Excel SINH関数の使い方|双曲線正弦の基本から応用まで

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「ExcelにSINH関数ってあるけど、どう使うの?」と思ったことはありませんか。双曲線正弦(ハイパーボリックサイン)と聞いても、日常業務ではなかなかピンとこないですよね。でも実は、物理学の懸垂線やエンジニアリングの計算で使われる実用的な関数なんです。

この記事では、ExcelのSINH関数の使い方を基本から丁寧に解説します。定義式の検算、奇関数の性質確認、エラー対処まで一記事でカバーしますよ。

ExcelのSINH関数とは?

SINH関数は、指定した数値の双曲線正弦(ハイパーボリックサイン)を返す関数です。

読み方と語源

読み方は「ハイパーボリックサイン」です。「サインエイチ」や「シンチ」と呼ばれることもあります。

SINHは「Sine Hyperbolic」の略で、通常の三角関数のSIN(正弦)に「H(Hyperbolic=双曲線)」が付いた形です。三角関数が円に関係するのに対し、双曲線関数は双曲線(xy=1のような曲線)に関係する関数ですよ。

数学的な定義

SINH関数の定義式は次のとおりです。

sinh(x) = (e^x – e^(-x)) / 2

ここでeはネイピア数(自然対数の底、約2.71828)です。ExcelのEXP関数を使うと、この定義式を直接計算できます。

入力と出力のイメージ

  • 入力: 任意の実数(正・負・ゼロいずれもOK)
  • 出力: 双曲線正弦の値(入力がゼロなら0、正なら正、負なら負)

たとえばSINH(1)は約1.1752、SINH(-1)は約-1.1752を返します。

ExcelのSINH関数の書き方

基本構文

=SINH(数値)

引数はひとつだけなので、とてもシンプルですよ。

引数の説明

引数必須/省略可説明
数値必須双曲線正弦を求めたい実数を指定します。セル参照・数式・直接入力のいずれもOKです

注意: 数値の絶対値は 2^27(約1億3,421万)未満である必要があります。これを超えると#NUM!エラーになります。

戻り値

指定した数値の双曲線正弦を返します。結果は小数になることがほとんどです。

ExcelのSINH関数の基本的な使い方

実際にSINH関数を使ってみましょう。

セルの値から双曲線正弦を求める

A列に数値を入力し、B列でSINH関数を使います。

 A列(数値)B列(数式)B列(結果)
10=SINH(A1)0
21=SINH(A2)1.1752…
3-1=SINH(A3)-1.1752…
42=SINH(A4)3.6269…
55=SINH(A5)74.2032…

数値が大きくなるほど、結果も急激に増加するのが特徴です。

数式に直接値を入力する

セル参照を使わず、数値を直接書くこともできます。

=SINH(3)

結果は約10.0179です。ちょっとした検算にはこの書き方が便利ですよ。

SINH関数の定義式をEXP関数で検算する

SINH関数の結果が正しいか不安なときは、定義式を使って検算してみましょう。

EXP関数で定義式を再現する

SINH(x) = (e^x – e^(-x)) / 2 なので、EXP関数を使って次のように書けます。

=(EXP(A1)-EXP(-A1))/2

この数式とSINH(A1)の結果が一致すれば、定義式どおりに計算できていると確認できますよ。

検算結果の比較表

A1にさまざまな値を入れて比較してみましょう。

数値SINH(A1)(EXP(A1)-EXP(-A1))/2一致
000はい
11.17520…1.17520…はい
-2-3.62686…-3.62686…はい
574.20321…74.20321…はい

すべて一致しますね。Excel 2010以前をお使いの場合など、SINH関数が使えない環境では、このEXP関数の式で代替できます。

SINH関数の性質を確認する(奇関数)

SINH関数には「奇関数」という重要な性質があります。

奇関数とは

奇関数とは、sinh(-x) = -sinh(x) が成り立つ関数のことです。原点に対して点対称なグラフになります。

これに対してCOSH関数は偶関数(cosh(-x) = cosh(x))で、y軸に対して左右対称です。ペアで覚えておくとわかりやすいですよ。

Excelで奇関数の性質を検証する

数値 xSINH(x)SINH(-x)-SINH(x)SINH(-x) = -SINH(x)?
11.17520-1.17520-1.17520はい
310.01787-10.01787-10.01787はい
0.50.52110-0.52110-0.52110はい

