 桁数 | 一般的な端数処理 |
| ROUNDUP | 常に切り上げ | 桁数 | 必要数の計算(箱数など) |
| ROUNDDOWN | 常に切り捨て | 桁数 | 控えめな見積もり・消費税切り捨て |
| MROUND | 倍数で四捨五入 | 倍数 | 500円単位、15分単位など |
| FLOOR | 倍数で切り捨て | 倍数 | 勤怠の時間切り捨て |
| CEILING | 倍数で切り上げ | 倍数 | 料金の切り上げ(タクシー料金など) |
「桁数で丸めたい」ならROUND系3兄弟(ROUND/ROUNDUP/ROUNDDOWN)、「特定の倍数で丸めたい」ならMROUND/FLOOR/CEILINGと覚えておくとスムーズです。
まとめ
ROUNDDOWN関数は、数値を指定した桁数で常に切り捨てるときに使う関数です。
ポイントを整理します。
- 構文は
=ROUNDDOWN(数値, 桁数)の2引数だけ - 常に「ゼロに近い方向」に切り捨てる(四捨五入ではない)
- 桁数が正なら小数側、0なら整数に、負なら大きな位で切り捨てる
- 消費税の切り捨て、見積金額の千円単位処理、時給計算の端数カットに便利
- 四捨五入ならROUND、切り上げならROUNDUP、倍数指定ならFLOORを使い分ける
まずは =ROUNDDOWN(A1, 0) で整数に切り捨てるところから試してみてください。
関連記事
丸め関数をもっと深く知りたい方はこちらもどうぞ。
- ROUND関数の使い方|桁数指定から丸め6種の使い分けまで解説
- ROUNDUP関数で数値を自在に切り上げ
- MROUND関数の使い方|指定した倍数で四捨五入
- FLOOR関数の使い方|指定した倍数で切り捨てる方法
- CEILING関数の使い方|指定した倍数で切り上げる方法
- INT関数の使い方|整数に切り捨てる基本と実務活用
- TRUNC関数で小数部を指定した桁数で切り捨てる
関数一覧
Excel関数の一覧は以下の記事から確認できます。
エラー値まとめ
Excelのエラー値の種類と対処方法は、こちらの記事にまとめています。