すべての行でSINH(-x)と-SINH(x)が一致しています。奇関数の性質が確認できましたね。

双曲線関数の恒等式

SINH関数とCOSH関数の間には、次の恒等式が成り立ちます。

cosh(x)^2 – sinh(x)^2 = 1

Excelで検証するなら、次の数式を使います。

=COSH(A1)^2-SINH(A1)^2

どんな値を入れても結果は1になります。三角関数のsin^2+cos^2=1と似た関係ですね。

SINH関数の実践的な活用例

懸垂線(カテナリー曲線)の計算

電線やチェーンが自重で垂れ下がる形は「懸垂線」と呼ばれます。この曲線はCOSH関数で表しますが、その傾き(微分)がSINH関数です。

懸垂線の式: y = a * cosh(x/a)
傾き: dy/dx = sinh(x/a)

たとえば、a=10として位置xにおける傾きを求めるなら次のように書きます。

=SINH(A1/10)

構造力学や電力線の設計で、ケーブルのたわみ量の計算に役立ちます。

COSH関数との組み合わせで双曲線関数の値を一覧化する

複数の双曲線関数の値を横並びで比較すると、それぞれの特徴が把握しやすくなります。

xSINH(x)COSH(x)TANH(x)
0010
11.17521.54310.7616
23.62693.76220.9640
310.017910.06770.9951

SINH(x)とCOSH(x)はxが大きくなるほど値が近づいていくのがわかりますね。

よくあるエラーと対処法

#NUM!エラー

原因: 数値の絶対値が2^27(約1億3,421万)以上のとき発生します。

=SINH(200000000)  → #NUM!

対処法: 入力値が上限を超えていないか確認してください。実務でこの上限に達することはほぼありませんが、他の数式から大きな値が渡されている場合は注意が必要です。

#VALUE!エラー

原因: 引数に数値に変換できない文字列を指定した場合に発生します。

=SINH("abc")  → #VALUE!

対処法: 引数がセル参照の場合、参照先のセルに文字列が入っていないか確認しましょう。ISNUMBER関数で事前にチェックする方法も有効ですよ。

=IF(ISNUMBER(A1),SINH(A1),"数値を入力してください")

#NAME?エラー

原因: 関数名のスペルミス(「SINH」→「SIHN」など)が原因です。

対処法: 数式バーに「=SI」と入力すると候補一覧が表示されます。そこからSINHを選ぶとスペルミスを防げますよ。

SIN関数との違い・似た関数との使い分け

SIN関数とSINH関数の違い

比較項目SIN関数SINH関数
名前正弦(サイン)双曲線正弦(ハイパーボリックサイン)
数学の分類三角関数双曲線関数
定義単位円上のy座標(e^x – e^(-x)) / 2
値の範囲-1 から 1制限なし(負の無限大から正の無限大)
周期性あり(2π周期)なし
主な用途角度・波の計算物理・工学の計算

SIN関数は値が-1から1の間に収まるのに対して、SINH関数は入力が大きくなるほど値も大きくなり続けます。名前は似ていますが、性質はかなり異なりますよ。

双曲線関数ファミリー6種の一覧

ExcelにはSINHを含む双曲線関数が6つ用意されています。

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SINH関数とCOSH関数がベースとなり、残りの4関数はこの2つの組み合わせで定義されています。まずはSINHとCOSHをしっかり理解しておくと、他の関数もスムーズに使えますよ。

逆双曲線関数との関係

SINH関数の逆関数はACOSH関数ではなく、ASINH関数です。ASINH(y)はSINH(x)=yとなるxの値を返します。

=SINH(2)     → 3.62686...
=ASINH(3.62686)  → 2(元の値に戻る)

なお、ACOSH関数はCOSH関数の逆関数です。混同しやすいので注意してくださいね。

まとめ

ExcelのSINH関数は、数値の双曲線正弦を求めるための関数です。

  • 構文: =SINH(数値)。引数はひとつだけ
  • 定義式: sinh(x) = (e^x – e^(-x)) / 2。EXP関数で検算できる
  • 奇関数の性質: sinh(-x) = -sinh(x) が常に成り立つ
  • 恒等式: cosh(x)^2 – sinh(x)^2 = 1
  • SIN関数との違い: SINは値が-1から1に限定、SINHは制限なし

日常業務で使う場面は限られますが、工学や物理の計算でデータを扱う際に知っておくと便利です。エラーが出たときは、入力値が2^27未満か、数値が正しく入っているかを確認してみてくださいね。

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